【1】困りました
愛してるだとか大好きだとか、 当たり前のように紡がれるその言葉。私にはよくわからないんだ。恋愛感情に疎いのかもしれない。だからなのかな……
「柊さんは、僕のこと嫌い?」
「同級生として好きです。それ以上でも以下もないけれど」
放課後の人気のない教室。
唐突にされた質問。間近に迫ったクラスの人気者の困った表情に、戸惑う私。だからなのかな……この状況はとてもマズイ。モブ万歳の私がクラスのアイドル(?)的な存在の東雲くんとお近づきになっただけではなく、告白まがいのものをされたなんて知られた日にはイジメとか……嫉妬とか……あぁ、恐ろしい。考えただけで頭痛がする。目眩がする。
「嫌いではないってことかな?」
「嫌う理由がないですから!」
接点が同じクラス位だから、嫌うも何もないのである。うん、空気万歳。
「そっかぁ……」
え? ま、待って、東雲くんなぜにそこで顔を赤らめる?!耳まで真っ赤ですよ!!?
「嬉しいなぁ、嫌われてないイコール好きになってもらうチャンスはあるってことだよね!」
おい、どこからきた。そのポジティブシンキング。耳に穴でも空いてるじゃないの?満面の笑みを浮かべて輝かしいオーラを纏っている東雲くん。ヤバい、ますます面倒臭そうな展開だ。
こうして(?)、私の前途多難な日々は始まるのだった。