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邂逅しちゃった その3

今日の日付に間に合わなかった(。´Д⊂)

 木々の間を滑るように駆け抜けながら、兵隊蟻に出会う端から辻斬りゴメン!と仕留める。

 真理ちゃんのいるであろう方向に向かいつつ、蟻退治もしていた。

  

 いや、それにしてもこの風の形態フォームの移動が楽しすぎる。若い頃にハマったローラーブレードの様に走ることも出来るし、両足のスラスターを使うことで色んなトリックも繰り出せる。

 ひょっとしたら低空で戦うなら、翼よりも使い勝手がよいかもかも?

 そんなことを考えながら、両足を違う方向に向け両腕を進行方向に付き出すと、スクリューの様に回転しながら飛びつつ、数匹まとまって逃げていた兵隊蟻を切り刻む。


「真理ちゃんどこー?」


 ボクは耳にはめたハンズフリーのボタンを押して、連絡をとる。


『さっきからすごい音がしてるのはひょっとしてヒカルちゃんですか?でしたら、もう30mほどそのまま進んで貰えればいいと思います』


 しばらく進むと、数匹の兵隊蟻と交戦しているチームと、その中に現場の真っただ中では異質な、スーツがよく似合う女性の姿を見つけることができた。

 真理ちゃんはこっちに気づくとぎょっとしたような顔になる。


「それは、また違う精霊を纏わせた姿なんですか?」


「うんうん♪これはね風の精霊だよー。思った以上に面白くてね移動が。思わず倒すの忘れちゃうとこだったよ」


 呆れたような顔でボクをマジマジ見てくる真理ちゃん。イヤン照れちゃうよ?そんなに見られると。


「本当になんていうかなんでもありですねぇ」


「そう?できないことだって・・・あるよ?多分」


「例えば何ができないんですか?」


「・・・・思い付かないけど、なんでもは出来ないよ?出来ることだけだよ?」


「そんな某怪異アニメの台詞パクってもダメですよ?」


「ッチ」


「可愛い顔で舌打ちするのもダメですー」


「なあ?そこでイチャイチャしてないでこっち何とかしてくれよぉ!?」


「「あ、ごめん(汗)」」


 ボクは両腕のブレードをおもむろに取り外すと、二つの根本をくっつける。するとあら不思議、でっかいブーメランになっちゃった!

 それを明後日の方向に無造作に投げ放つ。シュルルル・・・と風切り音を残して飛んでいったブーメランは、不思議なほど木に当たることなく飛んでいき、こちらに注意が向いている蟻達の横合いから突っ込んでいき、交戦中だった蟻数匹を纏めて切り裂くと、空中に溶け込む様に消えていった。

 消えると同時くらいに、ボクの両腕からはまた同じようにブレードが生えてくる。あら、なんて便利なんでしょう♪

 それを見ていた、真理ちゃんと隊員さんたちは口を揃えて言った。


「「「ほんとなんでもアリだな!!」」」


「いやあ、それほどでも?」


 ボクが少し照れてると


「いや、ちょっと嫌味だからね!?」


「ええっ!?やっつけたのに酷いっ!」


「いやいや、やっつけ方が理不尽すぎて酷い」


「むぅー倒して怒られるなんてなんか腑に落ちない・・・」


「まあまあ、ヒカルちゃんも悪気があってのことですし」


「真理ちゃんフォローにすらなってないとか!とかっ!!」



***********************************



『粗方こっちの斜面の蟻は退治できたかと思われます』


 無線で報告が入ってくる。


「反対側の蟻はどんな様子ですか?」


『こっちは働き蟻と兵隊蟻が半々位だ、結構いるが、殺虫剤入りのスモークからこっちは嫌なのか今のところ進んでこない』


「ホンとに撒いたんだ・・・殺虫剤」


「ええ、よく考えたら大きいだけの虫ですからね、生態的に効果があるものは変わらないと思いまして。実際効きましたしね。むしろ銃弾なんかよりも効果的かもしれませんね」

 

 確かに、蟻たちは侵略者じゃ無いもんねー。


「あ、だとしたらもっと効くものボク知ってる」


「え?何ですか?それは」


「ガソリン」


「え?ガソリンって、タダのガソリンですか?」


「タダじゃないよ?ガソリンスタンドで売ってるヤツだよ?」


「わかってますよぅ、私が言ってるのは無鉛ガソリンってことです」


「ふふーわかってるよーだ。ちょっと真理ちゃんで遊びたかっただけだもん」


「なっ!?私で遊ばないでください!もうっ」


「あはは、ごめんねー。でも本当に効くんだよ?虫なら恐らく何でも1滴つけば死んじゃうね」


「どうしてなんでしょうね?」


「んーよくわかんないけど、虫ってお腹で息するじゃない?そのお腹にある気門って息する穴から、ガソリン吸い込んじゃうんじゃない?」


「試してみる価値はありますね・・・量的には大きくなった分増やした方がいいですよね?」


「まあ、普通サイズの虫でちょっとつけばいいから、水鉄砲みたいなので噴射したら、十分吸わせられるんじゃない?」


「わかりました。石切場西に展開中の各部隊に通達。水鉄砲に無鉛ガソリンを入れたもので、蟻のお腹を狙ってください。繰り返します・・・」


 上手くいけば虫系の侵略者が出たときの対処が楽になるもんね。




 しばらく経って真理ちゃんの無線に経過報告の一報が入る。


『こちら石切場西に展開中の部隊です』


「はい、こちら田所です。どーぞ」


『先程ガソリンを噴射する実験を実施してみたところ、蟻たちはガソリンを被ってしばらくすると、手足が丸まっていき、生体活動が停止している模様です。効果アリです』


 それを聞いていたこちらの人たちが心の中で


『蟻だけにアリ・・・ぷっ』


 なんて思っていたのはエレスだけが知っていた。

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