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邂逅しちゃった その6

月末で忙しく間が空いていしまいました。

スミマセン。

 「はい?」


 なんだか誰かに呼ばれたような気がして田所女史はヒカルが飛んで行ったほうを見る。


「なんだか呼ばれたような気がしたんですけど・・・気のせいですかね?」


 最近ちょっと気になっている女の子声の幻聴まで聞こえてしまうとは・・・いやはや意外と重症なのかな?私は、などと思っていると何やら遠くの方から叫び声が聞こえてくる。


「・・・っ!!・・・・・・っちゃぁぁぁん!!」


 幻聴じゃない!?と声のしたと思われるほうを見ると、土煙がこちらに向かってくるのが見える。


「まぁりぃちゃああああぁぁぁぁん!!攻撃用意ぃぃぃぃぃ!!」


「ひ、ヒカルちゃん!?」


 土煙の前の方をヒカルは小さな女の子を抱えて飛んでいた。じゃああの土煙はなに?と後ろの方を首から下げていた双眼鏡で見てみると、なんだかよくわからない生き物が四本の脚で大地を砕きながら、ヒカル達を追いかけてるのが見えた。


「真理ちゃん!早く!!試すんでしょ?侵略者にガソリンが効果あるかどうか!」


「え?え??あれが侵略者ですか??」


「そうだよ!ちょっと変質が普通の侵略者よりも強いけど、それでもめったに試せないんだからやっとかないと!あとこの子預かっといて、森の中で見つけたんだ」


「は、はい!でわ私が預かります。さ、こっちへ」


 田所女史はヒカルが見つけたという女の子を預かると、防衛隊に通達する。


「各員に通達!侵略者接近中!ガソリンの効果を試します。隊員は配置につき迎撃の用意!」


『『『『了解っ!!』』』』


 隊員たちが装備を付け配置につく。ヒカルはひらりひらりと踊るかのように女王蟻の前で誘導している。


「ヒカルちゃん準備が出来ました!もう少しこっちのほうに誘導してもらえますか!?」


「わかった!よっっと!!」


 ヒカルは風を圧縮させると、女王蟻と自分の間で炸裂させる。圧縮された空気が女王蟻を巻き込むと宙に吹き飛ばし、そのまま隊員たちが包囲している場所のど真ん中に頭から落とす。

 頭から落とされた女王蟻は、ショックでしばらく蹲っていたが、頭を振りながら起き上がり始めた。


「総員!一斉噴射!!」


 掛け声とともに全方位から浴びせかけられるガソリン。


「ギィオオオオオオォォォォォォォォ!!」


 途端に苦しみだす女王蟻。隊員の半分ほどが心の中で「これ普通に生き物ならみんな苦しむんじゃ・・・」などと思っていたのだが構わずガソリンを噴射し続けた。


「ギィ・・・ギィィィィィ・・・」


 身体をビックンビックン痙攣させてもだえ苦しむ女王蟻。


「き、効いてるみたいですが・・・」


 ガソリンまみれになって動かなくなった女王蟻を遠巻きに観察する。


「侵略者にも虫タイプなら効くってことでいいのかな?」


 ヒカルが真理のそばにふよふよ浮きながら観察してる。


「まあ、虫タイプに対応できるだけでもこちらとしては助かりますけどね。過去のデータでは虫タイプが

一番出現しやすいので・・・」


「そうだね。ボクもいつも間に合う訳じゃないし、全国まではなかなか対応しきれないからね」


 ぴくり


「ん?」


「どうしました?ヒカルちゃん」


「今なんかあいつ動いたような気がして・・・」


「ま、まさか・・・ほんとにですか?」


 ヒカルから預かった幼女を思わずギュッとする田所女史。


「ん、んー」


 幼女が苦しそうにもがいたので「ご、ごめんなさいね」と言って慌てる。


 ぴくりぴくぴくり


「やっぱり動いてるよ!?効いてない?」


 徐々に動きが激しくなり始める女王蟻。


「総員退避!一旦離れてください!」


「「「「了解!!」」」」


 痙攣していた女王蟻の背中が割れて、そこから触手がうねうねと生えてくる。


「「なんか生えてきた!!?」」


女王蟻は触手で身体を支えてムクリと起き上がる。だが元々の身体はすでに死に絶えた様に動かない。

 触手がブルリと身震いすると、動かなかった女王蟻の部分がズルリと抜け落ちるように剥がれ落ち、触手の先に肉の塊の様なものが、どくどくと脈打っていた。


「なにあれ!?初めて見るけど、なんか気持ち悪い!」


 ヒカルがそう言うと、肉の塊の中央に亀裂が走り、ギョロリと大きな眼が辺りを見回す。

 それを見た隊員の誰かが「ヒィッ」と悲鳴をもらす。


「エレス、あんなの今までいた?」


『いえ、私もあの様な形態は初めて見ます。というか、あれはひょっとしたら地球の生き物では無いかもしれません』


「じゃあ、どこの生き物なの?」


『それこそ、向こう側の奴等の本当の姿なのかもしれません』


「あっちの奴等って人型じゃないの?」


『わかりませんが、まるで違う次元の生き物ですから逆に人間と同じ形なる方が珍しいかもしれません』


「そっか・・・高度な文明って言ってもわかんないもんね。とりあえず、アイツはあのままだと碌なことにならない気がするから、やっつけちゃおうか」


『それがよろしいかと』 


「真理ちゃん!!一気に片つけるからみんなに離れるように言って!!」


「わかりました!総員、さらに退避せよ!巻き込まれない場所まで退避せよ!!」


 まるで潮が引くかのように、周りを囲んでいた隊員達が離れていく。

 それを確認してヒカルは、外骨格に付与していた風の精霊を解除する。外骨格が基本の白色に戻ると、足などの形も普通の形に変化して、地面に降り立つ。


「さてと、訳のわからないものはさっさと片付けちゃおうかね!」


 ヒカルはそう言うと、今度は火の精霊を外骨格に付与する。

 白っぽかった外骨格が、ピンクから朱色、そして緋色に変わっていく。

 それと共に手足のパーツも形を変えていく。腕はその華奢な身体と不釣り合いな程に大きく太くなり、その拳は身体より大きく頑強に。脚はそんな腕を支えるべく太ももまで覆いつくし、がっしりと大地を踏みしめる。

 身体の周りは後ろの景色が歪んで見えるほどの熱で陽炎が揺らめいていた。


 ヒカルは巨大な拳をガシンッっと打ち合わせると、獣のようにギラリとした笑みを浮かべて、触手を生やした肉塊を睨めつける。


「灰になるまで焼き尽くしてやる!!」


感想、ブクマなどしていただけると小躍りします。

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