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虚空の大穴

ひさしぶりすぎて自分でも前の話読み返したっていうね・・・。

(°▽°)

 その日は寒かったが、雲ひとつない良い天気だった。


 防衛軍本拠地の廊下をカッカッと田所女史が、ヒールの音を響かせて歩いていた。

 仕事場での彼女は、一部の隙もない出来る女の見本のような女性だった。


 まあ徳田家にいる時は、ヒカルたちに真理ちゃんと呼ばれ、仕事場での完璧さなんて微塵も感じられないのだけど。


 そんな彼女が険しい表情で向かっているのは、防衛軍の観測センターだった。

 観測センターでは、地球上で起こっている全ての事象のデータが集まってくる。

 その集中管理室にて朝から警報が鳴りっぱなしらしいのだ。


 真理が管理室に入ると、それに気づいた女性所員がタブレットを持ってすさかず真理に滑るように近づいていく。

 

「真・・・田所先輩、これが富士山頂で起こっている磁力場のデータと、計測値から視覚化したワイヤーフレームです」


「ありがとう、春日さん。この形状は・・・!?」


 春日さんと真理に呼ばれた女性所員の目が、憧れを通り越して、かなりあやしい色を湛えて真理のことを見つめているのだが、当人は既に何人ものそういった後輩がいるのを知っているので、今更彼女のそんな視線は気にしない。

 

 いや、気にしない体を装っているのだ。


 以前、まだそんな彼女のような存在に慣れていない頃、迫られて狼狽えてる先輩がかわいいと、堪らなくなった後輩に、資料室に呼ばれ閉じ込められて、食べられちゃいそうになった過去があるのだ。

 その時は抜け駆け許すまじと、他の後輩が邪魔をしたお陰で事なきを得たのだが、それ以来二度とそういったことにならにようにと、隙を見せない様にしている。


 その結果、何故か女王様のように皆が自分に対して陰から助けてくるために、出世してしまい多くの『妹』を産み出す結果になってしまったのだけど。


 ちなみにその『妹』たちはお互いに認めあい特殊な同盟を築いている。

 その『真理おねえさま同盟』の中では、真理姉様と呼ばれているため、春日さんも思わずそう呼びかけてしまったらしい。


「ええ、そのワイヤーフレームの形状はあるものにとても似ているんです」


 その形状は、富士山頂に向かって集束しているような、巨大な漏斗の様な形状をしていた。


「それは何なんですか?」


 真理が春日さんをじっと見つめて聞き返す。


 春日さん至近距離からの真理視線に、興奮して目眩を覚えるが、グッと堪えて説明を続ける。


「ブラックホールと対になっていると言われる存在、ホワイトホールに酷似しています。しかも実際に富士山頂の映像を見ますと、雲などには一切の影響を与えていないことからも、これは吸い込むモノでは無く()()()()モノだと推測できます」


 シンと静まり返った管理室に、警報の音だけが響き続ける。


「一体・・・何を吐き出すって言うのですか?」


 真理がようやく絞り出した言葉に、春日は首を振り答える。


「私たちではそこまでは解りかねます。だけどこの規模の穴から産み出されるものが、何でもないモノのわけは無いと思われます」


「穴の出口の直径は・・・?」


 タブレットの画面を食い入る様に見つめる真理だが、その顔色は良くない。


「計算では直径約500mです・・・」


 そんな真理に春日は静かに事実を伝える。


「そんな・・・沖縄のクラゲですら複数体が合体して300mだったって言うのに、穴だけでもその大きさだなんて、一体何が起こるって言うの?」


「友好的なモノが出てきてくれたらいいのですが・・・そんな訳は無いですよね・・・」


「磁力場を乱すとか・・・そういうことは出来ないのですか?」


「原理的には有効性が有るかもしれないんですが、磁力場の規模が規模なので・・・一番細い集束部分で500mですから、全体の規模になると10km以上・・・いつ何処かも判らない場所に繋がるかも解りませんが、とてもそれだけの広範囲の磁場を乱すことが出来る様な、装置の作成が間に合うとは思えません」


「でも有効なのね・・・彼女の力を最初から当てにするのは、あんまり良いとは言えないんだけど、緊急事態だししょうがないわよね♪」


 何やら、真理の語尾に、しょうがないと言う言葉以上の感情を敏感に感じとり、春日さんが光が消えた瞳で真理のことを覗きこむ。


「・・・先輩・・・?その彼女ってアレですか?例の守護者ガーディアンの事ですか?その女性ひとって先輩と付き合ってるみたいな噂が流れてるんですけど本当ですか??」


 びくっとなりながらも真理は毅然とした態度を崩さず説明をする。


「そ、そんなわけないでしょ。勿論個人の情報だから隊の方にも色々言えないことがあるから言わないけど、ちゃんと家族ぐるみでお付きあいさせていただいてるわよ」


 何故その説明を聞いて、余計に瞳から光が消え、それどころかどろどろとした澱みのようなモノで濁った瞳を向けながら何やらブツブツいい始める。


「家族ぐるみですって・・・!?それってもう家族公認でベタベタし放題・・・!?ありえない、有り得ないわ、私たちだってこんなにお姉様を愛してるのに、みんなで抜け駆けしないように、お姉様を汚さないように我慢してるって言うのに、あんなポッとでの小娘にお姉様を取られるなんて・・・ハッ!そうだ、みんなに連絡して今から緊急会議だわ!こんな磁力場ごときで騒いでる場合じゃない!敵は富士山頂じゃない!もっと身近にいるのよ!!」


 何やらトリップしてしまってる春日さんに、若干引きつつも真理は一応情報の補正を試みる。


「あ、あの春日さん。付き合ってるって言うのは恋愛とかじゃなくてね、普通によき隣人みたいな感じのお付きあいよ?聞いてますかー?おーい」


 聞いてないように見えてちゃんと聞こえてたのか、春日の瞳が一瞬で光を取り戻すと、真理と鼻先がくっつきそうな距離までずずいっと迫ってくる。


「ホンとですかっ?ホンとに恋愛とかじゃないんですね!?」


 じっと目を合わせてくる春日さんに対して、心のなかでは自分のヒカルに対する感情に気づいてるので、目一杯視線を逸らしたい気持ちでイッパイなのだけど、ここで逸らしたら後々めんどくさい事になりそうなので、グッと我慢しつつ答える。


「ホンとよ。大体『彼女』って言うくらいなんだから女性相手に付き合うもナニも無いでしょ?付き合うならちゃんと男性と・・・」

「あ、そう言うのはいいんで。先輩が男と付き合うとかあり得ないんで。ではその守護者ガーディアンさんに掛け合ってみてください。一応対向するための磁力を出す数字は出てますので渡してください」


 途中で言葉を遮られ、今だ口をパクパクさせてる真理に、春日はプリントアウトさせた紙を渡して自分の席に戻っていった。



 真理が自分に対して、男性職員が近づいてこないのは、自分が隙を見せない意外の原因が、彼女たちの存在のせいだと気付いたのは、それから大分時間が経ってからの事だった。


も少しこまめに更新したいのですが、新しい職場が忙しくて楽しくて、書いてる時間が取りづらい・・・っ!

(。´Д⊂)

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