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携帯電話とSDと主

【人物紹介】


・主:(ケイ)

女子高生。黒髪長髪。

寝起き悪い、目の下に隈。



・携帯電話:(ワール)

携帯電話本体。黄緑色の肩上。前髪は目に当たるくらい。黒い瞳に“W”のマークが。灰色の帽子。灰色のロングコート。160cmくらい。

目の下に隈。本をよく読む。



・SD:(スランナ)

携帯電話のSD。黒髪真ん中分け。前髪は後ろ髪と同じ。銀の瞳に“S”のマークが。黒い貴族っぽい衣装。底が高いブーツ。右側に包帯を巻いてる。若干吊り目。170cmくらい(ブーツ有)。

煩い。ワールを追いかけ回してる。



・充電器:(ウラ)

携帯電話の充電器。黒髪くせっ毛。後ろで三つ編みしている。真ん中分け前髪は目下辺り。白眼で何時も目を閉じて笑顔。変わった服装。スニーカーっぽい靴。170cm後半(スランナよりは高い)。

ギャルっぽい敬語。大人。



・カメラ:(コマフ)

携帯電話のカメラ。白髪。上は短く下は長い。長い髪はサイドに黒い髪結びで結ってる。無表情。黒い瞳に“O”のマークが。左側だけ片眼鏡。右目は普段閉じて右目付近に模様がある。右顎に傷痕二本。黒色の和服にサラシ。変わった履物。帯にブローチ。120cmくらい。

口調が何か古い。よくウラに抱っこされてる。



・充電器置き:H(未梛(ミナ))

充電する時に使う充電器置き。黒髪くせっ毛。ウルフヘア。前髪長い、ボサボサ。銀色の瞳に“X”マークが。派手な服装。何時も前開き。左側に包帯巻いてる。吊り目がち。180cmくらい。

タバコ片手姿が多い。ウラの兄貴。



・データ:D(夏林(カリン))

画像やら音楽などの様々なデータ。金髪肩下。後ろで結んでる。前髪は眉下パッツン。青目。チャイナ服。首に南京錠みたいな首枷。手には鞄。140cmくらい。

集めたデータをワールに取られる。常識人。





※補足

・あくまで上の服装は外出用。部屋では基本(美梛以外)、無地の服。

・夏林はほとんど出回ってるので家にいない。

・この話はフィクションです。



以上を踏まえた暇な方はどうぞ。






 ある昼下がりの部屋で二人(一人と一体)は休日を満喫していた。雰囲気は満喫してないけど、満喫しているんです。


『ワール君、』

「何?」

『今度友達が遊びに来るから。内容は勉強、よろしく。』


 主と背を預け合いながら読書をするワール。主は宿題を終わらせ久しぶりのテレビゲームに真剣に取り組む。表情はワールみたいに少ないけど、何となく二年以上の付き合いだからか何となく読める。



 どうも、[携帯電話と主]を読んだ人は久しぶり。初めましての奴は初めまして。今回もワール視点でくだらない日常を書いてくから。飽きたら帰ってね。ん?ああ、挨拶は主がしろ、って言うからしただけ。ワールが進んでするわけないじゃん。面倒臭い。


『人気減るぞー。』

「初っ端から“物を大切にしろ”って事を延々と喋った小説紛いの作文を読んでくれた人がいるだけ感謝したら。人気とか端から無いし。」

『可愛くない子ー。あ、嫌ああああ!!??ちょ、オマ、敵!!くんなくんなくんなそんな危ないもん振り回すな私のが武器強いけどオマのがデカイだろうがああああああああああああ!!!??』

「煩い。早く倒せば。」

『んな簡単に倒せれば苦労しない。』

「あっそ。」


 喧しい主で悪いね。一番上の主の兄さんと主は本当性格が似てるから『(兄妹なんだな)』って実感わくよ。兄さんの方が冷静で背が高いけど。マジひょろ長い。筋肉は程よくある、細マッチョ?かな。まあそれで良いや。


 ワールの適当な返事を最後に二人は再び各々の趣味へ。けど背中は離れない。(ウラ)(コマフ)は出かけた。二人は基本一緒に行動する。


 当初はワール達の中で一番大人びたウラが一番小さいコマフをずっと世話していたから、自然と一緒が当たり前になってる。ワールと(スランナ)は幼くてささやかな手伝いしか出来なかった。まあ、普通に仲良いから問題はないけど。H(未梛(ミナ))さんも未梛さんで色々と読めないけどワール的に嫌いじゃない。D(夏林(カリン))はどうでもいいや。


ポス、


『負けちったー。最悪。』

「久しぶりにやるんだから仕方ないんじゃない。元々弱いし。」

『ワール君酷い!

てか、何読んでるの?』

「小説。主の部屋にあったの適当に。」


 肩に顎を乗せて本を覗く主。ゲームは諦めたらしい。ワールは気にせず黙読。主の長い髪が痒いけど我慢する。

 今は秋、機械のワール達の体に体温はないけど肩に触れてる主のは温かいと感じれる。夏はうっとうしいけど、こんくらいの季節なら良いかもしれない。不快に思わないから。


『ねね、ワール君。』

「何。」


 黄緑色の髪を撫で下ろしながら主が口を開いた。主は人の髪を撫でるのが好きだ。よく友人にやってるのを胸ポケットから見かける。主が言う可愛い子(主より身長が低いetc)は無性に撫でたくなるらしい。例外もあるけど。まあ良い例がコマフ。前に『コマフの代名詞は“可愛い”で良いよ私が許可する!』とかなんとか言いながらコマフに抱き着いてた。主は基本雑食だからたまに予想外の物まで『可愛い』と口にする。正直主は変わってます。拝読してる人なら知ってるか。


ダダダダ…


『あ、帰って来た。』

「主早くワール隠して。」

『ん、了解。』


ストン。


 主の手の平に黄緑色の携帯電話が乗る。これがワールの本当の姿だけどね。主の学校へは携帯電話で行ってる。主がネットサーフィンやこうやって小説執筆する時も。え、人の形でどうやってするの?ワールの手が機械になるとか嫌だし。


 主がポケットにワールを入れると、


バアンッ!!


 と喧しい音をたてて現れた馬鹿。主は呆れ顔で馬鹿を見上げる。


(スランナ)、煩い。』

「主!ワール隠すなよ!走って帰ったんだから!!」

『スランナが静かに30分待てば教えてあげる。

それよりこのボス倒して。私には無理。』

「えー!?てかワールポケットからはみ出てるし!!」

『「……。」』


 チラッと主が部屋着のポケットを盗み見る。うん、銀の部分がはみ出てる。人の形なら灰色の帽子が見えてる状態。主、隠すならちゃんと隠してよ。馬鹿に見つかったじゃないか。あーもー最悪最悪。

 主が自然に手でワールをポケットに軽く押し込みテレビゲームのコントローラーを持った手を左右に振った。素知らぬ顔でスランナに座るよう促しながら、


『それ、スランナの錯覚。ワール君は今お昼寝中だから邪魔しちゃダメよ。』

「いや、だからポケットにい」

『ないよね?ほら、はいコントローラー。私は晩昼ご飯作らなきゃ空腹に負けそうだからよろしく。』

「オイ!主!…って何か始まってた!!?」


 素直に座ったスランナに無理矢理渡して台所を漁る主。スランナは着替えるのも忘れてテレビと睨み合う。コントローラーのボタンをガチャガチャ指で押しながら画面に映る敵を討つ。服にシワがついてもワールは知らない。

 かという主は作る物を決めたのか食材を冷蔵庫からまな板の上へと移動してる。ワールはリビングからは見えないヶ所にしゃがんで聞いた。スランナには届かないくらいの小声で。テレビの音量は元々大きいから危険性は低い。主は流し下の引き戸からサラダ油を取出した。


「何作るの。」

『久しぶりに野菜炒め。こった物作る気分じゃないし。ワール君もまだウラがいなくても大丈夫でしょ?』

「うん。充分ある。」


 コクリと頷くけば『寝る前に充電するね』と濡れてない手で頭をクシャリと撫でられた。そして調理に取り掛かる主。ワールは防水機能はついてるけど、むやみに水に触れたら危ないかもしれないから手伝う事は出来ない。切ったり焼いたり煮たりするのも主一人のが早いし主のペースで進めれる。主は調理中は一人で黙々とやりたいタイプだから。たまに冷蔵庫から調味料や食材を取出すけど、ほとんど主が出すからあまり頼まれない。この時間は暇だ。油を使うと時々飛んでくるから危険。大きめの蓋を持っておく。

 主が適当にフライパンに野菜と豚肉を投げ入れて、長い箸で交ぜる。一通り終わりワールが盾代わりにしていた蓋を取り上げフライパンに蓋をする。

 時間が余りすっ、と主が台所からリビングに行った。スランナは負けたのか再び格闘している。背後に迫る悪魔に気づいてないようだ。主はそ~…と近づき、両手をスランナの脇へ素早く入れた。


コチョコチョコチョ…


「ひっ!?あ、アハハハ!!ヒャッハハハハハハ!!あ、主やめ、」

『早く着替えない子にはお仕置きだぁ~。アハハハ。』

「ダハハハハ!いやハハハハ!!ヒィー!ヒィー!」

「……。」


 コントローラー放り出して魔の手から逃れる為にのたうちまわるスランナ。対してスランナよりも身長が低い主は手を休める気はない様子。ワールは台所の床から呆れたため息をこぼした。テレビ画面は[GAME OVER]と表示されてる。当たり前か。

 主とスランナのじゃれあいは『あ、焦げる』と調理を思い出した主によって終幕した。台所に戻る前に拾ったワールの読みかけの本を渡してくれた。お礼を言えば主は『いいえー』と箸を手に取りフライパンの蓋を上げた。焦げた臭いはしなかったので間に合ったらしい。

 生きる屍と化したスランナは衣更えしたリビングのカーペットの上でピクピクしている。ワールはもう大丈夫だろう、とリビングに戻りベランダ付近で読書をする。あのまま台所に居ても邪魔なのはわかってたし。あ、皿なら運べたかも。けど主がテーブルに野菜炒めと茶碗とかを運んでるから手遅れか。また今度手伝おう。

 『いただきまーす』と手を合わせてから食べ始める主の斜め前、長男が座る場所に腰を降ろす。真正面は次男が座る場所なんだけど廃棄物が転がってたから座れなかった。蹴り飛ばすにも埃舞ったら怒られるし。近いから文句はないけど。


『食べたいの?』


 主が箸で野菜炒めを指す。近寄ったからお腹がすいてると勘違いしたらしい。機械が人間の物を食べていいのかわからないから主も冗談で言ってるのはわかってる。人参を差し出すけど首を横に振る。だが、


「食べる。」


パク。


『「あ。」』

「んー、普通に美味い。」

『オマ、SDのデータ一部でも消えたら“ワール君半年お預けの刑”だからな。』

「大丈夫!この前牛乳飲んでもこの通りだから!」


 グッ☆と親指を突き立てるスランナに主は頭に平手打ち。


『死ね、お前はいっぺん死ね。何、性懲りも無しに飲み食いしやがって。いっそ新しいSDにしてやろうか。』

「ちょっと待って、それ笑えない。マジ俺達には笑いない冗談。最近70%越えそうだから危険は感じてるんだからね!」

『いや、君だけ変えるから。他の子は関係ないし。ね?ワール君も問題ないよね?』

「コイツより煩くなければ。」

「ワール!ただいま!俺特急で帰って来たんだからな!ワールが寂しがらないように!!」


バンッ!


 テーブルを叩いたスランナに主がひと睨みすれば怯んだがスランナも負けてはいない。唇を尖らせ主とにらめっこを始める。主は睨むというよりはスランナが何かするのを待っているようだった。当のスランナは負けず嫌いで主と張り合ってるけど。


カチャ。


『お粗末様でした。

私はコンビニ行くけど、二人はどうする?』


 食べ終わった食器を流しに置き主は着替えながらワール達に聞く。

 家には主の祖母が居るので鍵をかける必要はなく、ワールとスランナも自由に外出可能だ。スランナと二人きりはワール的には嫌だけど。

 スランナはスランナで部屋着に着替えてそっぽを向いてる。返事はしない。コンビニは家から近いし家で留守番してても主に付き添うもワールはどちらでも良かった。主は手早く着替え終え、鞄と財布を確認する。スランナはゲームの続きを再開した。二人とも口を開かない。リビングに重い空気が充満する。ワールは気にしないけど。


「ワールはどちらでも。」


 顔を上げて背中に呼びかける。主が自転車の鍵置き場(何時も自転車の鍵を入れてる中にゴチャゴチャした物が入ってる容器)から鍵を取り出し、チラッとワールからスランナへと視線を変え、『じゃあ、自宅警備員やっといて。』と鞄を肩にかける。振り向かないニートみたいなスランナとワールに、


『行ってきます』


 何時もの口調で一声かけてから主は階段を下りた。下で祖母と話してる声が微かに聞こえる。


..カチャ。


 玄関の扉が閉まる音がして家が更に静まった気がした。テレビの音量が耳障りだ。手近に置いてあったリモコンで音を小さくする。スランナは何も言わなかった。ワールは壁を背もたれに本を読む。

 スランナに何も言わない。責める事も慰める事も雑談も。さっきの事に口を挟むつもりはない。挟む理由がないから、何も話さない。

 ただ、主は言葉が少なくて、スランナは餓鬼だという事は断言できる。ワールは傍観するだけだって事も。



「なあ、ワール。」

「何。」


 不意にスランナがゲームを一旦止めてやっと振り向いた。今のスランナは普段の馬鹿騒ぎする顔じゃなく、考え事をする真面目な顔。ワールは本から顔を上げずに答える。スランナは近づいて質問をしてきた。


「なあ、俺どうすれば良かったんだよ?」

「何が。」

「主が睨んだ時、思わず睨み返したけど…あん時選択肢を間違ったみたいだから。主怒ってるし。」

「お前、やっぱ馬鹿だな。」


 俯きがちに困った表情でワールを見つめる。こういうスランナは珍しい。自分中心の野郎だから悩む事がほとんど無い。考えるより実行、そうな無鉄砲タイプの馬鹿。

 珍しい馬鹿にワールは正直に言えば『ワール正解知ってるなら教えろよ!』と詰め寄ってきやがった。黒髪を手で押し退け、ワールは本を閉じる。スランナを指差して教えてやった。



「正解なんて星の数ほどある。んなもの、二年以上付き合ってるんだからわからないお前が悪い。

後、恵があんなんで怒るわけないし、睨んでもない。

自分で考えろ。たまには使わない脳みそフル回転させて答えを導き出せ。

ワールは部屋に行く。」


パタン。


 リビングを出て、3階の主の部屋に入った。2階で『ワールのケチー!!』と叫ぶ野郎は無視だ。本を棚に戻して久しぶりに漫画を手にする。漫画は小説より時間がかかって疲れるからあんまり読まない。暇と時間がある今だから読む。“自宅警備員”は暇な仕事だ。


ダダダッ!!バァンッ!!


「ワール!俺も今から出かける!」

「あっそ。」

「仲直りする!

行ってきます!!」

「事故るなよ。」


 外着に着替えたスランナは明るい顔で出掛けた。やっと答えを絞り出せたようだ。時間がかかったのは大目にみてもらおう。まあ、遅くなってもちゃんと言えば恵は許してくれるから。並んで帰って来るだろう。二人で笑い話をしながらでも。







ダダダッ、


「主ーっ!」

『スランナ今からお出かけ?もう暗くなるよ。』「あんね、俺わかったよ。机叩いてごめん。食事中なのに。」

『もういいよ。これからは周りが不快に思わないようにしようね。約束。


ワール君が教えてくれたの?』

「ううん!ワールが『自分で考えろ、馬鹿』って言うから俺の独断で!

ワールが見送ってくれた!」

『そっか。良かったね。

ワール君には悪いけど、ちょっと歩こっか。秋の夜は空気が澄んでるし、気分転換に。どう?』

「おう!」



 薄暗いアスファルトの道の上。並ぶ二人はワールの言う通り笑っていた。






 【携帯電話とSDと主 完】

俺中心!SDスランナ登場!基本ワールしか目に入らないおバカで喧しい子。背丈は恵とワールより少し高いです。


今回も801完結。アハハ。

次回も未定だぜ!!




ありがとうございました!

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