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100%自己責任

作者: 京本葉一

 交通量の割には道が狭く、信号機もない交差点で、トラブルが発生したらしい。二台のパトカーが駐車しており、三名の警察官が一ヵ所に集っている。交通整理をしている警察官もいた。

 めずらしい光景ではあるものの、じろじろと観察するものでもない。そのまま自転車で通り過ぎたわけだが、ものの五分もたたない距離で、ふたたび駐車中のパトカーを前方にみつけた。こちらでも事故かと注意していると、サイレンを鳴らさずに走行してきたパトカーに追いぬかれた。左折しようとする警察車両に道を塞がれては、こちらもスピードを落とすしかない。パトカーが左折した角を通り過ぎる際に、自然と注意はそちらに向かった。先着した警察官から事情を尋ねられているらしい、若い男女を目撃した。


 事故か事件か。どちらにせよ、これらは私個人とはなんら関わり合いのない出来事である。あまり見ることのない光景を、たてつづけに目撃しただけであり、ほとんどの人は「偶然の出来事」として片付けてしまうだろう。しかし私はそれだけで終わらせることができない。


「この世の中に偶然いうものは存在せえへんのよ」


 私が尊敬する先生は、超常の能力をもっておられる。多くの人々が先生に病気を癒してもらっており、私もそのなかのひとりだ。けっして人を脅したりせず、誠実に、あたたかく、悩める人々を導いてくださる。


「すべての原因は心のなかにあるんよ。どんな出来事でも、原因は100%自分にあるんやで」


 先生の意見と対立する場合、私は自分の意見を捨てることにしている。よって考えざるをえないのだ。私の心のなかに、警察の御厄介になるナニカがあるのではないのか、早々にその芽を摘んでおかねばならんのではないのかと。


 私は電話でアドバイスをいただくことにした。


「先生、私は警察官と関わってしまう運命なのでしょうか? 私のなにが、そのような出来事を引き寄せているのでしょうか?」


「まあ、あんたの場合、妄想する内容が犯罪の領域にある感は否めへんのよね」


 先生のやんわりとした導きに従い、刺激的なエロい妄想はひかえることにした。

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