表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虚空  作者: Nagare〆
序章
6/7

黒い塊

あなたは、だぁれ?


私達夫婦の退屈な行為を遠くから

眺めている人がいる。

ぼんやりとした黒い煙みたいな塊は、

多分『人』だと思うの。


そして、きっと男性。


ここには、私達夫婦以外、

誰も入れないはずなのに

どうやってここへ来たんだろう。


まぁ、そもそも、ここは、

家じゃないのかもしれないけれど。


やってる行為は同じなのに、

場所がコロコロ変わるってことは、

きっと、ここは、夢の中。


勘弁してよ。

夢の中くらいは、自由でいさせて。


どうして夢の中まで、

あの『男』といなければならないの?


『結婚』に『愛』や『恋』など必要ない。


必要なのは、『契約』だけ。


あなたは、ワタシの雇い主。

ワタシは、あなたのお手伝いさん。


ただ、『結婚』をしてしまった以上、

このつまらない行為も義務となる。

こんな疲れるだけの退屈な行為の、

一体、何がいいんだか。


黒い塊は、どんどん私達に近づいてきて、

私達夫婦の行為をじっと眺めている。


何か嫌だな。見ないでよ。


こんな間抜けな姿、

人に見られるなんて夢の中でも勘弁して。


私の気持ちなど全く無視で、

黒い塊は、どんどん近づいてくる。


来ないで!ワタシを見ないでよ!


心の中で強く叫んでいるのに、

心の声は、音にならない。


来ないで!ワタシを養って見ないで!

これ以上、近づかないで!


どんなに叫んでも、黒い塊には届かない。


ワタシは、声にならない思いを、

何とか黒い塊にと届けたくて、

夫に抱かれながら、その塊をにらみつけた。



一体、あなたは誰なの?


どうして泣いているの?








評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ