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ヒカルちゃん職場にいく その4

深夜更新すみません。

読んでくれてる方々ありがとうございます。

 

一人称に書き直しました。

 事務所の応接室。パーテーションで区切られ、真ん中のローテブルを囲むように、四人掛けのソファーに向かい合わせた一人掛けのソファーが二つ並び、上座と下座にも一人掛けのソファーが置いてある。

 まあそれほど使うこともないので、形だけ整えてあるような応接セットである。

 

 そんなソファーに座って、無言でお茶を飲む5名。


 ズズーっと誰かのお茶をすする音が響く。


「さーってと・・・どうしようかな、徳さんの事情は分かったけどどうしたもんかな」


 微妙な空気を壊したかったのか、鷹村が口を開く。


「ヒカルで」「ヒカルちゃんでお願いします」


 ボクと優が訂正する。ぱちくりとする鷹村。


「え?」


「だから、ヒカルでお願い。この姿の時はもうそっちじゃないと耐えられない」


 ボクが顔を覆ってプルプルしながらお願いする。


「あ、ああ、そゆことね・・・」


 なんとなく納得した鷹村。


「それで、記憶とかそういうのは徳さん・・・今のはいいよな?なんかややこしいが、徳さんのでいいってことだな」


 鷹村の言葉にボクがコクリと頷き返す。


「うん・・・そうだよ。喋り方はボクの中にいるエレスって言うコが変えちゃってるから、こんな口調だけど、記憶やそのた諸々は光一のままだよ」


 そう、ボクは乙女じゃない、乙女じゃないぞー鷹村の笑顔にドキドキなんてしないんだぞー。


「そうか。じゃあ仕事に関してはホントに問題なさげだな。だけど、死亡届とか出ちゃってるから戸籍がないのか・・・」


 現在一番の悩みなんだよね、それが。


「そうなんだ・・・焼かれてから生き返ったから、もう死亡届出ちゃったんだよね。だからもう戸籍ないんだよ・・・これからどうしようかな・・・ほんとに」


「実際もう。履歴書とか書けないだろうな・・・つまり事情知ってるウチくらいしか働けないってことか」


「うん・・・」


 その通りです、はい。


「ウチで働いてもらえばいいんじゃないですか?」


「なんか難しい事でもあるんすか?」


今まで黙って聞いていたキム公とタクが口を挟むと、少しと考え込む鷹村。


「いやな、中身が徳さんだから即戦力なのは間違いないし、身元もはっきりしてるからいいんだけどな。今はめんどくさいことがあるんだよな。マイナンバーとかさ。それにここまで通うのとかな。問題は結構あるんだよな」


 といいながら、チラリとボクを見る。ボクと鷹村とおんなじことを考えてたんだと思う。

 

 そんな二人を横目に優が口を開く。


「やっぱり、色々弊害は出てくるわね、戸籍が無いってことは」


「まず、普通に働いてもいいんだが雇う時点でマイナンバー登録することになる。税金とかな、そういうの管理されるからな。まあ、その辺りは誰かの名前借りて、こっちはバイトみたいにしとけば給料渡すことは問題ないんだがね。やっぱり免許とかは誤魔化しがきかないな」


「そうなんだよねぇ・・・」


 再び考え込んでしまう3人。


「免許なんかいらないじゃないですか!俺が迎えに行きます」


「いや、だから自分のほうが近いんですって!自分が行くっす!」


 まだいうかお前たち。荒ぶる若者二人どうにかしてほんとに。


「あ゛あ゛っ?」


 ギンッっと睨み付ける優に、鎮火する二人。ウチの嫁さん強えぇ。

 そしてそんな様子を見て、再び鷹村が「はぁ~」と溜息をつく。


「お前らな、そんなことしてたらヒカルちゃんが働き辛いだろうが・・・。せっかく働きにこれたとしても、お前らがそんなに自分の事でギスギスしてたら辞めたくなっちゃうだろ」


「おっ俺はだいじょうぶですよ!」


「自分だって常に平常心っす!」


 全然だいじょうぶじゃないし、平常心じゃないよね?二人とも。

 慌てて姿勢を正す二人。そんな二人をボクはジーーっと見つめて問いただす。


「ほんとに大丈夫?ボクのせいで二人がケンカして社長に迷惑かかるくらいなら、ボクは喜んで自宅警備員ニートともいうになってみせる!」


 言ってやったぜ!いいのボク家事全般できるから。

 言い切りやがったコイツと思わずヒカルの中に「ヒモ」を感じた三人。そんな男たちの心中を知ってか知らずか優が言い放つ。


「ええ、私の稼ぎだけでもヒカルちゃんくらい食べさせていけます!私の目の届かないところでナニかあったらと思うと、それだけでもうっもうっ!!」


 たまに暴走するよね・・・キミ。

 鷹村が「はぁ~~~~~」と三度目のため息をふかぁーくついた。そりゃつきたくもなるわ。


「徳・・・ヒカルちゃんはどうしたいんだ?働きたいのか?」


「ホントは働きたいよ・・・優に食べさせてもらうなんて、ちょっと男としてどうなのって思うしね」


 いい顔して言ってみる、とてもさっきヒモ宣言した人間とは思えまい。


 微妙な空気を感じ取ったのか、エレスが突然発言した


『次元干渉を感じました』


 唐突にしゃべるエレスに驚く三人。


 ボクや優は慣れてるが、念話なんて感覚は三人とも初めてだろう。


「な、なんだ?今の誰だ!?」


 鷹村がボクらに聞いてくる。優がその問いに答える。


「今のはヒカルちゃんの中にいるサポートシステムのエレスよ。侵略者が現れるのを感じ取ったのよ」


「侵略者って、あれか?徳さんの死んだ原因になって、最近ニュースでもちょくちょくでてるアイツか?」


「ええ、そうよ。侵略者から地球(実際は私達なんだけど)を守るって言うのが、ヒカルちゃんが生き返るために、エレスと交わした契約なの」


「戦うって言っても、ヒカルちゃんみたいな女の子が戦えるんすか?」


 お、バカにしてるね?


「あのね、ヒカルちゃんは見た目は確かに女の子だけど、実際には精神球って不思議物体が構築した身体なのよ?あなたたちよりもよっぽど強いわよ」


『不思議物体とは失礼な』

 

 自分が変な言い方されて少し不満そうなエレス。


 そんなエレスの不満はスルーして隣で頷くボク。


「それでも・・・俺は戦ってほしくない」


 ボクを見つめて心の底から願うようにキム公がつぶやいた。

 そんな二人を交互に見た後、ボクは窓の外に目を向けて言う。


「ボクは守られたくてこんな格好になったわけじゃないよ。家族を守るために生き返ったんだよ。だから戦うことに関しては誰にも譲れないよ」


「「・・・・・・」」


 ボクの横顔に強い決意を感じたのか何も言えなくなる二人。


『侵略者が憑依したようです。エネルギー反応が増大しました』


 エレスの言葉の後、窓ガラスがビリビリと細かく震えていた。


「外に出るよ」


 ボクは短く言うとワンピースの裾を翻して立ち上がる。


「本当に大丈夫なのか?ヒカルちゃん」


 と、少し心配そうに聞く鷹村。


「このためのボクなんだよ」


 と微笑み返して事務所のドアを開く。


 外に出たボクの耳を震わす低周波の様な『ヴゥーーーーーーーーン』という音。

 辺りを見回すが侵略者の姿は見えない。


「エレスどこにいるかわかる?」


『もう視界圏内にいるはずなのですが・・・』


 その時斜め後ろに殺気を感じ取ったボクは、横に転がって回避行動をとる。


 カカカッ!!


 ボクが元居た場所に突き刺さる針のようなもの、刺さった場所が変色している。


『どうやら針から毒が注入されているようです』


 ヴゥンという音と共に視界の隅を何か滑り様に移動してるのが目に入った。

 風の精霊を足に纏って高速でバックステップして、視界を拡くとるとようやく相手の姿が目に映る。


「こいつが・・・」


 右に左に滑るように侵略者は飛んでいた。その姿はスズメバチ。


『こいつの名前は・・・』


 いつものエレスの名前付けが始まった。


「ねえ、エレスその名前さ、もう自分が戦うんじゃないんだから、つけなくてもよくない?」


 ちょっと毎回名前覚えるのツラくって・・・。


『そ、そんなっ私の唯一の楽しみを奪うというのですかっご主人様っ』


「いや奪うとかじゃなくてね?俗称でよくない?ハチ=ベイダーとかさ」


『その「ベイダー」はどこから来たんですか、ご主人様』


「まあ、侵略者のインベイダーのベイダーなんだけどさ、だめ?」


 と言いながら小首をかしげる。


『ブッッボタボタボタ・・・』なにか液体がこぼれたような音がする。


「なに?なんの音??」


『だ、大丈夫です。ご主人様の愛らしさに鼻血が出ただけです」


「ちっとも大丈夫じゃないよねっ!?」


 最近ボクの周りの人(?)たちのポンコツ化がヒドイ。


『ご主人様の愛らしさに免じて俗称扱いを認めましょう』


「ま、まあそれでいいならボクはいいけどね・・・?」


 なんかどんどんチョロくなってくな、エレス。


 そんな呑気な会話をしてる間に、再びハチ=ベイダーの針が生成され「ジャキン」という音と共に針が腹の先にセットされる。

 どうやら打ち尽くすとしばらく生成に時間がかかるみたいだね。


 鷹村たちが事務所から用心しながら出てくる。


「なっなんすか?あのデカい蜂は!自分虫だめっす!」


 騒ぐタク、実際に間近で侵略者を見て唖然とする鷹村達。


 ボクはハチ=ベイダーと対峙しながら、鷹村たちに向かって言う。


 きっと今を逃したら言う時がない!


「見ててください!ボクの変身!!」


 ずっと言いたくてしかたがなかったんだよねー、『仮○ライダーク○ガ』の台詞。


 三人の後ろで優があきれたような顔で見てたけど、気が付かないフリをしておいた。





やっとこさバトルになりました。

感想、ブクマなどしていただけると小躍りします。

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