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12話 真実

「面白いものを見たのう」


 老人の声が上空から聞こえ、意識のある三人は上空を見ると大きな魔法鳥に乗った老人と青年がおり、数秒後、三人の前に降り立った。老人と青年の顔が分かると楓は緊張した表情になった。


「大神総長と和一さん。どうしてここに?全然気づきませんでした」


 楓の言葉を聞いて凛太郎は驚いて喋る。


「大神ってまさか世界を収めている大神一族か?」


 大神一族は天上の世界に住み世界全体を仕切っている一族である。地平の世界では月一族とその側近一族くらいしか会えない存在である。凛太郎と千春は話には聞いていて、自分たちでは凛太郎底会える人物ではないと思っていたが目の前にいることに対して不思議な感覚になった。


「どうしてここにいるのですか」


 楓は気になっていた。自分が殺されるから来たのか、また違う理由で来たのかが知りたかった。


「理由はじゃな、伊岐と伊美の者に会いたかったからでの」


「凛太郎たちに会いたかったってどういうことですか!?」


「ちと会話を端折ると、伊岐たちは天上の世界に必要だと分かったんじゃな。ワシについてきてくれるかね。和一、お前は倒れている者たちを医務室に運んでやれ」


「はい、わかりました」


 和一は魔法鳥を出して松則と三四郎を医務室に運びに行った。見送ると大神総長も四人乗り魔法鳥を出して飛び乗る。三人に向けて手招きをするが楓が動かない。


「楓もこい。お前にも関係してくる話じゃ」


「はい。しかし、僕たちが負けて死んでいたらどうするつもりだったんですか?」


 聞くと少し笑い、白く長いあごひげを触りながら大神総長は言う。


「死んでしまったらそれまでのことじゃ」


 目つきは本気で、それは三人ともが感じた。三人は魔法鳥に乗り移動を開始する。


「ついて行ったら何が分かるのですか?」


「お前たちの一族の話をしてやる。それに魔物の正体、お前たちの身に付けている首飾りのことでも話しがあってな」


「そうですか」


数分後、三人は何か大きな建物があったであろう跡地に降りた。周りも草木が生えていて手入れはされていなかった。


「そういえば、ワシの名前をいっていなかったな。ワシは大神千造という。総長という役職もしている」


「あのー」


 凛太郎が控えめに手を挙げて質問した。


「魔族連合ってなんですか?」


 この質問に千造は間を開けてしまったが明るく話し始めた。


「まあ、この世界で一番偉い組織と今は覚えとけばよい。今はな」


「そうですか。まあ、バカだしそうすることにします」


 ぎこちない敬語で凛太郎は返した。


「では話したいことを話すぞ。まずはあの魔物たちの正体から話そう。あいつらは夜見の世界から生まれた人の魂だ。夜見の世界にいるものが死ぬと魂が抜けて、具現化し襲ってくるのだ」


 三人は答えを聞くと怖くなり、後悔の心情も出てきた。


「やっぱり私たちは人の魂を切っていたのですか」


「やっぱり?という事は薄々気づいていたのか……そう落ち込むことはない。死者の魂は成仏させなければならない。夜見の世界でさまよっているほうがかわいそうである」


「なんで夜見の世界と決めつけているのですか。地平の世界にも出るのに?」


「それはの夜見にの世界は不思議な力があるからじゃ。その力で魔物になるのを知ったワシたちは夜見の世界にいる魔法使いを地平の世界に移す作業をしている。理由は話していないがほとんどは地平の世界に来るが、拒むやつもいる。犯罪者として夜見の世界に送られ、そこで生活する分には問題ないが地平の世界に来ると刑務所行きじゃからな、そいつらは死んでからのことより今の自由がいいのじゃろう」


 その話を聞いて千春はハッとした顔をしてこう言った。


「人が消えたり、悪さをする奴が消えたりしたのはそういうことだったのですね」


「でも、それを月一族は許したのですか。許してもほかの地平の一族が許すとは思えない」


「それは大人の交渉で何とか交渉がまとまった。楓、お前にも恩恵があっただろう(今回の件も昔なら許さなかったがな)」


「それ以上は言えないってことですね。でも人を移して夜見の世界をどうするんですか?」


 少し間をあけた後、千造は生えているひげを触り言う。


「夜見の世界を封印するのじゃ。夜見の世界は元々存在しない世界で、ない方がいいのじゃ」


「もともと存在しない世界?」


「そうじゃ。そして、その場所を作ったのは、千春、お前の伊美一族の先祖じゃ」


「え……」


 びっくりする三人に対して千造は早く話したいのかリアクションも待たずに話を続けていく。


「これは歴史を知っている方が分かりやすい、と言っても断片的だがな。元々この三つの世界を作ったのは五つの一族なんじゃ。それは、大神、月、伊岐、伊美、佐渡一族」


 大神は千造の一族、月は楓の一族、伊岐は凛太郎の一族、伊美は千春の一族である。


「僕たちの一族が国づくりを?」


 質問して理解している楓に対して、二人はボケーとした顔をし始めて理解していないようだった。


「そうじゃ。どういう経緯で作ったかは知らんがそれは、歴史に書いてある」


「それが夜見の世界と伊美一族の関係があるのですか?」


 千春は伊美と言う言葉に反応してより真剣に千造の会話を聞こうとしていた。しかし、人の話をこうも長く聞くことは初めてなので疲れはじめていた。凛太郎も同じである。


「歴史ではこう知れされている。伊美と伊岐の決別からこの世は戦争になった。伊美は死者を使ってまで戦争に勝とうとして夜見の世界を作ったということじゃ。これが今でも伊美一族が嫌われている理由なのじゃ。多分学校で習っているのとは、少し違っていそうじゃがな」


 楓は頷いき、質問する。


「伊岐一族はどうしてですか?」


 今度は凛太郎が真剣な表情をした。


「伊岐一族は戦争から逃げたようじゃ。これが裏切りの一族として今も言われておる。分かったかな?」


 楓はすんなり頭に入ったようだが、後の二人はうーんと言って頭を抱えていた。


「ハハ、まあ良い。歴史はあとで勉強してもらって、本当に大事な夜見を封印する話に戻るのじゃが、それには五つの一族が持っている首飾りが必要になってくるんじゃ」


「これがそんな貴重な品とは」


「楓にも渡しておこう。封印にはこの首飾りに月一族の魔力が満たされないといけないからな」

 そう言うと千造は首飾りを出して楓に渡した。


「なんで持っているのですか」


「ワシが昔、三四郎に頼んだのじゃ。封印の事は黙ってな。残るは佐渡一族の首飾りじゃがそれは凛太郎に佐渡一族と合流して取ってきてもらう」


「え!どうやってですか」


「まーそれは明日まで待っておれい。一気に話すと混乱するからのう。で、どうするんじゃ。封印の手伝いをしてくれるか」


 三人は悩まず「はい」と答えた。自分たちの先祖がしたことは自分たちでけりをつけたかったからである。


「そうか、良かった」


 嬉しそうにいう千造だった。


「でも、明日って、俺たちここにいないんじゃ……」


「お前たちはこの天上の世界でしばらく過ごしてもらうぞ」


「え!?」


「正確には楓はワシの家に来てもらい、伊岐たちにはホテルでしばらく過ごしてもらう」


「何ですかその格差は」


 質問ではなくツッコミをした凛太郎。そのツッコミに千造は間をおいてこういった。


「厳重にワシの敷地は警備されているからのー、すぐにお前たちを呼ぶのはいろいろと手続きがな」


「もしかして面倒くさいだけなんじゃ…」


「ホホ、そんな事はないぞ。無駄話をしている暇はない、行くぞ三人とも」


「は、はい!」


三人は千造について行き、天上の世界で新しい生活が始まる。凛太郎にとっては自分の立場が大きく代わる佐渡一族についての任務を完璧に遂行し皆から尊敬される伊岐一族にしたいと強く思った。

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