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ヒカルと防衛隊

 スマホからアニソンが流れはじめて起床時間を教えてくれる。隣を見ると優はすでに起きて、1階にて朝食の準備をしてるみたい。 


 アラームも使わないでよく起きれるなぁと感心する。


「んーーっと今週も頑張るかー」


 ベットの上でぐーっと身体を伸ばしてから、ボクは洗面所に向かう。

 歯を磨き、顔を洗う。以前はここにトイレに行くという項目もあったのだけど、お母様のパナぃ方針によって排泄作業と言うものが無くなってしまったのだ。

 もちろん機能的には有るのだけど、溜まるものが完全分解なるもので溜まらなければ出るものも出ないと言った次第なんだよね。

 あったらあったでお腹壊した時とか大変だけど、無くなったら無くなったで、ちょっと物足りないものがあるね。

 あと今の身体の便利機能なのか、寝癖が付かない。昔は朝起きると髪の毛がとんでもない事になってたのだけど、今の髪はいつでもサラサラついでに言うと、長さもウェーブなんかも思いのまま。まあウェーブはあんまりかけないけど。

 おかげで、朝の用意と、出勤時間の短縮で以前よりも1時間位はゆっくりできる。超うれしいよね、朝の1時間。


 リビングに行くと、丁度トーストが焼き上がったのかトースターのタイマーが「チンッ」と音をたてる。

 多分優が、ボクの起きた気配で焼き始めたんだろうね、ホンといい奥さんだね。たまにSッ気マシマシのレズ衝動さえ押さえてくれたら言うことないのにね・・・。


「おはよー」


「おはよ、ヒカルちゃんトースト何塗る?バターだけ?それともジャム?」


 ボクは少し考える。あ、最近やってないアレ塗ろう。


「えっとねー、バターと海苔の佃煮ー♪」


 これが結構美味しいんだよ?海苔の佃煮はある会社のロングセラー商品じゃないとダメだけど。あの絶妙なあまじょっぱさと、バターが合わさったときの風味が堪らない。ちなみにご飯にも合う。それだけでご飯三杯食べれちゃう。


「ふふ、ヒカルちゃんほんとコレ好きね。そういうとこが変わらないから安心できるのかもね」

  

 確かに外見はまるで違うからね。思考や好みが変わっちゃったら、ホンとに他人だものね。


「はい、どーぞ♪」


 塗り終わったパン二枚をお皿に載せて、ボクの前に出してくれる。そしてコップに牛乳を注いでコトリと脇に置く。

 ほのかな磯の薫りが漂うパンを一枚手に取りかぶりつく。

 もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐごっくん。


「んーーおいひい♪」


 ボクが足をパタパタさせて食べてると、その足にノワがじゃれついてくる。


「んっ、ノワおはよー、ノワもごはん食べる?」


「にゃーぅ」


 ノワは甘えた声を出すと、ボクの踝の辺りに頭をグリグリしてくる。

 持っていたパンを一旦おいて、ノワのステンレス製の食器を持ってきて、カリカリのゴハンと缶のゴハンを半分くらい入れて混ぜる。ちょっと缶のゴハンの水分でカリカリがふやけてきたところで、ノワの前に置く。


「はい、どーぞ」


「んなーぅ」


 ノワは相変わらずウニャウニャ言いながら食べてる。

 キッチンで洗い物をしてる優にピトっとくっついて手を洗って、再び席に着き朝食を再開する。


「おふぁよーぅ」


「「おはよー、友理」」


「あーヒカルちゃんおいしそーなの食べてるーあたしもー」


「ふふ、はいはい、いま焼き上がるから待っててね」


「はーい」


 ちなみに優は今日はお休みなので、慌てずみんなから食べさせてる。


 食べ終わったボクは、仕事着に着替えて、優の作ってくれたお弁当をランチバック(保冷機能付き)に入れて、玄関に向かう。


「ヒファるひゃんいってらっふぁーい」


 友理がパンを食べながら喋ってる。


「お行儀悪いよー、いってきまーす」


 軽く友理に手を振って靴を履いてると、優が手を拭きながら見送りに来る。


「いってらっしゃい。気を付けてね」


「うん、ありがと♪今日は優がいるから早く帰るね」


 と言いながら、軽くいってきますのキスをする。


 まあ、ここまではいつもと大体同じ朝の風景だったんだよねぇ、ここまでは。


 違和感を感じたのはジャンプする前、イヤに今日は耳鳴りというか、空気が震えてるなぁっておもったんだよねぇ。

 そこでまあいっか、と思って飛び上がったのがいけなかった・・・。

 高度300mまで飛び上がると、そこにはいつもと違う風景が見えた。

 わー・・・なんか黒っぽい飛行機(速そうなの)とかカッコイイヘリコプター(厳ついの)が何機も飛び回っているのだ。

 呆気にとられたボクは力場フィールドを展開して姿を消すことも忘れて、すごーいと普段見ることの出来ない光景を楽しんじゃったんだよねぇ・・・。


 まさかこの航空部隊が、毎朝夕と、超音速で飛び回る謎の飛行物を調査、もしくは捕獲するために出張ってきたなんて思いもしなかったもんだからさ。



 その一瞬張りつめる緊張感、そして上空300mに浮かぶツナギを着た女の子と、それを包囲しながらも信じられないものを見てしまい唖然とした雰囲気の航空部隊。


 とってもシュールな光景だった。


「あやや・・・顔撮られちゃったかなぁ」


 慌てて翼を拡げて、姿を消そうとするボクに一番近かったヘリコプターの1台が待ったをかける。


『ちょっとまったあああぁぁぁっ!!』


 懐かしい紅鯨な告白番組じゃあるまいし。


 ボクは捕まったりしても面倒なので、なるべく小さく力場フィールドを張り始める。


 徐々に消え始めるボクの姿を見て、ヘリはちょっと慌てる。


『ちょちょちょ!!待ったって言ってるだろおおお!?』


 いきなり知らない人から待てって言われて待つなんて、今時子供でもしないと思うんだけどな。

 ボクがどうしようかなぁーと考えてると、ヘリが少し近付いてくる。あーもうなんだよめんどくさいと思いつつ今更ながらバイザーを生成して顔を隠す。


『あーあーあー、こちらの言葉わかるよな?』


 舐めてんのかしら?この人。自分で待てって言ったくせに。


 ボクは一応わかるよの意味で、右手を上げる。


『話が通じるようで何よりだ。単刀直入に聞くが君は何者だ?人間なのか?』


 失礼な、こんな可愛い子つかまえて人間かとは。ちょっとイラッっときたけど我慢してまた右手を上げた。


『すまない、私は高度300mに自力で浮かぶ人間を初めて見たものでね』


 そりゃそうだね、こんなのほいほいいたら世の中終わってると思うよ?


『もうひとつ質問をしたいのだが、君は未確認生物と戦ってる「守護者ガーディアン」という存在なのか?』


 エレスーボク、ガーディアンでいいんだよね?


『いいと思いますよ?私いますしご主人様お母様の一番お気に入りですし?』


 なんかそれってどうなの?と思いつつ右手を上げる。


『そうか、やはり我が国にもいたのだな・・・ちなみに君が毎日飛んでいくのは何処に行くんだ?』


 えーっと・・・その質問はイエスノーで答えられないじゃんね?どうしたらいいかなぁ・・・とりあえず肩でもすくめとくかな。ボクは外人がやるように両手のひらを上に向けて肩をすくめて見せる。


『すまん・・・理解しにくい質問だったかな?』

 

 いや理解できてるよ?答えらんないじゃんね?出勤の為だとかさ。イエスノーじゃ無理じゃん?ハッ!?そう言えばいま何時!?もう行かなきゃ行けないんじゃないの!?

 スマホを取り出して時間を見ると、まだギリギリ間に合う時間だった。これ以上は付き合ってられないわ。


 ボクはヘリに向かって両手を合わせて、ごめんねーとジェスチャーして、左腕の手首の辺りを指差してから、右手を縦にして左右に振り「時間無いから行くね!ごめん!!」の意思を伝える。


 ヘリの人が、しばらくこちらのジェスチャーを見て考えたのかどうか分かんないけど、取り合えず行こうかな?

 ボクは今度こそ光学迷彩を使い消え始める。


 そんなボクを見て何故か慌てるヘリの人。


『ちょちょちょちょぉぉお!?まだ話があるんだってばっ!』


 あれー?ジェスチャー通じてなかったのかな?まああれだ、めんどくさいからもういいや。聞こえないフリをして消えたボクは加速を始める。


『ホーク隊追撃用意!!ファルコン隊はB地点にて待機!!』


 なんか追撃とか聞こえたけど!?


 後ろを見るとものっそい勢いでジェット機4機が、ボクの後ろについてこようとしている。

 コレってボクが止まったら行き過ぎるんじゃない?と思い、慣性制御で一瞬で停止する。

 すると案の定ジェット機はボクを追い越していった。


 ボクを追いかけようったって無理だよーだ。と、その後ろ姿にアッカンベーをしてると、ジェット機たちはUターンして戻ってきた。そして停止中のボクの周りをグルグル回り始めるじゃありませんか!あれ?ひょっとして見えてる?


『ご主人様、彼らは恐らく熱感知レーダーを使用してるのではないかと思われます。しかもこんな小さくて可愛らしいご主人様を捉える位なのでかなり高性能かと』



 マヂですか?コレは本気出さないとダメかもね・・・。




感想、ブクマなどしていただけると小躍りします。

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