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11話 凛太郎VS倉蔵

「お前みたいなおっさん直ぐに倒してやるからな(と言ってもあと少し待たないといけないけど)」


 その発言は威勢が良いのは伝わるが心の中では現実的である。そしてすぐに手を合わせて魔法を発動する凛太郎。一度魔力を纏わせていればすぐに魔法は発動できる。


「木術、一の木柱」


 そう言うと同時に木刀を抜き、中年男の方に走っていく。


「おっさんではない、倉蔵という。戦いは楽しいなー小僧」


 倉蔵は不思議に思っていた。凛太郎は確かに魔法を発動したがその木の魔法が現れないのだ。そうは思っていても凛太郎は倉蔵に近づいてくる。警戒しながらも凛太郎の攻撃に刀を構え備える。だが次の週間―――


「お!? なんだ」


 倉蔵の左足の裏から木の棒が現れて倉蔵は躓くように体勢を崩した。


「すきあり!」


 凛太郎は計ったように魔力を覆った木刀を振り落した。だが倉蔵はにやりと笑い凛太郎を見る。


「足をくじかれたくらいでくらうと思ったか」


 凛太郎の攻撃を刀で受けとめ、刀どうしがギシギシとぶつかり合う。二人は一瞬にらみ合い再び離れた。


「さすがにこんな小手先の技は聞かないか。安心した」


「小僧、さっきより口が悪くなったな。まあいい、その口から叫びこえが余計に聞きたくなったぞ」


 倉蔵は不敵な笑みを浮かべた。その笑みを見た凛太郎は不気味に思い早くこいつとの戦いを終わらせたいと思うほどだったがそれはできなかった。なぜなら凛太郎は水を待っているからである。水がないと勝てないと感じていた。だが倉蔵は待ってはくれず、次は倉蔵のほうから攻撃を仕掛けて来る。倉蔵の刀が火に包まれる


「火術・火流し」


 刀を横に振るとその刀から火の玉が凛太郎めがけて3つ飛んできた。以外にもスピードが速く凛太郎は避けることで精いっぱいだった。もう少し遅い攻撃だったら木の壁でも作られたが今の凛太郎の発動時間では無理だった。


「アツ!服が燃えたじゃなえか。これ二着しかねえんだぞ」


「これくらいの技をくらっていたらレベルが知れるなぁ」


「うるせぇ。別にいま俺はお前を倒そうとはしていないんだよ。もうちょっと後で倒してやるから!」


 倉蔵は最初「何言っているんだ? 小僧は」と思ったがあることを思い出した。


「もしかしてお前水を待っているのか? 火に水は普通だが魔法の火にただの水は効かんぞ。ハハハハ!」


 笑いながら言う倉蔵に凛太郎は魔法を出す。


「木術・木の棺桶」


 倉蔵の背後から木の棺桶が出現して倉蔵を閉じ込めようとする。だがそう簡単にはいかない。


「そんな時間稼ぎは無駄だ、小僧」


 棺桶をすぐに焼き切った倉蔵。倉蔵はいたぶるのは好きだがいたぶられるのは好きではない。


「やっぱり無理か……」


「別にお前が時間稼ぎしなくていい」


「なに!?」


「俺はいたぶりながら殺すのが好きなんでね」


「頭のおかしい奴だな。俺にその感覚は分からないな」


「分からなくて結構。火術・中の火柱」


 倉蔵が刀を横に一度振ると8メートルの火柱が凛太郎を囲った。凛太郎の半径2メートルからなる8メートルの火柱は凛太郎を動けなくした。


「どうだ、熱いだろ、熱いだろ、熱いだろ」


 その声は凛太郎の耳には上から聞こえ、凛太郎は顔を上げる。そこには鉄の見張り台から凛太郎を覗く倉蔵がいた。その口元からはよだれが垂れてなぜか興奮しているようだった。



「見張り台をそんな使い方があるとは知らなかった。それにおっさん気持ち悪いぞ」


「俺様が考えた方法だ。最初は魔鳥に乗っていたがこっちの方が安定しているからな」


「ドSやろうかよ。でもこのくらいの火の力なら魔力を薄く纏っていれば大丈夫だよ。汗は出るけど」


「それならいい。このくらいで騒いでいては面白くないからな。ではこれはどうかな?」


 倉蔵は中指だけをクイッと曲げた。すると火柱の一部がぐつぐつと音を出して動き出す。その音は凛太郎の後ろから聞こえ、凛太郎は振り向くとその音の所から火の玉が飛び出してきた。その火の球は凛太郎の背中に直撃した。


「なんだよもう」


「火の玉だ。避けてもいいが2メートルの至近距離では無理かな」


 またクイッとする倉蔵。避けようとしたが避けられずにくらう凛太郎。魔力のおかげもあり、軽く焦げているだけだがダメージはある。


「だったら、こんな火柱出たらいいんだよ」


 凛太郎は火柱から出ようとする。確かに暑いが魔力を纏い出ればそれほどダメージはない。一歩二歩と歩く凛太郎。その様子を見て倉蔵はだんだんとニヤケ口から唾がたれていた。それに気づいた道長が叫ぶ。


「出るなー!」


 声が聞こえ凛太郎は止まる。


「でるなよ、凛太郎。出たら死ぬ……こいつは罠だ。この火柱から出るとお前に首が切られるぞ。火から出る時はどうしても目を閉じてしまう。その時をこいつは逃がさねえ」


 それを聞くと凛太郎はまた中心に戻った。額には暑さで出た汗とは違う汗が出ていた。


「うるさいなお前は。少し黙っていろ」


 人の首が切られるところに興奮する異常な男の倉蔵はその発言が許せず、火の球を道長にぶつけ着火させた。


「ぐあああああああ!!!」


 悶え苦しむ道長。火は10秒で消えたが服は焼け火傷をしていた。


「やめろー!」


「そこまで騒がなくともやめるぞ、俺は一度では殺さない。じっくりとやるからな」


 涎を拭き、満足げな顔をする倉蔵である。


「戦っているのは俺だ。俺とバトルしろ」


「ほほう、ならよし。褒美に火の玉をくれてやろう。10発だ」


(くらうものか)


 全神経を集中して何とかかする程度のダメージで済ませていた凛太郎だが、避け終わるとあることに気づく。


「火の柱が近づいている!?」


「そうだ火柱は近づいているぞ。ちょっとずつ、ちょっとずつ。どうする小僧」


「……。ならこれしかないな」


 これしかないと言ったこれしかない方法はいたって単純なものだった。


「魔力を増やす。やはりそう来たか、大体そうだよな。魔力を増して防御力を上げる。だがそれはいつまでもつかな」


「さあね」


「お前ごろの年齢だと20分くらいか。まあいい魔力がない方がよく燃える」


(20分妥当なところだ。それにしても厄介な技だぜ。でも、水が来たら一気に仕留めてやる。急いでくれ千春ちゃん)


 額に大量の汗をかきながら千春の帰りを待ち望んでいる凛太郎であった。


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