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ヒカルと防衛隊 その3

 乱れ始めた隊長機を見て他の三機が慌て出す。


『隊長!!起きてください!!何そんなうらやましい状況で気ぃ失ってんすか!!』


『隊長!写メ位とれるでしょ!?もしくはヘルメットだけでも守護者ガーディアンちゃんに向けてください!お願いだから!!』


『俺ならあの座ってくれたとこ、絶対に洗わねえ!!』


 君たちぶれないなぁ・・・しかし右に左にふらつく機体をそのままにもしておけないかな。

 しょうがないから助けてあげようっと。


 ボクは翼を出すと、一気に力場フィールドを今載ってるジェット機を包み込めるくらいの大きさまで拡げる。

 力場フィールドに包まれると、ボクの慣性制御の範囲内になるので、ジェット機はふらつくこともないしフワフワ浮いてるような感じになる。

 その様子をポカーンと眺めてる他の隊員に、エレス経由で話しかける。


『あーあーマイクテスマイクテス、聞こえますかー聞こえたら頭で考えても喋ってもいいので返事してくださいね』


『これは、テレパシー!?』


『やっべえ声も超可愛いじゃないですか』


『ちゃ、ちゃんと返事しろよ!お前ら!あーあー聞こえてますよ、どーぞ』


 ふむみんな聞こえてるみたいだね。


『あーごめんねーなんか驚かすつもりなかったんだけど、ちょっと自分がどのくらいの速度出るか試したかったもんだから・・・逃げるつもり無かったんだよ?最初はちょっと面倒だったけど』


『『『・・・・・・・・』』』


 呆れたのか怒ったのか無言って。


『あのその、怒ってます?』


『い、いえいえ怒ってませんよ?自分達一瞬で置いてかれてビックリしてたのに、気づいたら隊長の上に載ってるじゃないですか?もうただただ驚きすぎちゃって』


『君みたいな素敵なしr・・・女性に怒るわけないですよ』

 

 いま尻って言いかけたよね?まあお尻フェチのボクが作った尻だからね!素敵なのはしょうがない。君見所あるね!尻愛好家としてなかよくなれそうだね。


『まあ、隊長さん気絶しちゃったんで、このまま降ろせるとこまで行きましょうか、一応話もしたいでしょ?』


『え?逃げずに来てくれるんですか?』


『うん、なんか逃げても面倒な事になりそうだし、嫌なことはさっさち済ませたいし』


『嫌なことって・・・ちょっと傷つきますよね』


『ま、まあしょうがないさ守護者ガーディアンちゃんにとっては嫌なことだろうよ』


『あはは、なんかごめんねー、じゃあ案内してくれる?』


『『『らじゃーー♪』』』


 なんか割りと良い人達でよかったなぁ。


 しばらくみんなで飛び、飛行場の側までくると隊長さんが目を覚ました。


『う、うーん・・・』


『隊長大丈夫ですか?』


『あ、ああ俺は気を失ってたのか?なんで無事なんだ?』


『いま、守護者ガーディアンちゃんが隊長のこと運んでくれてるんですよ。助けてくれたんですよ』


『どもー、ビックリさせちゃってごめんねー』


 ちなみにボクはキャノピーから少し離れた後ろの方に、跨がっているので隊長さんからは見えない。


『あ、ああこちらこそ申し訳ない。ところで何処に向かってるんだ?』


『ああ、守護者ガーディアンちゃんが話し合いに応じてくれたんで、いま近くの飛行場に向かってます。丁度着きましたけどね』


『隊長さん、取り合えずエンジン切って車輪だけ出してもらっていい?そーっと降ろすから』


『あ、ああすまない、ありがとう』


『いえいえー♪』


 ジェット機を降ろすためにゆっくりと降りていく。他のジェット機たちは普通に着陸のため先に着陸体制に入ってもらった。ついでに先に降りて事情を話しておいてと。

 下を見ると、さっきボクに喋りかけてたヘリなんかも何機か止まっているのが見えた。周りに人が結構いるのが見えるよ。

 垂直にゆっくりと降りてくるジェット機を見て、みなあんぐりと口を開けて上を見てるねー、気持ちは分からないでもないけどね、本来このジェット機垂直に飛べないもんね。


 ゆっくりそーっと地面にタイヤが着いたのを確認して、力場フィールドを解除すると、みんながわっっと群がってくる。

 ボクは地面に飛び降りると、ポンチョみたいなものを生成して身体を隠す。だってなんか写真とか撮られそうなんだもん。


「あなたが、守護者ガーディアン様でございますか?はじめまして私は、今回交渉役を仰せつかりました田所と申します。先程はウチの隊の者達がが大変失礼を致しました」


 おっとホンとの交渉の人はメガネ美人のお姉さんだった。いかにも出来る人らしく、スーツがとっても似合ってる。ちょっとAVとかに出てきて酷いことされちゃいそうなタイプ。


「あの・・・言葉はお分かりになってるんですよね?」


 おっといけない、変なこと考えて返事しないボクに若干の不安を覚えたようだ。


「ああ、ごめんね、ちょっと考え事してたもんだから。一応皆さんが言ってるところの守護者ガーディアンでよいと思いますよー。ところでなんで守護者ガーディアンのこと知ってるの?」


 すこし考えて、田所さんは答えてくれた。


「ええ、隠してもしょうがないですし、今後の信頼のために嘘も言いたくありませんので、お教えしますけど、合衆国からこういった存在がいるということを聞いておりまして。なんでも皆さんは姉妹ということでよろしいんですよね?」

 

 ああ、あいつだ、ルディアだ。多分自分は国防総省にいるから色々話してるんだろうね。まあ別に人に知られちゃいけないってことでもないしね。


「うん、そうだね。ボクたちは姉妹ってことであってると思うよ」


 少しホッとしたような顔をして田所さんが続ける。


「それで・・・少しお聞きしたいんですけど、皆様は我々の味方と言うことでよろしいのでしょうか?そもそも守護者ガーディアン様はどう見ても人間のようなのですが」


「ん?どゆこと?」


「いえ・・・一応皆さま方の存在が明らかになった後、各国に存在すると思われる皆様の姿形は、人間ではなかっものですから・・・」


「へぇー例えば?」


「そうですね、合衆国の守護者ガーディアン様なんかは見た目はヒトなんですけど、よく見ると生物の感じがしない人形のようらしいですし、人間の形はしてても植物が合わさって形を成してたり、様々な形なのですが、ここまで普通にヒトとして存在するのは、見たことが無かったものですから。まあ私も、資料でしか見たことは無かったので、実物は今日初めてお会いするのですが」


 そういや、エレスだって元は球だしね。


『球とか言わないでください。そんなこと言ったらご主人様だって球ですからね』


 確かにそうだね、じゃあそう言うことにしておこう。


「ああ、実はボクも本体は1個の球だよ。この体は自分で作ったんだよ」


「そ、そうなのですか?それでもほとんど人間と区別がつきませんね・・・あの、その顔のバイザーをお取り戴く訳にはいきませんか?」


 おっとーさすがに素顔晒すわけにはいかないしなぁー、でも向こうも信用してほしくて結構情報晒してくれてるしなぁ・・・。


『ご主人様、バイザーはとっても下に某赤が好きな少佐マスクでも着ければいいのではないでしょうか』

 おお、あれかあのマスク事だね!よしその作戦採用。


「いいよ、じゃあ取るね」


 といってボクはバイザーに手をかけて外す、その一瞬で下に鼻から上を隠したようなマスク(某少佐タイプ)を装着、まあ鼻と口が見えるだけでもサービスと思って貰いたい。


 田所さんは、ちょっと喜んだ顔をした後、マスクに気付いて、少しだけガッカリする。いや、表情に出すぎでしょ、交渉するヒトがそんなに顔に出しちゃダメだと思うよ!?


「ま、マスクもしてらしたんですね・・・」


「う、うんごめんね、宗教上の問題でコレは取れないんだ」


 よし、宗教上って言っとけば強くは言えないでしょ。


「あと、さっきの味方なのかって話なんだけど」


「あ、ええそうですね、教えていただけると嬉しいです」


「未確認生物を基準にするなら味方だね。まあそこを基準にしなくても今のところは敵にならないと思うけど」


 しばし、二人の間に沈黙が流れる。



「えっと・・・それはいつかは敵になってしまうと言うことですか?」



 そもそもの基準がお母様(地球)だからなぁ・・・


「えっとーあなたたちは『お母様』についてはなにか知ってる?」


「お母様・・・ですか?いえ存じませんが」


「そもそも、ボクたちはどこから生まれたと思う?」


「どこかの国が作った訳じゃないですよね?古代兵器とかですか?」


「ううん、ボクたちはね、『地球』が産み出したんだよ。自分を害する存在に対向するためにね」


「害する存在・・・それが未確認生物ですか?」


「そう、もう1万年くらい戦ってるらしいよ?ちなみに奴等は別の次元からこっちにやってくるらしいんだけどね。だから本当の呼び方は『侵略者』なんだよ」


「なるほど・・・でもそれが何故人間の敵になるのですか?」


「さっき言ったでしょ?"地球"を害するって」


「あ・・・・」


 言ってることが理解できたのか、少し顔を青ざめさせる田所さん。


「まあ、いまは昔みたいに公害垂れ流してる訳じゃないし、エコ活動みたいのも頑張ってるしね。だからかなり敵になるってのは考えられないみたいだけどね。だから安心していいと思うよ」


 そう伝えると堅かった表情が少し和らぐ。


「あの・・・我々も侵略者に対抗するために、守護者ガーディアン様のお力を調べさせて欲しいのですが・・・ダメでしょうか?あの沖縄で巨大な生物と戦ったのも、守護者ガーディアン様なのですよね?あの時我々はあの生物にまったく歯が立ちませんでしたから・・・」

 

 ああ、あの時もジェット機何台もやられてたもんなぁ。


「うーん、調べても武器としての再現は難しいかもよ?」


「何故ですか?我々は決して戦争に、使用するような真似はしませんよ?」


「ううん、そうじゃなくてね、ちなみに精霊って信じる?」


「精霊って・・・ファンタジーのアレですか?魔法とかに使われたりする?」


「そうそう!詳しいねーちょっと嬉しいかも」


「私、本読むのが趣味で・・・その・・・ラノベと言われるジャンルもよく読みますので・・・」


 田所さん少し恥ずかしそうに頬を染める。いいね!その恥じらう感じいいよー。


「ボクもよく読むよー。まあ話戻すけどね、あのでっかいクラゲ倒した時に使ったのは空の精霊で雷を起こして、体に帯電させてぶつけたんだよね」


「か、体に帯電ですか?雷のエネルギーを!?」


「そう、だから再現できないでしょって言ったの。雷を任意の場所で発生させることも、それを自在に扱うことも。まあ雷を作り出す施設なんかもあるみたいだけど、あんな大がかりなものじゃ武器にできないでしょ?」


「そ、そうですね・・・一応そういったものだった、と言うことは報告書に書いてもよろしいですか?」


「うん、いいよ。そのくらいは」


 一応これだけの部隊動かした面子ってものがあるだろうしね、手ぶらじゃ帰れないでしょ。


「それじゃそろそろいいかな?ボクもそろそろお仕事行かなくちゃ」


「お、お仕事ですか?まさかとは思うのですが、毎朝夕のあれはただの出勤何てことは無いですよね?」


 ドキッ


「ま、まっさかーそんなわけないじゃん。アハハハ」

 

 じーっとこちらを見てくる田所女史。目を合わせたら負けだとおもう。


「はぁ、まあ今回は突然のことでしたので、お引き留めして申し訳ありませんでした。御連絡先とかございますか?」


「ふぇ?」


「ですから、こちらから連絡したいときはどうしたらよろしいですか?」


「なんで連絡してくるの?ボクらはあくまで戦いはするけど完全な味方じゃないよ?それに、侵略者に関しては言われなくても勝手に戦うよ?呼ばれなくてもね」


 むぅーっとちょっと拗ねた顔をする田所さん。美人さんがそういう顔するのは可愛いので良くないと思いますよ?


「じゃ、じゃあ私とお友達になってくれませんか?」


 おっと、そうきたかー。お友達ねー趣味合いそうだしねーなりたいけど、絶対に上司に報告するよねー。


「お友達の連絡先は報告しちゃダメなんだよ?それでも知りたいの?裏切ったらヒドイことしちゃうよ?」


「う・・・し、知りたいですし、報告はしません!!」

 

 ふぅーん・・・まあ優たちになんかあったら、仕返しするし取り合えず信じてみようかな。


「わかったよ。まあ一応報告書的な呼び出し方は、ヒトが認識出来ないような周波数の音でメッセージを流してくれたらいいよ。ボクには聞こえるから。それと田所さん・・・したの名前は?」


「え・・・真理です。田所真理です」


「じゃあ真理さんにはこれをあげるね」


 そう言うとボクは自分の電話番号を書いた紙を手のひらに押し付ける。


「コレはボクが作った紙だから、1日たつと消えちゃうからね。他の人に教えちゃダメだよ?」


 そう言いながら彼女にだけ見えるようにマスクを外して、じっと目を見つめる。こっそり魅了チャームを使いながら。

 彼女は顔を真っ赤にしてコクコクと頷くしかなかった。


「じゃあ、いくねーまたね」


 周りの隊員たちにも手を振って、ボクはポンチョを脱ぐと同時に分解する。

 周りから「おおおおおおぉぉぉぉ!」と歓声があがる。


 バイバイと手を振って、翼を出すと、会社に向かって飛び去るのだった。




「いっちまったなぁ・・・」


「行っちゃいましたね・・・はぁ可愛かった・・・」


「んな!?まさか田所ちゃん、さっき後ろ向いてゴソゴソやった時顔を見たのか!?」


「そ、そんなこと言えません!だってお友達になったんですもん。私はお友達を売るような事は絶対にしませんから!!」


「ええええ、あのお堅い田所女史が・・・落とされてるじゃん」


 そんな隊員を尻目にニマニマと渡されたメモ用紙を見つめて


「ヒカルちゃんかぁ・・・ウフフフフフ」


 と、含み笑いをもらして他の隊員んたちをドン引きさせるのだった。

田所さんはちょくちょく絡んできそうです。

感想、ブクマなどしていただけると小躍りします。

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