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お仕事しましょ その2

体調崩してしまい間が空いてしまいました。

スミマセン。

「倒れるぞぉっ!!よけろっ!!」


 キム公が叫ぶ。


 ゆっくりと軋むような音を立てながら倒れていく重機。


 とても10トンもあるような機械とは思えないほどゆっくりと傾いていく。

 操縦士は運転席で驚いたような顔をしてる。それでもエンジンを切るなどの対応をしているのは流石だね。

 転倒したときはエンジンを切るだけで、随分と後の処置が楽になるのを知っているんだろうね。


 ドドォンッ!!


 あーあ、とうとう重機が横倒しになっちゃったよ。


「怪我はないですか!?」


 キム公が操縦士に向かって呼び掛ける。

 幸いなことにゆっくりと倒れたせいか、操縦士はだいじょうぶと、横向きになりながらも片手を挙げて答えている。

 それを見て安心したのか、運転席の近くにみんなが集まる。


「とりあえずキャビンは潰れてないようだけど、出てこれそうですか?」


 重機の本来の乗り込みの為のドアは、いま下敷きになっている方についてるから開くことは無理そう。

 だけど、前方の窓ガラスがスライドして上に上がるから、そこさえ開けば降りることが出来るとは思うんだけど。

 何度か前の窓ガラスのロックを解除して揺すっていると、無事にスライドして操縦士は外に出てこれたみたい、よかったぁ。

 重機は軽油で動いてるから、車の事故みたいに火災起きないのが救いだね。

 でも若社長さんちょっと顔が青くなってる。

 まあ修理に持ってきたのに、修理箇所増えちゃったからね。

 でも怪我した人とか、死人が出なかっただけでもよかったと思わなきゃね。


「だいじょうぶですか?」


「ああ、なんとかねぇ、少し腕をぶつけたくらいで済んだ

よ」

 

 キム公が操縦士さんに尋ねると腕を擦りながら答えている。


「なんで?片足が落ちたんだ?」


 若社長さんが操縦士さんに詰め寄っている。


「わかりません、なんかバキッて音が聞こえたのはわかってるんですけど・・・」

 

みんなでトラックの方に回り込むと、なんと重機を下ろすために掛けてあった桟橋が片側だけ綺麗に折れていた。


「ああーこのせいかぁ」


 若社長さん頭をガシガシかきながら苦い顔をしてる。


「すみません、毎日チェックはしてるんですが、まさか折れちまうなんて。こんなこと初めてですよ」


 操縦士さんとトレーラーの運ちゃんがペコペコ頭を下げながら、若社長さんに謝る。


「いや、しょうがないよ。こんなの予想できないしね、怪我が無くて良かったけど、これ高くつくかなぁ・・・」


 ちょっと途方に暮れかけてる社長さん。可哀想に………。

 先代の社長から去年引き継いで頑張ってるのに、この出費は痛すぎるよねぇ。


「ウチの運送保険も使えるかどうか、ちょっと聞いてみます」


 さすがに運ちゃん達も気の毒に思ったのか、若社長さんに申し訳なさそうに提案している。

 せめて半分くらい出れば助かるもんね。

 会社に問い合わせてる運ちゃんが、あんまり良い顔をしていないのが不安だけど………。


 しばらくすると運転手さん戻ってきた。


「スミマセン……ちょっと普通の道路上の事故と違うもんで、適用外に、なるらしいんです」


 と、申し訳なさそうな表情で若社長さんに告げる。


「じゃあ、1銭も出ないってことかぁ……」


「いや、会社は出なくても自分達にいくらか出させてください、まだ降ろし終わってなかったんですから、此方にも責任があります」


「いやいや、それって自腹切るって事でしょ?そんなの悪いよ、受け取れないよ、そんなお金」


 あー……これ、お互いがいい人で収拾がつかなくなるパターンになりそう、たまにあるんだよねぇ。


「木村さん、これって事故の修理自体はどのくらいかかっちゃいます?」


 と、キム公に話が振られた。


「そうですね……とりあえず重機起こしてみないと何とも言えないんですが、エンジンは操縦士さんがすぐに切ってたんで無事だと思いますよ?あとは下になってる部分がどれくらい傷んでるかと、これを起こすのにどれくらい費用がかかるかですね」


「そうかぁ、ここにある機械じゃ起こせないのかい?」


「ええ、流石に10トン以上ある機械なんで、吊って起こすのにある程度の大きさのクレーン車欲しいんで、多分半日来てもらうので5万くらいはかかってしまうかと」


 重機起こすだけで結構かかっちゃうのね……。


「はープラス修理代で大体10万くらいかなぁ?」


「まぁ程度にもよりますけど、それぐらいですね。あと早く起こさないと、エンジン切れてるとはいえ、オイルが上がってきちゃうんで(横になったため、エンジンの入っちゃいけないところにオイルが入ってしまう事)なるべく早くクレーン車の手配したいですね」


「すぐに来てくれるの?」


 キム公が少し難しい顔をする。


「そうですね……小さめのクレーン車なら割りと空いてるんで来てくれるんですけど、25トン級のになると微妙なとこですね」


 と、言いながら携帯を取り出して連絡をしている。


「あ、もしもしタカムラの木村ですが。お世話になってます。ちょっと、お客さんの重機が横転してしまって、起こせるクレーン車に来てほしいんですが……はい、10トン級のバックホーですね、はい、そうですか、わかりました。もう一度連絡入れるので一応予定に入れといてもらっていいですか?はい、お願いします」


 電話を切ると言いにくそうにキム公が若社長さんに告げる。


「いま、空いてるクレーンが無くて、仕事終わってからこっちに来れるのが四時間後くらいになってしまうそうです」


「そうなるとどうなるんですか?」


「間違いなくオイルが回っちゃうんで、エンジンのオーバーホールが必要になると思います。そうすると、全部で20万くらいかかってしまうと思います」


 ドンと倍になっちゃった!?


「無理矢理にでも起こすってのはダメなのかい?」


 キム公は少し考えてから


「起こせないことは無いですが、社長が仰るように無理矢理なので、起こしたときに衝撃で他の関節部分が傷む可能性も在りますし、何より危険ですよ」


 みんなが頭を抱えて困っちゃってるねぇ……しょうがないなぁ一肌脱ぐかなぁー。


「木村さん、ボクちょっと事務所の方に戻りますね」


 と、パチパチキム公に向かってウィンクしながら言う。


「あ、ああ、わかりました?」

 

 顔を赤くしながらコクコク頷くキム公。

 お前絶対解ってないだろ!?まあ口に出して説明するわけに行かないので、そそくさと、その場を立ち去るボク。


 事務所に入ると、そのまま通り抜け裏庭に出る。

 そして、誰も見ていないので小さな声で「変身」と呟く。


 口に出す必要は無いんだけど、気分的にね!分解と構築が同時に行われて、あっという間にツナギからボディスーツにチェンジする。そして、髪を伸ばして銀髪に、フェイスガードで顔を隠せば、謎のヒーローの出来上がりー♪


 さーて、うまくできるかなぁー。


感想、ブクマなどしていただけると小躍りします。

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