イベント会場の攻防 その2
短めですが。
『次はエントリーNo.31~40番の方です!おっと今回は水属性の青のコスプレでまとまってますね!みなさん優雅な造りになってます!衣装のどの辺りが一番苦労されましたか?』
『えーっとこのヒラヒラした感じに癒し系の・・・』
ステージ上では司会のお姉さんと、レイヤーさん達の絡みが続いている。
ちなみに水属性の青とか言われてるけど、実は蒼流フォームっていう格好いい(?)呼び名が付いてるんだけど、オフィシャルで言ったわけじゃないからお姉さんが知らなくてもしょうがない。
沢山のエントリーのために10人ずつ出てその中から一番いい出来の人が次の段階に上がって、最終審査になるっぽい。
薫子ちゃんの説明だと、一次審査は写真と動画の申し込みで、その審査時に属性ごとの組分けとかがされてるみたい。
数字は1の位後ろにいくほど出来のいい人っぽい感じらしいので、100番という数字を貰った薫子ちゃんはいい出来がいいってことになるね。
ちなみに今回は39番のレイヤーさんが残ったみたい。
「ううーまだまだ薫子の番まであるねー、こっちがドキドキしてきちゃったよぅー」
「ふふー、そだねー今のうちにトイレとかしてきたら?」
「なっ!べっ別にトイレ行きたくてモジモジしてたわけじゃないもん!ヒカルちゃんのえっち!」
「な!えっちって言われたー、人の胸触って喜ぶ子にえっちって言われたよ?ねえ優。トイレの心配してあげるのと胸さわるのどっちがえっちだと思う?」
ボクは左隣でボクと友里のやり取りを、微笑ましく見ている優に流し目をする。
「うーん、胸を触って喜ぶ子もえっちだけど、公衆の真っ只中で私に流し目をしてくるヒカルちゃんもえっちだと思うわよ?」
「「二人ともえっち認定された!!」」
「うふふ、いいじゃないえっちで。友里はちょっと触りすぎだと思うけど」
「だよねー、自分にだって立派なの付いてるんだからさ」
「バカだなぁ、ヒカルちゃんのだからいいんじゃない」
「いやいやいや、そんなさも当然みたいに言ってもダメだよ?」
「・・・ッチ」
「優ー友里が舌打ちしたよぉー」
「うふふ、仲いいわねー周りの人から生暖かい目で見られてるわよ、二人とも」
ハッとして周りを見ると、まるで小動物のじゃれあいでも見てるかのような目で見守られてた!はずかしぃ・・・。
ん?なんか観客たちがざわつき始めたけどどしたんだろ?
『さあ、80番台に突入ですがここからは少しバラバラな装いとなってきました!!紫と金色の今回のイベントではレアなフォームのコスプレとなります』
ステージの上には今までのふんわりした衣装と違って、甲冑姿のレイヤーさんたちが並んでいる。
中にはホンとに金属の素材で作ってる人もいて、質感も本物みたいに出来てる人もいる。
特にみんなの注目を集めているのは90番の竜騎士らしく、ボクの目から見ても本物なんじゃない?と思うほど。
あの滑らかな質感とか金属と生物が融合したようなフォルム、よくPVに映ったあの一瞬だけであそこまで再現できたと思うよ。
多分優勝候補なんじゃないかなぁ?
『みんなの注目を集めてる90番さん!スゴいですね!継ぎ目とか全然見当たりませんけど、作るの苦労したんじゃないですか?』
『そうネ、確か二苦労したかもしれナイワ』
『ですよね!材質は一体何で出来てるんです?』
『一応アルミニウムのインゴットから造ってタわ。私ハ本当はチタンとかソウ言うのがよかっタのだけど』
『造ってたと言うことは製作者さんは別ってことですか?』
『そうネ、まあ姉みたイな存在カシラ?』
『ちなみにそのお姉さんは今回来てるんですか?』
『イイエ、今回は内緒で来てるカラ・・・』
『そうですかー、是非とも製作者さんにも出てほしかったんですが、内緒ならば仕方ない!ありがとうございましたー』
「・・・ねえエレス?」
『なんでしょうか、ご主人様』
「あれさ・・ルディアじゃないの?」
『どれですか?』
「あの竜騎士。ボクが撮影終わった後にルディアに合わせて、真理ちゃんにインゴット貰って造ったやつじゃない?」
『そう言えばあのしゃべり方とか声質が一致しますね、呼び掛けてみますか?』
「いや・・・いいよ、なんか面倒な事になりそうだし」
『ですね、面倒事の匂いしかしませんね』
ホンとにいつもどうやって密入国してるんだろう・・・
いよいよ次は薫子ちゃんの出番だけど、だいじょうぶかなぁ・・・なんだかちょっぴり不安になってきたよぅ・・・