第70話 51番目の挑戦者 強欲なる者たちの宴
(グワアアアアン!!ゴゴゴゴゴ・・・!)
「ズガアアン!」「ガギャアアン!」
(っ・・!)
映像が始まるといきなり2つの強烈な爆発の波動のぶつかり合いから始まって
すでに怪人同士の戦闘音が鳴り響いていていて
さっきつけたヘッドホンからすごい音が耳元に聞こえていた
だけどこのガンガンとした音に揺さぶられていると
いつものオリジンの世界に入りこんで行けるような気がする
(ス・・)
鳥になっているゲンゴがヘッドホンの音を聞くために
私の肩にのってきて手をそっとヘッドホンの片側にあてていた
それで聞き取れるみたい
もう戦いは始まっているのかと思ったけど 少し様子が違っていた
(これは少し前の様子・・?)
そこでは その戦いの前、
今の一位になったとされているアカウント「カーニバル・ジャッジ」の
超高レートの賭け試合が行われていた
(なんなの、このレート・・)
先日に大量の賞金と投げ銭を獲得したリズから見ても
血の気が引いてしまうような常識外れの超高額賭けレート
流れてくる大量の観戦外野の情報を見ると
相手は上位レートの
それも引き受けた仕事は必ず遂行すると有名なプロのゲーマーを雇った、
大型の通信都市を所有する有力支配人のアカウントのようで
その試合は異様な盛り上がりをみせていた
「ワーワー!」「ウオオオオオ!」
「殺せええ!!」「セエエ・・!」「 」「 」
(ゴゴゴ・・)
「・・・・」
対するカーニバル・ジャッジ側のアカウントのアバター姿は
影のかかったように目元まで深くフードを被り、
不敵な口元をした悪魔のような仮面だけが見えている
そんな一切素性の分からない謎に包まれた姿をしていた
(この人がカーニバル・ジャッジ・・?)
と思ったけど
それはどうやら違うようだった
その影のベールがかかった人物は全くの無名ゲーマーだが
それは表にでない世界で高額で雇われていたせいで
カーニバル・ジャッジによって裏で雇われた闇の凄腕ゲーマーらしい
怪人たちがここまでの強烈な規模の爆発を引き起こしているということは
辺りは吹き飛び尽くしてお互いが技量によって
高められた破壊の力が解放された状態であり
それが相当ハイレベルな戦いであることが始めからうかがい知れた
だが謎の凄腕のゲーマーは有名プロのゲーマーを相手に
そこから反転して伏せていた手を明かすように圧倒をしだす
「 オ前ハモウ分カッタ 死ヌガイイ・・」
「ば、ば、ばかな・・、」
途中から焦ったような相手のプロのゲーマーのキャラ動作に
動揺が見え隠れするようになっていた
「ぐえああああ!!」
そのまま影のかかった謎の凄腕ゲーマーによって
有名プロゲーマーの怪人は無残にも爆散させられる
・・・
勝負はそこで決まり 両者のレート合意はあったとはいえ
法外なレートの掛け金が放出され
相手の支配人のアカウントは築き上げた全てを奪われて一気に破滅する
「ブブブ~♪」
それまで世界有数の大金持ちの成功者であったはずのアカウントに
超過債務者のマークの烙印が押され
なにやら負けた支配人アカウントのチャットが激しく動いていて
相手の支配人は炎に焼かれるように発狂して暴れていたようだった
だけど超過債務者にまで落ちぶれると
リーグの勝負の舞台に維持して居座れるだけの追資金がないため
当然ワールドプレミアムリーグからも叩き出され追放されてしまう
栄光のワールドプレミアムリーグから追放され
やがて相手の支配人は燃え尽きたように静かになる
「うええああ!破滅だああ!!」
「ひゃああああ!!」「あの上位権力者の人生が終わったぞおお!!」
「ドブネズミだあ!!ゴミを食べるドブネズミ以下になったぞおお!!」
静かになって退場した支配人のアカウントとは対照的に
高レート試合の観戦者たちはまるで取り憑かれた中毒者のように発狂して
お祭りのように歓喜していた
・・
「これがこの世界のグリゴルンってやつか・・
そしてその潰し合い・・」
その様子を画面で見ていたゲンゴが私に目を向けてくる
「お前の世界ではこれが普通なのか・・?
こいつらはこの有様を見て楽しんでいるのか?」
「・・他の人たちには普通・・なのかしらね
私にはあんまり関心のないことだったけど
私は下位のリーグにしかいなかったし今まで見てなかったから
ここまでのことは見たことがなかったわ
でもこうやって人が破滅していくことは
この場所では けして珍しいことじゃないの
だからこの世界ではこれも多分普通のこと・・」
「そうなのか・・」
・・・・
・・・
???
とある大通信都市建造物の最上階
特殊仕様の異様な光が下から上に流れていく大きな窓に囲まれた
特別ロイヤルルーム
( )
この試合の顛末を黄金の座椅子にくつろぎながら
大画面電子モニターから観戦していた影のかかった人物がいた
・・
???
「( フフフ・・ 見渡す限りの下衆ばかりだ・・
「Origin」・・
君たちはその入り口にすら触れてはならなかったのだろう
やはりその禁忌は
ただ焼かれて悦ぶだけの脳を持つ人間たちにはまだ早すぎたようだ・・ )」
「ジャッジ様・・?」
・・
その影のかかった謎の人物の近くには
仕えて媚びている様子の召使いの男がいた
(・・・)
「ふむ・・、今抜擢している強化プレイヤーは非常にいい仕上がりだ
私が直接手を下すまでもなく勝ってしまうとは
それはそれでつまらないものではあるが
だがこれで最新型通信都市「メルデンバイト」も私の物か・・
勝負の成果としては悪くはないだろう」
「ジャッジ様・・
この度、グリゴルンから所有権を剥奪した通信都市はいかようになさいますか?
これでジャッジ様の地位もまた安泰に・・」
???
「都市部から「金塊」だけは徴収し、残りは今は担保にとっておけ
だがおそらくこの都市はすぐ手放すことになる
私の所有する通信都市たちも もう全ては維持できないだろう
見せかけの地位など湧いては消えるゴミのようなものだ
私は彼らとは違う・・
権力者共が固執する築き上げた富も地位も
本来は己の目的のためのただの駒にすぎないのだ」
「はっ・・?それはどういう・・?」
「お前は口答えをせず言われたことをすればいい
黄昏の国の元、国王 レギンス・プリシードよ さあ行け 」
「は、はいぃ・・仰せのままに・・!」
見窄らしい姿の召使いの男は
妖しく照り返した床の広い部屋の空間を大急ぎで走り去ってその場から消える
(・・・)
「ふむう・・従順すぎて反応がつまらなくなってきたな
はじめは噛みついてきて威勢が良かったのだが・・
あの国王だった男もそろそろ潮時か・・適当に代わりを探さねばな」
「さて・・こんな些細な対戦のことなどどうでもいい
今日は・・もうすぐ私が待ちかねた「あのアカウント」がやってくる
ようやく探しあてた・・
この今も私の下僕たちが犠牲を捧げ 君を追い詰め続けているのだ
私自身も・・、
君に会う前に万全なる準備をしておかなくてはね」
(ス・・)
影のかかった謎の男が立ち上がり その手を広げて小さく合図をだすと
男の周りに光る天井から大量の異様な機材の一部が降りてきて
男の体はその異様な機材から飛び出してきた様々な金属製の管や
チューブによって繋がれていく
「 完全なる没入・・! 」
(( コオオオオ・・ ))
そしてそこから怪しい電流のエネルギー光がほと走り始めていた
・・・・
・・・
「 」
何処の電子の次元
その姿を隠すマントと一体化した謎の帽子の影に覗く、
黄金色の目をした漆黒の戦闘コートの男
光る虫の従者のような電子生命体を大量に引き連れて
次元の渦を猛スピードで飛んでいる
その男は大量の敵の群勢に追われていた
「ゴオオオオ!」
その男が放つ技の一振りで
後部にいた大量の追手の黒い姿をした怪物たちが
細切れになって電子の渦の渦中に落ちて消えていくが
「(ブワア・・!)」
すぐにそれ以上の代わりの怪物がどこからか湧き出てきて
まるでその数は減ってはいなかった
???
「・・・」
(もうこのエリアもじきに崩壊するな・・
誰も帰っては来れなかったか・・)
「!」
その男の目の前に
行く手を阻むように突如巨大な光のゲートが現れる
「・・・ 奴め 追ってきたか
今度は万全を尽くしてきたということか だが・・」
「(ズ・・!)」
男は手を振り上げて 現れたその光のゲートを破壊しようとする
だがその時 男のまわりを周る電子の光を帯びた虫たちがひらひらと舞って
何かの情報が送られてきた
???
「!まさか・・、あの場所がもう開きかけている・・?
これも奴が・・? いや違う 」
「「 」」ゴゴゴ・・
(力が集いだしている・・力を持つ者たちをこの世界が導き始めているのか
そうか、この俺の力も・・)
(・・・)
「「 」」キィン・・
(この反応・・、奴も満を持して次元の渦に入った・・
もう猶予がない、か
行くしかないな )
「 だが俺は俺の意思であの門の先に行く
たとえこれが・・
俺にとってもう二度と帰れない罠だったとしても、だ 」
・・・・
・・・
ワールドプレミアムシティ中央広場
「 」「」シュン・・
そのシティの上空ではオリジンバトルのマッチ開始を告げる流星たちが
途切れることなくひっきりなしに光り輝きながら流れ通る
その中には普段は滅多に流れることのない
特大の流星も同時に多く流れていっていた
・・
「なんだ・・? 今日はやけに勝負が多いな
プレイヤーが食い荒らされているぞ」
「ああ、それにこれは・・上位プレイヤーどころか
あの最上位級プレイヤーのバトルまで頻発してやがる
こんなめちゃくちゃな荒れ方は今まで見たことがねえ・・!」
普段とは変化したシティの空を見上げている
プレミアムシティのアカウントプレイヤーたち
「おい・・!なんだこれは・・!」
広場からエントリーできる試合の閲覧ロビーに表示されていた、
普段は現ランキングレートのプレイヤーたちでひしめいている一覧
「!!」
そこにはまるでゲームが何かの敵によって侵略を受けているかのように
通常の時間帯の興行では考えられないペースで
ランキングプレイヤー達に次々と
普段は見慣れないプレイヤーたちから超高レートの挑戦試合が被せられていた
「 」「」「 」
次々とプレイヤーにマッチが成立し
表示が赤く埋め尽くされていくランキングレート一覧
(ざわざわ・・)
「いったい、ここで何が起こり出しているんだ・・?」
「 ピゴン 」
その星は最初は静かに空をやってきた
(ざわ・・)
それに気が付いた観客たちがざわめき始める
「乱入者、だ・・」
「え・・・?」
「や、やって来た・・ あ、あ・・ ついに出てきた・・!」
「なに・・、これは・・!」
「え・・、ま、まさか 本当なのか!?」
「 「Hustler kid」だ!! 」
「なにいい!!」「あの世界レートランキング1位プレイヤー・・!」
「本物か?!」
「失踪していたんじゃなかったのか・・?!
やつはまだ生きていたんだ・・!」
「(ウィイイン・・)」
観戦の電子データ読み込みが開始され、しばらく黒いロード画面に
オリジンの怪人キャラクターたちが次々と現れて
迫力ある必殺技流れて地上の巨大都市が崩壊する演出の後
ワールドプレミアム・シティを構成する大きな空中都市が俯瞰になって
カメラの視点がゆっくりと回りながら上空に遠くなっていき
空中都市の周りの滅んでしまった淀んだ地上の世界まで広く見渡したところで
「ズ・・」
画面は切り替わる
その戦いの規模に応じた
かつてないエネルギー量の通信回線の電子の光が解放される
「」ヴィン・・「 」バ「 」バ
「 」バ「 」 「 」
「 」「 」「 」「 」「 」「 」「 」「 」「 」
「 」「 」「 」「 」「 」「 」「 」「 」「 」
「「 Hustler kid VS Carnival Judge 」」
(ジャキン!)
そうマッチが成立した画面が表示されると
「ウオオオオオ!!」「ワアアア!」
「こ、こんなことがああ!!」「や、やったぞ」「本物だ嗚呼ああああ」
閲覧ロビーから突如として乱入するように差し込まれた試合マッチに
着目していた大量のアカウントたちが取り巻いていて
世界中から狂ったような興奮したコメントや歓声が押し流れていく
その騒ぎを聞きつけてさらにワールドプレミアムシティに世界中から
観戦アカウントたちが我先にと集中して詰めかけて
異常なほどに視聴数字ゲージが飛び跳ねる
「帰ってきたんだ・・!彼だけじゃない・・!
しばらく見なかった超級プレイヤーたちまでもが・・!」
「今日は一体どうなっているんだ・・!」
・・
世界中のオリジンの頂点に立つプレイヤー、
ハスラーキッドが突如乱入してきた最上位級の大物同士の対戦の閲覧規模は
過去に類を見ない規模に膨れ上がっていた
(ピピピ、ピピ・・)
滅多に見られないこの最上位格同士の試合を観戦する権利を得た、
世界の有志たちによって
整理された情報が飛び交うようになる
「これね・・」(ピ・・)
画面のリズはその弾幕のように流れてきた情報から
目で追って適当に直感で選んだ情報を捕まえて少し触れる
その拾った情報たちによると
過去に流星のように現れてからすぐにグリゴルンたちを倒し、
圧倒的に揺るぎない一位の座に着いてから
ほとんど滅多に表に出なくなっていたこともあり
プレイヤーハスラーキッドについての情報は大半は伏せられた物も多く
そもそも最初からよく分かっていないことが多くて謎が多かった
でも隠しコードの怪人の一点使いによる圧倒的な戦闘能力で
アカウントを財力の力で潰そうとしてきた全世界の権力者たちを相手にし、
その全て叩き潰して全てを奪い去り
それから失踪が疑われて活動が止まってからしばらくたった今もなお
現行の世界レート二位プレイヤーとも大きく差をつけて
孤高の一位に立ち続けている伝説の存在、という
概ねの情報は読み取ることできた
(ピ・・)
対する相手のアカウント カーニバル・ジャッジは最近となって
資源も技術もないと言われ見捨てられた貧しい小国に
突如大量の資本と人員を投入し大復興を成し遂げ
新たに台頭した通信新興国の主として参入してきて
その勢力をぐんぐんと伸ばしてきた謎の人物といった感じ
群発した時の権力者たちのアカウントに
一見は不自然なほど相手有利のハンデをつけた超好条件の勝負を提示し、
賭け勝負を持ち掛け
そしてオリジンでの勝負で逆に権力者たちを爆散させ続けて
食い物にしていき身ぐるみを丸ごと奪い取り
新興国の大通信都市たちを束ねて支配する新たな主になったのだという
・・
次々と流れていく興奮した歓声コメントから見ると
世界中の指折りの表に出ない秘蔵の強力なプレイヤーを
何人も大金で育てたり雇って戦うプレイスタンスらしく
アカウントの本人であるカーニバル・ジャッジが滅多に戦いに出てこないため
最上位勢に食い込んできたわりには
似たような境遇でグリゴルンたちに純粋な実力のみで勝ち続けた、
ただ一人の超越したプレイヤーであるハスラーキッドと比べて
カーニバル・ジャッジの評価は低く見られている印象だった
1つのアカウントに複数人の登録は
多額の資金をシティに寄付したうえで正式にオリジンに申請登録をすれば
多少の制限条件は付くけど公にオリジンに認められていた
オリジンレートランキングにいた企業法人などがそうだ
「(これがオリジン最上位の対戦・・)」
リズはじっと黙って画面を見続けている
・・・
いよいよ始まろうとしていたオリジン最上位の戦い
本当の最上位プレイヤー同士の対戦は広報向けの映像以外は
ワールドプレミアムリーグ限定だったり
途方もない巨額のお金が飛び交って最も盛り上がる特別なコンテンツなので
リズには近くにあって今まで縁のない世界であった
提供される勝負環境のマシンパワーも
世界各地の大通信都市を経由したファイバーファイブ回線技術という
人体の五感に働きかける最高品質のものが用意されて
同じワールドプレミアムリーグのオリジンの試合なのに
このリーグの中でも最上級の試合は
他とか明らかに纏う空気が違っていた
そのマシンパワーによる超迫力と
オリジンの代名詞とも呼べる 破壊の至高を尽くし、
人生のありとあらゆるものを賭けた勝負、
脳をすりつぶすような激しい刺激を求めて
この世界中の特別な地位の人間が殺到していた
シティでの楽しい雰囲気とはまた違った
非情さや破壊や破滅を人間の本能で求めているような
(( ))
その異様な空気感
私は今までオリジンにそうやって狂ったようにのめり込んでいく人達を見ても
それが普通だと思っていたし
それが当たり前の環境で生きていた
もしかしたら私もそんな世界で浸って生きてきて
普通に狂ってたのかもしれない
だけど
一度あの向こうの魔法の世界ですごしてから
ここに戻ってきて
ゲンゴもこのオリジンの世界の人たちの様子に
何か根本的な違和感を持ったように
なにかこの世界の人々の熱狂度というか
攻撃的になって闘争本能を剥き出しにしたような、のめり込みの度合いの違いに
私は少し違和感を感じていた
「(クルード・・)」
オリジン終末世界の廃墟と化した、いびつで巨大なビル群の勝負のステージで
どんよりとしたその虚空には
異次元の力を持った怪人たちの戦いを予感した奇怪な姿をした虫たちが
発生する混沌のエネルギーのおこぼれを得るために集まり始めて
空を覆い尽くすように飛び回っていた
「ザ・・」
そんな世界の片隅の場で戦う怪人を選択したハスラーキッド
戦場にコールされたその漆黒の怪人は電子の光と共に
その廃墟の地にゆっくりと降り立つ
「 」ス・・
影のかかった怪人のつば広の顔まで覆い隠すような分厚い帽子の中には
大量の電子生命体たちがうごめいており
体や顔の周りに幾重もの黄金色の光の線を描きながら
漆黒の戦闘コートがたなびいていた
・・
ランキング一位プレイヤー、ハスラーキッドが使用する怪人はこの???という
名前のない隠しコードのキャラクターだった
その出現コードの秘密のアンロック条件には
最上位にいる極一部の限られた人間にしか辿りつけないと言われている
ハスラーキッドの今までの所業と知名度のせいで
この漆黒の怪人がステージに現れただけで
潰される覚えのある世界の名のある権力者たちは震え上がるようになっていた
・・・
対する相手のカーニバル・ジャッジ側が使用する怪人は
「バッ!」
選択し終わったのか向こう側の上空から怪人が降りてくる
それは・・
「「 」」
(ハスラーキッドとまったく同じ隠しコードの怪人・・!)
まったく姿が同じで
色だけが毒々しく染まった2Pカラーバージョンの怪人がコールされた
「!?」
「同じだ・・!」
「まさかこいつも解放条件を満たしたプレイヤー・・!
間違いなく最上位同格同士か!」
「権力者殺し同士の戦いだ・・!!」
「こいつはくそ楽しみだああ!」
まさかの同一隠しキャラ対決に湧き上がる会場
( ゴゴゴ・・)
乱入してきたハスラーキッドと戦うのは
先ほどプロのゲーマーを潰して支配人をドブネズミ以下に屠り去った、
カーニバル・ジャッジ側が重用するとされる悪魔の仮面の無名の凄腕ゲーマー
「オ前ヲ・・処刑スル・・!」
「・・・」
「 」
両者が向かい合い 画面が一瞬白黒になり最上位の試合が始まる
「Fight!」
だが
「「コオ・・!」」シュン 「!!」
(うそ・・!なんて動きなの・・!)
同じキャラ同士だからこそ浮き彫りになる その圧倒的実力差
(まるでその場に実際にいるみたいに流れるように完璧な操作だわ・・!)
ハスラーキッドの漆黒の怪人から繰り出される挙動の一つ一つが
体を高速で回る光る電子生命体たちに導かれているような動きをする
そしてその動作の完璧さの中にも
時折見せる意表をついた 目が覚めるようなトリッキーな挙動をしながらも
一切手は抜くことはない容赦のない戦い方が
ハスラーキッドの未だに覚めることのない絶大な世界的人気に拍車をかけていた
「 」
お互いが最接近した一瞬の駆け引き
(スッ・・)
相手の攻撃を誘った後に
その一瞬の隙を刈り取るようにして「カウンター」を起動させる
「「 」」
「ッ、ナゼダ・・!何故 オ前ノ動キニ追イツケナイ・・!」
「 カッ 」
完全なタイミングの強烈なカウンター攻撃が瞬時に急所に直撃し
相手の怪人の肉体をステージの荒廃した建造物にぶち当たるほどの
反則的な威力で吹き飛ばす
「ズガアアアアン!!」
吹き飛ばされた怪人は廃墟の巨大な建造物にのめり込み
そのまま建造物は連鎖的に破壊されて崩れ落ち
とてつもない大爆発を起こす
「 Hustler kid WIN!!」
・・
「ワアアアアア!!」「ウオオオ!」
「強ええ!!」
「強すぎてもはや外野からじゃ何が何だかよくわからねえ・・!」
「気にするな!俺たちはあるがままを感じればいいんだ・・!」
同格であるはずの最上位の相手に対して基本動作だけで
一撃も入れることを許さずに完膚なきまでに圧倒するハスラーキッド
そのエネルギーの爆発の衝撃が最大限になった時
((ヴイイイイン・・!!))
繋がった世界各地の大通信都市のマシンパワー出力が唸りを上げて放出され
電子の流れにのって
世界の観客たちの脳みそに直接、最上級の破滅の刺激が届けられる
「ひゃあああ!」
「アアアアア!!これだああ!
このっ・・、世界をねじ切っていくような破壊の有様が見たかったんだああ!!」
「もっと刺激を浴びさせてくれえええ!!」
「つぶれてくれよおお!!」
かつての伝説と知らしめたハスラーキッドの超絶テクニックの戦いを見て
喜びを噛み締めるように熱狂して盛り上がる世界中の観客たち
「・・!」ジリ・・
(これは・・)
リズのヘッドホンからも普段と違う異次元のオリジンの波動が伝わってくる
・・
「ズシュウウ・・」
相手の同じ姿の怪人を吹き飛ばしたその漆黒の怪人の腕からは
崩壊して集まってきた凄まじいエネルギーが霧のようになって浮き出していた
(・・・)
けしてカーニバル・ジャッジ側のプレイヤーが弱いわけではない
むしろあの無名のゲーマーは前の試合の動きを見る限り
誰が見ても常人ではない異常とも言える勝負強さを持ち合わせていた
だけどそれ以上にハスラーキッドの持つ力が遥かに圧倒的すぎたのだ
「あのレート1位ハスラーキッドをやってくれるかと思ったが
どうやら全然だめみたいだな」
「思いあがりすぎたか」
カーニバル・ジャッジ側が用意したプレイヤーの
敗北のあっけなさにもギャラリーのコメントが流れる
・・・
「こいつがオジジが戦ったハスラーキッド、か・・」
対戦を見終わったゲンゴがつぶやく
「ピリリリリリ・・・」
オリジン最上位プレイヤーの多額の賞金がゲームの勝者に対して大放出される
「すげえ!」「なんて額だ・・!」
・・
「・・・」
(同じ最上位相手でここまで差があるなんて・・、)
(昔見た面影に近い人間離れした完璧な戦闘能力・・
それにさらに磨きがかかってもう誰も手が付けられなくなってる)
(なんだ・・ここでは勝ってたのね)
勝負はハスラーキッドが実力の大差を見せ
あっという間に終わったかのように見えた
しかし
勝負はそれで終わらなかった
「ピコン!」
その直後に同じカーニバル・ジャッジから
再度戦いの直接対戦要求が提示される
(え・・・)
「ピコン!」
それにまるで最初から決まっていたかのように
ハスラーキッドから即了承がだされる
「Fight!」
そしてまた試合が始まったのだ
今度はカーニバル・ジャッジ側は別の怪人を選択し
「 」
その怪人の風貌はぎらついた目に大きな脳を囲む頭蓋から蒸気して
中身が絶えずグラグラと沸きでて煮えたぎっているような姿をしていた
(どういうこと・・?最初は得意な怪人じゃなかったの・・?)
だけどさっきの人とは挙動の特徴がかなり違っていて
プレイヤーは別人に切り替わったみたいだった
その時
「ズガアアアア・・!!」
背後にあった選択制の戦闘ステージが変わり
「「 」」
「ヴォオオオオオオ・・!!」ゴゴゴゴ
大きく荒れた廃墟の地上の地面を押し割って
地中の奥深くから巨大な甲虫が現れて凄まじい咆哮をあげる
オリジンの戦闘ステージの一つであるこの巨大甲虫は
大きく背中が平らに空くように背甲が発達していて
その背甲周りの外側に小さく何百にも分かれた虫の羽が大量に並んでいて
空を飛んで長距離を移動する巨大要塞のような大怪物だ
(プシュン・・プシュン・・)
そのまま地上にいたプレイヤーたちごと
独特のかすれたような飛行音と共にどんよりとした上空に飛び上がり
高速で移動するその巨大な虫の背甲の上で
荒れ狂うエネルギー嵐の強風を受けながら戦うステージとなった
「デェアアアア!!」(ドドドド・・!!)
そこで交代したカーニバル・ジャッジ側のプレイヤーが
雄叫びと共に凄まじい勢いで一気に突進していって戦いは始まる
・・・・
だけど結果は同じ
また完全にハスラーキッドが勝利してその試合を終える
「ア゛アアアア・・」
対戦に敗れた相手の怪人は空中の巨大な虫の背中から
地獄のような地の底に吸い込まれるように落ちていった
するとまた
「ピコン!」
再度またカーニバル・ジャッジ側から直接対戦要求が出される
「ピコン!」
ハスラーキッド側に即了承される
「え・・?」
それは普通の勝負ではありえない異様な光景
だがその掛け合いに会場は大盛り上がりしていた
「なんだこりゃ・・!」「すげえぞ」「勝つまでやる気か・・?」
「受けるのもどうなんだ」「あんなの絶対資金が足りねえよ」
「こんなの見たことねえよ・・!!」
観戦アカウントたちがざわついている
・・・・
・・
「ズガアアン!」
そしてなんとそれからカーニバル・ジャッジは
延々と一位のハスラーキッドに対して戦いを挑み続け そして負け続けたのだ
その戦いの間も
戦闘ステージは空中の巨大な怪物のような虫の背甲の上で
周囲に新たに集まってきた大型の飛甲虫たちを護衛艦のように引き連れながら
ずっとペースを落とさずに嵐の中を突き進み続ける
「ピコン!」
カーニバル・ジャッジ側から対戦が要求されるたびに
プレイヤー・ハスラーキッドは即了承をかける
「・・!」
「一試合ごとにお互いの破壊力のボルテージが上がっていってやがる・・!
オリジンにはこんな仕様があったのか・・!」
「これじゃ一撃一撃がすぐに命取りになっちまう・・!」
「だがハスラーキッドはミスをしない、カーニバル・ジャッジ側は不利だ
止められない、もうどうやっても勝てないぞ・・!」
オリジンで続けた一試合ごとに一撃の破壊力は増していくが
それをハスラーキッドはまったく意に介さない
連勝はあっという間に「20」連勝を超え、「30」連勝、
そこからさらに試合は加速する
・・・
・・
「・・・・!!」
対戦はもうなんと「40」連戦を超えていた
最上位の試合でこれは今までに類を見ないものだ
それが全てハスラーキッド側の勝利、 それも完全な内容
「やべえぞ 破産するんじゃないか」
「だがカーニバル・ジャッジは新興国を牛耳る主で大富豪って話だぞ」
「大儲けじゃねえか まさか大したことないんじゃねえか?
俺も戦いたかったぜ ずるいぞ一生豪遊どころじゃないぜ」
「・・! あのカーニバル・ジャッジの資金が尽きた!
今度は膨大な土地を手放し始めたぞ!!」
「は、・・破滅だっ!最上位の人間の破滅が見れるぞおお!!!」
「破滅しろおオオ!!」
「ウワアアア!!」
ここまでくると動く賞金は天文学的数字になっていて
1つ連敗が積みあがるたびに
会場からは狂ったような歓声と悲鳴も漏れるようになっていた
「見ろ!あれは
前の勝負でカーニバル・ジャッジが取り上げた最新通信都市、
「メルデンバイト」だア!!」
「他にも通信都市ごとガンガン手放してやがるぞ!!」
このころになると負け込んだ天文学的金額の決済が追い付かずに
カーニバル・ジャッジが所有する巨大な通信都市自体を償却に充てていた
今までハスラーキッドと戦った欲の底を知らないグリゴルン達は
全てを得るためにその力の巨大な渦に魅入られるように
全てを賭けて破滅していった
賭けて失う物のスケールの大きさに
人々はますます熱狂する
「ああああ!!破滅してくれえええ!!!」
「そうだ!ひきずり降ろせえええ!」
「殺せえええ!!身を焼き尽くすまで戦えええ!!」
「うおおおお!!」
そして積み上げた連勝が「50」にまで差し掛かったとき
「ボゴオオオン」
「(あっ・・!」
「 」
(ガシュン・・!)
怪人の特殊な能力でつくられて仕掛けられていた全ての爆発罠を
同時に貫いた直後、肉体を欠損させながら
捨て身でかなぐり殴るようにやってきたその怪人の攻撃に
初めてハスラーキッド側に受け手をミスしたような挙動が見られた
だが対戦には危なげなく勝利した
「ウゲアアアア!!」
対戦相手の怪人は技の直撃を受けて
体中を暴れるエネルギーで燃やし尽くされながら画面端に飛ばされて
「ズシャアア!」
(ドゴオオオオン!!)
飛行中の巨大甲虫の鋭い羽の中に巻きまれて細切れになりながら爆散した
・・・
すると突如
「 クフフフ・・、宴を始めるだけの贄の力は集まった、と
そろそろ「よい」そうだ」
「そうかそうか 我らの出番か」
「いかなる天の才といえども所詮は人間一人
一人の人間の脳に負荷をかけ続ければ次第に劣化していくのは自明の理・・」
プレイヤーの声など今は反映されないゲームの中のはずなのに
そこに不気味な声たちが響いた
その謎の声が対戦会場に響いた瞬間
「!?」
(どういうこと・・!)
「ザザ・・ン・・」
突如会場を熱気で覆いつくしていた世界中のアカウントたちが一斉に
観戦席から強制退場させられたのだ
「!!」
「なんだ・・!?」「そ、そんな!! は、破滅を見せてくれえええ!!」
「いやだああ!!先を、先を見せてくれええ!!!」
通信を切断されたアカウントたちが放り出されたロビーで発狂している
それでもまだ会場に残っていたのはVIP待遇といわれる
権力者に近い最上位席の特権階級のアカウントたち
「おや?フフフ・・これだから品性の乏しい貧乏人どもは
VIPである我々はやはり特別なのだ
よく分からないがむしろうるさい虫共が減って快適だ
あの忌々しい権力者殺しの
カーニバル・ジャッジが破滅するなど非常にめでたいこと
どう勝負が動くにせよ
あのハスラーキッドとどちらが潰れてくれたとて我々のディナーがうまい
なんという贅沢だ さあ宴とやらを楽しもう
この素晴らしい試合の続きを・・」
だが次の瞬間には
「ズン・・」
その最高クラスのVIPアカウントたちまで容赦なく退場させられていた
「え・・」
その場で観戦できている者は
私たちのアカウントを残して他にはいなくなっていた
「 」
(・・シン・・)
リズは熱狂の賑わいからうってかわって急な、
でもその空間に漂う異様な熱量だけはますます帯びながら
静まり返っていく様子に不気味さを感じていた
・・・
すると誰もいなくなった空間に
「ザザ・・」と
いくつか空間の中がバグでも起こったようにひび割れて
そこから黒い法衣に身を包み、
顔を何かの目のような模様が描かれた布で覆って隠したような
奇妙な人間たちの姿が現れ始める
「何かが足りない」
「何かが足りぬ」
「ああ そうだ・・」
「そう 我らの宴には「供物」が足りない」
「 」
その不気味な人間たちはゆっくりゾロゾロと等間隔で会場を囲み始め
なにかを一心不乱に祈り始めたかと思うと
「・・おお彼か?彼が積年の供物なのか・・?」
「やはり供物なければ宴にあらず」
「既に「災厄」は放たれた・・」
「もう混沌の時は近づいている・・」
さまざまな異様な異国の言葉を発し始める
そして最後の黒い法衣の一人が定位置に着いた時
「さあ 我らの導きであのお方に現界の門を開かねば 」
・・
それをただ見ている私とゲンゴ
「なんだこいつらは・・」
(なにこれ・・気持ち悪いわ)
「ピコン!」
そしてそんな異様な状態になってもまた行われる直接対戦要求
それがハスラーキッドに即了承される
・・
それは「51番目」の挑戦者だった
「ゴゴゴゴ・・!」
「・・・!」
(あれは・・何?)
「「ERROR」」パリン
「「ERRORコード出現」」パリンパリン
突如として空間にそれまでになかった大きな闇のゲートが出現していて
今までオリジンで見たこともないコード表示がいくつも浮き上がっていた
(エラー・・?)
そしてそのエラー表示が空間に出るたびに
ガラスが砕け散るような音が聞こえて
その門の奥から何か、ものすごい力を帯びた塊が
何重もの門のようなものを破壊しながらグングンとさし迫ってくるような
「「危険 ERRORが発生しています」」
「「ゴオオオオ」」ビリビリバリ
「「 」」
その怪人は全力疾走をしている
絶大な力のオーラを強靭な肉体の身にまとって
自らの前に連なる闇のゲートを
己の腕を振り上げ、脚を振り上げながらその筋肉の躍動で無理やり突破する
そして
(( 遅い 遅い ゲートが開くまでなど・・!そうだろう・・? ))
「星の如き加速ッ・・!」
異次元を疾走するその怪人がおもむろに呟き、その口角を引き上げた時
一気にぐんとスピードを上がり
最後の闇のゲートが内側から膨らんでぶち破られて突破される
「 パッキャアアアアン!! 」(ドゴオオオオオン!!)
「おお」
「なんと」
どよめくステージの黒い法衣の人間たち
「「 」」バッ
その場に跳躍して現れたのは
「オリジン」の中にはまるで見覚えのない怪人だった
(なにあれ・・これもまさか隠しコードのキャラ・・?)
「(ザン・・!)」(ズズウウ・・ン・・)
その怪人は荒れ狂うオリジンの上空から現れて
ステージの巨大な虫の背甲に颯爽と降り立つ
「 ドン 」
ステージ上に堂々と現れたのは
一瞬それは全裸の怪人なのかと思うような姿をしていたが
それは見た目のデータ情報がその怪人の激走によって置き去りにされて
エラーラグが発生していたせいであり
’(グン・・グングン・・!)
ゲートが破壊された爆発の余韻の中で湧き上がってきた力のオーラによって
エラーラグに遅れて引き伸ばされながらやってきた、
その本来の姿が構成されていく
怪人の体全体の肌は奇抜で鮮やかな黄色に染まっていて
その肉体は鋼のような筋肉で隆々としており上半身は裸のままなのだが
そこに筋肉とほとんど同化して窮屈ではち切れそうな
エナメル質の輝きで黄金色のスーツが羽織られるように現れて
ジャラジャラとした金属質の飾りのアクセサリーも現れた
足元には黄金のスーツと対になった光る革靴
その頭に髪はなく 代わりに光沢のある黄色い頭皮に
所々欠けてねじれた出来損ないのスターフルーツのような
いびつな頭の形をしていて
「 今日はいい日だア・・いい日ぃ・・・ 」
少し顎を持ち上げた上向きから
見下ろしたような姿勢で怪人の顔はそう声を発した
「バジジジ・・、」
数々の闇のゲートを破った時に残ったラグの影響なのか
右から左に次々とさざ波に揺れる様に
表情の面相が切り替わるように変化していて
顔の画質がしばらく安定していなかったが
やがて怪人は大きく吊り上げたような笑みを浮かべて
そこでようやく画質が安定する
筋肉質で表情筋が異様に発達した顔つきで
吊り上げた満面の笑みには隙間なく並んで光る白く整った頑丈そうな歯
そしてその怪人の屈強な姿全体からは
新しい何かの力のオーラのようなものがゆらゆらと立ち上っていた
・・
「「 ククク 君とは会ってみたかった 直接には初めましてになるだろうか
私がカーニバル・ジャッジ
この「宴」の主催者だ 」」
不気味でよく通る 人の精神を威圧するような声
「フフフ・・といってもここでは君はろくに疎通もできないのだったね
残念だよ
まあ私がそう仕向けたんだが・・独り言だと思ってくれ」
「君の仲間を探しにいろいろと駆け回ったようだが・・
残念だったね 君もこうしてここに辿り着いてしまったのだから」
「・・・」
その言葉に反応はないハスラーキッド
・・・
画面の前のリズ
(仲間を探しに・・?どういうこと?
これが宴・・?宴の主催者?
あれが対戦相手のカーニバル・ジャッジ本人だっていうの?
それにどうして怪人が相手に意思をもって自在に話しかけているの・・?
ありえないわ・・だってゲームのシステムではそんなこと・・)
ゲームの空間に突然ゲートを割って現れた、
明らかに只の怪人ではない謎の怪人カーニバル・ジャッジの声は続ける
「私のこの奇妙な姿のことはあまり気にしないでくれたまえ
以前にほんの少しばかり悪さをしただけなのだが
一度オリジンを追放されてなんとか出戻ってきた時に
このような姿になってしまってね
まあこれはこれで今の姿は気に入っているがね」
「さて・・君がここに来てくれたと知って私はもう嬉しくてね・・!
ついつい君の前に
私の選りすぐりだったゲーマーたちをけしかけてしまったよ
だが・・どうして・・とんでもない役立たずのクズ共だあ・・」
ニヤア・・!と怪人カーニバル・ジャッジはその発達した表情筋から
筋に力の入った暗い不気味な笑みを浮かべ続ける
(こ、怖い・・この人)
「それは現オリジンNo.1である君に対して非常に申し訳がなかった・・
私も少しは期待を込めていたのに
どうやら君の相手をするには値しない失敗作たちばかりであったようだ
お詫びの気持ちをこめて
君に敗北した彼らは全員 供物として処理させてもらったよ
これで許されるとは思っていないがね・・」
(処理・・)
カーニバル・ジャッジは顔を伏せ気味にしてまた話し始める
「ふふふ・・ここに至るまでの本来
次元の渦を渡り歩く君を捕らえることには手を焼いていたんだがね
私にも一時的にだがちょうどいい仲間ができてね
まさか君も彼が裏切るとは思わなかっただろうね・・」
(・・・・)
・・
それから少し調子の変わった怪人はククと不気味な笑い声をあげはじめると
( )
ふと尋ねるように顔をあげる
「 君はなぜ・・
君たちの勝負にここまで人々が惹きつけられるのか分かるかね・・?
それは強者の勝負の興奮、勝利、喝采・・愉悦・・
だがすでに脳の焼かれた人間には それでは完全には足りない
物足りない
もう素直には満たせない
私は強欲な者だが・・
見ているだけの人間たちもまた救いようのない強欲さ
同時に強く期待し求めている
それはなんだ
それは全てを持つ強者が蹂躙され 全てを失い破滅、処刑される姿・・!
地に落ちるその失墜を・・! 」
(ブウウウ・・ン・・)
その時 僅かに足元に電子のラグが発生し空間に震える
「なあ・・!ハスラー君!!」
そういうとカーニバル・ジャッジと名乗った怪人は一瞬にして
ハスラーキッドが操作する漆黒の怪人にステップから詰め寄ると
「フン!!」
大きくその肩を回し強靭で軋んだ鋼のような筋肉の腕から
漆黒の怪人の顔面にめがけて振りかぶる
「バダダダダア!!!」ゴアア!!
その直後にそこから怪人の目にもとまらぬ連続した拳が放たれる
「シュバババ!!」
そのすさまじい怪人の攻撃を即座に無言で迎撃するハスラーキッド
(え・・!まだ対戦開始の合図がされてないのに攻撃を・・!?
は、速い・・!尋常じゃない拳の速さ・・!)
(ズッ・・)
「 グフフ・・いけないじゃあないか
まだ試合は始まってもいないというのに動いてしまっては・・!
だが本命はこちら、だ
「コード入力」・・!
「伏したる蟲主の痛恨」・・ッ 」
「!」(え・・!技をコードで入力した・・?)
直後に怪人カーニバル・ジャッジは
まるでもう一人の分身がいたかのように二重に身を分けており
すぐ自身の後ろに大振りで構えていた
(ゴオオ!!)
「「 マキシマイズマン・ペイン・・!スマッシュ!!! 」」
「「ギャラクシー・トリック・・!」」
「ギャギイイイイイン!!」
漆黒の怪人はその大振りの一撃にも対応し
嫌な音と共に周囲一帯にものすごい衝撃波が起こる
「(これは・・!ドロー・バーストだわ!)」
せめぎ合う両者
ドローバースト処理中に起こる光の奔流が広がっていく
( カッ )
「グフフ・・!さすがだ これは「ドロー・バースト」かね・・?
だが・・
君には私の転移門を通した地点で「爪痕」を付けた
その身に幾多の制約が掛かっていることを忘れてはいないだろう・・!」
「ピ!」
(ええ・・!)
ドロー・バーストの勝者処理数表示はたった「1」だけだった
それなのに
「「バーストオオオ!!」」
「!」
「ガギャアアアアン!」
カーニバル・ジャッジ側がハスラーキッド側に判定処理数で勝利していて
漆黒の怪人の守りを容易く破壊する
(どういうこと・・!ハスラーキッドはドローバーストを
1つも処理できなかったっていうこと・・?)
「フンハアアアア!!!」
ガードが破られた漆黒の怪人の体に
怪人カーニバル・ジャッジがすかさず直接拳を叩き込む
「ドゴオオ!」
ものすごい威力で漆黒の怪人の体は吹き飛ばされて
ステージになっていた巨大な虫の硬質の背甲に叩きつけられる
「うおおお・・」
「素晴らしい・・」
両者の戦いのステージ周りを取り囲んでいた黒い法衣の人間たちが
それを見てくぐもったような感嘆の声をだす
「(ブシュウ・・)」
(・・!)
攻撃の途中で二重に分身して二人に分かれたように見えていた怪人の体は
まるで空間にぶれる残像の様にして元の一つの体に戻り
その怪人カーニバル・ジャッジの腕にはその攻撃を放った反動なのか
電流が走り 煙が出て
そこから僅かに腕の一部が黄色い怪人の皮膚細胞を突き破って
蠢く虫の肢や甲殻のように変化していた
「ふうう・・!こいつは痺れるぞお・・!!
まるで本物だ・・
・・
強欲な者たちは常に愚かに求め続ける・・、
その相反する天秤の対極、両方の物を
だが同時には自らの手にはけして得られぬものを
ひしめき合うような
けっして満たされない地獄の底の黒き夢の中で溺れながらね・・ 」
(・・・)
「クックック・・、さて
この私の怪人を超えた肉体強度で放たれた一撃を受けてなお
どうやらギリギリこの大背甲虫の背から地に転げ落ちずには済んだようだねえ
滅びを運ぶ大いなる風、北星の大背甲虫「ボレアス・ガムリ」
かつての本当の古き強欲な者達の天空が滅んだときに
闊歩していた巨大な終焉蟲たちの生き残りだ
さて 面白くはなってきたが
だが・・私からはここまでにしておこう」
(・・? 離れていく・・?)
怪人カーニバル・ジャッジはその一撃で攻撃を止めると
歩いて最初の位置からは背を向けて距離をとっていく
「私? せっかくなのだが私はもう君の相手はしない
もちろんプレイヤーとしての腕には自信はあるのだがねえ
私も万に一でも
君のその力によって私の一部でも破壊されるわけにはいかないのでね
代わりといってはなんだが
私の楽園からやってきた者たちを君に紹介しておこう
今度は君にも喜んでもらえるだろう
これまでと同じように拒否はできないよ」
「では楽しんでくれたまえ ハスラー君
君の最後の戦いを」
「(最・・後・・?)」
そう静かに告げると怪人カーニバル・ジャッジは
突然足元に現れた赤い光によってその場から消えた
その赤い光から入れ替わりのように出現したのが
(え・・?あれは・・)
「魔物・・・?」
「ガアア・・」
そこには「死相の槍・闇魔デュラハン」という
首のない魔物に乗った呪われた死の槍を持つ騎士の異形で
ダンジョンの最下層のボス級レベルの非常に危険で凶暴な怪物
それも毒々しい異常な姿で広範囲に黒いオーラをまき散らしていた
体の色も通常ではない亜種の存在であることがわかった
だけどそれはリズの向こうにあった魔法の世界の見識だった
存在はそのものはわかったけど それは
(このオリジンには絶対にいないはずよ・・!)
「「 」」
ステージの巨大な虫の背甲に立っている漆黒の怪人と
赤い光から現れた異常なボス級の魔物の怪物
エネルギー嵐の中で移動を続けていた巨大な大背甲虫が
まるで目的の地に到着したと言わんばかりに
「ズガガガガ・・!」
あわよくばプレイヤーごと 背についた異物を粉微塵にすり潰すように
地上に激しくぶつかりながら体を大きく傾け始めて
両者は戦闘ステージの虫の背中からは振り落とされて
「(スト・・)」
「ドチャア・・」
両者が灼熱の地獄のようなオリジン終末世界の
崩壊した地上のステージに降り立つ
「 Fi gh t!」(・・!)
エラーの表示が出てからオリジンの画面全体が変化して
空間に浮いて表示されたファイトの文字も以前と違って赤黒くなっていて
どう見ても異常な対戦だったがそれは平然と開始された
「(挙動がおかしい・・!)」
「「グオオオオ・・!」」
まるで画面の中で動き回り生きているようなめちゃくちゃな挙動をする、
妖しい魔力を帯びた異次元の怪物デュラハン
パターンに全く当てはまらない攻撃や
理不尽な範囲の魔光ビームを撃ち放ったりしていた
だがそれでもハスラーキッドは
そんな化け物のような魔物の動きに対応していた
時々理不尽な攻撃に身を削られながらも
回避して地面に突き刺さった魔槍を叩き折ると
そのまま異常なデュラハンを倒しきっていた
「 Hustler kid W IN・・」
勝利の演出表示がでるが
それは不協和音とところどころ文字化けが起こっていて画面が歪んでいた
「な、なにこれ・・」
リズの背筋に寒気のようなものが走る
膨れ上がった天文学的獲得賞金が本来増えていくところは
なぜかバグが起こり数字が停止しており
その代わりに
(これは・・)
「ピリリリリ・・」
使い用途がないといわれていた、
謎の蒼い光の「ソウルポイント」が1個だけではなく大量に付与されていっていた
そしたらすぐさま
「ビゴン・・」
(これは・・)
カーニバル・ジャッジ側からの直接対戦要求だ
これも音がおかしくなっている
「え・・!」
「ビゴン・・!」
対戦が了承された
(つ、続くの・・?なんで・・)
「!?」
すると今度は
さらにさっきと同じ異様なデュラハンがまた降ってきたと思ったら
グロデスクな色をした巨大なスライムも
合わせて降ってきた
「こいつもボス級の魔物だ・・!」
ゲンゴがその巨大なスライムの姿を見て そうつぶやく
「「f ight」」
対戦が開始されてその2体が同時にハスラーキッドに向かって動き出した
「2体同時ですって・・?」
それはもはや理不尽というレベルではなかった
明確に狂っているのだ
通常の一対一を至高とするオリジンの戦闘システムではこんなのありえない
だけど
「す、すごい・・」
ハスラーキッドはなぜか魔物との戦い方を熟知しているような挙動で
被弾しながらも そのボス級モンスターを一体ずつ仕留めていったのだ
「(ギャラクシー・トリック)」
両手から広範囲に光の波動が爆発して
漆黒の怪人はその仕様頻度の高い技でとどめを刺す
ハスラーキッドは勝利した
またその瞬間
「ビゴン」
対戦は即了承される
(ドラゴン・・!)
今度は2体ではなくて 1体の真っ黒なボス級の巨大なドラゴンが
降り立ってきた
・・・
・・
血のしぶきがまう
黒いドラゴンの首を消し飛ばして勝利する
しかし それに勝利しても
何も影響はないとばかりに さらにもう1体追加の他のボスモンスターと
別個体の巨大ドラゴンで2体でやってくる
その2体の怪物に勝つと連勝は2のびた
「あれ・・?」
それを延々と繰り返していると
どんどん漆黒の怪人の姿はボロボロになってきていた
(おかしいわ・・対戦しているキャラはその次の試合では回復するはずで
怪我の状態を引き継ぐことはないはずなのに・・!)
・・・・
・・・
おぞましい様相の試合が進行していき
それでもハスラーキッドが戦い続けていると
そのうち試合をとり囲んでいた黒い法着の人間たちが
徐々に異国の言葉で訴えかける様に騒ぎ始める
「どうした |まだか 倒れておらぬぞ《デイルティテ・・》・・」
「はやく我らが元へ捧げるのだ・・」
異国の言葉が分からないけど
様子を見るとどうやら周りを囲むこの黒い法着を着た人間?たちは
戦うハスラーキッドが倒れることを心底望んでいるように見えた
(・・・)
その催促するような騒ぎに
立っていたカーニバル・ジャッジが虫を見るような目で反応する
「ふむう? 私のやり方に口を出さないと約束して
どうしてもいうからここに招待したのだが・・
どうやら違ったようだ
力は借りたが・・君たちもここまでとしよう・・!
消えてくれたまえ
それにちょうどよかった
ここから見せるものは君たちの側に知られるのは
あまり思わしくないのでね 」
「なに・・?」
「そんな ジャッジ様、我らは神の御使いであり、神の・・!」
「ふざけるな!そんなことは許されぬ・・!」
「(ズシュウウウウ・・)」
「あ゛あ゛ああああ」
「!?」
すると 観客席に近い側に等間隔で並んでいた黒い法着の人間たちが
突然現れた黒い穴に飲み込まれて全員その場からいなくなった
(ゴゴゴ・・)
「君たちの信じるそんなものはね この世界にはいないのだよ
君たちには永久に分かるまいが・・
ふふふ・・よかったじゃないか 君たちが欲する沢山の供物が手に入って 」
表情を隠した怪人カーニバル・ジャッジは不敵に微笑んでいるようだった
「さて・・宴を続けよう」
振り返る
そこでさらにカーニバル・ジャッジ側の流れが変化した
・・・
「(え・・!なにこれ)」
また禍々しいボス級モンスターが降ってくるのかと思っていたら
「コオオ・・」
今度は光を纏った、ただ一人の人型の怪人が降り立ってきた
(ひとり・・?)
「 」
その姿はまるで向こうの魔法世界の「勇者」のような恰好をした男性キャラで
目は虚ろで
太陽を映したような剣をもっていた
だけどこんな怪人、オリジンで私は見たことがない
隠しキャラでもこんな見た目の人間キャラはいなかったはずだ
それにこの怪人もパターンにない不規則な動きをしていた
「こいつは・・?」
ゲンゴがなにかに気が付いたような声をだす
「光よ我ガ元ニ集え モード祝福・・起動」
その怪人は直後に圧倒的光の力に包まれる
「「祝福魔法
アルティメット・リミット・オーバーレイ・極光」」
「キュイイイイイイイン!!!」
祝福の恩恵を受けた強力な光魔法が放たれた
強力ってレベルではない
向こうの魔法でいうならば戦術級といわれる規模のありえない魔法だった
(え・・!これって祝福の・・! それに攻撃魔法の詠唱・・!)
「うわ!」
大画面が光って観戦席側から見ている私たちが驚くような威力の魔法
その攻撃は漆黒の怪人に直撃したように見えたが
ハスラーキッドはその魔法攻撃に瞬時に無理やりタイミングを合わせ
オリジンのカウンター判定から移動攻撃をねじ込んで
魔法をいなしていたがダメージを受けていた
ハスラーキッドはそのまま相手に近づいて攻撃を叩き込んでいくが
相手の持つ光の極度に強いオーラの守りによって阻まれている
「ガシ!」
オーラの守りに打撃が阻まれることが分かると 今度は投げ攻撃に移行して
オーラの上から強引に掴みに入り
ねじ切るような破壊の圧力でバチバチと激しい音が鳴る
そのまま強力な投げ技でハスラーキッドが勝負を決めるかと思われた瞬間
「パアアア・・!!」
相手の体が危うく異常に光り始める
それをみてハスラーキッドは手放すように即放り投げるも
「「ズガアアアアアン!!」」
「!?」
白い光でステージの広範囲を巻き込みながら
その相手は体から大量の魔力を解き放って自爆したのだった
「ギシュウ・・」
(パラパラ・・)
地獄のようなステージで
戦いで発生する膨大なエネルギーをぎりぎりのラインで取り込むために
空で集まって飛んでいた奇怪な寄生昆虫たちが
爆発に巻き込まれて炎に包まれながら大量に空から落ちてきていた
・・・
「 Hustler kid WI N・・」
相手が自爆して跡形もなく消えて
また歪んだ勝利演出がでる
爆発の煙の中から漆黒の怪人の姿が現れる
(ザ・・)
だけど明らかにその漆黒の怪人は爆発によるダメージをくらっていた
「・・・、」
(自爆って・・?そんなの異常よ・・)
「ビゴン・・」
「ビゴン・・!」
「な、なんで・・」
また対戦は始まる
今度は違うものすごい魔法の力を帯びた装飾をした、
冒険者のような恰好をした人間の女性キャラが降り立ってくる
「 」
その彼女もまた虚ろな目をしていた
「ズガアアアン!!」
今度は遠距離からの強力な雷魔法の飛び交う戦いになっているのを見て
「・・、こいつは・・様子が違うが
おそらく・・数年前のダンジョン調査で姿を消したといわれていた
Sランク冒険者「稲妻のシャーロット・フミル」だ」
「それに前の自爆したやつ・・このシャーロットを見て特徴を思い出した
これも多分 魔物領の奥地に戦いに出て行方不明になっていた
Sランクの称号がある陽光の聖剣使い、勇者アルゴスだ・・」
ゲンゴが驚いたように声を出す
「え・・どういうこと?勇者・・?向こうの世界で行方不明になった人が
今ここで敵として参戦してるってこと・・?そんなこと・・」
「だが行使する魔法に使用武具の刻印、
その姿の特徴もよく似かよっているんだ・・」
・・
「ピキャアアアア!!」
「!」
極みに到達した魔法の雷の光に画面が照らされてリズがハッとする
そこには虚ろな目をしたシャーロットの強力な術をくらいながら
接近して
「ガクッ・・」
腕で挟み込んで背後からシャーロットの首を締め落とした漆黒の怪人の姿
「 Hu s tler kid W IN・・」
画面にそう表示がされて
文字が切れかけた電灯のように点滅している
(文字化けしている部分が増えてる・・)
ハスラーキッドの漆黒の怪人の姿は
強力な術を食らい続けてズタズタだった
「ビゴン・・」
だがさらに対戦は加速する
ハスラーキッドは次々にやってきた、
殺意をみなぎらせた虚ろな英雄レベルの敵を相手にたった一人で戦い続ける
「ビゴン・・」
「ビゴン・・」
(なんで・・なんでやめないの・・
そういえばカーニバル・ジャッジはあの時 「拒否はできない」っていってた
まさか・・)
「グハハ・・がんばるなハスラー君 やはりこの場所に立てる人間は違う
少し思い違いをしていたよ・・」
いつの間に観客ゾーンに移動していた
怪人カーニバル・ジャッジがただ一人座って
その戦いをほの暗い笑顔で眺めていた
今のハスラーキッドの総連勝数は「96」に積み上がっていた
「ふむ ではとっておきだ
こういうのはどうだろうなあ・・!」
すると
「ギュイイイイイイン!!!」
闇の広がる上空から氷のような大剣をもって光に包まれた大男が
その大剣を向けて漆黒の怪人に向かって突っ込んでくる
ハスラーキッドは超斬撃を回避するが それは地面で超広範囲に炸裂して
漆黒の怪人をその余波の威力だけで吹き飛ばす
「ドドドド!!」
さらにそこに強力な光の雨がふってくる
上空から光る杖をもった天使のような姿の神々しい女性がおりてきて
さらに
「ゴオオオオオオ!!」
「!!」
ステージの周りに火柱が何本もあがる
「ゴゴゴ・・」
すると上空に穴があいて そこからゆっくりと巨大な赤い竜とそれに乗った
黒く染められたオーラの全身魔法の鎧と槍を携えた竜騎士が現れる
そしてその全員が魂のない虚ろな目つきをしていた
「な、なにこれ・・!! 4対1・・!?」
「なんだこいつらは・・俺も知らないぞ」
現れた前とは纏っている力の雰囲気の異なる英雄?たちの姿を見て
カーニバル・ジャッジは満足そうに顔をほころばせる
・・
「彼らは初期のデータベースから抽出した伝説の英雄たちだ・・
秘蔵の私のコレクションだったのだが・・
特別に君のために用意したよ
君を葬り去るために かつての伝説と謳われた英雄たちが
はるばる黄泉の国からやってきたのだよ・・!」
「ズギャアアア・・!!」「ズオオオ!!」
「 カッ! 」
対戦は無尽蔵と思われるような相手の魔力の力で
祝福の恩恵を受けた見たこともない超上位級の魔法が矢継ぎ早に連続で飛び交い
もはや理不尽で熾烈さを極めていた
だがそのオリジンに存在しないはずの人を超えた理不尽な英雄たちの猛攻に
ボロボロになりながらも
くらいついて対応できているハスラーキッドもまた
幾多の人のゲームプレイヤーが集う
オリジンの最強の座に君臨してきた存在だった
守りの電子生命体たちを解き放って
人智を超えた英雄たちの技を合わせて受け止めて抵抗する
「素晴らしい・・まさに君はオリジンの申し子だ・・!
君の本当の名はたしか コードCL100D2「クルード」君、だったかな・・?」
「!」
漆黒の怪人の目にほんの僅かに一瞬だけ黄金色の光が浮かんで揺れる
怪人カーニバル・ジャッジはニヤリと笑う
「ドガアアアア!」
その時
ハスラーキッドの操作にわずかな隙が生じて
地獄の空から突進してきた赤竜の巨大な尾によって力任せに吹き飛ばされる
守りに集めた電子生命体たちが吹き飛ばされて
砕け散っていく
「・・・・」
吹き飛ばされた衝撃のあとの煙の中から現れた漆黒の怪人は
ダメージを負って黙ったまま立っている
「(クルード・・!)」
「うははは・・秘密だったようだが 図星だったかな
君がなにかを企んでいることは知っている
君がこの戦いで重ねた力・・
必殺技・・あれを使ってないじゃないかクルード君
制限はかけたとはいえ
君はあのオリジンの大いなる力にその魂をつなげた存在・・
いったい何本分ため込んだんだね?
とっておきを私のために ため込んでいるのだろう?
その時を待ち続けながら油断した私の身を滅ぼすために・・!
だが・・それはいけないなあ
うん 非常にいけない・・
ならばこうしよう」
そういって怪人カーニバル・ジャッジがニヤリと表情筋を動かすと
突如 伝説といわれた英雄3人の同時の超級の魔術の発動を止めて
その動きも嘘のようにピタリと止まった
すると直後に
ステージ奥の地獄のような背景に
ラグのようなものが混じった「なにかの映像」が映し出された
「え・・」
((ブイン・・!))
「 」
そこには数々の場面のオリジンの映像が渦のように並んでいて
その中で人がプレイヤーとして戦っているようだった
だけどその内容は一方的で多勢に無勢のような状態になっていて
プレイヤーはボロボロになって大量の魔物の怪物によって追い詰められていて
次々にその数々の画面が真っ黒く塗りつぶされて変わって消えていっていた
その中に
「え そんな・・! いやよ・・」
リズの見知ったかつての施設の同期のアカウントのプレイヤーが混じっていた
それもひとつじゃなかった
((うわあああ・・))
((ヴああああ・・))
いくつもの見知ったロストオリジの仲間のプレイヤーたちが魔物に蹂躙されて
足元から湧いてきた真っ黒い繭のようなものに体ごと囚われて
悲鳴をあげながら呑み込まれて消えていっていた
「おっと・・これはいけない
先に君の仲間たちの映像が出てしまったね
だが君はもう気にしなくていいんだ
幾重にも張り巡らせた罠・・逃れられた者はいない
これは最近のものだが
過去の録画映像なんだよ
彼らの処理はもうとっくに済んだんだ
劣悪なコードを量産する人間たちが勝手にやってきて
あの領域帯で活動されるのは我々にとってよくない事なんだ
今回は虫けらの掃除にもちょうどいい機会だったのでね
これだ こっちだよ 今残っている現在の映像は」
「ブイン」
画面が切り替わって
「「ズゴオオオオ・・!!!」」
いきなり巨大な建造物が大爆発する映像が流れる
(これ、は・・!)
その爆発している大きな都市の建物はよく見ると
リズがいた旧市街の郊外にあった、
通信都市アナザスフリードに並ぶビル群であることが分かった
そこから映像がいくつか流れて
やがてラグからひとつの映像に集中する
「 」
そこにはリズの街の大通りが映っていて
周りから黒いモンスターたちが湧き出しているところだった
そこに小さく映り込む街の人たち
「(え・・私とリコが映像に・・?なんで・・)」
リズたちが襲撃にあった、
あの時の場面の道の角の外れに私たちの姿が映りこんでいた
怪人カーニバル・ジャッジはその映像を
視線で吟味するようにゆっくりと見渡す
「・・私はね 今のこの場所に君を誘い出せたが
君たちの持つ光は小さすぎて全てを詳しく割り出せているわけではないのだ
目についた通信都市の設備は完全に抑えているが
君たちの真の目的はまだわかりかねている
今の座標に映り込んでいるものを見ても
あの辺りは時代遅れの何もないアナザスベルード国の旧市街地か
なにか目を引くものがないかとは思ったが
どう見ても貧民街の掃いて捨てるような価値のない人間たちが
のさばっているだけだな
だが、君たちがこの座標付近に
秘密裏に大きなエネルギーを集めていたことは突き止めた
なんだね?あの都市で闇取引の予定でもあったのかね?
まあ私は外の世界でならば君たちがどこで何をしていようとも
本来は別にどうでもよかったのだが・・
ただ今回は何故か妙にそれを阻止してみたい気分だ
だから私はそれを・・阻止しよう
あの場所一帯はすでに私の力を送り込んだ
私のあの黒き下僕の異形たちは
君たちが集めた物を収奪し そして
あそこにいる者たちを全員一人残さず
我らの黒き夢の供物とする 」
「かわいそうに・・
「 残念・・君たちの先は ない 終わってしまった 」 ・・ 」
カーニバル・ジャッジはその静止した人々の運命を眺めて呟いた
またひとつ大きな爆発が画面に映る
「(な・・!)」
リズは驚く
それはリズがいつか見た町での記憶と繋がっていた
・・
「フフフ・・人為的に重ねられた過密エネルギーは
その地の持つ次元の均衡を脆弱にする
あの場所はもういつ間違いが起こり
風船のように破裂してしまってもおかしくはない
だが・・
君は残った最後のプレイヤー
滅ぼした君たちにも僅かな慈悲がないわけでもない
どうあがいても閉じゆく彼らの運命をなんとかしたいと君が望むなら」
「ジジジ・・」
するとハスラーキッドの足元に白い光の穴が出現する
「・・そこから行ってみても構わない
特別なつながりを持つ強力な転送門のゲートシステムだ
時限式だからすぐにここに強制的に戻ってくることになるがね
あの映像の場所の元に繋がっている」
「あまり時間はとっていない
君のような力を持つ存在は外界では非常に維持がしにくいのでね
さあ いきたまえ ハスラー君
あの場所で君の持つ手の内を私に見せてみたまえ
もっとも
今さらできることがあるかは分からないがね」
「・・・・」
その言葉に従い
黙々とハスラーキッドは
自分からその白い光の中へと入っていく
・・
そうしてその姿は背景のあのリズたちが映っていた場所に転送された
・・・
画面の映像に漆黒の怪人が召喚されて映りこみ、
黒いモンスターたちが一斉に現れた漆黒の怪人ハスラーキッドに襲い掛かる
「「 」」
漆黒の怪人はそこで必殺技の力を発動させた
「ギュイイイイイイン!!!」
超広範囲に指定されたオリジンの光の奔流が爆発をおこし空間が歪み
黒い異形のモンスターたちは全てが消し去られる
ただその当時のリズが見ていたはずの、
天に迫るようなオリジンの超古代都市が落ちてきた巨大な光によって
吹き飛ぶ様子はその映像のどこにも映っていなくて
ただのアナザス地区の町の風景だった
(やっぱり私が見たあの世界は・・、私だけの幻だったんだ・・)
( )
その画面の端で小さく映像に映ったリズの姿が白い光に包まれていた
そこで映像は途絶えた
「グワハハハハ・・!」
「馬鹿め あんなところで力を使うとは
そのまま残しておけば 少しはこの私に牙を向けられたかもしれないものを
まあ・・!どのみち無理だっただろうがね
君をまつ運命 この宴の本当の強者たちの前では・・」
・・・
やがてハスラーキッドがまた転送の白い光によって
この場所にもどってくる
すると戻ってきた途端に
「ゴオオオオオ!!!」
「ドギャアアア!!!」
英雄3人衆と赤竜から同時に高度詠唱を済ませていた術の攻撃が加えられる
「 超 星 ・ギャラクシー・・!!」
それをハスラーキッドはオリジン必殺技を発動して相殺する
「ピキャアアアアン!!!」
「グハハハ・・どうした 取っておいたんじゃなかったのかね
クルード君!! ハハハハハハ!!」
怪人カーニバル・ジャッジは猛ったように喜ぶ
そして また虚ろな目の英雄たちと理不尽で熾烈な戦闘が始まる
・・・
・・・・・
だがハスラーキッドは やり切った
「ズサ・・」
至近距離から相打ちのように掌底を撃ち
氷のような大剣をもった最後の英雄が倒れる
( )
大量の光が空を上っていく
「ふむ・・」
席から座っていた怪人カーニバル・ジャッジがやや俯き気味でその様子を見る
「 Hustler kid WIN・・!!」
エラー表示の今まで文字化けが元に戻っていた
「ドザ・・」
と同時にボロ切れのような姿のハスラーキッドは両膝をついた
(でも・・!ハスラーキッドは勝ったわ! やりきったのよ・・
クルードは勝った・・!)
正常に見えるロビーの表示もあらわれた
これは普通に考えたら
ここで対戦を切り上げられるようになったということ・・
でもなんだか
この感じ・・
リズの予感めいていたもの
いつか感じた力に溢れた不思議な光たちが脳裏に渦を巻いている
それはいつも何かが始まる前
( )
それは一瞬だけ見えた幻の希望のようなものだった
全てが今までから変わる前に
一瞬のラグで正常な元のシステムに戻ったように見えただけ
「 ビゴン・・! 」
「・・・!」
「 むふう・・!!終われるわけがないだろう
君がやってきたのはもう引き返すことができぬ場所
そして君のおかげで
ようやく我々は辿りきたのだよ・・
人の身ではけして辿り着くことができぬ場所、
その禁忌の淵に・・
ここからは 私が・・君を本当の悪夢に招待しよう
「本当の地獄」へようこそ クルード君・・! 」
カーニバル・ジャッジは顔を上げ 白目になった凶悪な笑顔を浮かべていた
「 強 制 直 接 対 戦 要 求 !! 」
「ビゴン・・!」
対戦がひとりでに了承される
「そんな・・!」
「あれは・・・!」
膝をついたハスラーキッドの前に
「 」
「ゴルル・・」
上空から一瞬だけ見えた
それはすさまじいオーラをまとった
オリジンの「魔人化ドラゴンロードマン」の風貌で
ゆっくりと降り立ってくる
あれは 魔神器の「獄炎刀」といわれる大剣を装備したバージョンで
燃え盛るような骸骨の頭蓋 まるで処刑人のような姿をしていた
「「 地獄ニ落トシテヤル・・ 」」
おぞましく響く声がやってくる
でもその怪物が降り立ってくる途中で
なにやらステージの背景が眩暈のように目まぐるしくおぞましく変わっていって
とりまく世界自体が強い力に包まれて変貌を起こしていっているようだった
「 君は彼らによって潰される・・
このオリジンが生んだ深淵に潜む、本当の強者たちに・・!
どうかね、
君が潰してきた他の哀れな権力者たちと同じように震えているかね
君はそんなことはないだろうと、思うがね・・」
(ブイン・・)
そこで閲覧画面が暗転して
・・・
なにも見えなくなった
「なによ・・これ・・」
今まで横でずっと黙って画面を見ていた
ネロに似た白くて瞳の赤い男の子が説明する
「今一瞬映ったのはハスラーキッドと同じ、特別な裏コードを持つアカウント
情報は非公開のプレイヤー「???????」
怪人使用率は99.9%「魔人化ドラゴンロードマン」
今の世界レートの「11位」に割って入ってきた
オリジン13柱の称号持ちの最上位プレイヤーだよ 」
「・・!」
(!・・使用率99.9%の魔人化ドラゴンロードマンって・・!
まさか・・、あのいつか私が戦ったプレイヤー・・?
でも11位・・?
たしか偽物のアカウントプレイヤーは
称号持ちじゃない後ろの順位だったはず・・?)
「ハスラーキッドの この先の3戦はこの特別な裏VIP席でも
閲覧ができないようになっていたんだ
オリジンの世界の裏に密かに存在する「バトルランド」
その場所を今まで自分たちが集めた力や
オリジンの戦いで得た力を利用してとうとう復活させて
その特異点の領域に入ったんだ
カーニバルジャッジは最初からそこでハスラーキッドを戦わせたかったんだよ」
「・・!どういうことなの 「バトルランド」?そんなステージ知らないわ
そんな場所でそれから3戦も戦ったっていうこと・・?
それにカーニバル・ジャッジじゃなくて
別のアカウントの最上位プレイヤーって そんなのズルじゃない・・
どうなったの・・ハスラーキッドは」
「・・見たい? 4戦目は見れるよ」
ゾっとするような男の子の冷たい声
(え・・4戦目は見れるの・・でも・・それって・・)
「俺は見ておく お前は見なくてもいいぞ・・リズ」
ゲンゴはそういって私の肩からは離れて降りて
画面の前に座り込んだ
「私も・・見る」
「・・・・」
ネロに似た男の子は無言でモニターを操作する
1回目の暗転が終わり
一瞬画面にステージが映りかけるけど
「ビゴン・・」
という音だけ鳴って
すぐ画面が暗転する
対戦の様子は見れなかった
「ビゴン・・」
またしばらくして虫が羽ばたくような低周波の音だけが聞こえて暗転する
「ビゴン・・」
そして最後の
不気味な強制直接対戦要求が了承されたとき
画面がパッと元に戻った
「あっ・・」
ハスラーキッドはそこにいて立っていた
膝はついておらず ただじっとして立っている
上空から対戦相手が下りてくる
だがそれは一人ではなかった
リズ達を町の大通りで襲ってきた
あの黒いモンスターたちのような姿をした魔物が何体も降り立ってきたのだ
「Fight!」
試合は開始される
だが
「ああっ・・」
黒い異形のモンスターたちが一斉に群がってくるものの
その漆黒の怪人は微動だにせず立ったままだった
そのまま群がる黒いモンスターたちの攻撃を受ける
吹き飛ばされてもまるで自動操作に設定したように
しばらくすると立ち上がるがまた微動だにしないままだった
「いや・・」
そこにはもう既にクルードの魂がはいっていないことが
リズには感じられた
倒れてはまたしばらくしてただ立ち上がり
また倒れては・・
繰り返し
そして
「 Hustler kid LOSE・・」
・・
「手痛い犠牲を払わされたが・・最後はこんなものか
ふむ・・、
さすがにいろいろと手を付けすぎて
まだシステムに不備が生じているな」
(・・・)
「獲得できたのは膨れ上がった奴のレートだけ、か・・
勝負につぎ込んだものの大半が返ってこないのならば
こちらは大損もいいところだな・・
だが
ひとつの目的は果たせた 」
勝負の結末を最後にステージに見に現れた怪人カーニバル・ジャッジ
「オリジンNO.1プレイヤー 「ハスラーキッド」・・
この世界の君の処刑は完了したよ
もちろん私は危険な君たちの存在を許しはしない
君のアカウントは世界から追放し まとめて凍結しよう
向こうの世界にいる別の君も捕捉して同時に始末した
君の運命はすでに決まっていたのだ・・この私によって・・!
クフフ・・成り上がりの欲にまみれた権力者どもを
すり潰したのとは訳が違うな・・格別だ・・!
そして私こそが新たな時代のオリジンの支配者、世界を握る者・・
私が・・ナンバーワンだ・・!
グハ・・グハハハハハハハ・・!!」
その時
???
「 茶番、ですね 」
(シュイン)
その高らかな勝利宣言にかぶされるように
その直後の怪人カーニバル・ジャッジの後ろの空間から
後から割ってやってきた新しい物音
(・・・・)
「 ・・フフフ 少しくらいはいいじゃないか
ふむ そうだね
この勝負の結果は
世に公開するものは全てダミーの加工したものに私の手ですり替えるとしよう
この試合の本当の内容は世に出ることはない・・
どうだね 完全な手筈だと思うが 」
???
「そうじゃないだろう・・!ジャッジ・・!貴方という人は・・!
よくも、私の忠実な信者たちを・・! 」
戦いの途中で黒い穴に呑み込まれていなくなった法衣の人間たちと同じ、
黒い法衣に身を包んで、だが人形のような姿の謎の人物が現れて
カーニバル・ジャッジに対してそう怒りの声を荒げていた
(・・・・)
「おや 代理かと思いきや・・
さすがに仮の体ではあるようだが
あなたまでこの世界の表に出てきてよかったのかね?
いつも用心深いあなたがよく言っていたではありませんか
「神の目は見ている」、と 」
「・・・ここは完全な裏のチャンネルです
システムの管轄から切り離したのならば誰にも此処を知る術はありません
それよりもジャッジ、
これはどういうことだ
我らの目的を・・違えてはいないだろうな
目星をつけていた2位と3位のトッププレイヤーも続けて陥落させたが
「何も出てはこなかった」そうだ 」
(・・・、)
( 「彼」ではなかった・・
彼は残していない オリジンの頂点でも「ウィザード」には繋がっていない・・
そもそも「ウィザード」は「オリジン」には託していない・・?
そんなことが・・
それならば何処に・・
やはりその鍵は・・ )
「ああ問題はないとも
ここにはなかった、というだけでね
また少し近づいた
「ウィザード」が残した原初のコード・・
それを手に入れ
オリジナルを取り戻す
ここで我々が勝利をしたことによって
お前たちの望んだように「オリジン」は進んでいくだろう
おや・・・」
・・・
「ブツン・・」
怪人カーニバル・ジャッジがこちらの方を振り向こうとした直前に
そこでリズ達が見れる対戦過去閲覧記録は終わっていた
・・・
「・・どうしたのです ジャッジ」
「いや・・何でもない
少しあれは鳴き虫だったかな、小さな虫がステージに入り込んでいたようだ」
「そんなオリジンの寄生虫どもなど
この世界にはどこにでも這っているだろう」
「それもそうだ、ね
・・・」
・・・
・・・・・
ヘッドホンを取る
「(・・・・)」
リズはただ茫然と視界のチカチカする画面を見ている
ヘッドホンを取っても最上位の闘いの波動の余韻で頭がジン・・とする
「こんな・・もの 見せて何がしたいの・・?」
画面を見るリズの声は涙声になっていた
「知ってもらっただけだよ」
ネロに似た白い小さい男の子は 冷たい声でなんでもないようにいう
「・・・」
クルードやみんなが凍結されて
私たちのクランも崩壊していた理由・・・
(あの光は私たちを助けるためのものだった・・?
私は助けられたからあの時は無事だった・・
だけど他の人たちは・・
でもそれは、ゲームの中のことなんじゃなかったの・・?
今までの戦いが茶番・・?
この人たちは
ただゲームであのオリジンのランキング一位を奪いに来たわけじゃない
「ウィザード」のコード・・?それでオリジナルを取り戻す・・?
何なの この人たち・・
私たちが何をしたっていうの・・?
そんなのって、、 あんまりよ・・)
ショックを受けているリズに
男の子は特に気に掛ける様子もなく次の言葉をかける
「僕は頼まれたことをしただけなんだ
そういえばもう1こほら あそこに君用のギフトがあるよ」
そういって男の子は閉じられた裏VIP席のある場所にカーソルを合わせる
「はい これ押して」
「なに・・これ」
言われるがままリズはボタンを押す
「ポウ・・」(シュウウ)
そこには最近導入されたという、まだオリジンで用途がわからない大量の
「ソウルポイント」がギフトとして残されていて
リズのアカウントに一斉に譲渡された
「・・対戦の途中から通貨の賞金じゃなくて
あの特殊なキャラたちを倒した分は清算式が変化して
ソウルポイントで一部が分かれて清算されていたんだけど
それをハスラーキッド側が過去に獲得した元々のポイント分と合わせて
密かにここに残していたんだ」
「え・・なんで・・?」
「なんでって君に受け取ってもらうためだよ
彼はこのソウルポイントたちは本来君が持つべきものだったと言っていた
それがこれからの君に必要になるかもしれないから」
「ソウルポイントが・・? なにも交換できないんじゃないの?」
「実はそうじゃないよ
まだ伏せられているけど それは「楽園」のシステムの密かなエネルギー元
それがあればつまりどういうことかっていうと」
「ジジジジジジ・・・」
小さい男の子の手から白い光が出る
代わりにリズに移されたその大量のソウルポイントから
1ポイントだけ減っていた
「おい」
ゲンゴは低い声をだす
「ジ・・」
男の子の手から白い光は消える
「1ポイントだけじゃ こんなもので終わるけど
つまりはポイントを使って僕のようなシステムを起動できるっていうこと」
「そういえばさっきの前も「楽園」っていってたけど
白い光とあなたがそのシステム・・?」
「楽園は・・もっと言うと
あっちの世界の法則のシステムを書き遺して内包した原初の世界で
超上層部ともいわれている場所のことだよ
僕も元はそこから来たんだ
そしてさっきの白い光は「送転システム」の力の光・・
使い方はいろいろあるけど その1つに
これがあれば君たちはまた むこうの世界に戻れたりもする」
「・・!」
「本当か」
「元々君たちがこっちにきたのは 捕捉から逃がすためだし
ここでのことももう今知ってもらったし
ギフトのソウルポイントも渡したから用は済んだんだよね
そこの鳥さんはこっちの世界の住人じゃないみたいだしね
君たち今すぐ送り返してあげようか?」
その言葉にゲンゴが警戒する
「まて そもそもお前が なんでリズや俺にかまうのかがわからない
別世界のシステムらしいお前がなんでわざわざやってきたんだ」
「いったでしょ 僕はたのまれたことをしただけだって
頼まれたんだよ 君たちの向こうの世界のハスラーキッド・・
「クルード・アドバンスト」 にね」




