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七不思議 みっつめ

 うちの学校はちょっと変わった七不思議があるんだ。ひとつ目は化学実験室の人魂。これは、ここが建てられる前に戦争で焼けた中学校があって、そこの生徒が出るって。化学実験室の下が防空壕になってて、そこで亡くなった方がたくさんいたからそこに出るんだそうだよ。


 ふたつ目は図書館の読み聞かせの声。これは、結構最近できたらしくて、自殺した図書委員長が化けて出るんだって。


 みっつ目は焼却炉の叫び声。これはいろんな説があるんだけど、戦時中に亡くなった人の遺体をここで焼いてたらしいのよ。その人たちの亡霊なのかな?


 よっつ目は動く骨格標本のレプリカ。保健室にあるやつじゃなくて、生物講義室のやつが動くんだって。ここの標本は本物の骨でできているから、夜になったら動くみたい。

いつつ目は音楽室から聞こえるフルートの音。これは、吹部でフルート吹いてた先輩が事故死しちゃって、未練があるからここに居座っているらしい。


むっつ目は知らないうちに美術室の絵が増える。これは、美術部の生徒が片腕を失ってしまったらしくて、その子の生霊のようなものが絵を増やしているらしい。


 そして、普通の七不思議ならななつ目は秘密っていうのが多いんだけど、うちの学校はななつ目が秘密ではないんだよね。

 そのななつ目っていうのが、季節外れに咲く彼岸花。焼却炉の裏側に茂みがあるじゃん?その中に彼岸花が咲いてるところのことらしいんだけど。あそこの彼岸花ってずっと咲いてるような気がするでしょ?それのことらしいよ。なんで季節外れでも咲くんだろうね。


 話し終えたこよみは、一息ついてお茶を飲む。話を聞いてた子たちは首を捻ったり、ふーんと呟いたり。それぞれ様々な反応を見せる。

「彼岸花は持ち帰ると火事になるって迷信あるからね」

 廊下の窓からする声に、六人は目を向けた。

「さっすが文芸部!詳しいなぁ」

 朱璃が茶化すと、声の主、内添蕾実は控えめに首を横に振る。

「いやいや、文芸部関係ないから」

 それもそうだ、と笑いが起こる。その中、朱璃は一つひらめく。


「そういえば、ここが建つ前の中学校は戦争で焼けたんだっけ?彼岸花ってそれのことじゃない?」

 感嘆の声が上がる。

「あれかな、慰霊碑みたいな感じで植えられてるみたいな」

「でも火事があったところって、なんでかわからないけど彼岸花生えてるじゃん?だから火事があったのなら不思議じゃないのでは?」

「なんで芽衣子ちゃんそんなこと知ってるのさ」


 各々で話が盛り上がる中、それを遮るようにチャイムが鳴る。蕾実は手を振り、急いでクラスに戻る。朱璃たちは手元のお弁当箱を急いで片付け、机を元に戻すと自分の席に帰った。


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