15話 ホテルで団らん
凛太郎は食事を済ませ自室のベッドで天井を見ながらボーとしていると、ノックの音が聞こえ開けると豊が立っていた。
「凛太郎さん、お疲れ様です。ちょっと僕の部屋に来てもらって良いですか?」
凛太郎は断る理由もないので豊の部屋にいくと第一ゲームをクリアした三人が楽しそうに話していた。
「初めて見たけど可愛い女の子だ。だから竜宮一族は地平最大の人気歓楽街なんだね」
正太郎は水奈を見て鼻を伸ばしている。
「アフロくんエロいよー。もう少し大人になったら私が相手してあげるから」
その言葉に正太郎は顔を真っ赤にしてベットの掛け布団を思いっきり抱き締めてゴロゴロする。
「水奈ちゃん、エロい目で見られているんだよ。嫌じゃないの?」
「さこちゃんも今の会話わかるんだ。意外とおませさんね」
「そ、そんなことないよ。水奈ちゃんのイジワルー」
水奈をポコポコと叩く竹さこ。
その様子に困惑した凛太郎は豊を見て説明を求めた。
「豊さん、実は僕たちは前から知り合いの友達なんです。まぁ、会うのは初めてなんですけどね」
「初めてなのに友達?」
「そうですけど、凛太郎さんはいませんか。ネットで知り合った友達は?」
「いないな。俺は意外とアナログだからな」
携帯を触ったこともないとバカにされそうなのでかっこつける凛太郎。
「そうなんですか。僕たちはアナログじゃないんでここに集まってんですけどね」
「そこで突っ立ってないでこっちにきて話しようよ」
さこが手を降りながら二人にいうと、二人は部屋に入り五人で輪になって座り豊が話し始めた。
「凛太郎さん、この三人が新しい僕の仲間です。新しい佐渡一族を一緒に作ってくれる」
「命を大切にする一族か。三人も反一族の一族出身なのか?」
三人は首を横にふり、豊の提案で竹取さこから自己紹介を始める。
「天上の世界の人と会うのは初めてだから緊張しちゃうなー。えっと、私は竹取さこ、十五才です。……うーんなんか質問してください。その方が答えやすいです」
凛太郎は少し考えて質問する。
「じゃ、竹取一族ってどんな一族なの?」
「うーんとですね。竹取一族は書物では月一族の次に古くから存在している一族です。それなりの地位で過ごしたけど月一族と昔何かあって決別したらしいです」
「そうなんだ。で、竹取はそんな一族に嫌気がさしたの?」
「そんなことないです、一族は大好き。だけど、一族は私が要らないみたいです。落ち込んでいるときに師団長のミヤビさんに出会って豊の話を聞いたとき思いきって外に出ようと思ったのです。新しい世界が始まると思って」
「昔は月一族と仲良かったのにどうしてこうなったのかな」
「私に聞かれても分かんないです。このくらいで良いですか?」
「ありがとう、さこ。じゃあ次に水奈お願い」
豊が司会者になり、話を進めていく。
「えーと、竜宮水奈十六才。竜宮一族は大人たちの遊び場でもあるのよ。天上の世界の一族たちも来たりしているから凛太郎のお父さんも来ているかもね」
「え!?」
「冗談、冗談。たまに竜宮一族を馬鹿にする人もいるけど、竜宮一族は弱い一族でこうすることで生き延びたの。それに私も誰の子かわかんないし」
「え!?」
「さっきから驚いてばっかりね。竜宮一族の子じゃ当たり前だから。将来凛太郎さんの隠し子が竜宮一族にいるかもね」
「うーん、かもな。竜宮さんはやっぱりそんなのが嫌で出たいの」
「八割あってます。十八才になるときれいな子は貴族の側室になるんです。嫌だけどみんなは我慢してなるの。貴族の愛人にでもなれば、お金には困らないしもしかしたら結婚もできたら将来は安定で安全に外の世界に行けるから」
「断り続けたらどうなるんだ?」
「下働きで奴隷のように働かせられるわ」
「やっぱりそうか」
「だったら竜宮さんみたいに逃げたらどうなるの?」
「逃げたものは処刑されるんだけど、逃げ切れば大丈夫。私は強いし、人生楽しくいきたいんだ」
そういう水奈の顔は気持ちの良い笑顔だった。その笑顔に四人は不思議と水奈を信用できた。
「最後は正太郎だな」
「観音正太郎、十六歳。職業は賞金稼ぎですね」
「意外と嫌われる職業なんだな。ブーイングからすると」
「そうですね。俺はほとんどの大会で入賞するから嫌う人もいるんですよ。だからブーイングがおきたら僕はそいつらに拍手をするんです。ありがとうの意味を込めてね」
「よくわかんないけど、結構稼いでそうだかなぜ豊の誘いに乗ったんだ?」
「うーん、それは俺も仲間がほしいんですよ。一人になって思ったんですけど、意外と辛いもんだなってね」
「観音一族は正太郎しか残ってないんです。昔は惨殺事件がおきて」
豊が補足すると、少し黙る凛太郎。凛太郎は今まで自分が一番辛いと思っていたが四人の話を聞いていると違うような気もしてきた。四人はそれぞれ違うが同じなのは自分で世界を開きたい、変えたいという気持があると思った。そして最後に一つ質問した。
「みんなは伊岐一族についてどう思っているんだ。裏切りの一族と言われて鎖国の森に閉じ込められている一族について。豊から順にお願いする」
「うーんそうですね。出てきたらいいのにと思いますね。閉じこもっていても何も起きないから。どうせ嫌われているのなら、とことん嫌われたらついてくる人もいるかもしれない。僕の目の前に現れたら仲間に入れますよ」
さこが話を始める。
「みんなから嫌われるのは大変だよ。私家族から嫌われるだけで心苦しいもん。私は応援するよ、頑張れーって」
次に水奈が話を始める。
「安全に生きていけるのならそれでいいじゃない。私なんてここにいなかったらおっさんのオモチャで一生を終わるところだったのよ。マシじゃない」
正太郎が最後に話す。
「一言ですよ。友達になろう。それだけです」
みんなの話を聞いて少し考えた後、凛太郎は再び話し始める。
「そうか、実は伊岐一族についても調べていたんだ。いい答えをもらったよ。話は変わるけど、四人はこの大会にが終わったら一緒に生活していくのか。お金とかどうするんだ」
「一緒に生活していきます。お金はこのペンダントが解決してくれます」
首に掛けていたペンダントを凛太郎に渡す豊。きれいに輝き魔力が充満していた。
「もしかして渡す変わりにお金を要求したのか」
「そうですね。なんに使うかは知らないですけどものすごく欲しがっていたんで交渉できるかなと思って。一族を復旧させるにはお金がかかりますから。そのペンダントがあったから一族を抜ける計画を立てたんですよ」
少し自分もお金を要求しようかと考えた凛太郎だったがその考えはやめて豊からペンダントを貰う。
「凛太郎さんはどうするんですか。もう、目標は達成したから天上の世界に帰るんですか」
正太郎の問いに首を縦に振る凛太郎
「そうだな。目標達成したし帰ろうかな。待ってるやつもいるし」
「もしかして彼女ですか。いいなー私もほしいなー」
「さこちゃん、このアフロでよろしければお相手しますよ」
「いやだーよ」
部屋の中に笑い声が響き渡り、その後小一時間話が続いた。
「ふー楽しかったな」
ベットで仰向けに寝ている凛太郎は豊の部屋の思い出を思いだし少し笑みをこぼしていた。
「よし、部屋の外に出るか。……ふぅ」
凛太郎は部屋を出るときに水奈に「あと三十分したら女子トイレの前にきて」と言われていた。そわそわしながら部屋を出て女子トイレの前にいくと水奈が立っており、凛太郎が近くによると手を握り女子トイレの個室に連れていく。凛太郎は心臓がバクバクしていた。便器に座らされると、水奈は顔を近づける。
キスを期待した凛太郎だかー
「あなた、伊岐凛太郎さんよね」
「え……」
瞳孔が開いた凛太郎だった。




