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俺+エレス少々=ボク

なんだか、読み返して感情移入が出来てないなと思ったので一人称に書き直しました。ほかの話も変えていく予定です。

 火柱の中から飛び出すと、優をちらりと確認する。


 特に怪我などした様子がないとわかると、安堵の溜め息がもれた。

 5日振りに見る愛する妻近付いて、抱き締めたい衝動をおさえて、今度は敵をを睨み付ける。


 自分の目の前には銀髪が腰まで垂れ下がっていて全身が隠れていて良く見えないが、少しだけ見える手足はエレスと大きく異なっていた。

 先ほど敵をを攻撃した手足は、石人形のような質感だったが、それが人間のモノになっていたからだ。

 

 敵から目を離さないように一歩、足を踏み出すと、足元の床材が砕け散り爪先がコンクリート部分にめり込む。

 それ以上めり込まなくなった爪先が捕らえた強力なグリップを感じた瞬間、敵との間合いがゼロになる。

 あまりの移動速度に自分自身でも驚くが、生まれ変わったばかりの自分の身体に違和感は感じられず、まるでずっとこの身体でいたように思い通りに動かすことができた。

 処理能力や、視覚等も冴え渡っており先程の一瞬の動きのなかでも、自分の動きが制御出来ない何て事は全く無かった。


 目の前には吹っ飛ばされてひっくり返った状態のまま、敵がもがいている。


 そう言えばさっきエレスがなんか名前を呼んでいたっけな?なんだっけ?

『タテランテラでございます。ご主人様』

 うお!びっくりしたー。エレスいたんだ?

『はい、サポートの役目に移行しております。存分に活用してください』

そっか、なんかミキシングされてる間そんな事言ってたっけな。

 よしじゃあ目の前のタテランテラとやらを、一応契約通りに処理するとしましょうかね。


 腹を上にしてジタバタしてる敵に一歩近付くと、奴はは慌てて糸を射出して絡めとろうとする。

 ボクはさっき起こした熱をイメージしてみる。

 すると自分の周りにが陽炎のように揺らいで、近付いてきた糸はその目的を果たすこと無く、チリチリと燃えていってしまう。

 その熱波の余波を食らってか、タテランテラが苦しそうにもがいている。

 タテランテラの胸の前辺りに立つと、右腕を引き絞り、正拳突きの構えをとった。「ふっ」っと軽く息を吐き出しながら拳に溜めた力を解き放つ。

 その瞬間、あれだけ頑丈な装甲を誇っていたタテランテラは、拳が当たった場所を中心に爆散して跡形も無くなっていた。

 飛び散った肉片は変化から元に戻ったのか、小さな虫のそれに戻っていく。

 

 よかった、大きな虫の色んなものがスプラッタ的にそこかしこに転がってるのを想像しちゃったから、爆散しても元のサイズに戻ってくれるなら、後処理がめんどくさくなくてよい。

 奴に拳が吸い込まれたときに、何か「核」のようなものを壊した感触があったので、あれが奴等の此方での形態「塊魂かいこん」なのだろうと思った。

 それにしても、ビックリなのは自分の攻撃力の、凄まじさだった。あまりに圧倒的過ぎて笑ってしまう。

 エレスがステンレス柱であれだけどつきまわしても、ビクともしなかった甲殻が、パンチ一発で爆散しちゃうとか、どこぞのハゲたヒーローが趣味の人だよ。


 敵が消え去ったのを確認して優の方に振り替える。


 優はその光景を柱にくっついたまま、ずっと見ていたようで、ボクをじっと見つめる目が、心なしか赤くなっているようだ。

 敵が倒されたのを見て安心したのか、その瞳が潤みだし、大粒の涙がぽろぽろとこぼれ落ちる。

こうちゃん・・・」

 優の口からボクの名前が紡ぎ出される。

 確かな足取りで、ゆっくりと優に近づいていく。なんだか少ししか時間が経ってない筈なのに、ものすごく照れ臭い。

 徐々に二人の距離が縮まっていき、その距離が5m程まで近付いた時、優の顔がなんだか複雑な表情に変わっていく。


「こ、光ちゃん?だよね?なんか心無し縮んじゃったような気が・・・」


 あれかな?生まれたてでまだ肉が足りてないのかな?そう思って自分のもっさりとした銀髪の中から腕を出してみる。

 たしかに細い。しかも見慣れた日に焼けてがっしりとした腕に比べると、生っ白いといった腕だ。

 こんな腕でよくさっきのパワーが出たな、と感心する。


「うん、ボクだよ。なんか肉がついてないよね?あはは腕が細いや。でも力は前よりあるんだよ?」


そう言いながら優に近付くと、拘束していた奴の糸に手をかけて思いっきり引き剥がす。

 優が全然動くことが出来てなかったので、余程強い繊維なのかと思ったら、あっけなく剥がれてしまった。

 ボクの力が強いのか、優が非力なのかは定かじゃ無いけど、思いの外早く優の自由を取り戻せてよかった。


 自由になった優は立ち上がった。

 あ、あれ?こんなに顔近かったっけ?確か前はボクのアゴの下辺りに頭の天辺があったと思うんだけど・・・いまじゃ目線が殆ど一緒だ。

 ボクの方が少しだけ高い感じだけども。


「光ちゃぁぁぁぁん、ホンとによかったよぉ!」


 感極まったのか、優はその辺りの事は気付かなかったようで、ボクに抱きついてきた。


ムニュ


 そこで、優の動きが止まる。


 あれ?今なんかおかしな感触があったぞ?なんかマシュマロを二個ぎゅっと潰したような。


 そして優が何やら「あっれー・・・この人こんなに柔らかかったっけ?」と呟きながら、再度ギュッっと抱き締めてくる。


ムニョムニュン


 明らかにおかしいなんかある。


 特に胸の辺りに違和感がある。


 優が慌ててモッサリした髪を掻き分けてくる。そして、ボクの顔を見るなり、アゴがストーーンと落ちた。


「ゆ、ゆう?どしたの?ボクの顔なんか変?」


 優がボクの手を引いて割れずに残ったガラスの前まで引っ張るので、そこに映った自分の顔をマジマジと見る。


 小振りなアゴ、桜色にほんのり染まって艶があり、ぷっくりとした唇。鼻はそれほど大きくないがスッと鼻筋が通っていて、目は猫のようにパッチリとして大きく、まつ毛もマッチ棒乗っちゃうんじゃない?と思うほど長い。

 まごうことなき美少女と言ってもいい顔が、そこには映っている。


「だれ?」


 ボクは思わず優に聞いた。


「こっちが聞きたいわよ、しかもなんで女の子になってるの」


 顔の下に視線を移せば、そこには、プルんと自己主張の激しい豊かな双丘があった。

 さらにその下に視線を下げていくと、以前はそこで主張していたものが無くなっていた。


「えええええええぇぇぇぇ!?」


 ボクはさけぶ。そんなボクを落ち着かせようと思ったのかどうかは知らないが、優がボクの胸を鷲掴んだ。


「んにゃああああああぁぁ!!」


 思わずあられもない声がボクの口から飛び出した。そしてバッと自分を抱き締めるように、優のワキワキしている両手から、自分の体を庇う。


「いきなりなにするんだよっ!」


 いままで感じたことのない感覚に、思わず照れ隠しも合間って怒ったように声を荒げてしまう。

 しかし、そんな事は知ったかと優がいやらしい顔で迫ってくる。


「ふふ、それで怒ってるつもりなの?そんなかわいい顔で怒られたって、全くの逆効果よぉ?むしろご褒美でしかないわw」


 だめだ、完全に目がイっちゃってる。

 そういえばうちの奥さん結構レズっ気あったんだ、もう目が完全に獲物を狩る目になってるもの。


「や、やめようよぅ」


 ボクはちょっと涙目になって懇願する。

 じゃないと女の子になっちゃったうえに、さらにイケない一線まで越えてしまいそうだったからだ。


「いいじゃんいいじゃん、減るもんじゃなし。そんな目を潤ませて誘ってるんでしょぉ、だいじょぶだぁいじょーぶやさしくするから♪それに散々私のだって揉んだじゃん!!だーからーもーまーせーろー」


 ダメだ、完全にエロ親父の発想になってる。確かに揉んだけども!それは夫婦間の営みだからしょうがないよね?


「それは夫婦だもの、しょうがないでしょ!」


 と、大義名分のように事実を突き付けてやると


「あら、私は今も立派な夫婦だと思うの。だから揉まれてもしょうがないわよね?ウェッヘッヘッヘ」


 もう何を言ってもダメな感じがする。


 ボクはは背筋をゾワゾワさせつつ、変わり果ててしまった自分の体を確認する。

 背丈は優より少しばかり高いが5センチ位しか変わらないだろう。

 髪は太ももまで届くような銀髪、手足はスラリとしているが、細過ぎず均整の取れた感じだ。

 とてもこの腕からは、先程の豪腕っぷりが信じられないが、これが新しい能力の一端なのかもしれない。


 と考えてると優が何かぶつぶつ言っている事に気づく。そしてクワッっと目を見開いたかとおもうと、グルンっとボクの顔を見て言い放った。


「今日から、こうちゃんじゃなくて、ヒカルちゃんで行こう!!」


 は?なにいってんのこの人?というような表情で優を見つめていると、優が指をチッチッと振りながらボクにいった。


こう・・・いやヒカルちゃん、あなた気づいてないでしょう。自分のしゃべり方が変わってること」


 え?どゆこと?と頭の上にたくさんのクエスチョンマークを浮かべるボク。


 そんなボクに向かって人差し指を突きつけ、優は衝撃の事実を伝えた。


「だってあなた、口調が『ボクッ娘』になってるじゃないっ!」


 な、なんだってーーーと、某演劇漫画の白目状態になり、しばらくフリーズ。

 しかし、ハッとあることにきづいて、ボクはエレスに語りかけた。


「え、エレスぅ!どゆことなの!これわぁ!!」


『はい、こんにちわ。やっと思い出してくださった様で幸いです。あなたのお側にいつもいるエレスです』


 念話のようなもので、優にも聞こえたらしい。


「あれ?なんか口調がちがくない??」


 優が先程までのしゃべり方の違いに思わず聞いてしまう。


『はい、先ほどまでは体を動かすことに、容量の大部分を使っていたために、言語の方に回すだけの余力が無かったのです。けっして、アホの子みたいなしゃべり方が本来では無いので、あしからず』


 自分でも一応、アホの子みたいなしゃべり方になっていたのは不本意だったみたいだ。


「ボク、しゃべり方が変なんですけど!なんで!?自分ではいままで通りしゃべってるつもりなのに!」


そうなのだ、さっきからボクの脳内では「俺系」なしゃべり方をしているつもりだったのだが、口に出すと可愛らしく「ボクッ娘」に変換されてしまっているらしい。

 なので「ボクはボクってさっきからいってるのにぃ」などと言っているが、ややこしいことこの上ない。

 ちなみにさっきのセリフは「俺は俺ってさっきから言ってるのによ」と言ってるつもりなのだ。


 エレスがなんだそんなことか、とでも言いたげにフンッっと鼻を鳴らして答えた。

 

 ちょっとムカツク。


『ご主人様、お答えしましょう。それはですね、ご主人様に私の精神の一部がミックスされているのです。そして、それこそがご主人様の口調を「ボクッ娘」に変えるための役目を成しているのです』


「イミガワカラナイヨ?なんでそんなことする必要があるのさ!」


『ご主人様・・・それはですね、「可愛いは正義!!」だからでございます。』


「ホンとに意味がわからない!大体なんで体だって女の子なのさ!もっとマッチョでゴリゴリにした方が強そうじゃん!」

まったく、ヤレヤレだぜ、とでも言いたげに溜め息をつくとエレスは言った。


『ご主人様だってホンとは望んでるんでしょう?女体化・・・とか?わかってるんですよ?だって、男性の約半数の方は女体化願望があるってアンケートの結果出てるんですから』


 本当だとしたらひどいアンケート調査があったものである。


『それにご主人様は、いつもゲームのキャラでも女性キャラ使ってるじゃありませんか。それが動かぬ証拠です!!』


 事実だけにボクはもう口をパクパクさせるしかなかった・・・


もはや自分の深層心理やら願望やらを丸裸にされてしまい、ボクはもう膝を抱えて蹲るしかなかった。多分ボク今、銀色のマリモみたいになってる・・・。

 ちょっと、言い過ぎたかなと思ったのかエレスはコホンと、咳払いをひとつすると、慰めるように言った。


『ご主人様、そのお姿には実は奥様の遺伝子情報も組み込まれてるんですよ。だから、最愛の人といつでも一緒みたいなものですよ』


 それを聞いて、ボクは少しだけうれしくなって毛玉の中から、顔を覗かせて、優を見つめる。

 ドキッと顔を、赤らめる優。


『まあ、最も重要なのは、お母様は美少女が大好きなんです。自分の事を守ってくれる、ガーディアンをマッチョな男の姿になんかするわけがありません!』


「色々が台無しだよっ」


 ボクは叫ぶと、再び毛玉に引っ込んでプルプル震えていた。そんなボクに、優が近付いてくる気配がする。

 そして後ろから優しく抱き締めてくる優。

 もちろんハァハァはしてない。そして耳元に口を近づけ、とても嬉しそうに言った。


「ヒカルちゃんでも、光ちゃんでもどっちでもいいじゃない。私はどんな形だとしても、生き返ってくれて嬉しいよ。またこうやって抱きしめられて嬉しいよ。ホンとに帰って来てくれてありがとう」


 ボクは毛玉から顔を起こすと、照れたように小さく頷いた。


 そしてスックと立ち上がり、身体の周りに意識を集中させる。ボクの身体を光の粒子のようなものが取り巻いていく。

 すると、まるで魔法少女モノの変身シーンのように服が構築されていき、光が収まるとそこには、Tシャツに丈の短いジャケット、下はジーンズという少しラフな格好のボクが立っていた。


 頭に思い描いた通りの格好になった。すげぇ。


 そしてムンッっと少し気合いを入れると、髪の毛がシュルシュルと短くなっていき、肩位の長さに落ち着く。

 もちろんもみあげと後ろ髪は長くなっている。どんな時でもアニメ毛は忘れない。

 色も短くなるつれて銀色から、栗色へと変化した。髪が短くなることによって、顔が完全に見えるようになった。

 

 横を見ると、優が「もうぎゅってしていいよね?ねぶねぶしていいよね??」と言いたげな顔で見ていた。

 はぁ、と溜め息をつき仕方ないなぁと思いつつも肩をすくめ、優の耳元に口を近づけて「あとでね」と少し色っぽく耳打ちすると、優は鼻血吹きながら「ちきゅうさまグッジョブ!!」と言ってヒャッホウするのだった。


 そんな最愛の人を眺めながら、ボクは思わず呟いた。


「どうしてこうなった・・・」


 まあ、しょうがないかと微笑みながら。


 そしてエレスは、ヒャッホウしてる優だけに聞こえるように、念話で告げた。


『ご主人様は、契約の儀式の最中、私が世界を守って下さいと言ったときこう言ったんです。「家族を守るついでで良ければ守ってやる」と。正直奥様達が羨ましいと思いました』


 ボクには優の表情が見えなかったが、何故だか後ろから見える耳は真っ赤になっていた。

光一くん(?)復活するまで、こんなにかかるとは思ってませんでした。ここまで見守って読んでくれた読者様に感謝です。

感想、ブクマなどしていただけると小躍りします。

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