ヒカルvsハチ=ベイダー
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一人称に書き直しました。
「「「「へ、変身???」」」」
口を揃えてみんなびっくり。優までびっくりしてるのは、クモと戦った時もボク自身は一発殴っただけで終わっちゃったし、しかもその時は素っ裸だったもんね。
今思い出すと、恥ずかしい。他の人に見られなくてよかった・・・。
「ヒ、ヒカルちゃん!マッパはだめよ!マッパは!!」
わかってるよ、ボクはヘンタイじゃないぞ。
「なんですと??」と男どもが一斉に、優とヒカルとを交互に見る。キム公期待に満ちた目で見るんじゃない!
「安心して!ちゃんと着て戦うから!」
とにかく明るいヒカルちゃんみたいな受け答えになったよ。
ボクは、フンッっと両足を肩幅程に広げて立つと気合を入れる。
「変身ッ!!」
本当は叫ぶ必要ないのだけどね、そこはそれ気分的に言ったほうが昂るでしょ色々とね。
だってオタクだもの。
足元から風が巻き起こってボクをを包み込み、着ていた白い綿素材のワンピースをはためかせる。おっと、おパンツは見えそうで見えないギリギリのラインだよ。
チラリズム万歳。
ワンピースが徐々に分解されて、ボクの肌色面積が広くなっていく。
ゴクリと生唾を飲み込む鷹村以外の三人(なんで優が興奮してんの?)。
そして全部見えちゃうの??と思わせるギリギリのところで、今度は皮膚にぴったりとしたような黒いラバースーツで身体を覆っていく。
この見えそうで見えないのが難しいんだよねー、よく子供の頃ビデオの一時停止で、変身シーンをコマ送りして頑張ってたのは淡い思ひで。
変身魔法少女ばりの変身に、どこからかため息が聞こえる気がする。
そして体の線がハッキリと出るラバースーツの様な服に「これはこれで・・・」などと言いつつ頷きあっていた。
ボクは拳を打ち合わせると、棘のついたナックルガードを構築する。脚にも脛あて膝あて(勿論棘付き)などが構築されていく。
栗色の髪の毛を、ファサッっと伸ばして銀髪に変えて、最後にフェイスガードがシャッと顔を覆うと、ボクを纏っていた風が弾ける。
まあ全部この辺のコントロールはエレスがやってくれてるんだけどね。
「へ、変身したっすね・・・」
タクが、つぶやいた。それに答えるようにキム公も言った。
「あ、ああ・・・なんか・・・えろいな」
正義の味方を何て目で見てやがる。
「えろくないもん!!動きやすくて丈夫なんだもん!!」
さすがに怒ると、鷹村と優に二人は拳骨をくらった。
「お前ら、そういうのは思っても口に出すんじゃない!セクハラだぞっ!」
鷹村が注意してくれたけど、そうハッキリ言われるとかえって恥ずかしいですよ?
二人は頭を抱えてながら「鷹村さんも思ってたんじゃないですか!」と口答えしてた。
しかし鷹村はニヤリとしたり顔でいった。
「口に出してないから俺はセーフだ、心の中でどう思うかはわからんだろ?」
思ってたんだ。いやらしいって思ってたんだ。
そんな三人はどうでもいいとばかりに、優はスマホでボクのスーツ姿をパシャパシャと激写している。
ホントになにしてんの!?ウチの奥さん!!
「ちょっ奥さんずるいっす!自分たちだって我慢してるのに!!」
そんな若者二人をちらっと、一瞥すると優は言い放つ。
「私は夫婦だからいいの!誰にも気兼ねすることなく撮ってもいいの!だってアレは私のだもの!!」
言ってることは間違ってないんだけど、人としてどうなの?
そんな緊迫感の欠片もないやり取りに、溜息を吐きつつ気を取り直してハチ=ベイダーを睨み付ける。
「さあ、やろうか」
風の力を足に集めて、ヴンッと姿がかすむほどの猛ダッシュで間合いを詰める。
しかし相手もハチの能力を如何なく発揮して、ダッシュに合わせるかのように横に回り込んできた。
はやっ!ハチの機動力すごすぎでしょ!
連続で撃ち出される毒針に、針どんだけ入ってるのよと心の中でツッコミつつ、今度は躱さず風の壁を作り出して軌道をずらしてやる。
風の壁を裏から拳で撃ち抜いて風の砲弾をハチ=ベイダーに向かって弾き出す。
毒針は撃ち尽くしちゃったのか、敵は横にスライドして砲弾を避けると、10mほど上空に飛び上がる。
ボクははぐっと踏み込んで、足元の地面を砕きつつ、同じ高さまで跳びあがる。そして風の力を利用し少し滞空した。
しかしハチ=ベイダーはそんなボクを嘲笑うかのように、右に左に小気味よくスライドして見せる。
まるで、ここは俺の領域だと言ってる様な挑発的な行動に少しムカツクなぁ。(怒)
ハチ=ベイダーが『ヴンッ』という音と共に姿を消した。
何処へ?と思った次の瞬間にはボクの真横に現れる。
ボクは慌てて風を操作して離れようとしたけど、それは悪手だった。
圧倒的な機動力の差で、ハチ=ベイダーはボクに追いつくと生成されたばかりの針を突き立ててくる。
本来、蜂っていうのは、針を刺すときには相手に捕まらないと刺せないのだけど、違う次元の奴らにそんな常識は通じないらしく、針で何度も『突き』を繰り出してくる。
知らないってことは恐ろしいと思いつつ、体を捻りながら何とか針を躱し続ける。
だけどそんな無茶な回避がいつまでも続けられるわけが無く、ついに針がボクのお尻に突き刺さる。
「ブスッ!」と音が聞こえるくらいに刺さるが、ボクのスーツの強度のせいか、突き破れずお尻の弾力に負けて「ポイーン」と跳ね返してしまった。
下でみんなが「おおっナイス尻!!」といってサムズアップしている。
うるさいな、誰だケツ圧すげえとかいってるの!あとで絶対泣かす!!
優は優で相変わらずまだパシャパシャと写真を撮っていた。
少し顔を赤めてお尻をさすりつつ、ボクは地上に降りる。
「やっぱり空中じゃ分が悪いなぁ」
と、空中でブンブンご機嫌にスライドながら飛んでいるハチ=ベイダーを睨み付ける。
こちらに向かって、その大きな顎をカチカチ鳴らして、まるで笑っているかのようなリアクションをとっていたハチ=ベイダーは、何か思いついたようにボクの後ろのほうを見るような仕草をした。嫌な予感がする。
エレスもその意図に気づいたらしく警告してくる。
『奥様達が狙われています。速やかに退避してください』
ボクは慌てて後ろを見る。しかしその行動が仇となった。一瞬目を離したすきに、ハチ=ベイダーは『ヴンッ』と瞬間移動のように消えると、その腕にタクを抱え込んで再び高度を上げた。
ちっちゃいから運びやすそうだったのかな?
「うああああああああ、むし駄目っすぅうぅうううう!!」
ハチ=ベイダーに抱え込まれたタクの絶叫が木霊する。みんなが「アイツ意外と余裕あるんじゃね?」などと思ったりもしたのだが、実際あの高さから離されただけでも、大けがじゃ済まないだろうな。
ご機嫌な様子でカチカチと顎を鳴らすと、ゆっくりボクの方に向き直り、針の先を向けてくる。
「これはあれかな・・・避けるなよってことだよね?」
『おそらくは』
後手に回ってしまった自分に歯噛みしつつ、気合を入れて脚を踏ん張る。
容赦なく一本の毒針が打ち出される。体のど真ん中、胸の下あたりに突き刺さる毒針。
さすがに衝撃までは殺しきれなくて「グフッ」と肺から空気が絞り出されるような声をだして、ボクは5mほど吹っ飛ばされる。
刺さることは無かったが、鳩尾の辺りに鈍い痛みを感じて仰向けになったままおなかの辺りを摩る。すると、強靭なはずのスーツがボロボロと崩れ落ちた。どうやら毒は通さなかったけれど、スーツの耐久度を超えちゃったらしい。
穴を再構築して塞ごうとするボクに、ハチ=ベイダーは再び顎をカチカチ鳴らしながら、タクを見せつける。
もうすでに、タクの意識は無く白目を剥いていた。そしてグレーのツナギの股間の辺りが、黒っぽくシミが広がっているのは見なかったことにしてあげよう。
再び毒針を向けてくるハチ=ベイダーに、ボクとエレスはその意図が分かってしまった。
「な、直すなってこと?」
『最悪の展開です。こんなことで奴らとコミュニケーションが取れるとは...』
ニヤリと奴の顔が笑ったような気がした。
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