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16話 夢

「そうだけど」


 素直に認めてしまった凛太郎。


「やっぱりね」


「どうかするのか」


「なにもしないわよ。別にあなたが伊岐だからって私には関係ないし。でもどうして伊岐のあなたが天上の世界にいるのかわからないからそこは教えてほしいな」


 凛太郎は自分の身分のこと、ペンダントのことを話した。竜宮水奈は最初は信じられない顔をしていたがすぐに信じてくれた。


「分かってくれてかな」


「……分かったわ。けど、一つお願いを聞いて欲しいの」


「何?」


「もし豊達との生活できなくなって竜宮一族に引き戻されたら、あなたが私を引き取りにきて欲しいの。死にたくないの、私」


  真剣な目で少し不安な声をして話した水奈を抱き締めた凛太郎。


「不安なのか。俺は豊は信じられるけど、水奈は信じていないのか」


  水奈は抱き締めている豊の服にシワが寄るくらいに握りしめ話し始める。


「信じている。でも竜宮の大人たちが怖いの。夢に出てくるの」


  今にも泣きそうな水奈の声に凛太郎は元気よく、明るく言う。


「だったら俺と式紙を使って契約するか。これがあれば安心だぜ」


 凛太郎は楓から貰っていた式紙を使うことにした。水奈は知らなかったので説明をして水奈が凛太郎を呼び寄せるように設定した。


「これで凛太郎が好きなときに呼べるのね」


「おいおい、本当に危ないときに読んでくれよ」


「わかってるわよ、じゃあね」  水奈はトイレを出ていった。凛太郎もすぐに出て自分の部屋に戻ったがすぐには寝つけなかった。


 次の日の朝


 ホテルのロビーで天上の世界に戻る凛太郎を豊達四人が見送りに来ていた。


「ありがとな、豊」


「いえ、僕たちの方がありがとうございます。新しい一族を必ずつくって見せます」


「期待してる」


「これ持ってて欲しいの」


  水奈が携帯電話を取り出し、凛太郎に渡した。


「どうして携帯を?」


「私たちが何をしているかを知ってほしくて。それにあなたのこと気になったの」


「凛太郎さんいいなー。天上の世界の人はモテるなー」


 正太郎が冷やかす感じに場をもり立てさこは顔を赤くしているが、凛太郎は昨日の出来事があるので緊急連絡のためだと分かった。


「正太郎うるさいぞ。分かった返事は携帯でな、じゃあ」


 それでも一応正太郎に突っ込み四人と別れた凛太郎であった。


  数時間、凛太郎は天上の世界に戻り総長である大神千造に会っていた。和一と千春もいる。


「成功したようじゃの。伊岐凛太郎」


「はい、なんとか」


 凛太郎は大神総長にペンダントを渡した。


「では、成功したお前に褒美をやろう」


 大神総長が話そうとすると話を遮り、凛太郎はあるお願いを話し始めた。


「総長、僕は今まで伊岐一族の復興だけ考えてきましたが、豊と会って考えが変わりました。僕みたいに苦しんでいる一族を助け仲間にしたいんです。夜見の世界の人を単純に地平の世界に戻すだけでは、僕みたいな人が増えるだけだと思います」


 真剣に話す凛太郎に大神総長は笑う。凛太郎はなぜ笑われているのか分からずただ驚いていた。


「叔父上の言う通りですね。豊に会わせたら凛太郎はワシにこう言うだろうと言われたお言葉そのままです」


「どう言うことですか?説明してください」


「急に笑ってすまんのう。説明はワシからしよう。お前には広く世界を見てほしかった。悲しいのは自分だけではないと言うことを分かってほしかったからな。思った通りお前は広い心を持ち貧しい人を助けようと思った。ワシの思った通りじゃ」


「ということはどういうことですか?」


「お前の願いを叶えてやろう。天上の世界に作られた一族の枠を越えた魔族連合の一員にお前もなってもらう!」


「え!あ、ありがとうございます!えっーと、前にも聞きましたけど……魔族連合って何てすか?」


 前にずっこける大神総長に和一が「ゴホン」と咳をし、魔族連合の説明をし始めた。


「魔族連合とは一族の枠を超えた集団で、大神一族とともに住み、世界を良くするための任務を遂行する。世界から尊敬される集団でもあり、どの職業よりも信頼がある。そんな名誉ある魔族連合に総長はお前を入れてやろうというのだ」


「そこに入れば貧しい人を救えるんですか」


「そうじゃ、お前に力があればの話じゃがな。頑張れるか」


「はい頑張ります!千春と楓もですか?」


「千春も魔族連合の一員だ。楓はある試験があり、地平の世界に戻っておる。機会があれば直に会える」


「そうですか。じゃ、俺はここで頑張ります」


 凛太郎は夢が見つかり、その夢を叶えられる魔族連合に入れる権利を与えられ人生でこれ以上ない幸せを感じた。


最後かけ足ぎみ...。

いったん終了です!

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