第85話 温泉宿泊
「(パッカパッカ・・)」
それから私たちの臨時勇者一行の馬車はしばらくまた旅を進めて
夕方辺りより少し前に
「トルマドルマ洞窟」ダンジョンのあるふもとの町にやってきていた
今日はこの町の施設で泊まって
休んでから明日ダンジョン探索といった流れだ
このふもとの町は近くのトルマドルマ火山の影響で地熱があって
さらに今と違って昔はよく宝石がとれたらしいので
その時に開発した割と大きな商店街や宿泊施設なんかもあるんだけど
今は寂れていて独特の雰囲気を醸し出していた
宿泊施設はもうすでに予約されていて
その街の雰囲気を馬車の窓から眺めながら
その施設の建物付近にやってきたのだった
「(はあ・・大きな高級温泉宿って感じだなあ・・バブリーだ・・)」
(わあ・・
あの川はトルマドルマ洞窟から来てるのね)
温泉宿のある場所は幻想的で大きな和風の建物が多くて
谷に近いせいで橋がたくさんかかっており
その先の奥にあるらしいトルマドルマ洞窟などにもつながっている谷川や
さらに先の火山とつながっている少し暖かくて湯気がでている川などの
複数の川が合流して
そのゴツゴツの岩だらけの橋の下に枝分かれしながら流れている
ダンジョンまでの道のりで見たカヌイル川の源流の一つだ
少し前まで地中の熱の力がすごくて
もっと景色が変わるくらい湯気が立ち上がっていて
その蒸気の力を利用した大きな魔導設備も稼働して発電していたらしいけど
近年になって一帯の地中の力がなぜか弱くなったらしく
発電には不向きになってしまったようで
今は魔導設備は止まっていて
町の寂れに拍車がかかってしまっているらしい
そういう設備は元々は発電用でもなくて
その土地の力を別のエネルギーに常時変換して
周りの土地一帯を荒らさずに安定させるための維持装置らしい
「(トルマドルマ名物「地獄巡りの温泉卵」)」バーン!
でも今はその設備を利用して温泉卵を作って客寄せをしていた
さびれても商魂はたくましい
・・・
町の宿は予約はしてあるものの
明日の探索までは基本的にメンバーの行動は自由だ
別に宿にいなくてもいい
でも宿の外の温泉街に出るときには護衛の人に言わないといけない
なんでも例え勇者でなくてパーティーメンバーでも準勇者的重要な扱いなので
町に出て買い物をするにも護衛をつけるらしい
(これが勇者パーティ仕様よ 豪華ね ちょっと大げさな気もするけど)
でも勇者パーティーが来たからといって見に来る人が多いわけではない
(今は目立たない格好だしね)
極力私たちの情報は伏せられているそうだ
というわけで・・
「温泉に入るわよ~アスラ 温泉に」
「わあい」
そう やっぱりいかにも温泉が売りですよー みたいなところにきておいて
入らないのは失礼というものだと思うのよね私は
「ふう・・いい部屋ね」
「そうね~♪」
「・・・」
予約していた大きな和室のお部屋に荷物を置くのだが
(同じ和室でもあのミトラの部屋とは大違いね)
なぜか私たちと一緒の部屋割りになっていた勇者ミトラもいて
「温泉かあ でも夕ご飯食べてからでもいいんじゃないの?」
「ふーん じゃあミトラは食べてからでいいんじゃない?」
「・・・・」
・・・・
「やっぱ 温泉よね~♪」
勇者ミトラもタオルに桶とかを手に持って一緒についてきたのだった
(まあいいか)
(ふーん)
タオルと桶一式はレンタルできた
ガウンっていうかバスローブっていうか浴衣部屋着っていうか
そういう温泉旅館ぽい服もサービスで着れるみたい
だから今のうちに受付でそれも借りておこう
・・・
「あら ミトラにリズ」
「あら ステラにローラ」
部屋はここにきて別れていたけど
ちょうど温泉の受付前でばったりと会う私たち
「偶然ね ちょうど私たちも入ろうかと思ってたのよ
すごく豪華なんですって
寂れてて人がいなくてほぼ貸し切りみたいなもんだから きっと快適よ」
(そうね こんなに広いのにあんまり人はいなかった)
バスローブも受付でそれぞれ用意されたものを借りていく
そして私たちは豪華な温泉に向かうのだった
(省略!)
・・・・
「ふう~・・いいお湯だった~」
(ホカホカ・・)
湯上りで頭にしっかり髪留めのタオルを巻いてバスローブを着て
裸足にスリッパ 右手にうちわ
少し湿った髪に赤ら顔で満足そうな湯気を立てているリズ
隣にはちっちゃいバスローブを着て
適当にリズの真似をして
くちゃくちゃになっているタオルを頭にのせているアスラと
廊下で手をつないでテクテク歩いていく
・・・
少し涼し気な空冷の通るロビーに温泉に入った後のみんなで出てくる
魔法で稼働する扇風機が動いていて
それを見つけたアスラが顔を近くまで近づけて口を大きく開いて
「あ゛あ゛あ゛~~~」ってしている
(ちょっといろいろあったけどみんなも満足気ね よかった・・)
と思ったら
「・・・・」
小柄なローラはホカホカだけど顔が赤くて なんだかちょっと不満げだった
「あら どうしたの?ローラ」
「・・いや そりゃあ、だって・・」
~ 仕方ないなあ 少し温泉にて ~
(カポーン・・)
(ジョボボボボ・・・)
温泉のふちの黄金の魔ライオンの口から温泉がでている
「(うわあ なにこれえ 黄金の魔ライオンがゲロを吐いてるみたい・・)」
他にも「ししおどし」や「すごいでっかい山みたいな絵」もあって
豪華なんだけど 詰め合わせちゃいましたみたいなものを感じる
センスがなんというかこう・・
「ふうう~・・でも気持ちいいわね・・!」
石で囲まれた室内だけど露天風呂ってかんじの場所で
リズはアスラを胸元において湯につかりながら寄りかかって豪快に一息つく
「そうね・・いい気持ち・・」
リズの隣にいたステラがほっとつぶやく
ステラのエルフのとがった耳が少しピクン・・ってなっている
(ちょっと動くんだね その耳)
私たちは偶然ちょうど横一列に並ぶようになっている
「んん・・」
勇者ミトラは暴れるかと思ったけど
意外に静かに目をつむってくつろいでいた
いつもミトラの額についていた金色の細いティアラは外して
石の上に置いてあった
(それ取れたんだね まあ当たり前か)
背中と首筋を出してふちの石のうえに白いタオルを敷いて
そこにかぶさるようにして ゆったりお湯につかっている
かきあげた黒髪は濡れていてその首筋に雫が滴っていた
(くつろいでるわね)
「(ブクブク・・)」
ローラは温泉に深く入って口まで浸かってぶくぶくと泡を立てていた
カニみたい
「ローラ それはやめときなさい
泡がでるところなら向こうにもあるからそっちにいきましょ」
「だってえ・・」
なぜか不満げなローラ
「・・?」
「だって~ みんなおっぱい奇麗で大きいんだもん~
そんな堂々としちゃってさ~ ステラが大きいのは知ってたけどさ~」
ちょっとコンプレックス気味だったようで
いじけてしまったローラの様子
(あらあら まあ確かに私もミトラも普段着痩せしてるところはあるわね)
「ステラや私は体が大きめだから相応な大きさがあるだけよ
ローラは小柄だから でも小柄な割にはサイズもあると思うわ
それに奇麗よ だから何も気にしなくていいのよ」
「そうかなあ~・・」
「そうよ」「そうそう」
・・・・
・・・
「じっとできない?」
「やだ」
やがて私の胸元にいたアスラが一か所にとどまっていられなくなり
温泉を自由に動き始める
(今までじっといい子にしていたけど まあそうなるような気がしていた)
風車の家の水のプールでミスラに習ったのか
器用に魔力でビート版のような魔力の小さい板を作り出すと
「(スイ~)」
ビート版をもって広い温泉内を小魚のように泳ぎ始める
(まあ 行儀の悪いこと どこのお子様かしら
保護者の顔が見たいわね
まあ今は私たち以外 だれもお客さんいないみたいだからいいか)
そう思ってほうっておくとアスラの気分が乗ってきたようで
ヒートアップしてくる
(ときどきビート版からヒョコっと顔を上げて進路を確認する)
バタ足を始めて泳ぎの出力をあげたアスラが
「バシャシャアアア!!」
(まあ)
「ちょ、ちょっとお~~!」
私たちの脇をかわいいお尻を見せつけるように
自慢げに泳いで通過していって温泉の波が降りかかる
私やステラや向こうにかぶさって背を向けていたミトラは大丈夫だったけど
いじけて顔を沈め気味にしていたローラには
ちょうどいい波の高さだったようで
もろに顔面にアスラからの水しぶきが直撃していた
「もう~ なんだよお」
(ザパア・・!)
ローラが顔が湯面に近くなるブクブク姿勢をやめて普通の姿勢にもどる
(あ、治ったわね よかったよかった)
「グイーン!」
そこに向こう岸にタッチしてUターンして戻ってきたアスラ
(ばちゃちゃ・・!)
どうやら好調なようでスピードが上がっている
(あら いけないわ 今度は私にもお湯がかかるかもしれない)
そう思っていたら
「スポーン!」
(あっ・・!)
好調すぎてビート版からアスラのつかんでいた指が滑ってしまい
すっぽ抜けて・・
(べち!)
「んが!」
それが今度は普通の姿勢に戻って
ちょうどいい位置になっていたローラの顔にぶち当たる
ビート版を失って 方向がよくわからなくなったアスラはそのまま・・
「ばちゃああああん!」
「ぎゃあああ~!」
好調なままローラのところに突っ込んでしまったのであった
(あーらら)
・・・・
・・・
「ちょっとさあ リズの使い魔 今日あたしに当たり強くない??」
(はい おっしゃるとおりね)
その後 現行犯アスラは
「こいつう~許さないぞ」
「うあああ」
ローラがアスラを捕まえて湯船でぎゅっと抱きしめて
動けなくされて懲らしめられていた
そんな感じの温泉事情であったのだった
・・・・
・・・
温泉に入った後は
各自でまた施設の中をフラフラ自由にしていた
(ミトラはのぼせ気味になってしまって ちょっと部屋で休むんだって)
するとリズは目ざとく とある場所を見つける
「!」
施設内にあるいくつかあるリラックス空間に
なんと小規模なゲームセンター?みたいな一角を発見
あっゲームセンターよ
ゲームセンター こんなところにゲームセンターがあるわ
(え、なにかあるかしら もしかしてオリジンとか・・!
もしなくてもなにか この世界の格闘系のゲームとか・・!)
・・
私はかなり期待していたんだけど
「ウィーン・・(スカッ)」
UFOキャッチャーみたいな体感型遊具くらいしか置いてなかった
(うーん 残念 ちなみに景品は取れてない)
他には端の方に電子ゲームでもない
つまんなさそうな手回しのスロットゲームがあったくらいでそんなもんだ
でも私はこの世界ではギャンブル趣味はないから
そっちには別に手は付けない
しょうがないのでもう他のところに行くかと思って
移動しようと思ったんだけど 移動をしかけたところで
「あ・・!」
アスラがちょっとキャッチャーにおいてある人形に謎の興味を示して
ガラスの板にペタッと顔と小さい手を張り付かせていた
でも目だけはパッチリとまん丸といつもの輝き
(まあ 張り付いちゃってブサイクになっているわ)
「ちゃああ・・」
その輝く視線の先を見ると
UFOキャッチャーのショールームに
あんまりかわいくない人形が並んでいる
(ん?芋虫みたいなモンスターに羽が生えた人形?
小さい子はこんなのが好きなのかしら よくわかんないわね)
「アスラ むこう・・」
ちょっと体を動かしてみても ペッタリはりついて動かない
(困ったなあ・・)って思っていたら
「いいよ 向こうに行くの?
あたしがちょっとこの子と遊んどいてあげるよ」
さっきさんざんな目にあったローラと一緒にステラがいて
アスラと遊んでくれるようだった
(そう 相性は悪くないの アスラは誰とでも仲良くなれる)
そういうわけで私はアスラを預けて一人で
この広い温泉宿内をふらつくのであった
・・・・
(おっ あれは・・)
あてもなくふらふらリズが歩いているとすごく奇麗な中庭のガラスに沿って
魔導マッサージチェアが並んでいた
(これはいいものね・・!)
さっそくそのうちの一台にどっかりと座り込む
(のし)
うん思った通りすごく質感のいいチェアだ
「ふむ なになに こうやってリモコンの魔力の電源を・・」
(ぐいん ぐいん ぐいん ぐいん・・・)
「(ああ・・いいわ 気持ちいい・・)」
首から肩から腰から足から
温泉に入って温まってほぐれた体をさらに無理やりほぐしていくような
暴力的な圧力・・だけどそれが気持ちいいの
「極楽 極楽・・ここは極楽浄土よ」
調子よく休んでいるリズ
(あれ・・)
(ぐいん ぐいん・・)
そういえば隣のマッサージチェアも動いている音がする
その隣のマッサージチェアを見ると
(んん・・?)
なにかタオルにくるまれた大きな物体?が
チェアの背もたれにかかっていた 人ではない
(なんだろう 前の人の忘れ物かしらね・・)
(ぐいん ぐいん ブルルルルル・・・)
マッサージチェアが少し変化して振動が多めのフェイズになる
「あああ・・これもいい・・」
(ブルルルルル・・)
隣のマッサージチェアも振動フェイズになって・・
(ファサア・・)
隣の謎の物体のタオルがずり落ちる
「げえ・・!」
「(ガッシャン!ガッシャン!ガガガ・・)」
そこにはなんと大剣士ジャスパーの愛剣が
マッサージチェアによって小刻みに揺れていたのだった
(な、名札がついてる・・!)
剣は今は鞘に入っていて
その鞘に「グレイトバスター」って書いてある紙がペタリと貼ってある
「いいなあ!お前も気持ちいいか!!」
(ぬああ~)
なんと隣のさらに隣の席には大剣士ジャスパーが
マッサージチェアに座って こいつも一緒に振動していたのだった
不覚にも3つ仲良く並んでチェアで振動することになってしまっていた
(なんてこと・・!この私が気がつかないなんて・・!
ちょっと私も気を抜いてたるみすぎていたかしら いやしょうがないわ
しかしそうよね やつらも一緒にきてたんだったわ
すっかり忘れていたわ)
「よお!リズも温泉入ってきたんだな 熱い、いい湯だったなあ!
はははは!」
(くっ・・!私に気が付いている・・!)
もうバレていたので言いたいことをぶつけていく
「ちょっと あなたね なんで剣なんか置いてるのよ!
他の人に迷惑でしょ!」
「他に客なんていないだろ!
それにな 剣にだって休息はいるんだぜ なっ」
「(ガッシャン!ガガガ・・)」
それに応じるように?小刻みに揺れるジャスパーの愛剣グレイトバスター
(くっ・・確かにいないのよね って私がいるでしょ・・!
もう~なんなのよ~
隣に剣なんか置いてあって
ガシャガシャいってたら気になっちゃうじゃないの やめてよおお)
(あああ・・ちょっとハプニングはあったけど
気持ちがいいことは確かよ 気をしっかり持ちなさいリズ)
気を引き締めて背筋をのばすリズ
気を休めるために気合をいれるというなんともいえない
(そうね 景色よ 隣なんか気にせずに
この目の前の素晴らしいガラス張りの中庭の庭園の風景でも見て
癒されましょう それがいいわ!)
うん 池があるわ 色の模様のついた魚も泳いでいる
フィッシュ
優雅ね とっても「わびさび」があるわ
「(あっ! すごい!池の先に大きな滝があるわ・・!
室内に滝があるなんてすごいわ・・!
たしかマイナスイオンとかいうよくわからない怪しいものがでて
健康にいいとか 癒され・・)」
「ああああ!! 心が!心が清められますううう!!」
(ジャバジャバーー!!)
「(い、いやああああ~~!!)」
癒しを求めてリズが視線を向けた先の滝には
賢者リードが怪しい白装束を着て
激しい流れの滝の水に座禅を組んで頭からうたれていたのであった
「これもひとえに己が未熟であるゆえ・・
南無阿弥陀仏・・!!」
とか聞こえてくる
(やめなさいよおお 私の極楽浄土が穢れるでしょうがああ)
ひどい風景からとっさに目を背けてジャスパーの方に向き直るリズ
「ちょっとお! なんてもの見せるのよ! あれ連れでしょ!
あんた持って帰りなさいよ!」
「ハハハハハ! あいつもバカだなあ!!」
(お前もだよおお!!)
その後 わずかな他のお客さんからの通報か何かがあったらしく
中庭の滝エリアに警備員さんぽい人たちが
不審者を排除するためにやってくる
「や、やめてください!罪を洗い流さなくては・・!」
「君がやめなさい!」
「こら避けるんじゃない!」
「うわああ(ドボーン!)」
逃走を図って池に派手に落ちる賢者リード それはもうひどい風景だった
池の魚たちが迷惑そうに泳いだり跳ねたりしている
「やべえぞあいつ ギャハハハハハ!」
指をさして爆笑するジャスパー
(もう~~~~!!!)
見苦しさ満点で
癒しとはまるきり縁のなくなったリズの温泉宿散策なのだった
・・・・
さんざんなマッサージチェアの場所からは戻ってきたリズ
(もう・・あそこで魚の餌にでもなればよかったのよ あいつら
せっかく見つけた私の癒しを・・)
「あれ・・?」
先ほどのゲームコーナーのところまで戻ってきたのだったが
「アスラ・・?」
アスラが一人だけでポツンと立っていて
前に別れたUFOキャッチャーのところで
前みたいにベッタリ張り付いてはいなかったものの、じーっと
台をまん丸い目で見つめていたのだった
(・・あれからずっとそこにいたの・・?)
(ステラとローラはどこにいったのかしら・・?
アスラがわがままいってずっとあそこにいて帰っちゃったのかしら・・)
「あ、リズう・・」
アスラは私に気が付いたようだった
リズが近づいて確認すると
(やっぱりあの翼の生えた芋虫の人形の台だわ)
「ほしいの?」
「うん・・」
(・・しょうがないわね)
「チャリン」
キャッチ台にお金をいれる
(アスラにはちょっと台が高いから私が取ってあげないと・・)
(最初適当にやった感じ ちょっと難しそうだけど
私が本気をだした器用さならすぐにとれるはずだわ)
「ちょっと見ててね」
「うん」
「(うぃーん・・)」
(うん 完璧 完璧 このままこの芋虫の体を・・)
「(うぃぃーん・・ガバ)」
(うん 完璧 取れたわこれ)
「!?」
「ゴロン・・!」
(なにいい~~~!)
なんとキャッチのアームが開いて持ち上がる瞬間に
アームが開いたときのゆがみで
その目的の上の方の人形が崩れてきてアームにかかってしまった
つかみ上げた人形は
「ポスン! (オメデトーウ!)」
「・・・・!」
まるで犬のような魔物の人形でなんともいえない表情をしていた
(これベダジュウに似てるやつだわ~~ちくしょーー)
そのなんともいえない人形は駄獣犬シリーズっていって
大量に生産してみたはいいけどイマイチ受けが悪く、犬が売れないので
こうしてどこのキャッチ台にも簡単に取れる景品として混ぜて
在庫処分をしているのだった
「アスラこれ・・」
私がそのなんともいえない犬の人形を差し出すと
「違う・・」
アスラが真剣な顔で首をフリフリする
(まあそうよね)
その時
「あれリズ 戻ってたの?」
声をかけてきたのはローラとステラだった
(あら・・?)
「いなかったから2人とも帰っちゃったのかと思ったわ」
「違うわ ちょっと硬貨足りなくなっちゃったから両替してたのよ」
そのローラの手には10枚くらいの硬貨が握られていた
(あら アスラいってくれてもよかったじゃないの 聞かなかったけどね)
「ごめんなさい 悪かったわね いいの私がお金出してとるから
ローラたちは気にしないで」
「・・もうそういうことじゃないのよね」
(え?)
「私たちもちょっとはまっちゃったのよね 意地っていうか」
よく見るとステラは手に袋を持っていてその中に
ベダジュウ似の同じ人形がざっと見で5体くらい入っていた
(な、なんてひどい・・)
「リズ どきなさい!いくわよ
私たちのコンビネーションを見せてあげるわ」
なんと勇者パーティメンバーの高度な連携を見せてくれる気らしい
(なにもこんなところで・・!)
「チャリン」
「ピシュイイン!」
(うわあ 魔法よ)
なんとUFOキャッチャーに魔法を使うという大人げない戦法
それでも中は直接動かさないっていうかズルではない補助ってかんじ
光でガラス面に座標を分かりやすく照らして映して
正確に獲物の場所をあぶりだしていた
「そこよ ステラ いい感じ」
「まかせて
あとはこの入射角から正確に目標の翼とボディーの間を通せば間違いないわ」
なにか高度な演算処理をしている
(おお・・これは期待できそう)
「(うぃーーん ガバ)」
「よし いけたわ」(親指をグッとするステラ)
「ええ あたしたちの仕事も終わりね ミッションコンプリートよ」
(あらあ まだそういうこと言わない方がいいんじゃ・・)
だけど今度はしっかりアームでつかんだようで
翼の生えた芋虫が持ち上がっていく
(まあ とれたならいいわね)
だが
「(うぃぃ・・!)」
「!?」
芋虫は確かにキャッチしているのだが まるで亡霊のように
アームに一緒に引っかかっている人形があったのだった
その人形が持ち上がる時にアームが揺れて
「ああ!!」
いもむし君は無常にも早めに落下する
そして・・
「ボスン! (オメデトーウ!)」
無機質な電子おめでとう音とともにゲットできたのは
「またこれかあ~」
「7体目ね」
やはりというか駄獣犬シリーズのなんともいえないぬいぐるみだった
(5体かと思ったらもっといた)
「でもまだまだよ!」
火のついたローラとステラの猛攻を
その後も避けまくる翼のついた芋虫
「・・・」
(ひえ~これははまっちゃうわ なんというかとれそうで取れないのよね
おまけに犬が煽ってくるし)
そして・・
「ああ 駄目だ! また犬だ!!きいい!!」
「両替よ!」
「ええ!」
「ダダダ・・!」
硬貨がまた足りなくなった様子のステラとローラ
両替をするために元気に駆け出していく
まあ なんというか楽しめてていいわね 夢中になれるものがあるって素敵だわ
熱が去って再び静かになるキャッチャー台の前
「・・・」
「アスラ やってみる?」
「うん」
・・・
「ほら これ入れて」
「チャリン」
アスラを抱っこして今度はアスラでも台を操作できるように持ち上げる
(大丈夫かしらね うーんまあでも自分でやったら
あきらめてくれるかもしれないし)
「(うぃうぃーん・・)」
「あ!こっち!こっち!」
(ああ・・そんなとこ動かしちゃって・・
まあ楽しそうねアスラ それならいいんだわ たとえ取れなくてもね)
「(うぃーん・・)」
「ああ・・」
アスラが動かしたアームは芋虫から外れて
前に犬がとられて何もいなくなった穴のあいた空間に降りていく
「ガバ」
何もないところを掴むアーム
(だめかあ・・まあしょうがないね )
でもアスラはじっと見ている
「(リィン・・)」
(ん?変な音ね アームの上の機械音かしら)
するとアームが閉じる時の振動がわずかにかかって
(あっ・・)
翼の生えた芋虫の翼の部分が本当にわずかにアームの部分に引っかかって
そこから
「コロン」
本当にあっけなく穴のへこんだアームのところに
翼の生えた芋虫人形が転がってきて
「(うぃーん・・)」
そのまま持ち上げられる
「ポスン! (オメデトーウ!)」
「取れた!」
輝くアスラの丸い目
(はー 取っちゃったわね・・)
・・・・
「わあい!」
アスラの手にしっかり握られた翼の芋虫君
その後すぐローラとステラが戻ってきたけど
どうやら両替は無駄になったようだった
「ええ~ 取れたの~ うわあ~・・ まあいいか」
「熱くなりすぎたわね」
ステラは自分は要らないのか
獲得した大量の犬のぬいぐるみを全部ローラにあげていて
ローラはその犬と似たなんともいえない顔をしていた
(しかしこれのほんと何がいいのかしらね~ わからないわ~)
(まあでも アスラが一番欲しそうだったから
アスラに取ってほしかったのかもしれないわね イモムシ君も)
「しかしこれ どうするの?アスラ」
「帰ったらマギハちゃんに見せる 自慢するう」
「ええ・・」
(こんなの自慢になるのかしらね・・いや~ わかんないわあ・・)
全然わからないリズであった
・・・・
その後ステラとローラとは別れて
アスラと部屋に戻る途中
宿泊ロビーの脇の少し休憩しやすい大きな机と椅子が置いてある、
広間のエリアのところを通ろうかという時
(ん? あれはミトラ・・ 軽くのぼせたのは治ったみたいね)
机のところの椅子に座っているみたいだった
しかし前を通ろうと出かかったリズの足が止まる
・・・
「ええ それはほんとかい?」
「ふふ そうなのよ~」
なんとその隣に勇者アギトが2つ分コップをもってきて座って
一緒に笑い合いながら話していたのだった
(あれ・・なんか距離が近い・・かも?
学園でも授業でだけど結構2人でいたしなあ
もしかしてこの2人・・)
(ああ・・なんかちょっと困ったわ でも通らないとなあ
普通にしゃべりかければいいのかしら
でももし邪魔しちゃったらとかって思うとなあ・・)
リズがちょっとうじうじしていると
「あっミトラ」
「あっアスラちゃん」
「ああ リズさんの使い魔の子だね」
(ああ~)
そう アスラは遠慮なくテクテク歩いていて
すでに勇者たちの机の前だった
こうなればもうしょうがないので前に出る
「あ、あら こんにちは」
「なんで少しぎこちないの?リズ」
勇者ミトラがちょっと不満そうな顔をする
「そ、そうかしら」
「まあ・・いいわ」
でも全然勇者ミトラと勇者アギトは普通みたいだった
よく見ると机の上には明日のダンジョンマップとか資料が敷いてあって
探索情報の打ち合わせをしていたようだ
(ああなんだ 私馬鹿みたいね
ネロにも思われちゃうわよね おせっかいだって・・)
それからは私も切り替えて
普通に混じって一緒に打ち合わせのお話をする
・・
「わあ、ダンジョンの探索計画って
こんなに綿密にするものなのね・・」
打ち合わせをする前は
もっと大雑把に冒険や採集にいくようなイメージがしていたけれど
勇者アギトの奇麗で丁寧な横文字でノートに書かれて
びっちりと分かりやすくまとめられたダンジョン探索の計画書
「へえ しっかりしてるのね」
「うん 前に書いて先生にもしっかり目を通してもらってたんだ
どんなダンジョンにも常に危険はあるし
不測の事態も起こりえるから こういう事前の準備や心構えは大事だね
なかには大雑把なタイプの冒険者もいるけど
そういう人たちはいつか痛い目を見ることになるからね」
「それはそうよね」
(ぴ、ピクン・・)
なぜか背筋の硬い勇者ミトラ
・・
そんな打ち合わせもそこそこに
「この辺りの地の底には大昔は「炎の悪魔」がいたんだってさ
そこは太古からいろんな力が流れて集まってくる場所だって言われてて
それでトルマドルマ一帯の火山も活発で
人間を一切寄せ付けなかったんだって」
勇者アギトが手渡してくれた郷土資料を見ながら
まったりと雑談もする私達
「そうなんだあ」
「炎のあくま・・!」
「ふーん でも今は近くに人の町がいっぱいあるわよね」
「火山も近いしほんとは人が住むのに適した場所じゃないんだけどね
でもここは貴重な宝石も温泉も出るからね
それにこの土地の悪魔も
この国の大英雄メリクアドラが退治して火山も鎮めたから
ここも人が住めるレベルの土地にはなったんだよ」
「へえ・・」
・・・・
・・・
「あら もうこんな時間」
「お、ほんとだね
まあまたパーティーが揃ったときにまた再度打ち合わせすると思うから
ここは簡単にして みんなで夕飯にでもしようか! そろそろいい時間だしね
ここもおいしいらしいよ」
「わあい」
アスラは勇者アギトにねだって
アギトとミトラと同じ果実ジュースのはいったコップを
自分の席の前に持ってきてもらっていた
(ついでに私のも持ってこさせちゃったけどね
アスラ・・勇者を使役するなんて)
・・・
そのあとみんなで移動して大広間で用意されたコース料理を食べたりして
賑やかで結構楽しかった
(なんか謎のお肉みたいなもの(魔物かな?)があったのだけ気になったけど
味はおいしかった)
食事の席で隣になったステラに
「リズ これ食べてくれない?」って言われて
ステラの手に持っていたお皿に
そのお肉分だけが取り分けられて盛られていた
ステラはエルフだし草食系なのかしら
まあ普通のお肉よね ちょっと変な食感のお肉だったけどね
だから食べてあげる
アスラにもあげる
「わあい」っていっておいしそうに食べていた
「・・・」
その時勇者ミトラが何故かじっとステラの方を見ていて
「・・?どうしたの? あ、やっぱりあなたもほしかった?」
「!なんでもないの 気にしないで」
「・・?へんなの」
(ぽわんぽわん・・)
「(year~!デリイイイシャス!)」
(ミトラの昼間に垣間見た観光の金髪エルフの人の何かの間違いの記憶)
・・
(もぐもぐ)
「おいしいけど なんのお肉かしら?」ってきいたら
「それはベルルグの肉(?)だよ」って勇者アギトにいわれたけど
(ふーん 何かそういうおいしい動物の品種名なのだろうか)
結局私にはそれがよく分からなかったし大して気にしていなかった
「フンフン」
「こら~!あたしの分はあげてないだろ~~!」
(ドタパタ・・)
賑やかな席の後ろの方でアスラがローラに何かをいわれていて
何かをくわえて走っていく
そんなかんじで結構いろいろあったけど
明日に備えてしっかり休んで眠って備えるのだった
・・・・
withおまけのミトラ
「え お布団って こんなに隣に並べるものなの?」
「そうよ♪ そうなのよ」
夜になって就寝のため部屋に戻って パジャマに着替え
和室に備え付けの敷布団を敷いている勇者ミトラとリズ
静かなところがいいかなと思って部屋の奥の方に寄って敷いていたら
ミトラがよいしょって隣に布団を敷いてきたのだった
(ふーん まあいいけどね)
ふかふかの布団に潜り込む
(はあ~ふかふか いい気持ち)
「アスラもおいで」
「うん」
アスラも布団の中に潜り込んできて
私は枕の定位置に頭をきちんとセットして寝る体制はばっちりだ
「じゃあリズ 寝る前に私とお話とか・・」
「何言ってるの 打ち合わせならしたでしょ 明日はダンジョンなのよ
ちゃんと休まないとね じゃあおやすみ~」
「あ・・おやすみ」
・・・・
「スカー・・」
「スピー・・」
リズはミトラのお誘いを軽くいなすと とっとと寝てしまった
「・・・・」
そして勇者ミトラはというと・・
(昼に馬車で寝てたせいで 今は眠くなくて眠れない・・!!)
*よい子は寝るべき時にきちんと寝ましょうね
「リズ・・」
「(スヤア・・)」
リズはとても奇麗な姿勢で安らかな顔で上を向いて寝ている
下の方の布団が膨らんでいて少しだけ上下しているので
使い魔の子がそこでリズに引っ付いて寝ているのだろう
「・・・はあ」
勇者ミトラのため息ひとつ
(はあ・・仕方ないけど なんかリズ 私に冷たい気がするわ・・
こうやって偶然一緒のパーティになれたけど1回だけっていうし
やっぱりあんまりよく思われてないのかしら私
普段から避けられてる感あるし・・
私の余計なお買い物で荷物も抱え込ませちゃったし
さっきのロビーでも
なんかやけに私によそよそしかったしなあ・・ はあ・・)
「スッ・・」
ミトラは気分転換に一度布団から抜け出して
夜の暗がりの窓際の小さな一人用の机と椅子が置いてある場所に座る
(コトン・・)
勇者ミトラは胸元から高級ポーションを取り出して その机の上に置く
「 」
それはリズと一緒に買い物をしたときに
お金が足りなくて結局リズに買わせてしまった、
リズにもらったショーケースに入っていた奇麗なガラス瓶のポーション
(武闘大会で優勝して家に送金しちゃってたけど
少しはお金がもらえたから
準備のポーションくらいなら私だけで買えると思ったんだけどな・・
情けなかったなあ・・)
(もう 飲んじゃおうかな、 このポーション
高いやつだと苦みも少なくて果実ジュースみたいでおいしいのよね・・)
奇麗なガラスの容器をじっと見つめて
ミトラの整った白い指先がチョン・・とかかる
「・・・・」
・・・・
・・・
(まあ別に今飲むことはないわよね)
結局 机に手つかずの奇麗なポーションは置いたまま
魔導式冷蔵庫にいって代わりのお茶を取ってくるミトラ
その戻りで部屋まで帰ってくると
(あら・・)
リズの使い魔のアスラちゃんっていう子が
布団から抜け出していた
「(あら 起きちゃったのかしら・・音が出てたかしら ごめんね)」
と思ったけど
(スピー・・)
「(なんだ)」
単にすごく寝相が悪いだけだった
「う~ん リズ・・ むにゃ・・」
寝言までいっている
「リズぅ」
(がっしぃい・・!)突如掴まれるリズの枕
(ズザー!)
「あっ」
ちょうどリズの枕のところに転がっていった使い魔の子が
リズの枕をリズと勘違いしてぶんどってしまった
「う、う~ん・・」って言ってたけど
枕を失ってもその場で眠ったままのリズ
「・・・」
(起きるかと思ったけど起きなかったわね・・)
(お茶飲んだら私も寝よう・・)
冷えたお茶を軽く飲んで机のポーションもまた大事にしまって
いそいそと静かにまた元の布団に戻るミトラ
・・・・
(・・・)
しかしまだ眠れないミトラ
すると
「うーん・・ リズ~」
(・・ん?)
(もごもご・・)
枕がリズじゃないことに夢で気がついたのか
枕は外に放り投げてコースアウトして だいぶさまよっていたらしいアスラ
隣の勇者ミトラの布団の足元に潜り込んできて
ミトラの布団がもごもごと動く
「ピト・・」
(じんわ~り)
(うわあ・・やっぱりすごいあったかいわ この子 血行が良くなりそう)
「あ、リズぅ・・」
(それはちがうんだなあ・・)
そう寝言でいってミトラの足元のパジャマを少しめくりあげて
ミトラの足のふくらはぎ辺りに
血行を良くしながら肌に直接しがみつくアスラ
「・・・」
そこでアスラちゃんはちょっと落ち着いたみたいだった
(スピー・・)といってまた深く眠りだす
(ふう・・ あったかいわ・・これならだんだん私も眠れるかも・・)
ミトラがだんだんリラックスしてきたとき
「う、う~ん・・」
(あれ・・?)
(リズは寝相はいいんだと思ってた・・)
安定していたはずのリズの姿勢が崩れて寝相が悪くなっていた
なにか手を伸ばしていて 枕を探している?みたいだった
リズはどうやら枕があると寝相は奇麗だけど
枕がなくなると寝相が悪くなるらしい
(あっ・・リズがこっちに・・)
リズが枕を求めてこちらにずりずりとよってくる
しかしリズの本来の枕はアスラによって場外にコースアウトされている
「あっ・・私の枕・・」
さっきまでミトラの黒髪がかかっていた大きめの枕を
少しリズのほうに寄せてあげて自分は少し下がる
隣同士で布団を敷いていたので意外と2人の距離は短い
そこにやってきたリズがミトラの枕に
「ポスっ」と収まる
「・・・」
(ちょっとドキドキする・・)
少し息がかかるほど近くでリズの寝顔を見ることになるミトラ
(さっきみたいに私の枕取られちゃうかしら・・)
と思ったけどアスラちゃんと違って リズの方はそういうことはないらしい
「あっ・・」
枕を得て安心して安定体勢に入るのか
リズはそこを基準にしてミトラの布団の中に体もぐいぐい入れてくる
リズの体が布団の中で一緒になってミトラの体に当たる
そこで姿勢は良くなってまたリズは落ち着いて
「ス~・・」って寝息を静かに立て始めた
(・・よかったね リズ)
(でも リズはただ枕が欲しかったんだよね・・
でもいいの 今日は一緒に眠れるから私うれしいわ・・)
ちょっと驚いたけどまた目をつむるミトラ 意識がぼんやりと・・
その時
「ミ(ス)ラ・・」
そういって腕を布団の中でミトラの胸辺りにのせるリズ
「(え・・?リズ ぼんやりして今よく聞き取れなかったけど
ミトラって・・ 寝言だけど・・)」
「リズ・・」
私の胸に置かれたリズの手に
少し自分の手を重ねてみようなって思う
どきどきしてリズが起きてしまわないかな・・
でも手が触れるくらい・・
「うーん・・?あんまり冷たくないわ・・」
そう寝言でいって リズは手をサッと戻してしまった
「・・・(あっ早く捕まえればよかった・・冷たい?)」
(まあいいわ ミトラっていってくれたもんね・・
私もちゃんといたんだわ リズの中に)
「(うれしい・・)」
(そういえば私 家でも学園でも 長いことずっと一人で寝てたわね・・
勇者として学園でやっていくのに必死で
ぜんぜん意識してこなかったけど・・)
(一緒に寝るのってこんなにあったかいのね・・)
( 私 いま幸せ・・)
今度こそゆっくりミトラはまぶたを閉じる
「スピ~・・」
1つの布団に2人とアスラでお団子のようになって
朝まで一緒によく眠っていたのだった




