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ヒカルの能力その2

深夜に投稿です。すみませぬ。

一人称に書き直しました。

 「ヒカルちゃんがイメージすれば、何でも作れるの?」


 友里が、左側から抱きつきながら聞いてくる。

 ボクは右の手のひらの上で、ナイフやフォークのようなものを創っては、分解しを繰り返していた。

 何のためにこんなことを繰り返しているかっていうと、原子操作にどれだけのエネルギーを使うのか調べているんだよね。

 わかったのは、原子操作を繰り返していると50回くらいで、めっちゃお腹が空きはじめる。なんかきゅーーーって痛くなる感じ。

 分解の方がエネルギーはつかわないみたい。


「イメージ通りに作れるって言っても、単純な構造のモノだねー。例えば友里が持ってるゲーム機とか、複雑な電子部品とか、あといきなり車を作るとかは無理だろうね。でも、ある程度の部品とか、そういうものを組み合わせて作るのは可能かもね。とにかく自分のイメージがハッキリしないものはダメなんだろうね。」


「そっかー、ゲーム機作れたら、ヒカルちゃんとゲーム出来ると思ったのになー」


 なんかナチュラルにヒカルちゃん呼びで、パパって呼んでくれないんですけどー。ちょっとさみしいんですけどー。

 でも前よりスキンシップが多くなったから、プラマイゼロかなー、いいのかなーとそんなこと考えながら、ボクは最後にスプーンを構築してテーブルの上に置いた。

 これは構築したものが、どのくらいで消えるか試しているとこ。火葬場で構築した服は、今朝着ようと思ったら消えちゃってたんだよね。

 どうも体から離れるとその分子結合が、保てなくなるんじゃないかなー、という結論を出してみた。

 原子操作のし過ぎで、ボクのお腹が「クゥ」と鳴ったので、少し早めのお昼をお願いした。

 三人で仲良くキッチンに並んで料理する。端から見れば仲良し母娘みたいにみえるのかな?

 ボクの身長は三人の中では一番大きいけど、それでも世間一般からしたら、こじんまりとしたほうだよね。

 年齢的にはどう見ても18歳くらいだから、知らない人が見たらきっと、優の娘で、友里のお姉ちゃんみたいな感じにみえるのかなー。


 手早くボクの好物の焼きそばを作って、みんなでテーブルに戻ってくると、さっき置いたスプーンが消え始めていた。

 約30分くらいかなぁ、意外と短いなと思いながら観察する。

 しゅわしゅわと表面から細かい粒子が離れてく様は、まるで風化して崩れさっていくのを、早回しの映像で見ているみたいだね。ちょっとだけ悲しい気持ちになる。


 焼きそばを食べながらボクは二人に言った。


「午後はちょっと、人気のない場所に行きたいんだ」


 優は、麺をモグモグゴクンと飲み込んで


「いいけど、何しにいくの?」


 と、聞いてきた。


「あのね、ちょっと家のなかじゃ試せない能力を調べなきゃって思ってたんだ。いつまた侵略者がくるかわかんないから、なにが出来るのか把握しておきたいんだよね」


 優は成る程、と頷きかえし行き先を考えてくれてるみたい。


「じゃあ、キャンプで行った、八房山まで行ってみる?1時間かからないし、今の時期ならまだ少し寒いから、キャンプしてる人もいないでしょ」


 さすが優。ナイスな場所を指定してきた。


「んーそうだね、あそこでいいかな」


「あー、あそこ行くならコンビニ寄ってお菓子とか買ってこーよ」


 と、友里がピクニック的な提案をする。


「ふふ、わかったよ。じゃあみんなで片付けしちゃおっか」


 ボクは微笑みながら、友里の頭をなでなでしてあげた。

 いつもしていた何気ない事なんだけど、友里は顔をゆでダコのようにしながら「不意討ちは反則だよぉー」などと言いながらテーブルに突っ伏していた。なんで反則?

 そんな二人のやりとりを見てた優が「いいなー、わたしも…」みたいな顔で、ボクの顔をじーっと見てきたので、しばらく撫でりあいが続いたのだった。


 優が食器を洗い、ボクがお湯で泡を流し、それを友里が拭いて食器棚にしまっていると「ピンポーン」と、呼び鈴の音がした。「あら、だれかしら?」と言いながら、優はエプロンで濡れた手を拭きながら、がインターホンの画面をのぞき込む。


「はいはいーどちらさまー?」


 すると、インターホンからは聞きなれた声が答えた。


「壮太っす、この度は御愁傷様でした。おじさんにお線香あげさせてもらおうと思って・・・」


 誰かと思ったら、友里の幼馴染みの『石田 壮太』君だった。


 家が近所で幼稚園の頃から中学校まで、友里一緒だったんだけど、高校で友里が女子高に進学したために、泣く泣く違う学校に進学したのだっっけね。

 それでも、たまに遊びに来ては、友里にちょっかい出して邪険にされてたっけなー、まぁめげない性格は男からみたら憎めないんだけどね。

 だけどボクたちは壮太君の言葉で色々大事なことを思い出したんだよね。

 そして三人ともおんなじこと考えたのか顔を見合わせて、一筋の汗が頬を伝った。


「すっかり忘れてたけど、ウチって喪中だったんだねぇ・・・」


 その本人がこうしてピンピンしちゃってるんだから、そりゃみんな忘れちゃうよね。


 光一(オレ)ヒカル(ボク)に生まれ変わっちゃったせいで、すっかり忘れていたが、優が家にいるのだってよく考えたら、忌引き休暇だったんだよね。

 けっしてボクから離れるのが嫌で、ずる休みしてた訳じゃないと思うんだ、たぶん。

 壮太くんのおかげで、色んな問題が山積みなことを思い出したボク達は、とりあえずこのままにしとくのもなんなので、壮太くんを家に上げることにした。


「あれー、御仏壇ないんすね?」


 入る人がいなくなっちゃったからね、とは言えずどうしようか、と顔を見合わせる。そこで友里が機転を効かせて言った。


「あー、あれよ、あれ。そう!鳥葬!!パパは土の下なんて似合わないって事で、鳥葬にしたのよ!だからウチは仏壇無いの!」

 

 よりによって鳥葬って・・・ここはチベットかなにかですか?


「へー、そんなのあるんだー知らなかったっす。じゃあおじさんは今頃空を飛んでるんスねー」


 などと、言いながらどこか遠い目をしていた。


 お前もあっさり納得してちゃだめなんじゃないのかな?そして遠い目をしつつなんだかこちらをチラチラ横目で見ている気がする。

 いつもなら友里にちょっかいだして、怒られてるところなんだけど、今日は見慣れぬ人間ボクなんだけどねがいるせいか、どことなく落ち着きがない。


 よく考えたらボクの格好って青少年には目の毒かも?だってホットパンツとか自分が男の頃だったら、間違いなくチラ見しちゃうもんね。

 しかも自分で言うのもなんだけど、今のボクはかなりハイレベルな美少女だもの、そりゃ気になるわ。

 ちょっと恥ずかしくなってきてボクはソファーの上で胡坐から体育座りにして、そばにあったクッションを抱え込んでちょっとガードした。

 その行動で少し我を取り戻したのか壮太くんが再起動した。


「こっ、このお姉さんは誰ッスか?」


 友里が困ったような顔で、助けを求めて二人を見る。

 ボクはプルプルと顔を横に振り「なんて言えばいいか、わかんない」のジェスチャーをすると、その姿に萌えつつ優が答えた。


「ヒカルちゃんっていうの。ウチのちょっと遠い親戚筋にあたるんだけどね。しばらくウチで預かることになったのよ」


「じゃっじゃあしばらくの間いらっしゃるんスね!?」


 もはや敬語なのかなんなのか、よくわからない感じで興奮気味の壮太くんにちょっと怖いものを感じた。

 女性二人(ボクを除く)に「お前、友里が好きだったんじゃないんかい!」と白い目で見られてるのも気づかずに壮太くんはボクに向き直ると高らかに自己紹介した。


「オレっ石田壮太っていいますっ。友里とは幼馴染みッス。良かったら友達になってください!!」


 友里が、生ゴミをみるような目で壮太を見つめちゃってるよ。女の子がそんな目しちゃだめだと思う。

 優は、「あーあ、しーらない」と苦笑いを浮かべている。

 ボクはちょっと頬をヒクつかせながらも、壮太くんの自己紹介&友達?になってください宣言に応えるべく言った。


「へぇ、壮太くんって言うんだ。ボクはヒカル。しばらくはここにいるから何かあったらヨロシクね」


と言いながら、顔を真っ赤にしている壮太くんにニコっと微笑みかけた。

 エヘラエヘラと、気持ち悪い笑いかたをしている壮太くんは、何を思ったのかボクの手を取ってギュッと握りしめた。

 ボクが壮太くんと手を繋いでるのを見て、友里の顔が般若のようになった。

 パシンとの壮太くんの手を叩いてボクの手から離させる。あまりの事に呆然とするしかない壮太くん。

そんな壮太くんを尻目にボクをギュッと抱き寄せたかと思うと友里が言い放った。


「ヒカルちゃんは、わたしのなんだから!気安く触らないで!!」


 おおう、いつからボクは友里のものになったんでせうか?

 それを聞いた壮太くんは唖然としながら「え?ええ?」としか言えなかった。そりゃそうだよねー、友里もいつもそんなこと言う子じゃないんだけど、なんだか感情的になってるみたいだ。

 思春期ってやつかなー、この年頃の女の子は複雑だね。

そして壮太くんは友里に「もう出掛けるから帰って」と言われて、強制的に家から追い出されてしまった。

 そして、肩で荒く息をしながら友里はジロリとボクをみた。目が据わってて怖いんだけど・・・。

 

「別に壮ちゃんは好きでも何でも無いからどうでもいいけど、ヒカルちゃんは他の子、特に男子と仲良くしちゃダメ!!」

 

 ボクは別に仲良くしてないけど?っていうか元々男だからね?ボク。っていうかボクを見る友里の目が怖いんですけど?これが俗にいうヤンデレってやつなのかな?そんな光のない目でボクを見ないで!ほんと!まじ勘弁してください!!


 あまりの恐怖にプルプルしていると、優が後ろからズビシッと友里の脳天にチョップを喰らわした。

チョップを喰らった友里は一瞬フリーズしていたが徐々に瞳に光が戻ってくる。


「……わたしナニしてた?」


 と脳天をさすりながら聞いてくる。


 よかった、元に戻ってくれたようだ。

 ほんとにちびっちゃうとこだったよ・・・尿道短いから注意しないとね。

 あ、よく考えたらボクそういうのないんだった。便利なんだか、なんだかね。


「優ありがとねー、ほんと助かったよぉ」


 と、後光が射してるかのような優にお礼を言うと


「いいのよー昔から結構あるのよ?この子。ヤンデレ属性なの知らなかった?」


 聞こえない聞こえない、なーんにも聞こえない。



 結局、この一連の騒ぎのせいで、中途半端な時間になっちゃったから、お出かけするのは明日にしようということになったんだ。

意外と進みませんね。

感想、ブクマなどしていただけると小躍りします。

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