いまそこにある危機 その6
今日は何してても暑かった・・・
「「「えええええぇぇぇ!?」」」
『わわっ!そんなに驚かなくても』
ノワはビクッとしてシッポがピーンと立つ。
「「「語尾にニャってついてない!?」」」
『そこ!?驚いたとこそこなの!?』
「まあ、ここんとこ、ヒカルちゃんからして非常識な事ばかりだったしね」
「今更猫が喋ったくらいじゃね、まあ少し驚いたけど」
「まあホラホラ、某セーラー戦士のとこの猫もニャってついてないんだしさ、あと魔女の使い魔的な猫もね」
「そう言えばそうね」
『アタシはもうちょっと驚いて欲しかったんだけどな、お姉さま』
「あはは、ごめんごめん。でもなんでお姉さま?それってボクの事なの?」
『え?まさかお姉さまアタシの事わからないの!?確かにこんな格好してるけど、アタシはお姉さまのことちゃんとわかったよ?ひどいよお姉さま・・・』
そんなウルウルした目で見られてもなぁ・・・どうしよう全く心当たりが無いなぁ・・・まさか知らないうちにあのダメオヤジが、人間だけじゃ飽きたらず、猫との間にも・・・いやいやいや、遺伝子的にあり得ないし。
『始めから数えて5番目の守護者のアニマよ。お母様から聞いてないの?こっちに向かってたこと』
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『あ、どうやら私の妹っぽいですね』
「エレスの妹かいっ!!ボク色々考えちゃったじゃないか!もうー」
「ヒカルちゃん・・・なに考えたの?」
「う・・・いや・・・何て言うかね?ケモノフ○レンズ的な?」
「エッチぃこと考えたんでしょーウリウリ」
「うううぅうーエレスが悪い!もっと早く気づきなよっばかぁ!!」
『ああ、そんな理不尽な怒られ方するなんて・・・ゾクゾクしてしまいますよ?』
こいつ、実の妹に前だってのにブレないなぁ、ある意味すごい。見習いたくは無いけれど。
『え?どういうことなの?お姉さまがお姉さまの中にもう一人いる?どういうことなの?』
『アニマ、私は今あなたの前にいらっしゃるご主人様と融合したのです。以前の私は精霊球でしたが、位階があがって精神球になったのですよ。ちなみに今の私はその時に再編成されて、サポーター的なモノになっているのです』
『そう言えばなんだか雰囲気がちょっとお利口さんっぽくなってる?』
妹も大概ひどいな!?以前のエレスどんだけよ。
「ちなみに前のエレスちゃんってどんなだったのかしら?」
『お姉さま』
『なんですか?えーっとアニマ?』
『その「?」は地味に傷つくよ!?まあいいけど、怒っちゃダメよ?』
『何故私が怒るんですか?私はそう簡単に怒りませんよ?まああくまで簡単には怒らないだけで、怒りますけどね』
『なんだかよくわからないけど、以前のお姉さまは「脳筋バカ」的な戦士だったみたいよ?』
『カッチーーン、久々に聞きましたよ?そのフレーズ。ご主人様、これはキレていいレベルですよね?』
「ああー、なんかその印象ボクも覚えがあるー。確かに合体する前のエレスそんな感じの子だったかも!」
『何気にご主人様がディスってきます。シクシク、でもちょっと気持ちいいです』
『こわっお姉さま恐いよ。っていうかアタシが言ったんじゃないよ?アタシお姉さまと数えるくらいしか逢ったこと無いし。脳筋呼ばわりしたのは、一番下の妹のルディアちゃんよ、覚えてる?』
『アイツですか・・・今度会ったら絶ッコロですね・・・』
「へえ、一番下の子はルディアっていうんだ?どんなこ?」
『えっと、ちょっとタカビーなとこあるけど、いい子よ?機械や金属と融合出来るのよ。ちなみに今は合衆国に潜伏してるはずよ』
「ずいぶん詳しいねぇ。エレスなんて全然知らなかったのに」
『そ、それは侵略者退治に忙しかったのです!』
『え?お姉さま元々そう言う事に無頓着だったじゃない。最初に生まれた守護者だから、お母様も結構放任主義だったし・・・。他の姉妹は意外と会ってるのよ?』
「だってよ?エレスさん?」
「驚愕の事実ですね。以前の私何してたんでしょうね?」
「アニマの能力はなんなの?」
『アタシは、動物に融合する事よ。この子に融合する前はアフリカの方にいたのだけど、なんかお姉さまの反応がおかしいって、みんなの話題になってアタシが見に来たの。ちなみに魚になったり鳥になったりして海を越えてきたのよ?結構大変だったわ』
「あれ?じゃあ、ノワはどうなっちゃうの?」
『安心して、アタシは融合しても乗っ取る訳じゃないの。少し力を強くしたり能力を引き上げるだけ。こうやって表に出て喋ることもあまりないしね。だからアタシが引っ込むか、この身体から出るかすれば、この子は元通りに猫よ』
よかったー、ノワはノワのままなんだね。
「でも身体から出たらどうなっちゃうの?エレスみたいに球になるの?」
『いいえ、アタシは液体っていうか単細胞生物、アメーバみたいな感じになるわね。だからある程度身体から出ても動いたり出来るわよ。ただ、元々偵察タイプだから、戦闘力はほとんど無いのよ』
「へぇ、みんながみんなヒカルちゃんみたいに戦ってるわけじゃないのね」
『っていうか、今のお姉さまの状態が理解できないのよ。位階が上がったってどういうことなの?それに融合したってヒトと融合するなんてあり得ないでしょ?』
それには海より深いような水溜まりより浅いような訳があるんだけど……言うとエレス怒られるしね。
『・・・・愛』
『え?なんですって?』
『そう!これは私とご主人様の「愛」が成した奇跡なのです!それ以外の上手い言い訳が見つからないです!』
『は?なに、どうゆうこと!?っていうか今、言い訳って言ったよね?』
「まぁまぁ、ボクもエレスもよくわかんないうちにこうなったんだよ。偶然の産物みたいなもんだからねー。ぶっちゃけ、言っちゃうと、死にかけのボクをエレスが取り込んで助けてくれて、お礼に名前を付けたら今の状態になっちゃったんだよ」
まあ、嘘は言ってない。言ってないったら言ってない。
『ふむ・・・名前を付けただけで、そんなことが・・・位階ってそんな簡単に上がるものなの?』
「あれ?そう言えばアニマも、ルディアだっけ?も名前付いてるんだね?誰につけてもらったの?」
『そう言えば・・・なんで名前あるんでしょうね?私なんて精神球って言われてただけで、名前無かったような・・・』
『・・・それが元の名前だったんじゃないの?ひょっとして』
『は?そんなはず無いでしょ?なんでそんなアイテムチックな名前付けられないといけないんですか?アニマとか可愛い名前あるじゃないですか?うそでしょ?嘘だと言ってくださいお母様』
『『・・・・・・・・・・・・・・・・・・』』
しばらく二人の間で沈黙が流れる。
「あれかな?お母様と交信してるのかな?」
「どうなのかしらね?エレスちゃんちょっとショック受けてなかった?」
「ヒカルちゃんはなんでエレスって付けたの?」
「ん?長かったからちょっとキレて短くしただけだよ?」
「え?」
「だから、『エレメンタルスフィア』って長いから『エレス』って短くしたの」
『そんなんで位階上げたんですか!?信じられない』
アニマに突っ込まれる。名前なんてそんなもんじゃんね。
どうやら、お母様との通信が終わって戻ってきたらしい。
「あれ?エレス?」
なんか怒ってるのかプルプルと震えてるのがのが伝わってくる。どしたんだろ?
『いくらなんでも、おかしいとは思いましたが「ごめんね♪テヘペロ」じゃありませんよぉぉぉぉ!!お母様ぁぁぁぁぁぁ!!』
『名前つけるの忘れてたみたいよ。初めて守護者作ってテンションあがっちゃったみたいで』
なんてしょうもない理由なんだ・・・・
お母様の愛が強すぎたんでしょうね。最初の子なので。そう思わないとやってられないです。(エレス)
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