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閑話休題 ある日の徳田家(観賞会)

だいぶ空いちゃいましたスミマセン。

 ピンポーン


 徳田家のリビングにチャイムの音が来客を知らせる。


「はーい」


 優がエプロンで手を拭きつつインターホンに答える。


『こんにちわ、田所です』


 モニターには眼鏡が似合うスーツ姿の防衛隊の紅一点、田所 真理が映っていた。


「真理さーん、待ってたよーぅ」


 それを聞いていた娘の友里が玄関にお迎えにいく。


 しばらくすると、友里に背中を押されつつ真理がリビングに現れる。


「お邪魔します」


「はい、いらっしゃい」


「真理ちゃんお疲れさまー」


 優と、その夫である美少女・・・)のヒカルが微笑んで迎える。


「真理さん!例のブツは?早く見ましょうよ!」


「ふふ、わかってます。慌てないでください」


 そう言いながら手提げのバックからケースに入ったディスクを取り出す。

 ディスクのケースには「守護天使PV完成品コピー」とマジックで書かれていた。


「いま飲み物とお菓子用意するから、ソファーの方にいっててねー」


「「「はーい」」」


 三人の娘たちは声を揃えてテレビの前にあるソファーに移動する。

 友里は真理からディスクを預かり、テレビの下の部分にあるオープンボタンを押す。

 テレビに内蔵されてるプレーヤーの受け皿が出てくるので、そこに預かったディスクをセットしもう一度ボタンを押すと、スルスルと受け皿が収納され『シュイィィン』とディスクが回転する小さな音が聞こえる。


「みんな紅茶でいいわよねー」


「いいよー」「だいじょぶー」「あ、ありがとうございます」


 そして、みんなが席に座ったところで、友里がリモコンのプレイボタンを押す。


「ワクワクするねー、真理さんはもう見たの」


「いえ、私もみなさんと見たかったので、ちゃんとした完成品を見るのはこれが初めてですよ。一応途中のシーンとかは確認の為見てはいますが」


「確認?なんの?」


 ヒカルがキョトンとした表情で聞く。


「いろいろな肖像権的なものですよ。ヒカルちゃんは問題ないんですけど、ルディアさんの方は結構ギリギリな部分が多いので、危なさそうな部分をアニメ会社なんかに一応見せて許可を得たりしてたので」


「あーごめんねー結構苦労かけちゃったんだねー。この埋め合わせはまた今度するよ」


「いえいえ、このPV見たらきっとそんな苦労も報われるので大丈夫ですよ」


 そう言って真理はにっこりと微笑む。


 ちなみに、苦労のもとのルディアはすでに本国に帰っているのでここにはいない。


 テレビの画面には注意事項やなんやらが浮かび上がって、そのあとにこんな文句が流れていた。


『このPVに関してはCGや、ワイヤーアクション、特殊メイクなど一切使われておりません。守護者たちの協力を得て撮影されてることを、最初にお知らせしておきます。しかし私はこの奇跡のような映像を撮影出来たことを心から感謝します。プロデューサー 犬養 勝』


「犬養くんったら・・・」


 真理が呟いた。


「あ、始まるみたいだよ」


 画面が暗転して二人の少女が背中合わせで登場する。暗転してシルエットに変わると、タイトルが浮かび上がる。

守護姉妹がーでぃあんしすたーず


「なんかここだけ見ると、中国かなんかの映画の始まり方みたいだね」


 ヒカルが照れたように笑って言うと真理が答える。


「この辺りは演出的にワザとローテクっぽくしたらしいですよ?」


「なるほどねー」


 でもそこからのクオリティーはスゴいとしかいいようの無い映像の連続だった。

 見てる間誰も喋ることなく食い入るように画面に釘付けである。

 戦闘機の踊るような絡み合いや、流れるような変形シーン、さらには調子に乗ったルディアが他の四機の戦闘機と合体までしていた。

 それだけでもとても現実のものとは思えない映像だが、実際にこれはCGや合成などの技術介入が一切されていない。

 さらにシーンが大きく変わり、今度は一人の美少女が登場する。

 その少女が次々と色や姿を変え、舞い踊っている。舞い躍る彼女の周りを、様々な自然現象も躍り狂う。

 少女の姿がブレたかと思うと、装甲がその身を包み込みさらには赤、青、緑、金の四色四体の少女に分かれた。

 約10秒程四体の少女がシンクロして踊ったあと、今度は1ヶ所に集まり重なるようにすると、紫の竜騎士が現れて画面を白く埋め尽くすような稲光が迸る。

 

 そんな、現実では再現不可能な映像が約五分、アニメソングとゲームのオープニングを合わせたような軽快な音楽と某有名なアニソン歌手の歌声をBGMにして繰り広げられた。


 終わっても誰も何も喋らない。


 余韻を楽しむような、あまりの映像の凄さに何も言えないような、そんな空気が流れている。


「い、いやぁーなんかすごいねー映像で編集されると」


 口火を切ったのは映像に出てた張本人のヒカルだった。


「現場で見てるのと全然違ったね!スゴかった!!」


 興奮したように友里も続く。


「はぁーなんかウチのヒカルちゃんって改めて凄いのねぇ」


 優がなんだか熱っぽく艶っぽくいう、ヒカルがちょっとだけ身震いする。


「いや、これは本当に凄いですよ、売り出したらとんでもない話題作になると思いますよ。確実です。見てください鳥肌が立ちまくりですよ。こんなの、エウ○カの最後の方以来ですよ」


 クールそうな真理ですらやや興奮気味だった。


「だけど、ルディアもかなりはっちゃけてたねぇ」


「合体とかしてたもんねー」


「あの時はしてなかったわよね?」


「なんか、ヒカルちゃんの分身を見て悔しかったらしくて、別撮りで撮ったみたいですよ?あのシーンだけ」


「よくパイロットたちがおっけーしたよね」


「あとで聞いたらもう二度とやりたくないって言ってましたよ。ゲッ○ーマシンとか、合体ロボットに、乗ってるパイロットはキチ○イじゃなきゃなれないって」


「ああ・・・トラウマになんなきゃいいけどね・・・」



 そんななんとも言えない微妙な事情を聞いて、遠くにいるルディアのどや顔を思い浮かべるのだった。

別のお話も書き始めました。


「狩人少女はなぜだかモテる!?」

https://ncode.syosetu.com/n5009ei/


こちらはハイファンタジーとなってます。

よろしければ読んでください。

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