ぬこ生超らいぶ♪ その2
ファミレスにつく頃には後部座席の二人も目を擦りつつ起きて、「ここどこー?」などと言っている。
「さっき高速降りてねー、もうこの道真っ直ぐ行けば30分くらいで着く感じかな。とりあえずちょっと早いけどお腹になんか入れとこうか。二人とも食べれそう?」
「わたしはヒカルちゃん一人くらいならペロリといけるよ?」
「私はそんな二人を見てるだけで胸がいっぱいであります」
友里は朝から頭沸いてるのかな?薫子ちゃんは一応止めてね?ボケだらけだとボクがつっこまなきゃいけないからしんどいよ?
「はいはい、二人とも朝から飛ばしすぎると本番のライブで力尽きちゃうわよ?あとねヒカルちゃんは今日ママが一日かけて食べるんだからダメよ?」
妻よ・・・お前もなのか・・・よかった真弓ちゃんがここに来てたらボケが四人になるとこだった。
そんな会話をしつつファミレスに入り、ボクと優は朝セットの和食を、友里と薫子ちゃんはクラブサンドセットとオレンジの生ジュースを頼んで食べた。
「それにしてもみんな結構早くから並ぶのかな?」
と、ボクが聞くと薫子ちゃんが答えてくれた。
「ええ、並ぶ人は多分もう並んでると思われますぞ。まあ開演までには間違いなく入れるのですが、目当ての主さんの側で陣取るのが目的の人もいますからな。私たちみたいにあっちいったりこっちにいったりの見方をする人は、そこまで早く並ばなくてもダイジョブなのですぞ。中にはレイヤーさんなんかも参加してるので、その人たちは用意があるのでさらに後かもしれませんな」
「「「へぇー」」」
なんか結構自由度の高いライブなんだねー。お祭りみたい。
「中でご飯とかあるのかしら?無いなら買っておかないといけないわね」
「それも心配無いのですぞ。軽食販売の店も有りますし、自販機もありますので。まあ大半がそんなご飯とか二の次で見てますからな。それに余りお腹に入れてしまうと当然トイレなんかも行きたくなりますしな」
「じゃあお金だけ渡しとくから適当にやりなさいな」
「うん、わかった。ありがとーママ」
ご飯を食べ終わったボクらは、再び車に乗り込み走ること約30分。
「あ、あれじゃない?ほらほらあの白っぽい建物」
「あーほんとだー、結構おっきいねーじゃああの隣の四角い建物が何個かあるのがコクーンシティだね」
「いやー久しぶりですなー、前は中学校の時だったので誘ってても一緒に来てくれる程のオタ友がいなかったのですが、今回は友里どのがいるのでテンションあげあげですぞ!」
「だねー私は初めてだけど、いっぱい楽しもうねー♪」
「あれだよー真弓ちゃんも来たがってたんだから、なんかお土産的なもの買っておいてあげなよ?」
「わかってるよぅ、来年は三人で来たいなぁ」
「来年はあなたたち受験生なんだけど?」
「「うへぇーそうだったー」でしたなー」
「ふふー、まあ来年の事はとりあえず置いといて、今日はめいいっぱい楽しんできなよ」
「「はぁーい」」
駐車場はコクーンシティの駐車場でなるべくアリーナに近いところに停める。駐車代はお買い物すればその分タダになったりするので、長時間いるならここが一番いいらしい。
友里と薫子ちゃんは、イベント用に二人で購入した服に着替えて、優に髪型をセットしてもらっている。ボクも何故か優が買った黒のロングスカートに、ちょっと某SAO最強二刀流剣士が着そうなコートを着せられ、髪は少し伸ばしてポニテを作られた。
「ボク別にお買い物とかするだけだよね?なんでこんな服に着替えてるの?」
「いいじゃないの。せっかく一日連れて歩くんだから、より可愛く仕上げたいじゃない?」
そう言いながら自分もちょっとカッコイイ感じのパンツルックに着替えている。
「コンセプトは、女司令と、その部下の美少女エージェントみたいな感じかなー」
スチャッと、ちょっとカッコイイ系のグラサンを装備して得意気な顔をしてる。なんで付き添いの方がしっかりした設定のコスプレしてるのさ。
「なんかママたちの方が、参加する人みたいね・・・」
「ほんとですぞ、レイヤーの人って言われても違和感ありませんな。ヒカルどのなんて芸能人と間違われそうですぞ?」
「なんかママたちと練り歩いてた方が面白そうな気がしてきたよ」
「ですなー」
「まあ、それはそれでね。さ、用意できたら並ばなきゃでしょ?行こうか」
「「「はーい」」」
アリーナに向かう渡り廊下を歩いてくと周りも会場に向かう人が徐々に増えてくる。
そして建物の周りが見えるようになるとスッゴい人数の人がすでに並んでいた。
「ね、ねえアレだいじょぶなの?すっごい人がいるよ?」
「だいじょぶですぞー私たちの並ぶのは違う入り口なので、もう少し回り込んだとこですぞ」
「へー何ヵ所もあるんだねゲートみたいなのが。それなら分散するから安心かー」
「ですぞですぞー」
友里たちの持ってるチケットのゲートに向かうと、さっき並んでたゲートよりは全然少なかった。それでもすでに100人以上は並んでるのだけど。
「さっき沢山並んでいたゲートは一般の人たちはのゲートだったんでしょうな。ちなみに私たちは、学生さんが主になってるのでこの程度の人数のなのですぞ」
そういえば、なんか申し込むときに、学生にチェック入れたわ。それにしても日陰で寒いな。
「じゃあ、わたし達並んでくるねー」
「うん、あ、ちょっと待って」
そう言うとボクは優の肩から下げてるバックに手を突っ込んでゴソゴソしてるフリをする。
そして手を引き抜くと少し小さめの肩にかける位の白い薄手の毛布のような物を引っ張り出す。
「はい、これ肩に羽織っておきなよ、寒いから」
もちろんこれは、今バックのなかで造った毛布なんだけどね。しかも繊維が擦れあって自分で熱を生み出す効果が付いてる。火の精霊も少し手伝ってもらってる。
「うわーあったかーい。ありがとーヒカルちゃん」
「すばらしい手触りですなー、これ買ってもいいのでくださらぬか?」
二人ともぬくぬくしてる。そんな二人にこっそり耳打ち。
「今ボクが造ったものだから、恐らく中に入ってしばらくしたら消えちゃうよ。だから邪魔になったら捨てちゃうかどうにかして」
「い、今の一瞬で造ったのですか?すごいですな!!」
薫子ちゃんが目をキラキラさせて詰めよって来るので、しーっと人指し指を口に当てて落ち着かせる。
「他の人に聞こえちゃうからね。さぁならんでおいで」
「私たちも入場始まるまでここにいるから。ね?」
「「うん、いってくるー」ですぞー」
二人は手を繋いで、列の最後尾に並ぶのだった。
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