第60話 ゲンゴ襲来 中 第2ラウンド
「第2ラウンドはじめといったところだな」
「そう」
邪悪な魔力オーラを纏った影響で少し浮いたような姿に見えるリズ
リズの破れたスカートの端が 魔力のオーラにあおられてたなびく
アスラは強化魔法をかけたように燃えるような姿をしている
それを見て
「風魔・魔導結界式陣」
(ピイーーーン・・)
片手で胸の前で構えて なにかの印を組んで
ゲンゴは今までの強化状態に加えてさらに張りつめた虹色の風魔の結界を施す
(ついに出したわね 風魔一族の結界・・ここからスタートっていうのは
まんざら間違いではなさそうね)
それに対抗して
「バーニング・ファイト!!」
(アスラそれつかえたの・・!)
元から強化魔法がかかったような見た目をしていたが
アスラに本当に強化魔法がかかってしまった
「やっ!!」
アスラは一気にゲンゴに接近して燃え盛るようなオーラで先制パンチをする
「バオオン!」
さらに連続でたたみかける
だが
「ザ・・・」
(見切られてる・・!)
スピードもパワーもかなり上がっていたけど
アスラの挙動自体が変わったわけではない
それにゲンゴの方も明らかに強化されていた
強化されたゲンゴは逆にアスラの拳をいなして入り込むように体勢を変えていく
「(ズッ・・)」
(また掴まれる・・!)
「(アスラ!)」
「(うん!)」
「バオオオオ!!」
掴みを狙うタイミングでゲンゴの軸足を逆にタイミングよく狙った一撃
「!」
(また妙なパンチだ・・!体勢を崩される)
その瞬間に一気にゲンゴに
コマンド方向キーの驚異的な瞬発力の速さで接近するリズ
「ブアアアア!!」
「(コマンド強飛びキック!!)」
リズは飛び上がって体勢の崩れたゲンゴのその顔面に向かって
しなるように足を突き出す
「!」
(一瞬の隙をついた流れるような速い身のこなし・・!
前からだが、この技量はオジジに少し教わっただけでは説明がつかないぞ リズ
崩れた体勢で通常なら避けきれはしない)
(だが・・!)
(お前なら ここで仕掛けてくると思っていた・・!)
「バシイイイ!」
「!!」
ゲンゴは風魔操術の応用で無理な体勢からでも 風の魔術を爆発させて
代わりの体重移動が正常に行われるようにした上で 体を巻き込み
裏拳でリズの強化オーラ付きの鋭いキックを受けながらも 少し軌道をそらして
「グアシ!!」
一気にリズのキックの内側に入り込んで
リズの蹴り足の内もも辺りまで背中から体を食い込ませ
腕でがっちりと固定して掴んだ
「ギシイ・・!」
リズの強力な魔力オーラと 力で締め上げるゲンゴの魔力オーラが接触して
バチバチと激しい音をたてる
「(よ、読まれた・・!!)」
「リズ!!」
「ファイヤー・パン・・」
ゲンゴは瞬時にさらに掴み上げやすい体勢に移行して
掴んで締め上げたリズを
助けにやって来たアスラのファイヤーパンチが繰り出される位置に置いていた
「くっ・・!」
「う、ううう リズ・・!!」
アスラは対応できずファイヤーパンチを打ち込むことができない
「甘いな」
躊躇をするアスラを横目に
着々と体勢を整えてゲンゴは飛び上がる
(これは・・!)
リズになにかされる前にコンパクトさとスピードを重視した投げだった
「背 面 柱 落 し!!」
短く飛び上がって 相手が背中から地面に激突するように
その途中まで自分で相手を抱えながらスピードを上げて
渾身の力で投げ放つ技だ
(こ、こんなもん食らうわけにはいかないわ
でも・・抜け出せない・・!!)
「ピシ、ミシ・・!!」
「うっ・・!」
強く掴まれたリズの内腿辺りの魔力オーラに
かなり魔力を追加して抵抗していたけど もう亀裂が入り始めている
(うわあ・・!)
今もゲンゴから万力のような強靭な腕の力で
絶え間なく絞め続けられている
(これで力任せに めちゃくちゃな威力で背中から落とされたら
私の魔力オーラが地面で飛散して直接ダメージを負ってしまう・・!)
「ギュオオオオ!!」
「であ!!!」
ゲンゴは一気に加速していって
リズを背中から落とすように地面に投げ放った
その時
「リズ!!!」
(はしっ!)
アスラが飛んできて
投げられた直後のリズの背中に守るようにしがみつく
「(アスラ・・!!)」
「ズガアアアアアン!!!」
地面にぶつかった衝撃で大量の煙が舞う
・・・・
・・・
「ああ・・! アスラ・・!!」
「あうう・・」
リズへの背面柱落しの強烈な衝撃をアスラが肩代わりしたのか
アスラは纏っていた魔力が飛散して 強化状態も解けて
倒れてぐったりしている状態だった
思わずそれに気を取られたリズ
「隙を見せるな お前も甘いなリズ」
「・・」
リズの近くにそう声が聞こえて もうすでにゲンゴは
「剛 打 掌 !」
リズに追撃を放ち 目の前に攻撃が迫っていた
「ズギャアアアアン!!」
リズにすさまじい衝撃の拳がぶつかる
(ブシュウウ・・・)
・・・
・・・・
「・・・・お前・・」
「その右腕・・・」
(ポタ・・)
ゲンゴの拳からは血が流れていた
リズはゲンゴの剛打掌を同じく拳で迎撃していた
だがその腕の姿は
(ズオオオ・・!)
「ふふ・・やっちゃったわね」
一見は腕輪のように見えなくもないが それは明らかに変質しており
悪魔のような見た目の右腕の邪悪な装甲とオーラが見え隠れしていた
(この大会は魔法主体で戦っていくつもりだった・・)
(イヴの腕・・極力は出さない予定だったのに)
「ごめんなさいね ちょっと力んじゃったのよ・・」
リズは妖しい淡い目つきでゲンゴを見ている
「・・アスラのことか? だが戦いってのは・・そういうもんだ」
「それもあるけど・・
そうじゃないわ もっと根本的なことよ」
「根本的だと・・?」
「それにさあ・・ゲンゴって、見えてるよね 私のこの腕のこと」
「なに・・」
「また謝っておこうかしら」
「ねえ あなたなら・・いいのかしらね?」
リズの瞳の中の淡い光がキラリと揺れる
「(ジュシュウウウ・・・)」
リズの邪悪な力が収束していく
「(こいつは・・・!!)」
「 滅拳 」
リズの一撃が一瞬周りの全ての音を置き去りにする
「(これは・・!)」
「バキャアアアアアン!」
ゲンゴの守りの術など始めからなかったかのように
それは一気に直撃して炸裂する
「バギン!バギャアアア!」
「(ぐっっ・・!!?)」
その瞬間 滅拳の力の衝撃で地面を跳ねながら
ゲンゴはまるでゴミ虫のようにふき飛ばされる
(ズゴザアアア・・・!)
「ぐあああ・・・っ・・結界、が・・!」
身を守る結界を完全に破壊され
傷だらけで地面を転がりながらゲンゴは倒れた状態でなんとか留まる
・・・・・
ズザア・・ ・・・
(・・・う、)
(・・結界のおかげで・・、骨までは折れずに済んだか・・)
(ぐ、ぐええ・・自慢の結界で固めていたはずの この俺が血だらけだ・・)
(なるほど・・調子にのっていたわけだ
里で何人も大人の魔法使いを倒して 俺はどこかうぬぼれていた・・)
(だが・・わかったぜ 俺が最初にお前に感じていた直感は正しかったんだ)
ゲンゴはゆっくりと風の強化をかけなおしながら上体を起こす
「(風魔操術・剛)」
「(痛てえ・・)」
「(風魔・魔導結界式陣)・・」
さらに印を組んで結界を再度かけなおしながら立ち上がる
「(どうやら・・会っちまったみたいだ・・ だがまだ)」
「避けなかったの・・? 隙を見せちゃだめじゃない
ふふ・・私ね あなたと戦って 久しぶりに調子がいいみたいなの
あんなにスムーズにあれを撃てるなんて」
「(こいつ・・)」
上空からジャンプをしてやってきたのかリズが上の方から
ゲンゴから少し離れたところにシュタリ・・!と降りてきていた
そのリズの腕には まだぐったりとした妖精形態のアスラが抱かれていた
・・
「ねえ なんだか周りの様子がおかしいんじゃない?」
いつの間にかシン・・として観客の声援や周りの景色が消えていた
私たちが向かい合うステージは虹色の結界で包まれていて
外と情報が遮断されているようだった
「・・たぶん オジジ達だ 隠す必要があると判断したんだろう」
リズの右腕から溢れている邪悪なオーラ
「出しちゃいけなかったの?」
「おそらく そうなんだろうな
明らかにその技は普通の魔法とは逸脱していた
そう まるで・・」
「・・・・」
(ブシュウ・・!)
さらに強化状態を重ねるゲンゴ
「・・つづける気なの?」
「お前との勝負はまだついていない」
「続けてもいいわ だけど この子を安全なところに置いておきたいの」
「・・アスラのことは俺が守っておく」
「風魔ノ羽衣」
再強化はされているものの、治療を後回しにしているため
まだ血がついているゲンゴ手の指から魔法が発動する
(シュイン・・)
強力な風の守りが現れて
風にのってアスラを抱いているリズの方に向かっていき
リズが少し抱いている力を緩めると
「(リズ・・)」
アスラから腕に伝わる微かな感覚と
フワリとした風にすくわれて
丸くなった妖精形態アスラがリズの胸元から
ゆっくりと離れて
風の衣に包まれていき
「 」
アスラはゆっくり宙に浮いて回りながら
ゆるやかな小川を灯篭が流れるように足場の外側の方に流れていく
・・
「大丈夫なの?」
「・・あれは風魔の中でも特別な守りだ
一度発動すれば自動でしばらくは守りは維持できる」
「そう・・、でも違うわ」
「なに・・?」
「あなたのことよ」
「ゴオオオオ!」
「!!」
(速い・・!!)
すでにリズはゲンゴに一気に接近していて 射程圏の肉壁する位置にいた
そこからすでにリズから強烈な拳が繰り出されていた
「顎が砕けるわよ!」
「(ズキャアアア!)」
下側から突き抜けるようにゲンゴの顎に迫る昇拳
「っ・・!!」
それを咄嗟に上体を反らして かわすゲンゴ
その瞬間
「ボゴオオオオ!!」「!!」
ゲンゴの顎に向けた拳が伸び切る前に 瞬時に切り替えて
その拳をゲンゴの腹に突き刺すリズ
「ガギャアアアン!」
「うぐあ・・! かあ・・」
よろめきながら 歯を食いしばってひねり出るようなうめき声をあげるゲンゴ
そこにさらに追撃をかけるリズ
「なめるな・・!!」
「!」
ゲンゴは気合で体勢を立て直して 腰を地面すれすれまで落として
リズの拳をかわしたうえで
「バチバチ・・!バシュウ・・!」
足に雷をまとわせて するどい回転をしてリズに足払いをかける
「!!」
だがそれを背筋を宙に伸ばしたサマーソルトの要領でジャンプして
リズはすでにかわしている
(高い・・!かわしてきたか だが・・!)
「(シュン・・!)」
そのリズのサマーソルトジャンプの影になる位置の背後に
音もなく羽ばたいて加速したジャンプで追撃し ゲンゴは密かに狙いをつける
ジャンプでサマーソルト動作中のリズが頭を下になる瞬間を狙って
「スッ・・」
両腕を開いて リズの影の背後から投げ落としの体勢準備に入る
「(掴み上げて脳天から地上に落とす・・!!)」
だがそれは見切られていた
「私を相手に そう何度も投げられるとは思わないことよ」
(パシイ!)
「ぐっ!!」(そこから腕を、弾かれた・・!)
さらに
(掴み抜けからの・・!)
リズの体の中心軸がしなりながら回転し
「てえああ!!」
「ドガアアアア!!」
背後で一瞬弾かれたゲンゴに大振りの蹴りを直撃させて
逆に地上に叩き落とす
「ドシャアア・・!」
「ゲホ・・!」
地上に叩きつけられたゲンゴ
「滅拳↓・・!」
「(あの技・・!)」
リズの一切躊躇のない淡い色の炎が宿る目を向けながら
リズの邪悪な右腕に力が収束していく
「(くっ・・!風よ・・!)」
「ズギャアアアアアン!!」
空から降ってきたリズが
その勢いに任せた邪拳を力任せに地面に突き立てる
「バキバキバキ・・!!」
力がそこで爆散し 地面に亀裂が入り
辺り一帯を吹き飛ばしてクレーターのような衝撃跡ができていた
(ガラ・・)
地上に突きたてた拳を リズがゆっくりと引き抜く
・・
「・・・・」
(ブシュウウ・・)
そこにゲンゴの姿はない
地面にリズの拳が振り下ろされる直前に
ゲンゴが強力な風を操って 体に動きに加えて
その位置からとっさに転がり出たためだ
・・
「ハア・・! ハア・・ゼエ・・」
(危ねえ・・あんなもん・・また、まともに食らったら
この俺でも体のどっか吹き飛ぶぜ・・)
ゲンゴは自身の技量から その危険なリズの攻撃をかわすために
すぐに対応できる位置に陣取る
(危険だ・・! 遠距離から確実にいくか・・搦め手もある
今の俺のままでも十分とはいえないが戦える・・)
(ズシュウウウウウ・・・)
またリズの右腕の中心に邪悪な力が集中していく
「滅拳・・・」
「・・!」
「(またか・・ だが近づいてきたところで距離をとって避けきる・・!
そして遠方から反撃する)」
「ザッ・・!」
ゲンゴは風魔操術を駆使して どの体勢でも躱せるように準備を整える
だがそのとき
ゲンゴはリズの目を見てしまう
まっすぐに見抜かれたリズの不思議な淡い色の瞳
「ゲンゴは・・受けてくれないの・・?」
「!」
その瞳がひどく悲しげに揺れていたような気がした
(・・な、なに言ってやがる 戦いだぞ・・! そんな甘いこと言ってんじゃねえぞ
ふざけるなよ・・受けられるかそんなもん・・受けてたまるか・・!)
(だが・・・)
ゲンゴはこの試合で ある衝動を抑えていた
それはリズがこの試合で見せた一瞬の瞳の揺らぎを見た時から
徐々に強くなっていて
リズが突如として出したあの悪魔じみた右腕の力が
正面からぶつかったときに 痺れるように確信的なものになっていた
だがゲンゴは抑えていたのだった
風魔一族の長である玄天斎風魔大楽と約束していた
祖父であり自らの師であり尊敬もしている
いわれた言いつけは今までちゃんと守ってきた
「(それにたとえ正面から戦わずとも 俺は戦う術を身に着けてある
精練してきた遠距離攻撃とお前の知らない搦め手を駆使すれば
今の状態であっても勝負を決める成算はあるはずだ)」
(・・・!!)
しかしたった今 リズのあの悲しげな淡い瞳を見た瞬間
それが自分の中で崩れていくのをゲンゴは感じていた
「・・しょうがねえよな・・」
( リズ 本当はな 俺はお前とは戦うはずじゃなかったんだぜ )
俺はたぶんここにはいないはずだった
本当は
戦いに出ること自体は
俺たちの一族や一部の貴族家の人間に法典から密かに科せられていた義務だった
それは知っているやつもいれば
知らないで出ているやつもいる
数ある大会の中で
この大会だけはなぜか大昔からの制約を今も引き継いでいて
人が悪魔と争っていた古い時代の戦時と同じ扱いを受けていた
時期が急に繰り上げられた大会に
オジジは学年が上がったばかりの俺を出すように中央からの召集を受けていた
召集を受けた魔法貴族の子息は「必ず」戦いに出ることに応じることになる
だがオジジはそれを始めは突っぱねたんだ
まだ早すぎる、
それに一族の義務はすでに果たした、と
孫にまで召集が及ぶいわれはないと
法典中央から正式に出された令を無下にすることは
よっぽどのことでない限りは上位貴族であっても許されはしない
それでもオジジはまだ俺のことを表には出したくなかったんだ
せめて来年以降にするように押し止めようとしていた
(・・・・)
でも結局それは俺が自分から志願したから
色々となかったことになっちまったんだけどな・・
理由があったんだ
俺には「力」がある
それは魔法の力じゃない
その力は何者からも祝福されない
(オジジ・・オジジだってよ ずっと使わないでいるはずだったんだろう?
ただの人間相手に使う技じゃない
あれはそういう力じゃない
本当はこの世界が終わるときまで
表に出ることがない方がいい力なのだと
もしその力が必要になった時は
もうこの星に「かつての危機たち」が戻ってきた時なのかもしれない
本当の力はその日がいつかやって来るまでは
己の内側で研ぎ澄ませたままとっておくのだと
だけど
そいつと会ったからオジジは使わざるを得なくなったんだ
あのときオジジは確かに会ったんだ
この世界で人の手には届かない空の星のような存在
そいつらはもしかしたら消えたはずの本当の悪魔だったのかしれない
でもそれは今は誰にも分からない
俺にも分からねえ
・・
(そしてオジジは失ったんだ・・
やつらに忘れさせられて残った力を俺に託して・・
その後 オジジたちは会った存在の記憶を全部忘れていた
そいつらが魔法でそうしたんだ
でも残った力を引き継いだ俺だけは
何も知らないのにそのことだけは知っている
その時
戦って死にかけたオジジや一族から俺に託されたんだ その力は
それに俺にはまだ・・
その力は十分には馴染んでいない だが )
「(俺も会ってしまったからな・・お前に)」
( 俺のその日は・・今日でいい )
「いいぜ 受けてやる」
「・・いいの? そんなこといって」
一見場に不相応な いたずらなリズの目がゲンゴを見ている
「ああ かまわないぜ」
ゲンゴは避ける体勢を解く
「ふうん・・」
わずかにリズが笑う
「ピシィ・・」
明らかに危険な邪悪な波動に
はちきれそうになったリズの腕が不規則に音を立てる
「(クク・・こいつ・・俺を殺す気なのか? ・・だが)」
「ただし・・ お前も吹き飛ぶんだ」
ゲンゴは覚悟を決めた闘志をのぞかせる
( はじめ お前の目は何かを強く射抜くような光だと思っていた
だが違ったんだ
お前の目は星だった
それは逆に銀河の遠くに吸い込まれて流れていく
遥かな星に宿る光だったんだ
俺はそう思った
もう俺に宿された力を無理やりにでも全て引きずり出すしかないんだろう
お前のその瞳に俺が追い届くには・・)
「リズ・・俺は お前とは違うかもしれないが 別に力を持ってる」
「・・?」
「・・魔法の力っていうのはよ
俺たちの風の魔法とかだと ほとんど見えなくなるまで隠すこともできる
それでも魔力はほんの少しは目に見えてるし 微かに音も聞こえてるんだ」
「だがこの世界で本当に見えない力っていうのはよ・・
目に視えなければ聞こえないやつには音すら聞こえねえ
ただそこに底知れない何かが潜んでいることは分かる・・
「それ」はまだ人には理解できない「特別な力」なんだ
だがその力は実は
本当に見て向かい合うためには必要な力だったんだ 」
すると
ゲンゴは一本の糸のような風を
スッと手から引くようにして巻き起こすと
(バキ・・バキィ・・)
そこからゲンゴの腕にオーラが膨れ上がって
そこに巻き起こした風の渦が集まってさらに雷を帯びて増大、変質していく
その力はゲンゴの腕の見た目も変化させていて
風魔の一族の秘伝の魔法のそれとはまた違う
別の異次元からやってきたような鬼の異形に
力を帯びたゲンゴの両腕が変化を遂げる
「 招 拳 ・ 絶 回 雷 塵 !! 」
「 」
「お前なら・・この力が見えているか・・?」
(これは・・)
「・・ええ、ちゃんと見えるわ」
その瞬間
お互いが向かい合って お互いの見えないはずの力の形を見合っていた
「・・そうか」
「なら・・、いくぞ・・!!!」
(バリ・・ギュオオオオオ!!)
両方の腕から鬼神のごとく吹き荒れるあまりにも強い風の力が
凄まじい回転をしながら凝縮されることで雷を形成し
その2つの雷の渦の塊がやがて片方の肩からもう一方の腕に力を引き渡すように
ひとつに合わさり
さらに合わさった一点に集中して雷光の渦の力を増していく
「雷 塵 掌 !!」
(俺は・・)
「(俺はお前に・・応える!!)」
ゲンゴは驚異的な身体能力の脚力で
すさまじい雷の渦を纏った腕と共に一気にリズ正面に接近する
タイミングを見計らったリズが 待ちかねていたように合わせて前に飛び出し
迎え討ってその技を解き放つ
「滅 拳!!」
「ズガギャアアアアア!!!」
2人の拳の強烈なエネルギーが1つにぶつかり合い
激しい衝撃波をうち立てた




