邂逅しちゃった
短めですー。スイマセン。
「そりゃぁーっ」
端から聞いてると、全く気合いが入っていないような掛け声だけど、その結果は正反対の結果を残していた。
その掛け声と共に放たれた拳を食らった、蟻型の侵略者はちょっと酸っぱい蟻酸の臭いを周囲に撒き散らしながら、爆散している。
「ふぅーこれで最後かなぁ?」
ボクは辺りを見回しながらつぶやく。ここはかなり山の奥に入った昔の石切場。その至るところに、巨大化した蟻の頭やら脚なんかが落ちてて、まだピクピクと動いている物もある。
「ヒカルちゃんお疲れさま。今私たちの班が確認してるけど恐らく今ので最後だと思うわ。それにしても凄いわね、私たちがやっと数匹片付けただけなのに、ほとんど一人でこれだけって・・・」
真理ちゃん(田所さんね)が驚きが一周まわって呆れたような顔で周りを眺めてる。
「まあ、元の攻撃力が違うからねー、しょうがないよ」
ボクは拳についた、蟻の体液をブンッっと振り払って辺りをみる。
「それにしてもおかしいなぁー」
「何がですか?」
「真理ちゃんは未確認が倒されたあとってどうなるか知ってる?」
「ええ、資料で見たことはあります。確か核みたいなものがあって、それが割れると死んで縮む・・・あ、そういえば…」
「そうなんだよねー、この蟻たち身体がバラバラになっても小さくならないでそのままなんだよね。って言うことは、侵略者のじゃ無いのかもしれない」
「でも、世界のどこでも、体長が2m近くあるような蟻は発見されてませんよ」
「そだねー、でも今回はボクがこいつらの事察知出来なかったのはその辺に理由があるんじゃないかな?」
ちなみに今回ボクは、真理ちゃんにこの間教えた、人間の可聴域を越えた高音域の放送によって呼び出された。
「理由ですか・・・例えばどんなことですか?」
「そうだね・・・まあ例えばなんだけどね、実はこいつらは大きいだけの普通の蟻で、この巨大蟻を作った敵がいるかもって事なんだよね」
「確かにそれなら消えないことの辻褄が合うかもしれないのですが、一体誰がそんなことを・・・」
「そんなん決まってるでしょ」
真理ちゃんがキョトンとした顔をしてる。
「女王蟻しかいないよねー、子供作れるのって」
ボクが告げると真理ちゃんは驚きを隠せなかった。
「まさか・・・」
「そう、どうやってかは知らないけど女王蟻にピンポイントで憑依して巨大化した侵略者がいたんだろうね」
「そんなことってあるんですか?」
「うーん、ボクも倒すばっかりで会話とか意志の疎通ができる訳じゃないからわかんないね。でも蟻って群れてるよねー?、その中でわざわざ一番奥にいる女王蟻に憑依なんてできるかなぁ?しかも戦闘力なら間違いなく兵隊蟻のが強いよね」
「確かに・・・誰かが意図的に女王蟻に憑依させたって事ですか?」
「まあ、可能性があるとすればそれが一番辻褄が合うよねー」
「・・・・・・・」
二人とも無言で辺りの惨状を見渡す。
「ところでさ、ボクが倒したなかに女王蟻っていなかったけど、そっちで倒した中にいた?」
「いえいえいえ!そもそも数匹しか倒せてませんし!調査した班も女王蟻は見かけてないと思います。そういえばさっき言ってた兵隊蟻っていうのも見当たらないですよね?」
「そうだねー、ここに死んでるのって、みんな働き蟻だもんね。ってことは、きっとこのコロニーは生きてるね。どこか他のところまで掘り進んでるのか、知恵がついて壁でも作ってたら厄介だよねぇ・・・」
昔なんか図鑑みたいので見たことあるんだけど、水が入ってこないように壁とか作ることもあるんだって。
「一応女王蟻に憑依してるとしたら指示出すだろうからね、侵略者がさ。しかもこれだけの大群がまだまだ一部って考えて、もし人の多いところに巣穴が届いてたらやだね」
「やだね・・・って軽くいってますけど、大変どころの騒ぎじゃないですよ。民間人なんて武器も無いのに」
ボクは遠くを見ながら考える。
「とりあえずさー、この石切場を中心に半径50キロ位避難指示だしてさ、この巣穴から水攻めしてみようか?そしたらいるとこから水がぴゅ~って噴き出すかもよ?」
ちょっと考える真理ちゃん。こういう姿絵になるなぁ。
「・・・やみくもに探すより良さそうですね。その案採用しましょう。でも水はどうするんです?」
「ああ、それはボクが精霊力で出すから大丈夫」
「ありがとうございます。でわ避難完了し次第やっちゃいましょう」
「おーぅ!!」
こうして女王蟻駆逐作戦が始まったのだった。