ヒカルちゃん職場にいく その3
初めてブクマされました。
うれしいです、励みになります!
これからも頑張って書くのでヨロシクです。
(*´∀`)
一人称に書き直しました。
ボクは場内を勝手知ったるように歩いていた。
そりゃそうだだって、1週間ほど前までは、普通にここで働いていたのだから。
なんだかずいぶん昔の事に感じるのはこの一週間が色々とありすぎたせいかも?
板金でもしているのだろうか、『ガーンガーン』と鉄板をハンマーで叩いてる音が響いている。
ボクは邪魔をしないようにと、工場の入り口の陰から、そっと中を覗きこむ。
そこでは、長身の若者がガストーチで鉄板を炙り、真っ赤になった鉄板をハンマーで叩いて真っ直ぐに直していた。若手のリーダー「木村 敦」、年齢は30歳。無口で職人気質、板金に関してこの会社では、右に出るものはいないだだろうね。ボクは彼の事を「キム公」って呼んでたんだ。
ボクに最もよくなついていたのは、彼かも知れない。
心なしかいつもよりも、横顔が元気なさそうなのは気のせいかなぁ。
「アツシさん、仕上がりそうっすか?」
そんな彼に横合いから声がかかる。後輩の「大木 卓弥」だ。みんなに「タク」って呼ばれてる彼、年齢は27歳、背格好は小柄で、痩せている。
若いのに結構しっかりしてる彼の担当は機械の修理で、その小さな身体を活かして、機械の隙間に入り込んでの修理が得意なんだっけ。
キム公とよく組んで車等を直していることが多い。
今しがたキム公が叩いていたのも、タクが直している車か何かの外装部分なのだろう。
自分の担当部分が終わりそうなので、経過を聞きにきたのだろう。
「おう、タクか、もうちょいだな・・・ここの部分がいまいちなんだ」
「そっすか、自分もまだ他のとこあるんで、そっちやってるっすね」
「おう、そうしてくれ」
そう言って、板金している部品を見ながら、少し考え事をしているようだ。
そんなキム公に、タクが語りかける。
「また徳さんのこと考えてるんすか?」
「ん・・・ああ、まあ何もかも急すぎたからな」
「そうっすね・・・自分もまだ居なくなったなんて信じられないっすよ。今でもそこら辺からひょっこり現れるんじゃないか・・・って?」
そう言いながら入り口の方に目を向けてくるもんだから、覗き込んでたボクとばっちり目が合ってしまった。
「・・・誰っすか?お客さんじゃないっすよね?」
やばい、誤魔化さないと。
「え・・・と、その・・・こんにちわ?ちょっと見学してました」
そんな二人のやり取りを聞いていたキム公も、ボクの方に目を向ける。そしてボクと目が合うなり「ボッ」と音がするんじゃないかと思うくらい赤くなる。
「お・・・ああ・・・」
などと変な声を出しボクの事を、凝視し続けること約1分。持っていた鉄板を「カラン」と落とすとスックと立ち上がった。だいじょぶかな?
そしてボクの方にズンズン近づいてきたかと思うと、スッと頭をさげ右手を差し出した。ナニ?なんなの?なんか昔やってた「紅クジラ団」とかで見たことあるんですけど?この光景。
「一目惚れだ!結婚してくれ!!」
余りのことに固まるボクとタク。頭を下げたままの格好で微動だにしないキム公。なに?このカオスな状況。
二人が同時に「「はぁあああああああ!?」」と声をあげると、キム公が顔をガバッっと上げて言った。
「こんな気持ち30年生きてきて初めてなんだ!!ビビっと来たんだ。もう、運命としか思えないんだ!!」
キム公の瞳のなかには炎が燃え盛っていた。いやお前無口キャラどこいった??
「あ、アホかーーーぁあ!!」
ボクはツッコミながら木村にボディブローをぶち込む。キム公は「ぐっふぅっ!!」ともんどりうって飛んでいく。
「さっきまでの悲しげな空気はなんだったんだよ!?ボクの胸の痛みを返せっ!今すぐ返せっ!!」
そして、キッとタクを睨んむと、ポッと赤くなるタク、お前もか!
「大体ねっタクもタクだよっ!!なんで、キム公の事止めないんだよっ!あんたたちコンビでしょ!バカァ!!」
怒りまくるボクにに呆然とするタク。キム公が「イテテ・・・」と言いながら起き上がってくると言った。
「キミ・・・なんで俺達の名前知ってるんだ?それにキム公って・・・」
不味い、ついいつも呼んでた名前で呼んじゃった!それを聞いていたタクがハッとなる。
「そんな呼び方するの徳さんしかいないっす」
ボクの心拍数が跳ね上がる。
コイツ鋭すぎるだろ!外見がまったく違うんだからそこにいきなりいくんじゃないよ!まったく。
「それにこの的確にレバーを突いてくるボディブロー・・・徳さんのツッコミそのものだ・・・」
キム公が横っ腹を擦りつつ、ボクのことをじーっとを見つめてくる。
自分の眼がばっちゃばっちゃとクロールかって言う位に泳ぎまくっているのがわかる。
「と、トクサンッテダレデスカ?ソンナヒトシリマセンアルヨ」
動揺しまくりで、プヒューとならない口笛を吹きながら目をそらす。ボクのそんな姿を見てタクがつぶやく。
「その誤魔化し方も、徳さんそっくりっすね・・・」
「ああ、生き写しみたいだな・・・まさか、徳さんの生まれ変わり・・・?まさかな」
キム公、惜しい。
「は、ははっそんなラノベみたいなこと起きるわけないじゃないっすか・・・いくら徳さんギャグみたいな生き方だったからって」
タク、起きちゃったんだよなぁこれが。っていうか人に人生ギャグとかいうな。
そんな二人の言葉を聞いていて、いたたまれなくなってボクは思わず叫んでしまう。
「わ、悪かったな!ラノベみたいで!!ボクだってまさかこんな事になるなんて思って無かったもん!ふわあああん!!」
ボクは興奮してまくしたてると、泣き崩れてしまう。二人はそんなボクを見てオロオロとする。
「え?ええ??まじっすか??徳さんなんすか??」
「えええーーー、俺の初恋は徳さん??イヤでもこれはこれで・・・」
キム公、お前30歳で初恋ってそれどうなの?
そんな騒ぎを聞き付けたのか、優と鷹村が事務所から出てくる。
「なんだ!ケンカか!っと・・・ヒカルちゃん!?お前らなんかしたのか!!」
慌てる鷹村に、現場の様子を見てなんとなーく察してしまった優は、ボクに近づくとぎゅっと抱きしめてやさしく言う。
「どうせ、あなたの事だからバレちゃったんでしょ?もう正直に言っちゃえばいいんじゃない?どうせ、この後社長さんあなたに仕事しないかって言うつもりだったみたいだし。遅かれ早かれどうせバレるわよ」
そんな優の言葉にボクは目をグシグシと擦りながら、しばらく考えた。
じっとボクが話し出すのを待つ四人。1分程考えた後ボクはゆっくりと口を開く。
「あのね・・・ボク生き返っちゃったんだ。女の子として」
ボクはこの1週間の事を話す。どうして自分が生き返ったのか、そして侵略者と戦わなければいけないことを。
黙って聞いてる3人。
「いまボク車の免許とかも取れないんだ。死んじゃった事になってるからね・・・ここまで来るのに送ってもらう訳にいかないし、迷惑かけられないよ」
「俺が毎日送る!」
キム公が叫ぶ。まだ瞳が燃え盛ってるのは気のせいだろうか。
「いや・・・キム公、家の場所ウチとまるっきり反対方向だよね!?」
あきらかにおかしな提案だよね?それは。
「早起きする!毎日5時に起きて家に迎えにいく!だから送らせてくれ!いや送らせてください!!」
もはや、懇願になってるし。放っておくと土下座しそうな勢いだよ。
そんなキム公にちょっと四人はちょっと引いちゃっていたんだけど。
「いや・・・方向的に言ったら自分が送った方がいいんじゃないっすかね?」
タクまでもじもじしながら、なんか言い出した。いい加減にしてほしい。
「あぁん?」
「なっなんすか?」
険悪なムードになる、キム公とタク。
「ふっ、二人がそんな風になるなら尚更ボク働けないよっ」
そんな二人を見てボクは慌てて止める。
「あなた達」
冷たい声が響き渡る。ビクッとしながらそちらを見ると、優が青筋を浮かべながらニコリと笑っていた。
もちろん眼は笑っていない。
「私の事忘れて何トチ狂っちゃってるのかしら?言っときますけどね、ヒカルちゃんは私のですからね?誰にもあげませんからね?勝手に取り合わないでちょうだい!」
余りの迫力に二人は「「スイマセン!!」」とちっちゃくなった。
鷹村はそんなやり取りをみて、ヤレヤレと溜め息をつくのだった。
バトルものを書いてた筈なのになかなか戦いませんね。
ホントすみません。(汗)
感想、ブクマなどしていただけると小躍りします。