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瞳を見るとBURST HEAT! VS世紀末格闘少女リズと不思議の格ゲー魔法世界  作者: 綾町うずら
勇者たちと動き出した運命編
75/147

第75話 乱入者と銀の腕輪

 「これはどういうことですかな シュバルツ先生!」


ドタドタと学園の先生らしき人物が3人

講義中の教室ホールに乱入してきた

突然の乱入にそれまで響いていたオルゴールの音が徐々に止まっていく


「おや・・? いかがなされましたか 教授方」


(教授・・?このおじさんたち高等部の結構えらい人たちなのかしら)


そう言われてみると

そのおじさんたちの身なり自体はとてもいい


シュバルツ先生は座ったまま

特に乱入してきた身なりのいい教授たちの方には一切振り向かずに

指導をしていた女子学生のペン先を一緒に作業しているまま答えていた


「あ、あの・・」

「ふむ このかんじだ その感覚を維持したままやってみなさい」

「あ、ありがとうございます・・先生」


何事もなかったようにその女子学生に付き添っていた


「我々を無視をするのかね シュバルツ君!」


「フフフ・・聞いていますよ どうぞおかまいなく」


(・・・)

やや不穏な雰囲気が漂う

おじさん教授の一人が咳払いをする


(オオホン!)「では言わせてもらうが シュバルツ先生

あなたはこの学園に臨時赴任されて

学生にろくに指導を行っていないと聞く


聞けば一月にほんの数度程度の講義しかしておられぬそうですな

それすら気まぐれに講義を休止して全くされないこともあるだとか

他の熱心な先生方とは大違いだ

一体他に何をしておいでなのですかな!」


「今こうして我々が訪ねてみれば 不可解な音を鳴らして騒いでいるばかりか

その講義内容もこのような全く役にも立たないおもちゃのお遊びなど・・!」


「いい御身分ですなあ

そもそもあなたはこの高等部で教鞭をとる資格をお持ちなのですかな

祝福の魔法も使えない魔法講師が

この栄ある聖セントラル中央魔法学園で指導をするに十分に値するか、

いささか疑問ですな」


(うわあ 結構いわれちゃってるなあ先生・・)

「(・・・)」

リズが手に握っている白い箱

おじさん教授たちにはお遊びといわれてしまった魔法のオルゴール


でも特に反応はないシュバルツ先生


「・・それがどうしたというのです

心配なさらずとも

祝福魔法を精通したい学生はきちんと他の先生方の指導を受けていますよ 

私のことなど選択肢にも入っていないでしょう」


「それが問題だというのです


魔法師としては並みの実力程度である貴方が

その若さで上級位の魔法師の格を持てたのは

貴公がブラスト家の出身で古びた法の慣習を利用できたからにすぎませんぞ


そのような外れた道の魔法師を上位魔法師とは

真っ当な誇りある他の貴族家ならば けして認めはしないのです



ろくに祝福魔法の指導も行えない立場でありながら

首都から派遣されて優遇されているのかはぞんじないですが


あなたはこの教棟などをまるまる私物化して

ろくな実績も出さずに莫大な研究費を独占しているというではないか

それでいて受講者も極端に少ないときた


あなたはこの学園の才気溢れる生徒たちの活動の場を狭めているのだ


それならば自ら反省しここを立ち退き

有意義な我々の魔法分野の研究費に注ぎ込んだほうが

この学園の、いや魔法界の明るい未来のためというものです」


「おお君 こんなところじゃなくわしの研究室にこないか

君のような優秀な生徒はこのような場所にいてはいかん」


(・・!)

教室にいた受講生の高等部のクールで美人系の

たぶん貴族の出なのだと思う女生徒の肩に

遠慮のない手つきで触れ始めるおじさん教授



「なるほど これは・・では反省しましょう


立ち退きが必要ですね」


シュバルツ先生は静かに前を向いたまま フウ・・と息をついたようだった


おじさん教授たちの並んだ顔がほころぶ

「おお わかってくださったか」

「もっと早くに自覚すべきでしたな」



「ええ あなた方に立ち退いていただく」



それを聞き 激高するおじさんたち

「なんじゃと・・?」

「・・なんだ下手にでれば生意気だぞ若造が 穢れたブラスト家の末裔の分際で」

「ワシらをだれだと思っている」


・・・

「今は講義中でしてね 部外者の方はお引き取りねがいます


教授方は研究熱心でおられる故 

少しばかり外での運動が不足していると見受けました


ですからこれは私からのささやかな配慮の気持ちです」


すると

「ポウ・・」

シュバルツ先生が目を少し細めると その瞳の奥がかすかに赤く光って

(ええ・・!)


「な、なんだこれは・・! どういうことですシュバルツ先生!」

「て、抵抗できん・・!」

「わしの防衛魔法が・・!何をした!悪魔め・・!」


教授たちはいきなりその場で床に体を伏せ始める


「 そのまま這って自分の研究棟まで帰りなさい 」

シュバルツ先生がさらりとそうつぶやく


その言葉は音の波にのって瞬時に空気を伝わる

それは魔法のかかった言葉のようだった


「ふ、ふがあ!」

「おうっ・・!」

するとそのまま

歩腹前進でズリズリとおじさん教授たちは

身に着けた高そうな各自の服をひこずりながら


「やめろ・・!止めなさい!」

「ああ・・!二の腕がつる・・!!」

「そんな 研究棟までじゃと・・!遠いぞ・・!

人目につく大通りも通るんだぞ・・おいまさか このまま・・、」


「シュ、シュバルツ君・・!」

教授たちはそのまま一列に並んでアザラシか太ったオットセイのようになって

教室のホールを這ったまま出ていき

やがてその腹が擦るような音は聞こえなくなっていった



「フフフ・・うるさい音だ」


結局シュバルツ先生は最後までやってきた教授たちの方は一度も見ないままだった


「作業を中断して悪かったね


諸君 気にせずにまた作業を続けたまえ」


(・・♪~)

先生がそういうとまた教室ホールにオルゴールの音が戻り始めた


受講生たちのみんながペンを使えるようになってからは

オルゴールの音が近くで重ならないように

間隔を広めにとるように広がって制作をする私たち


(な、なんだったのかしら・・あの魔法

魔法は結構できそうな雰囲気のあの偉そうなおじさんたちが

抵抗できないって相当よね

精密魔法ってやつかしら・・ 


まあでも あのおじさんたち無駄に偉そうだったから別にいいかな・・)


アーノルド先輩がいうには

あの人たちは学園を研究機関として魔法の研究をしている開発部の教授たちで


「僕は中等部だったからそういう扱いは受けてないけど

高等部の先輩方はあの教授たちに課題と別に

いろいろ実験の雑用手伝いとかやらされてたなあ」


でもおじさん教授たちはちゃんと名家の出身の位のある魔法使いで

魔法研究の実績もちゃんと評価はされてきた人たちみたい


ただ魔法の研究分野の一部がシュバルツ先生と競合していて

その上自分たちが使えるはずだった研究棟などが

上からの指令で自分たちよりも遥かに優遇されて

ほぼ話を通さずにシュバルツ先生個人の直轄となってしまったので

教授たちは普段からそのことをあまりよく思っていないのではないかと

噂はされていたらしい


「へえ・・ そうなんですね」


私の隣の女学生は

「(シュバルツ様素敵・・)」

とか小さくつぶやいていた


(君はもしかして先生の追っかけなのかな?)



・・・・

「では今日の講義はこれまでとする」

「「ありがとうございました」」


いろいろあったけどシュバルツ先生の講義は終わった


「ジリン チリン チリン チャリリーン~♪」


シュバルツ先生がもっていた、まるで銀河の様なオルゴールには

結局到底及ばない感じだったけど

まあまあ気に入った音が鳴るオルゴールができた


再現度はかなり低いけど

オリジンのメニュー画面を開くときに流れている

私が好きな鐘の音のBGM音源のワンフレーズに近い感じ


他の受講生もお洒落なオルゴールをもらって満足げにしていた

普通に家で手を加えれば細かい魔法の勉強にもなるらしい


アーノルド先輩は

「これは帰ったら検証が必要だな・・」とか

奇怪でヘンテコな音がするオルゴールを握りしめて

やる気を燃やしているようだった


・・・

ところで・・

「先輩あの・・これ」


オルゴールに気を取れられてすっかり忘れてしまいそうだったけど

ぐにゃぐにゃのオブジェになったあのテイマーの腕輪を取り出す


「あ・・!そうだった・・!」

アーノルド先輩は素で忘れていた感じだ

(危ない・・!)


だけど



「それはリズ君が使っていたものだね」

(あ・・先生)


シュバルツ先生は普通にまだ教室に残っていて

講義が終わった後の学生の質問などにひとしきり答えていて

今はひと段落ついたところみたいだった


やってきた先生はオブジェになってしまった腕輪を持つ私の方を見ると


「大事ではなかったようだね」


「え・・あのこんなに ぐにゃぐにゃになっちゃったんですけど」(プラーン)


「そうではない 君のことだ

あの大会の後のことだ


講義がはじまる直前だったのでね なかなか切り出すタイミングがなかったようだ

マギハがずっと心配していてね」

(あ・・そっちかあ)


「はい すぐ退院できました」


「それはよかった」


・・

先生はケガのひどかった私の対戦相手であったゲンゴのことも気にしていたようで

少しの詳細を聞いてきた

いくつか答えた後 その関連の流れでオジキがこの学園の守りを固めた後で

用事で首都に行くと言っていたことも伝えると

・・


「そうかね 玄天斎先生が・・ 

だが今はあまり首都にはいかない方がいいだろうね」


「・・?」


「彼らなら大丈夫だろうが少し・・・首都メリカドハートは

聖ソウル法典へのレジスタンスの活動で荒れていてね」


「聖ソウル法典・・ですか」


「そう 聖ソウル法典の教えは人々の心を支え

この国を含め信仰する多くの国の人々の生活を助けているのだが

「大滅の日」の予言に備える過激派の声が

どこの国でも徐々に目立ち始めているのだ」


(大滅の、日・・)


隣で話を真剣に聞いていた様子のアーノルド先輩


(・・・)

「悪魔が目覚めて世紀末のその日に

世界が滅びる災厄が訪れるってやつですよね


僕はただの健康を祈って家庭料理をふるまう、

祝い事の宗教行事の日かと思っていました」


「そう 大滅は星暦における祈願と星生まれの祝い日・・

それは旧星暦でも本来は同様だ

だがそうは思っていない人間が安寧の場を荒らしているのだ


元々メリカドは古くから悪魔たちの伝説が色濃く残る土地でね

実際に以前よりも星の光が強まり

世界規模で魔物たちの活動が活性化していることも

厄介の元になっている」


・・

それを聞いて少し疑問を持ったようなアーノルド先輩


「ですが・・その旧星暦伝承の世紀末の「災厄」については

遥か大昔に今の流星の星海を生んだという伝承以外は


その時 実際に何が起こるかについては

一般に世の中に公表されている法典の教えでは

もうほとんどが統制下で触れられてはいなかった気がするのですが」



「 そうだね 確かにその災厄の一端を書き記して

世紀末の世界の辿る未来を予言したとされる、

聖ソウル法典が所有する原典「黙示禄」は民の不安を煽るとして

過去に禁書に指定され 厳重に封をされて

今は民がその内容を知る(すべ)はない


だがそれは(かえ)ってよくないものを生み出した


星々が世界にもたらす光は古来より魔法使いの英雄たちの威光の証であり

それらは幸運や恵みの信仰の対象であると同時に

これも古くから言い伝えられた流星を引き連れる古い悪魔の伝説とも

密接な関連性を持つ畏れの対象でもあった


だが本来その相反する境界は

前者の絶対的信仰心の力から後者の面が表に出てくることはほとんどなかった


しかし今そのバランスは崩れつつある


一度傾いた揺らぎは

人々がそれまで信じてきたものに僅かな疑いを生じさせたのだ


人々とて今まで自分たちが信じ、心身を育み豊かにしてきたものを

そう簡単に捨てたり心変わりしたりするものではない


それでもわずかに生じた疑心は

自分たちをそれまで見守り続けていたはずの光を

常に夜の頭上を照らしながら身近に迫る災いへの不安の入り混じる光に変えた



その時何が起こるのかが分からずに禁忌として一切が伏せられた「災厄」は

不安に傾いた人々の思いの力によって

その災厄の存在を見えぬところで日々増大させていっている


災いそのものはきっかけに過ぎない

本当の「災厄」は天からではなく

いつも人の手によってもたらされるのだ・・ 」



「そうなのですね・・」

(それもそうよね 正体が分からないものって必要以上に

怖がっちゃったりとかするものね・・ )


(シュバルツ先生も首都から来たんだったなあ

聖ソウル法典・・勇者とかの管轄よね

レジスタンス、かあ・・首都の事情についてはよく知っているのかしら)


・・・

(・・・)

そこでシュバルツ先生はその話は切り上げたようだった



「・・すまない 話がそれたね 私の講義はどうだったかな」


「はい とても有意義でした 素敵なオルゴールをありがとうございます」


「そうかね」


そこでアーノルド先輩が先生に声をかける


「シュバルツ先生 それでなんですが・・実は

この腕輪の修理がしたいんです それで先生なら当てがあるかと思いまして

今日は彼女と一緒に」


(当てがあるってほんとに先生のことだったんだ・・)


「ふむ・・それで講義の前に机上に出していたのだね

少し気になっていたんだ 二人ともついてきなさい」


(ス・・)

そういってシュバルツ先生は教室ホールを出てマイペースに歩き出す


「・・・」

少しアーノルド先輩と顔を見合わせていたけど

このドラキュラ屋敷みたいなところで

シュバルツ先生を見失ったら迷宮で迷子になりそうなので

急いでついていく


「(え・・もうあんなところに・・!)」

先生の歩幅は思ってたより大きく

一瞬でもう姿は廊下の遠くにいっていてぎりぎり見失わずにすんだ


ほとんど駆け出しで追いついたところで

シュバルツ先生はその突きあたりの部屋の分厚い扉を開けるところだった



「ここは私の研究室にもなっていてね はいりたまえ」


「(ギィ・・)」

先生が手を添えただけで ひとりでに部屋の重い扉が開いて

その中に案内されると


(うわあ・・!)

・・

部屋自体はとても広いんだけど

高級そうな机や複雑な棚の上には

「 」「 」「 」

ところせましと魔法の器具や大きな歯車の機械や 

見たことない変な植物の標本などがあって

土器?とか巻物のような書類や本もたくさんあって 

ドラキュラ風味の考古学博物館のような雰囲気だった

・・


「興味があれば触ってみてもいいが 気をつけたまえ 

液体などには触らない方がいいだろう」


元々眺めるだけで あまり触る気まではなかった私

アーノルド先輩もそのようだった

無造作に積んで置いてあった古そうな本などは気になるようだったけど


・・

変わらない一定の足音をコツコツと

色々なものが並んでいる部屋の中を進んでいくシュバルツ先生

私たちはその後ろをついていく


先生は部屋の奥に進みながら


「あの彼らのこだわっていた祝福の魔法は・・

確かに威力や神秘に優れた魔法ではあるが

私はより細かい違ったアプローチでここでの魔法研究を許されているんだ


ブラスト家は元々特権が認められた最上位の魔導士の家系でね


・・私が魔法師として認められたのは

私が今は極端に数が減ってしまった貴重な古い魔導士としての見識を

引き継いでいることが大きくてね


首都での私の研究を引き続き

ここで継続させてもらえることになったのだよ」


「・・・」

(魔導士・・、たしかお父様に教えてもらった


たとえ魔法が使えなくてもいろんな優れた知識を持っていて

今の魔法術式につながる旧魔導式を作ったっていう

昔はそれでも魔法使いの扱いだったっていう、


シュバルツ先生はその魔導士だったから

祝福魔法が使えなくても上位格の魔法師として認められたんだ・・)


ここでの魔法の研究っていうのは

先生の専攻分野である精密魔法のことで

魔術の回路をより小さく精密にしていく技術のことらしくて

普段はあのオルゴールのような

小さめの魔道具を手作りするのに役立っているらしい


・・

ついてきた先生の研究室の

窓際に近い奥の間どりまでやってくると


「ここでいいかな 少し辺りが散らばっているが かけなさい」


(これだよね)

間取りには小さい丸椅子が並べて置いてあって 

言われたようにそこに腰掛ける私とアーノルド先輩

「・・・」

私の、先輩がいる方でない隣側には何か自立型のなにか寸胴のロボット?

みたいなものも置いてあって

「  」

動いてはいないけど 目の部分がピコピコ光っていてとても気になる


・・・


(うわ、銃だ)


「カチャン・・」

椅子の反対側にあったシュバルツ先生の作業机の上には

まだ制作途中と思われるような

長い銃身の銃の細かい木製のパーツの一部が置いてあった


「・・これはとある上流階層の貴族の依頼を受けていたものでね

()()()()()()()を落とすためのものだ」


(空を飛ぶ鳥の・・)

今は邪魔になるのでサッと端の方によけられていく銃器のパーツ


リズはひそかに元の世界での兵器の見識があるので

バラバラになっていてもそのパーツのことがある程度分かる

構造はかなり違うようだったけど・・


(  )

実はこの世界にある銃と呼ばれるものは

私の世界にあったものとはかなりその性質が異なっている



この世界にある銃というのは不思議なことに()()()()()()()()

それこそ貴族の狩り遊び用の小さい鳥用の猟銃くらいにしか用途がない


それは銃に関する技術がこの世界では

あまり発展していないせいでもある が

それ以前の()()()()()()が存在していて


なんとこの世界の銃器、

つまり大人の人間が手で持てるサイズの

筒状の構造を持つ銃身から発射される弾丸には

謎の力の抵抗が働いて その威力が瞬時に減衰してしまう


これは現物の火薬によるものでも

魔力を使用した魔法によるものでも同様で、

特に魔法によるものでは大幅に威力が減衰する


それはまるで

この世界では銃器という存在が認められていないかのようで


この時生じる謎の不思議な抵抗力の正体は未だに解明はされておらず

一説にはこの世界に昔

無数にあったとされる法則性の一種の名残ではないかと言われている


だけど一方で人間が手に持てないようなサイズの

砲台のような規模のものになってくると

抵抗がないわけではないが その抵抗値は大きく下がるので

実用的な威力のある魔導砲などは作ることは可能らしい



・・

そういう事情もあって

手持ちのできる小型の銃器のような魔道具はあまり発展はしておらず

そういうものは弾の出るおもちゃのような扱いとなっている



それにしてもロボットとか銃とか・・

そういうのも先生の持つ魔導士の見識で作り上げたんだろうか


・・

あらかた机上の整理が終わって


「では例の腕輪を」「はい」

私はそう促されてシュバルツ先生に腕輪を渡す


「腕も少しいいかね」

(私の腕?)

すると私の二の腕辺りを先生が少し手で支えて 

少し上に持ち上げたり下げたりされる


リズムとしては1(いっち)2() 1(いち)2(に・・)っていう


「・・・」

ちょっとシュールな感じ


「ふむ・・」

(可動域でも見てるのかしら・・)


その後 私の腕はもういいようで

壊れた腕輪を軽く裏返したりして見分している様子の先生


「実はね これは私がアーノルド君のサークルの活動の足しにと

アーノルド君にあげたものだったんだよ」


「え・・そうだったんですか」

「実はそうなんだ」

アーノルド先輩はうなずいた


(道理でけっこうサイズに余裕をもって作ってあったんだなあ・・)


「自分で使うか ものがいいから展示して大会を終わるまで一時的に人寄せに

使おうかなって思ってたんだけど 

ブースに来たリズちゃんを見たらビビっときちゃったんだよね」


シュバルツ先生は 

ぐにゃぐにゃになっている腕輪を調べながら


「まあここまで使ってもらえるならこの腕輪も

甲斐があったのではないかな」

「・・・」

(防御につかっちゃったんだけど・・)


シュバルツ先生はなにか小さいレンズの筒のような金色の光沢の器具を取り出して

細い線の光を腕輪に照らしたりして

筒の器具越しに片目を瞑ってじっと調べていた


「私はあまり冶金(やきん)は専門ではないのだがね・・」


「直りますかね・・?予算は今はこれだけ準備があるんですけど・・」

私は銀貨と銀のインゴットの入った小袋を出す


「これは首都で見つけた骨董品の古い腕輪に私が手を加えたものなんだ

技術の心得は多少ある


その分だと対価としては少し足りないが


ちょうど銀が欲しかったところだ それを受け取ろう」


(  )

先生は何故か小袋の中身が銀であることを見抜いていたのだった


そういってシュバルツ先生は紐をほどいて小袋の銀貨ではなく 

銀のインゴットの方を長い指で軽く取り出すと

なんと


「ジュウワ・・・!」

(ええ とけてるとけてる)


先生の机の上にいっぱい並んでいた特殊な奇抜な器具のひとつを手繰り寄せて

青色に光る魔術で銀のインゴットを溶かし始めてしまった


「うむ・・この銀は質がいいな」

何食わぬ顔のシュバルツ先生


「害のある光や空気は隔離してあるから 君たちは気にしなくていい」

(そういう問題だろうか)


そのままシュバルツ先生は腕輪にも手を付けて静かに黙々と作業を続ける


「(え・・これってここで直す感じ・・?

先生のつてでどこかの職人に修理に頼むとかじゃないの?


いやきっと先生ならこういうのもできちゃうんだ・・)」


「あ、あの 先生・・」


「しばらく集中するから話しかけないでもらえるかな」


「(あ、はあい・・)」

(ダメだこりゃ)


・・・・

仕方がないので

博物館みたいなこの研究室を自由に見て回ることにした


気になった目のつくところに少し歩くと

なんともいえない顔をした犬型の魔物の模型とかが置いてある


「・・・」

(ちょっと色が違うけど オジキのベダジュウと同じ種類の魔犬だろうか

魔物の原種サンプル名パネルに「駄獣(ダジュウ)」って書いてあった

なんて駄目そうな魔物なの)

(サワリ・・)

気を付ければ触れていいという先ほどの先生の言葉を信じて

触れてみたりすると毛並みはリアルで普通にゴワゴワした感触だった


・・・

アーノルド先輩としばらく

私は一緒に先生の研究室の見学をしていた


「  」どおおん

(・・・・。)よくわからないけど立派な入り組んだ木の幹の一部


「これは魔杖に加工できる北方山脈の魔原樹のサンプルだよ

採取域が危険地帯すぎて なかなか市場には出回らないんだよなあ~・・


こっちはよく炎属性の上級装備の素材にもなる、

火炎サルマノトカゲの変形奥歯の第一牙の標本だね

これは・・何だろうなあ」


「(へえーそうなんだあ)」


無造作にそこら中に置いてある

この世界のいろんな魔法由来の不思議な素材たち

とんでもない量だったけど

先生がいろんな知識が必要な魔導士でもあるって聞いた後だと

この量も納得できる気がする


・・

見学の途中で博識な先輩が興味のある魔法資料の本の山を見つける

「リズちゃんごめんね」

「いえおかまいなく」

先輩は適当な椅子のところに座って 見つけて選んできた本を熱心に読み始める

何冊か他の本もキープして積まれていた


(わたしもなにか拾って読もうかなあ・・)


「先輩、それは何の本なんですか?」

だが他人が読んでる本が気になるリズ


「これかい?ちょっと見てみるかい?僕も見始めた所なんだけど」

その本を少し一緒に覗いて見ると


(なになに・・「失われた魔法(ロスト・マジック)たち」・・?)


その本の内容は大英雄の時代から魔導戦争にかけて失われて

今には残っていないとされる古代の魔法の一部がどんな魔法であったかとか

計測記録とか術式の推測とかそういうことがズラズラ書いてあった


「昔の魔法は昔の人がいろいろ考えて試行錯誤された術式が多くて面白いんだよ


こういうのがちょっとロマンがあって好きなんだよね

想像も捗って勉強にもなるし」


「あー ちょっと分かります」


・・

この世界で一度世界が滅ぶ寸前までいったという大魔導戦争以前の記録は

一部の伝承や頑丈な遺跡の石などに刻まれた記録を除いて

ほとんど消失して今の世界では失われてしまっている


なので推論や想像上の超理論とかが入ってるので正確にほんとかどうかは分からない

オカルトみたいな面白さ


以前にアーノルド先輩に武闘大会の会場で

昔の英雄たちが唯一無二の魔法を持っていたって

教えてもらったことがあったけど


そういう過去に失われた大英雄たちの

原理が不明のすごいエネルギー規模の大魔法の術式の一部が記述されていたり 

他にも

丈夫な鋼の人口心臓を作ったり 

造った建物をぐにゃぐにゃ動かして移動させたりとか

すんごい太った絶滅種のナメクジの一種から

貴重なハイパー美容エキスを抽出したり

(うへえ~)とか

そういう変な独自の旧魔導式の研究魔法もある(あったみたい)


昔の力が溢れていた時代と違って

当時の魔力の力場とは変わってしまっていて

今はもう術式の構成が再現不可能になってしまったらしい魔法たちだった


そうやって先輩の指から本のページがめくられていくと


「これは・・」


(・・・)

「  」

(( みな死に絶えた 残酷な女神の前には全ては無力だった ))

月夜の荒野一面に大量の白い骨や魔法鎧の残骸で埋め尽くされて

崩れて立っている石柱に光が差し込んでいる中で

月を背に映る黒い翼の影が描かれた異様な雰囲気の挿絵があるページ


「これは女神像の元にもなった()()()魔法だね 

過去の大英雄だった刻冥王ウラピコの超魔法だよ」


「刻冥王ウラピコ・・」

(そういえば前に授業や大会でも教えてもらったような気がする

たしか最初にこの世界からいなくなった大英雄だって


それにゲンゴが向こうの世界で言ってた

旧星代?の最強の魔法使いの一族の出身だったって)



「そう、彼女はこの魔法を多用したせいで

世界の人々から最も残酷な英雄として恐れられたし

他の英雄たちからも強い顰蹙(ひんしゅく)を買ったんだよ


彼女の魔法のことは

メリカドの首都の古い石碑に記録の一部が刻まれて残っていて

彼女が持っていたとされる消えた魔法は数多くあるけど


これは一般には伏せられているんだけど


彼女の魔法は普通の魔法とは違って旧星代という

根本的に原理の異なる「星の力」を源にするという、ある一族の魔法だったんだ


この魔法は死の盟約、

いわゆる非常に強力な広域の即死魔法だったと云われているんだ


術の範囲にいるあらゆる存在、生物の「心臓の鼓動の音」を止めるんだよ


彼女はこの世のものの存在を消す禁忌の魔法を使えたんだ」


(・・!)

「え・・、そんな危ない魔法がこの世界に・・」


「そうだけど・・まあ大英雄がいたような昔のことだからね 

今は大英雄たちの魔法は消えてしまったし


その刻冥王ウラピコが当時の魔法を構成する重要な要素の力の一つを

自身が世界から消える時に一緒に消し去って

世界からは失われたんだ


そうして彼女を最後に

星を詠むことができる魔法使いもいなくなったんだ


だからそういう超魔法たちは

今の世界ではもう出力を行使できる構成基盤がないんだよ」


「ふーん・・ そうなんですね」

(本に書いてないことまで・・やっぱりアーノルド先輩も

ちゃんと知識を受け継いでる貴族なんだなあ・・)


・・

それからもう少し一緒に近くで本を覗いていたけど


(ピク)

(あれ・・)

先輩が次のページに指をかけているときに指がわずかに止まって

本のページじゃなくて

まだページを読んでいた私の顔の方を

普通は分からないくらいさにげなくチラッと見てきたのがわかった


私は反射がいいので気配が分かったけど・・


たぶん一緒に見ている私も十分見れる時間をとってくれてるんだ

本の次のページはまだめくられていなかった


(あらいけない これ私 気を遣わせて先輩の邪魔してるわ・・)

たぶんそこまでそういう風には思ってはないと思うけど・・


察するリズ


先輩は普段から本を読み込むスピードが早いみたい

(・・・)

先輩も集中して本を読めた方がいいかなと思って


「私ちょっと他のところもみてきます」

「そうかい?ああ それなら見ておいで」


私はその場から離れることにしたのだった



・・・・

そのまま一人でいろいろ見て回ってかなり時間がたつ


「  」

先生の研究室に置かれていて見つけた資料の本は

意外なことに魔法の研究に関する本ばかりではなくて

郷土の本というか地方に残る逸話や伝説、昔話を集めたような物語の本も

かなりの割合で混じっていた


メリカドで収集された本ということもあって

やっぱり悪魔の伝説に関する本が多かったけどそうじゃない本もある


(  )

それは「杖を持つ小さい子供の魔法使い」の姿が

書かれているもので

この子供の魔法使いには謎が多く

だれかしらの古代の偉大な勇者や英雄の子供時代の姿ではないか

と昔から言われているが本当の詳しいことは何も分かっていない


この世界に残っている古い遺跡や絵本なんかには

よく星と一緒にその星に手を伸ばしている姿だけが描かれていることが多く

それは不思議なことにメリカドだけじゃなくて世界中でも共通の傾向にある


そんな資料の本たちの中に

その子供の魔法使いのシルエットの姿がかかれた

子供用のフワフワした絵柄の雰囲気の絵本もあって

わあ、どんなのだろうって手に取って始めの方のページを見てみたら


いきなり

「「 最初の勇者たちは神代の悪い魔法使いによって呪いのキズをつけられて

ばらばらになってしまいました。 」」

ええ・・?!みたいな内容

ふわふわな見た目と内容が伴ってない


(この傷の形の呪い・・?もしかして

神代の魔法使いっていうのは

人間じゃなくて獣とかの動物の姿をしたものだったのかしら・・?)


なんか悪い魔法使いに爪痕のようになった呪いをかけられた勇者たちが

いろいろとひどい目に()うお話の本っぽい

ピカピカの勇者の出てくるような物語は

大抵は勇者が世界の英雄に成り上がるような活躍をするものなのに


(ふーん・・)

どうやらろくでもなさそうな絵本だったけど

まだちょっとだけ抵抗して

ならどうやって最後に勇者たちの呪いは解けたのかしら?と思って

その絵本をペラペラめくってみると


「 最後に残った名を忘れた女勇者は愛する伴侶と結ばれました 」


ああ なんやかんやあって呪われて大事な名前を忘れてしまった私でも

最後は理解ある彼氏と出会えました、ってことで

一応めでたしめでたしなんだ

とリズが思った次の瞬間のページには


「 がしかし 彼女と愛する伴侶の男との間に生まれた子は

人間の見た目をしておらず異形の竜の幼体の姿をしていました


生まれた我が子の姿を見て

自分が呪いでもう人間でなくなってしまっていたことに気が付いた女勇者は

絶望して自らが石になって閉じこもり

それから勇者はもう二度と人々の前に姿を現すことはありませんでした 」


(う、うわあ・・)


な、なんて本なんだ

せめて最後の勇者くらいはとは思ったけど

結局悪い魔法使いにかけられた呪いは解けないままなんだ


ひょっとしてマギハちゃんとかが読むから絵本もあるのかなって思ってたけど

どうみても子供に読み聞かせる類の本じゃない


なんというか昔の伝承とか物語にありがちな特にエンタメ性も気にしない

オチはぶん投げてそこに救いもなければ、

ぜんぜん教訓にもならないような

そうやって淡々と勇者たちの身に起こったことを並べて記されたお話のようだった


そもそもが創作なのかもしれないし

はたしてそれが本当の事なのかも定かではない


「・・・」

(でもそういう話が生まれて代々伝えられてきたのは

この世界の大昔の人の物の考え方の文化で

身に降りかかった天の災いや強い魔法の呪いは解くものじゃなくて

受け入れざるを得ないもので一生付き纏っていくものっていうのが

古い教えの根本にあるのよね


この絵本もそういう昔の郷土の資料のひとつってことかしら)



・・

「パタン」

もう本を読むのにはちょっと懲りたので


今は切り替えて机の上に置いてあった魔法具や土器?などを見ている

これもリズにとって初めて見るものばかりでどれも風変わりで

全然退屈しないからかなり夢中になっていた


そこに


(あっ・・さっきのロボットだ・・動いてる)


私が変な土器を見物をしていると私の横から

シュバルツ先生のところにいた土偶みたいな無骨なデザインのロボット?が

足はないので多分キャタピラかタイヤを組み合わせたようなもので駆動していて

ゆっくり私の横を通り過ぎていく


「・・カタカタ」チャタコンチャタコン

そのあと頭の部分に何かの金属の糸の素材のようなものをのせて戻ってきて

また私の横をスルスル通っていく 


作業中の先生の所に戻るようだ

(すごいわね 精密ロボット?・・お手伝いでもしてるのかしら)


・・・・

・・

そしてそろそろ見るのも最後にしようと思っていた頃

また興味を引くものがリズの視界から目に入って 

奥まったある場所の手前で足を止める

「これは・・」


「「  」」

錠のかかった厳重そうな透明なガラスのケースの中に

大きな何かの装甲のかたまりのようなものが入っていた

装甲の一部はカット加工がされている


(これって私の腕輪についてた、あのかっこいいパーツと一緒の材質よね・・)



(ス・・)

「・・気になるかな」


「うわ!」(ビクン)

いつの間にか背後に

この風変わりな研究室の主であるシュバルツ先生が立っていた

長身のシュバルツ先生に背後に立たれると かなり迫力があってびっくりする


「すまない 悪気はなくてね それが仕上げに必要だったんだ」


「これが・・ですか」


「そう 以前に君の腕輪についていたものと同じだ 

希少な生物由来の特殊な装甲でね」


(そういえば腕輪自体はグニャグニャだったけど

その装甲のところは全然そのままだった かなり丈夫らしい

生物由来・・?)


「私がここでなんでも研究費で買ってしまうから

今日のような人たちに目の敵にされてしまってね 


今までは古い棟など見向きもしていなかったが

ここに保管してあるものが価値あるものだと知った途端に 困ったものだ


私の研究費も首都からの出資が主で この学園とは半分以上は別なのだがね・・

彼らはそのことは知らないようだ」


(あのおじさん教授たちのこと・・?じゃあこれも買った・・のかしらね)


「高かったんですか・・?」


「そうだね ××××××××ズキューン!バキューン!(銃声音)金ほど

これはかかっている」

涼しい顔のシュバルツ先生


「(ええええ~~~~!!)」

それはリズがもってきた小袋の銀貨とは途方もないくらいに差のある金額だった


私が青くなっていると


「なに 使っているのは一部だけだ それにこうしたものは

君の様な学園の学生にしっかりと還元させているのだから

全く問題はない 君は堂々としていたまえ」


(カチャリ・・)

シュバルツ先生は慣れた手つきで開錠してガラスのケースを開けてから

その装甲の一部を取り出す


「そ、そうですか」

(なら・・納得しよう! 私はこの学園の学生だもの)



「仕上げだ 君も戻って見ていきなさい」


・・

戻ってきた私とアーノルド先輩はその仕上げの様子を見る

あの寸胴のロボットも元の位置に戻っているようだ


「(わあ・・きれい・・)」


ぐにゃぐにゃに歪んでしまったフレームは奇麗に編み直されて

元の形よりもかなりアレンジが施されていてデザインがかっこよかった


ていうか光沢のある銀メッキが回路のように追加されて一部に使われている

(銀がほしいってこういうことだったのね)


「カチャン・・!」

そこにさらに流線形に加工されたかっこいい装甲が追加されていく

型にぴったりとはまり込むように計算された精密な設計


シュバルツ先生は詳しい説明を添えてくれる


「銀は魔力の伝導に非常に優れている 

装甲の追加と他には伸縮性と魔力による形状の記憶を追加した


どういうことかというと これは今回のような衝撃にあって

フレームが歪んでしまったとしても

君の魔力をしばらく通しておけば腕輪は元の形に戻るということだ」


(ええ・・!なにそれ すごい)


「アーノルド君 これをさっそくリズ君につけてあげたまえ

寸法はぴったりにした だが試着はしてみなくては」


「了解です リズちゃん、つけるよ」

「はい」


・・・


「カチャ・・」

(わあ・・!)

アーノルド先輩からリズの腕に取り付けられた

銀色に光り輝くNewテイマー仕様腕輪


(流れるように編み込まれたフレームに

ちりばめられた装甲のデザイン・・やっぱり最高だわ!)


腕をいろいろ動かしてみると それにしっかり可動部がかみ合っていて

動きをまったく阻害しないしスペースに余裕のある作りになっていた


「動きは問題がないようだね」


「はい!すごく自由にうごきます・・!」


「そこまで性能をあげると もはや杖を使うよりもこの腕輪の方が

普段の魔法を使う場合でも優れている よって普段でも問題なく使える」


・・

「では私からはここまでだな リズ君の腕輪の修理は終わった」


「あ、ありがとうございます・・!」

(修理っていうか もはや別物だわ・・これ)


「あ、あの・・」

修理代のことで私が先生に追加を申し出ると

銀貨はもらったし残りは学園の学生への還元分だからそれ以上は

いらないということだ

(ならいいか・・とにかく感謝ね)


・・

シュバルツ先生に感謝をして

リズは付き添ってくれたアーノルド先輩と一緒に

ウキウキでピカピカの腕輪を着けて先生の研究室を出ていく


隣のアーノルド先輩の様子もよく見るとウキウキで

それはシュバルツ先生から待ち時間で読み切れなかったキープ分の大量の本を

借りて持っていっていいと言われて両手に大事に抱えていたからであった


「そんなに読むんですか?」

「ああ、もちろんさ

シュバルツ先生はさ 旧魔導式の書物をいっぱい持ってるんだよね

先生みたいな魔導士はもう世間じゃ

旧魔導式の魔法は必要な力場の元素が欠けて使えなかったり

今の魔法術式が出てきて役割を終えたっていわれて冷遇されてるけど

僕は全然そんなことは思わないんだ


そこから派生した今の魔導式の道具は世界で主流になって

広く使われているし

こういう昔の試行錯誤してきた知恵が今の魔法にも必要なものだと思ってる」


(・・!)

「そうですよね この腕輪のこともそうだし、あんなになんでも作れちゃうし・・

私もそう思います」



・・・・

・・・

研究室で残って寸胴のロボットから渡されたコーヒーを

作業後に飲むシュバルツ先生


「ふむ・・レシピは覚えさせたはずなのだが

コーヒーを美味しく作るのはなかなか上達しないな

工程の回路の改良が必要か・・」


ゆったりと椅子に座っている

窓際からは遠くにアーノルドとリズが並んで話しながら帰っている姿が見えた



「・・行ったようだね」


・・・

シュバルツ先生は机に飲んだコーヒーカップをコトリと置く


「ではコーヒーはもういいから ここを少し片付けてくれたまえ


この()()()()()()を元の位置に戻しておいてくれ」


シュバルツはリズの腕輪に取り付けた装甲の加工した余りの部分を

カチャリと寸胴ロボットの頭の上に置いて

カタカタと動き出したロボットを見送る


(・・・)

「私の持てる魔導によりをかけた逸品はできた

あのフレームならば「()()()()」にも耐えられる


だが私はどこまで彼女の助けとなれるだろうか・・・ 」


シュバルツの机の端によけていた、

以前にとある王家の血を継ぐ貴族から依頼を受けていた銃器のパーツ


「  」

その横で

リズの対価の銀の余りでメッキ加工をして立てて置いていた一発の銃の弾


まだ放たれていない銀の銃弾


その鈍い銀の輝きを静かに眺めていた



・・・・

・・・


「(今日は風車の家に帰りましょ 早速アスラに試してみないと

あと自慢をしないとね)」


帰り道で今日はウキウキのリズ


自慢をするべく風車の家にやってきた

しかし・・

「・・・」



「このオルゴール面白いね」

「わーすごぉい~」(キャッキャ!)

「(ジリン チリン チリン チャリリーン~♪)」


ネロや陽気なスライムたちにはかっこいいものより 


光っていて動いて面白い音の出るものの方が関心が高いようだった


(ちぇ~ お子様はこれだから)

「でもいいもん・・」


(キュッキュ・・)

楽しい音のオルゴールに群がるお子様たちの横で

リズは新しいピカピカの銀の腕輪をさらに布で大事に磨きをかけていた



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