好きな理由
「皆見てたね、そんなに私と恭介が手繋いでた事が珍しかったのかな?」
登校していた時の事を思い出しているらしいが俺は思い出したくもない。前にもちらっと言ったがさやかのファンの先輩に講義の後呼び出されてほんとに付き合ってないんだな?って何回言われたかわからない。なんか俺に許可取らなきゃ付き合わせねーからな、とか言われたけど大丈夫かな俺……
「まぁそりゃ珍しいっていうよりは?ってなるだろね。今まで付き合ってないって言ってきていきなりだからね。多分さやかも友達から何か言われるんじゃねーか?」
「別に私は気にしないもん、それじゃ1限目の教室行こ!ダーリン!」
「ダーリンはやめてくれ……」
俺とさやかは一限の教室に入ったのは良かったのだが……
「さやか!!ついに恭介君に告白したんだね!おめでとう!!話聞かせてよ!」
「おい加藤!!!てめぇ抜け駆けしてんじゃねーぞ!!」
さやかと俺は数秒のうちに色々な生徒に囲まれ身動きがとれなくなってしまった。やっぱりそれだけ大学のミスコン優勝者ともなると彼氏が出来ただけでこれだもん。マジでこえーよ。
「逃げよ恭介!」
「え!?おいちょっと!」
俺はさやかに手を引かれ大学から逃げ出した。2日連続サボリは流石にまずいんじゃ……
結局手を引かれるがまま俺の家へと戻ってきてしまった。さよなら俺の単位……
「あーびっくりしたね、そんなに私達が付き合ったらおかしいかな?」
おかしいとかじゃなくて皆お前の事を気にしてるんだよ……学園のアイドルが誰と付き合ってるのか気になったんだろ。まぁそーだよな。釣り合ってるわけがないわ俺みたいなのと……ほんと何で俺みたいなやつ好きになったんだろ。いい機会だし聞いてみるか。
「なぁさやか、ひとつ聞いてもいいか?」
「ん?なに?」
「どうして俺みたいなやつのこと好きになってくれたんだ?」
それを言った瞬間さやかの顔が赤らめるのが分かった。そりゃ好きな人に好きな理由とか話すのなんて恥ずかしすぎて死ねるよな。
「うーんとね、ほんと単純なんだけどさ。恭介って最初の頃人を寄せ付けなかったじゃない?初めは家が近かったし喋る友達もいないから手っ取り早く近くの子と友達になろって近付いたの。それでも恭介ずっと無視するんだもんあの時はほんと困ったよ。あ、ごめん話がそれたね。でも私の恭介の見る目が変わった時があったの。小学3年生の時ミーナちゃんってハーフの女の子いたの覚えてない?やっぱりあの頃って金髪が珍しいから皆でからかってたじゃん。私は参加してないけどね。それでミーナちゃん結構落ち込んでた時にあんたがこう言ったのよ。『別にからかってるやつなんて気にすんなよ。普通にその髪綺麗だと思うぜ』って。そんな事も言えるやつだったんだって見直したの。それからも他の人が落ち込んでたりしたら声掛けてたでしょ?そういう所がいいなぁって思ったの。まぁなんでそういうのをもっとコミュ力に活かして友達作らないかなぁ…とは思うけどね」
ミーナちゃんねぇ……そういやそんな子いたなぁ。小学3年の時に転校してきて周りが黒髪で1人だけ金髪だから浮いちゃってからかいってよりいじめだったなありゃ。小学生って加減を知らないから言いたいこと言うから相手の気持ちとかほんと考えないもんな。流石に可哀想に見えて声掛けに行ったっけな……さやかに見られてるとは思わなかったけど。
「あーそうだったんだ。コミュ力に活かせてたらもうちょっとまともな性格だったかもな」
「まぁ、恭介は恭介のままでいいよ。変に飾ると気持ち悪くなる未来しか見えないし」
「なんだそりゃ……」
「まぁともかくそういうことだから!私も言ったんだから恭介も教えてよ、私じゃなくていいから藤堂さやかの好きなとこでいいよ」
「さやか様の好きなとこなら喜んで。まず外見でしょ?ニーソ好きにはたまらない黒ニーソに短いスカート。あのスカート丈考えたさやかはマジで最高だよ。足をこっちに投げ出して好きにしていいわよ?って言う時もギリギリ見えないんだもん。何回見ようとしたかわかんないよ。それと控えめな胸。完全に個人的な趣味だけどスレンダーって最高だと思うんだよね。ボディバランスが素晴らしいって言うかスラーっとしてていいよね。何回その控えめな胸を妄想で揉みしだいて怒られて罵られたかわかんないし。後は内面ね。1件ただのわがまま女王様だけど実は優しいよね?女王様に忠誠TIMEだって悩みある人優先してたしキツさの中にもすんごい優しさ感じてめちゃくちゃいいなぁって思った。まぁ結局さやか様の何が1番好きって言ったら人を蔑んで罵ってる時の声が1番好きなんだけどね。あれ?さやか、なんで顔真っ赤なの?」
「あんた言ってて恥ずかしくならないの!?まぁそこまで思ってくれてるなら私もさやか様演じてたかいあったかな」
「もうさやかには俺の恥ずかしいことなんてたくさん見られてるしなんとも思わないよ」
だって全部見られてるし……
「まぁそれもそっか。それでまだ私の事好きになってくれないの?」
上目遣いで見てくるさやか。計算してやってるんだろうけどやっぱり破壊力つえーわ……
「前より意識してるのは確かだよ。その、お風呂場の時とかでマジでやばかったし……好きな人とじゃなきゃやらないって思ってたのに手出しそうになってその後考えてみたら好きなのかな……って」
「じゃあもう一度同じシチュエーション作ってみよっか。それでわかるでしょ?」
「え?」
「ほらほらお風呂沸かしてきてよ」
「いやいや流石にやめとこうぜ?」
多分ストッパーがいなかったらあの時も完全にやってたし……
「うるさい!私のワンチャンでしょ!早くお風呂沸かしてきなさい!」
「ワンワン!!『了解しました!』」
またかよ……それはずるいんじゃないんですかさやかさん……
「今度こそチェックメイドだよ恭介」
俺はさやかの満面の笑みに苦笑いを返すことしか出来なかった。