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瞳を見るとBURST HEAT! VS世紀末格闘少女リズと不思議の格ゲー魔法世界  作者: 綾町うずら
勇者たちと動き出した運命編
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第74話 シュバルツ先生の授業

 「では・・今日はこうしようか」


そういうとシュバルツ先生は

教壇の側からは降りて

アーノルド先輩と私のいる近くの生徒側の長机の前にやってくる

(え・・!)

目の前までくると革靴の子気味のいい音が一度カツン、と鳴る

「  」スッ

そしたらシュバルツ先生はちょうど

アーノルド先輩と私の間くらいのところにおもむろにそっと手を置いた


シュバルツ先生の手は細長くて薄手の白の生地の手袋をしていた

(ポウ・・)

それがかすかに光っている

そして机からその手がフッと離れると


「(これは・・箱?)」

まるで手品のように

そこには木?のようなものでできた「白い箱」が置いてあった

それに気を取られていたら


「  」パッ

「わっ・・!」

私の目の前のそこにも同じ白い箱があった

周りをみるとアーノルド先輩のところにもあった


「これは・・」

アーノルド先輩がつぶやいている


さらに周りもみると

他の受講生たちのところにも同じ箱が配られていたようだった

(ええ・・どうやったんだろ 

よくわかんないけど魔法・・よね)



「フフフ・・ちょうど最後に予備をひとつ作り置いておいてよかった


それは君たちへのプレゼント・・ないしは今日の講義の教材だ

これは全ての人数分を用意するのは手間だったから

生徒が少なく済んだのは幸いだった


今日は離れから聞いていても仕方がない 

諸君 それを手にもって前に寄せてきたまえ」


そうシュバルツ先生がいうと

周りで講義を聞いていたまばらだった生徒たちが立ち上がって

先生や私たちがいる長机の方に言われた通りに集まって

順々に着席していく


「隣、失礼しますね」

!「あ どうぞ」

先輩の女学生の人が私の隣にもやってくる


「開いてみたまえ」


(開く・・?この箱開くの?)

よく見るとその白い箱は緻密に作られているんだけど

上部の方に薄く横にまっすぐな線が入っていた 


手に持つとしっとりとして重厚なかんじ


その線を意識して

(こうかな・・)

するとあっさりそれは


「パカ・・」

といって開く 蝶番のようになっていて開いたら180度のところで止まる

中に何か金属製のパーツ?が入っている


(これは・・)

ゼンマイ仕立ての様な細やかな真鍮のような金属製の機械が入っていた


(うわあ・・なんだか宝石みたい)

光沢のある金属製のパーツたちは調和していてそれだけで

おしゃれなアンティークのようだった



「これはオルゴール、というものでね 海外の魔法国からの嗜好品だ

だがここにあるものは独自に私が手を加えてある

これは私の分の箱なのだが・・」


そういってシュバルツ先生が先生の白い箱を開けると


「(え・・なにこれすっごおい・・)」


(♪~♪ ~♬~♪・・♪~♪・・)


私はオルゴール自体のことは知ってはいたけど

そこから出てくる音、奏でる音がすごいのだ


普通のオルゴールはゼンマイで中のシリンダーといわれるコアの部分を回して

その金属についているピンを金属の振動板で回転で引っかけて

ピンの加減と振動板の加減によって

いろいろな高低の金属の音を鳴らすのだけど


(なんかちょっと詳しい風に説明してみたけど

先生がさっき言っていたことだ)


この先生のオルゴールはまるで本当に川辺の横の森のふちで

楽器を持った妖精や小鳥たちが

そのオルゴールをちょんちょんと突っついて遊んでいるような

そんな幻想的で華麗な音色を響かせていた


(これも魔法で手を加えているのかしら・・)


「覗いてみてごらん」

先生から私たちに見える近い位置にその箱がコトリ、と置かれる


「わあ・・」

私の箱はどうやらまだ一切何も手が加えられていない新品のようで

そのシリンダー部分は無地で光沢を出しているだけだったけど


「  」

シュバルツ先生の手が加えられたオルゴールのシリンダーのコア部分には

幾多もの緻密な回路が生成されていて何色もの砂粒が光りながら流れていくように

ゼンマイに合わせて回っていて

まるでミニチュアの銀河がそこに詰まっているようだった


「な、なんて緻密な・・ここまで・・」

アーノルド先輩はその魔法レベルが分かるらしく絶句している


周りの学生の反応は驚いていたり その音色を楽しんでいたり

熱心にメモを取っていたり様々だった


(・・・)

「これは私の・・そうだな  願いのようなものだ」


(先生の、願い・・?)


「今日はここまで・・とはいわないが

基礎的なものは教えるから 

君たちの思い思いの音色をそのオルゴールで作って見てほしい


精密魔法の勉強にもなるだろう」


(ええ・・!これを作るの・・!

私でも作れるのかしら・・ちょっとわくわくする)



「通常のオルゴールはピンをうって加工していくのだが

ここにある私が用意したものは特別だ


リズ君 少しいいかな」


「えっ・・」


予期していないところに先生に突然名前を呼ばれてドキッ!とする


(スッ・・)

「彼女は今日は諸君らには面識がなかっただろう

中等部からアーノルド君と私の講義を聞きに来たリズ・クリスフォード君だ


先日武闘大会をみた生徒は少し彼女の事を知っているかもしれないね

リズ君 今日は気楽にゆっくりしていきたまえ」


「中等部のリズ・クリスフォードです・・

今日はみなさんよろしくお願いします・・」


(パチパチパチ・・)


わあ・・なんか恥ずかしいわ・・

「よろしくね リズちゃん」

さっきのとなりの先輩の女子学生の人から声をかけてもらった

「は、はい」

(どうしよう 今日はふらっと来ただけなのに・・)



「紹介が終わったところで 話を戻すとしよう


では新入りのリズ君 手始めに少し魔力を借りさせてもらおう


手を私の前に ちょうどこの辺りに」


「は、はい・・」


先生に誘導されて私は手のひらを先生の前にもってくる


そこにそっとシュバルツ先生の白の手袋ごしに先生の手が片方添えられる


「少しでいい 少しだけ手のひらの上に君の魔力を

そうだな できるだけ小さい方がいいんだが

はじめはビー玉くらいの魔力を浮かせてほしい」


(ビー玉くらい・・)

「(ズズ・・!)」

(うわあ やっぱこうなっちゃうよ)

私の手のひらに ちょうどビー玉くらいの邪悪な魔力の塊


「澄んでいる・・いい魔力だ」

シュバルツ先生の目の赤い瞳にリズのくぐもった黒い魔力が映っている


(ほ、本当・・?どう見ても澄んではないと思うんだけどなあ)

先生の目には何か違うものが見えているのだろうか?


「はじめは私が手伝うから 諸君らはこの魔法過程をよく見ておくように

分からなければ後で私に質問をしにきなさい


でははじめよう」


「・・!」

「「  」」

すると私の手のひらの上の魔力に

シュバルツ先生の魔力の手が加わったのを感じた

(なにこれ・・?)


先生の魔力はまるで透明無色な水のようで

魔力の流れが普通に力を入れて流していく感じじゃなくて


その魔力自体が1本1本繊細な糸になっていてそれが自在に動いて

結果的にそれが普通に流れて見えているようなそんな違いがあった


(キュウウン・・・!)

その魔力が私のビー玉くらいの魔力に

はじめはほどけた糸のように巻き付いていって

それからクルクルと奇麗に回り始めると

しだいに私の魔力が真ん中からじょじょに半分に分かれていって


でもそれは完全に分かれたわけじゃなくて

繋ぐように1本の糸の様な細い魔力の塊がその間に出来上がっているのが見えた


「ふむ ではこれは私が一旦維持しよう」

(フッ・・)

そういうと私の魔力はシュバルツ先生の手の中にクルクルと一旦移って

私の手が自由になる


「リズ君のその箱の中には ガラス板でできたような四角い場所の箇所がある

そこにも魔力を通してみたまえ 小さいがリズ君ならできるはずだ」


(ええ・・なんかちょっとプレッシャー・・ ガラス板・・?)


「ここのことじゃないかな」

アーノルド先輩が指さして教えてくれる

(ここかあ・・)

確かにガラスの板のような部分がある


意を決して そこに指先からそっと触れて開くように魔力でなぞると


「キュイン・・」


(うわ・・)


そのガラス面が拡大したように魔力がその形に広がって

手のひらほどの

画面のようなものがあらわれる


「これはオルゴールのコア側に音を刻むのを

手助けしてくれる仕掛けだ これに先ほどのこの分かれた部分はいらない


この中央に集中した糸のように細くなった部分を使う


糸のような形状になっているが 

実際にはかなり重なって渦巻いているから弾力がある

作成時の力の入れようによっては堅くもなる」


「これをリズ君の手元にまた戻そう」


(スッ・・)

シュバルツ先生がガラスの部分を触ったリズの人差し指の爪先に

くっつくようにその取り出した弾力のある細くなった魔力片をくっつけた


(わあ・・不思議ね 指の先がペンみたいになってるわね)


「今は私が指の爪先にくっついている部分を形作っているが

慣れたら自分で維持しなさい 

側は小さく魔力で包み込んで固定するだけだから難しくはない

つけた本体の魔力も維持できるように優しく囲っておけば長持ちする


ペンのような魔道具につけ替えてもいいが始めのうちは

自身の体と繋がっている方が感覚が掴みやすいし維持もしやすい


そしたら・・そうだな


その画面の上の端から下へ ペン先のようになった部分を

とん とん とん と 間隔を空けて簡単につついてみなさい」


(こ、こうかしら・・)


「(えい)」

(とん とん とん っと・・)


そうするとその浮き上がった画面にそのリズの魔力がとんっと

当たったところだけ ズポっと避けるように形ができていて


感触としてはなかなか癖になる感じ

その中心にはそのペン先サイズの穴が渦巻いている


「その形が ガラス面を通じてコアとなる魔法のシリンダー部分に

記録されるようになっている

では試しに鳴らしてみるといい 中のゼンマイを軽く回すだけでいい」


「(ギイ・・)」

(ちょっとドキドキ・・)

いわれた通り箱の中の金属製のゼンマイを回してみる

手を離す


「 ジン ジン ジリン・・ 」

(うっ 暗い・・!!)


先ほどのシュバルツ先生の華麗なオルゴールとはまるで全然別の音がでている


(でも・・穴を開けたタイミング通りに音は鳴ってるんだなあ ちょっと面白い)


「素晴らしい 上出来だ」


リズのオルゴールの音が流れて満足そうなシュバルツ先生

(ほんとうですかあ・・)


「この魔力の先が小さくなるほどオルゴールにより深く細かい音の描き方ができる

だが ただ小さくすればいいというものでもない

大きくても音は刻めるし それが悪いというわけでもない


それは音を刻んでいくうちに自ずとわかるだろう

それは己が持つ感性


刻むのは自分の好きなタイミングでもいいし

魔力に意図的にばらつきを加えてもいいし自由だ

それはその個人の魔力の属性や質によっても


魔力に願いをこめるだけでも 


その君たちのオルゴールの音色の響きは違ったものになる


では各自 自由に始めなさい」


・・・

先生は始めなさいといったけど

いきなり質問に学生たちがドっと群がってきていて

とても大変そうだった


多くの学生は最初から躓いたようでシュバルツ先生に

直接魔力のペン先作りのコツを教わっていた


「(私も最初は先生にしてもらったけど

私がやってここまで細くできるかしら・・)」


まだリズの指の先についている弾力のある細いペン先のような魔力を見つめる

すると・・

「ポロ・・」


「あっ」

ペン先魔力が取れて落ちてしまった

(しまったなあ 自分で維持しなさいっていわれてたんだった・・)

「フシュン・・」

机に落ちた魔力は少し回ってから消失してしまった


(仕方ない 最初のビー玉から・・)

作ったときの感覚は残っていたからそれに沿って再び作っていくが

魔力を細く維持するのがなかなか難しい


アーノルド先輩も苦戦していたので 

先輩に手を支えてもらったり お互い協力しながら見よう見まねで作ってみると

なんとかまた形になった

(ちょっと太めだけど・・)


(ジャキーン!)

「(さあ 作曲家になるわよ・・!)」


箱のガラス面に指を触れて再び画面を出す

刻んだ音を消したくなったら

中に入っている別の掴みのスイッチをいじれば消えてやり直せる


ガラス面はさらにもう1枚振動板の方をいじる機能もついていて

調整次第で別の楽器の様な音も出せるそうだが そっちは調整がまた難しいらしい


リズの邪悪なペン先でスポスポと画面に穴を開けていく


「ジリン ジリリン ジリリン リン・・」

(あっれー、 なんかイメージと違うなあ・・でも穴を複数

同じ列に描くと音が重なって面白いね)


「ポロロン ポロン・・」

「チリン チリン~」 「ピン ピコンピコン♪」


その頃になると他の学生も徐々にコツを掴めてきたようで

試作オルゴールの演奏が教室ホールによくあふれるようになっていた


(へえ・・ほんとに人によって全然音自体が違うや・・

電子音みたいなのってどうやって出すんだろう)


「アーノルド先輩は何してるんですか?」

食い入るように白い箱とにらみ合っているアーノルド先輩


「いや せっかくだから先生の真似をしようと思ってね

いろいろな属性を混ぜ込んで試してみてるんだけど・・」


そういえば私の箱の中のコア部分には私の黒っぽい魔力だけで

ガラス面から反映して点々と描かれてた


アーノルド先輩の物を見ると

(雷属性とか炎属性とかかしら・・何色もある 器用だなあ先輩)

複数属性のわりとカラフルな構成がされていた

優等生っていうのは間違いないっぽい


でも肝心のオルゴールの音としては

「ジャリン・・!ピヨン ピッピ ギョオオーン」

みたいなよくわからない音だった


「くっ・・!こんなはずでは・・!」

普段優秀らしいアーノルド先輩が頭を抱えて苦悩している



「フフフ・・難しく考えすぎだな」


シュバルツ先生は生徒の指導をしながら

ゆったりと椅子に座っていて その様子をみて静かに愉快そうにしていた


(ポロンポロン・・)(シャリリン・・)

各自で自由に魔法のオルゴール制作に勤しんでいると



(ドタドタ・・)ガタ

そこに突如オルゴールの音色とは違う音が入り混じる


「「バン!」」

「シュバルツ先生・・!これは何事ですかな」


(え・・?)

講義のホールのドアが開いて 不審者・・?じゃなくて

この学園の先生?なのだろうか

謎のおじさん達が部屋に数人でなだれ込んできたのだった




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