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瞳を見るとBURST HEAT! VS世紀末格闘少女リズと不思議の格ゲー魔法世界  作者: 綾町うずら
星誕祭:リズとアスラの学園武闘編
58/147

第58話 どこからきた名

 ・・

(あ、診療中だ・・)

それは普段と違って

まるで本物のお医者さんのようにしていたクロージュさんの談笑の声 

「あらあら まあまあ」

「それでなんですよぉ~」


その時は部屋に先客の患者の男子生徒たちがいて

クロージュさんと話をしているところだった


・・

そう また私たちはリペアルームにやってきてしまった


さっきの試合で最後の対決のジャスパーとのぶつかり合いの時に

私たちの支援魔法防護が弾けてしまったときに


手が空いたわたしがすぐに アスラも守れるようにオーラ展開をしたんだけど

術同士の衝突の勢いがすさまじかったので

いくらかは術の力をくらってしまった


それにアスラも結構魔力を使ってしまったので休憩が必要だった


「、 あら あなたさっき来たじゃないの」

「リズ~」

診療中のクロージュさんがやってきた私たちの方に気が付く

相変わらずキスラはナース服でクロージュさんの助手をさせられているようだ


本来は観戦にきたところキスラもちょっとかわいそうだけど

一応試合はモニターからでも見れるからいいのかな


・・・・


先にクロージュさんの治療を受けていたのは2人組の男子の生徒で

包帯も巻いて治療自体はもうほぼ終わっていたようだった


(あれ、だけどこの二人・・)

ちょっと気が付くリズ


確かこの二人って私が上にいた時にひどい泥沼みたいな試合で見た、

とっても仲が悪いって有名な貴族同士の・・


一つ上の学年仕様の制服の裾は破れまくり

二人とも見事なノースリーブの状態になっていて

でも試合後のボロボロの姿をした、

それぞれ金髪と茶髪の男子生徒は特に仲が悪いようには見えなかった



「あらあ あなた達って仲悪いんじゃなかったの~?」

(・・!)

端でつっ立っている私の思ったことを聞いてくれるクロージュさん

すると


「ああ、先生ぇ ここだけの秘密にしといてほしいんすけど

俺たちプライドは無駄に高いから お互い手は抜かないっすけど 

別に外でいわれてるほど仲悪くはないんすよね」

「そうなんですよ」


「あらあらそうだったの」

(え~そうだったんだあ)


・・

「なら別に秘密にしなくてもいいじゃないのお」

確かにそうだ


「いやあ でもその方が周りが勝手にすごく盛り上がってくれるので・・

今日はお祭りですし」

「それに親同士は本当に死ぬほど仲が悪いんで手に負えないっすわ」


「あらあら うふふふ 

まあ大人にはいろいろあるのよ あなたたちの家も大変ね」


「そういうもんすかねー」


(ふーん)

どうやらそういう事情らしい


「じゃあ俺たちそろそろ行きます

後の子も控えてるみたいなんで・・


闘技場の真ん中でぶっ倒れた時はもう絶対立てないって思ってたんですけど

先生の治療のおかげで案外なんとか大丈夫でした」



「それが貴方たちの若さよ でも無茶はしないことね」


「肝に銘じます クロージュ先生ありがとうございました」


・・

そうして先客のまさかのなんちゃって不仲の貴族学生だった二人組は

リペアルームを去っていったのだった


・・・

・・

次は私たちの番だ

クロージュさんは軽く私たちの状態を見てから


「あなた達もこういうのは救護班なんだけどねえ・・

まあ 今はあそこも患者で埋まってるだろうから ここでしてあげるわ」


クロージュさんは先に座らせた小さなアスラの肩に手をおいて

例の治療を開始する


「(ビビビビビ・・)」

「ああ~・・」

クロージュさんの手から出る魔力の波動に

アスラが気持ちよさそうに治療されていく


「まあ心配しなくても準々決勝からは かなり余裕をもって

休憩も取らせてもらえるから大丈夫よ」

(へえ そうなんだあ)


私も白衣のクロージュさんの近くに陣取って座って話をする

「そうなんですね」


「それよりねえ さっきもあなたの対戦をチラッと見てたけど

あんなのまともに受けちゃだめよ~ 典型的野蛮人じゃないの


あんなのは石でも置いとけば勝手に転ぶんだから

いちいち相手にしてたら身が持たないわよ」


「はい・・」

(おっしゃる通りです・・)



・・・・・

その頃のネロたちのいる観覧席


「わあすごいわあ! また勝っちゃったわねリズちゃん

ちょっとひやっとしたけど」

試合後の観戦席でテンションがあがり気味のリサ先輩


「ひふはふほいえふはらね」(リズは強いですからね)

クリームのついた菓子パンをほおばりながら 

それに自慢げに答えているネロ


(ネロ君なんて言ってるのかしらね・・)


お子様のミスラとマギハちゃんもなにか熱心にもくもく食べはじめている

観客席周りは徐々にお菓子で散らばり始めていた


・・・・

そんな中

「(がやがや・・!)」

「くそが・・!」

少し席の近くの会場内がなにやら騒がしい


それはどうやらもめごとのようで

使い魔を連れて杖をもった警備員の人に捕まって

何人かの観客の男たちが会場の外に連行されているようだ


会場の警護をしている魔法使いの姿も

準々決勝が始まってから増えてきている様子だった

・・


「シュバルツ先生 あれはなんでしょうね」


現場の慌ただしい騒ぎの音が気になったのか

アーノルド先輩がその周囲を気にしたように見渡している


その反応にシュバルツ先生は一度その騒ぎの方角をちらりと見る


「ふむ どうやらあれは()()のようだ」

その目は一瞥(いちべつ)だけで

その辺りで起こっていたことを正確に把握していた


先生はそれから少し別の方向もついでに確認するようにして

目を細めてから視線を戻し

食べたお菓子のくずがくっついて汚れたマギハちゃんの口元周りに

ティッシュを持っていって軽く拭っている


「賭博、ですか」

「学生たちの試合経過を賭け事の対象にしているようだ

今は取り締まる規制も厳しくなったが

勝負事に「己の何か」を賭けることは

これもまた太古から庶民の娯楽として影で根強く続けられていたものでね

ある程度は公にも認められているものだ


しかしこれは・・

当てを逃して客が騒ぎを起こして通報されてしまった、といったところか」


「学生の試合の経過を・・、

なら当てを逃して・・というのはひょっとして 

リズちゃん達のことですかね・・?」


「さあ それは分からない でもそうかもしれないね」


(・・・)

「先生、少し変なことを言ってもいいでしょうか」


「フフフ・・何かな」



「実は僕は彼女たちの試合を予選の時から見ていたんですが・・

彼女には妙に不思議なものを感じていたんです


彼女は試合に出るのははじめてだと聞いていたのですが

いざ戦いだしてみると確かに駆け出しの魔法使いにありがちなミスや

不慣れな部分が多くあるように見えましたし

周りからも一見はそう見られているのかもしれませんが


一方で彼女はその戦い方自体に

魔法使い同士にありがちな己の魔法力の比べ合いのようなやり方は

ほとんどしません

それは彼女の持つ魔法力が

他者より優れてはいないことを自覚しているからかもしれませんが


彼女は自身の持てる力や自分や相手周りの状況や力を

その場で自分の戦いの道具としてよく利用して組み込んでいて

戦い方にパターンを持ちません


そのことは一旦のその場しのぎを繰り返しているようにも見えますが

ミスをした際でも動揺しているように見えて

妙にその対処は落ち着いていて咄嗟にのちの状況で最適になるものを選べていて

まるで場数を踏んできたような雰囲気があるように感じるんです


こんな子は僕は初めて見ました」



「へー言われてみれば確かに・・ よく見てるわね~

ねえ、わたしはわたしは?」


「リサのことは前からよく見てるじゃないか」



(・・・)

「ふむ・・」



・・・・・

厳重な杖をもった魔法使いの警備員に連行されていくガラの悪い観客の男たち

後ろから同じく警備の仕事をするキリっとした羊のような使い魔の魔獣に

逐一ぐいぐい押し出されて連行されている


「お前たちは闘技場内からは追放だ おとなしく連行されなさい」

(ぐいぐい)


「チッ・・!おいクソ羊、角でケツを押してくんじゃねえ!

くそお ついてねえ・・!

勇者は勝ってもレートが低すぎるから 手堅く大剣士で稼ごうと思ったのによおお」


「俺はあの賢者の野郎で負けてスっちまって・・

なにが上位貴族だ 自信満々で期待させやがって

ここで今度こそ取り戻そうと思ったんだが・・ ぐあケツがあ!」


「おい!見るなよ!見世物じゃねえぞ!!」

「なんなんだ あのリズってやつはよお・・ちくしょう金を返してくれよ・・」

「でもかわいかったよな」

「まあそうだな・・、賭けときゃよかったな」


「やっぱ金に目がくらむからいけねえんだ

俺の確かな直感に任せてりゃ今頃大儲け・・」


「静かにしなさい!」

私語を警備員に静止される


「ちっ・・・」

すると直後

連行途中の廊下ですれ違うタイミングの別の観客に男の足元がぶつかる


((ドン!))


「うあ」

その観客は小さな子供であり背丈がとても低かった


「お・・! げ わりいなガキ だがちゃんと前を向いて歩き・・」

「おい静かにしろ 何を()()で騒いでいる」



「お、おお・・? 見てただろ? 

向こうのガキが足元にぶつかってきてよお・・」



だがもうそこに子供の姿はなかった

「あれ・・?」


「お前は何をいっている 早く行くぞ」


(ちっ、何だってんだ・・負けて酒を飲みすぎたか・・?

酔って妙なガキの幻影でも見てたってのか・・?)


「ぐいぐいぐい!」

「うぐ!わかった、わかったから行きゃいいんだろ」


男たちは使い魔のモコモコの羊の角に後ろからガンガン突き立てられながら

警備員に連れられてしぶしぶ試合会場を去っていった



「(・・・)」



・・・・・

再びリペアルームの一幕


アスラの治療が終わって


「(ビビビビ・・)」

「ああ~~」


今度は私もダメージがあったので

クロージュさんに前と少し違う本格的な治療魔法をかけてもらっている

これはこれですごく気持ちいい、

これはつい「ああ~」って言ってしまうわ


アスラの方は今度はナース服のキスラに電流を施してもらっているけど


「動かないでよ・・」

キスラの電流がくすぐったいらしく「キャハハハ」ってなって

アスラはあまりその場で止まっていられないようで 

小さな暴れる患者にキスラは苦戦していた


「(ワアアアア・・)」

この部屋からでも会場の観客たちの声は聞こえてくる


・・

「どうやら次の相手が決まったみたいね」


モニターの方をみているクロージュさん

「え・・・」


「勝者! 風魔かざま 玄護ゲンゴ!」


「(ゲンゴ・・、か)」

どうやら次のリズの対戦相手はゲンゴに決まったようだった


「(・・・)」

「そういえばゲンゴって なんで風魔でカザマ読みなんですか?」


少しリズは疑問に思っていたのだった


すると少し間があった後

クロージュさんは

「・・・・、

・・私が知るわけないじゃない 読みなんてフウマでもどっちでもいいのよ」


「はあ・・」

(そういうもんなんだ)

納得しておく


「あれも野蛮だから気をつけなさいね

あなたも油断はしてないと思うけど 

一応うちの直系で上からかわいがられてるから かなりできるわよ」


「はあ・・」

(ええ・・前のジャスパーみたいなのは嫌だなあ

まあ風魔を継ぐとか言ってたもんね)


「魔法は私が教えていた時期もあるし

対魔法師の術や投げ技に関しては直接あの人に小さい時から仕込まれてるわ


はあ、そのせいであの子は野蛮に育ってしまったんだけど・・」


(あの人・・まあオジキだよね 投げ技、かあ・・)


「その投げ技って・・あれですか、

いつかクロージュさんに聞いたこの世界にいた悪魔にも通じる体術っていう・・」


(・・・)

「それはそう、なんだけど

あの子の場合は・・少し厄介というか

一族の他のどの使い手とも違っているのよね

だから私は心配だったんだけど・・ 」


(・・・)

(やっぱりゲンゴはかなりできるんだ・・

でもそれならなんで心配・・・?

ああ、そういえばオジキにも調子にのらないようにとかって言われてたなあ)


・・

「あの人厳しいようでほんとゲンゴに甘いんだから

ずっと反対してきたくせに本人に言われたら大会にも許可出しちゃうし・・

一人娘の置き土産だからかわいくてしょうがないんでしょうね」


(ふーん・・

あれ なんか複雑そうな家庭事情・・私に言っていいのかしら

あんまり気にしてはなさそうだけど・・)


クロージュさんは気まぐれなので

話すことも気まぐれに変わっていく


クロージュさんは治療の合間に

またぶつぶつ別の文句を言いながら

前の治療で散らかっていた器具を魔法で浮かして器用に整頓している

・・


「そういえば・・」

またちょっと疑問に思っていたことがあった私

ちょっと前の名前関連の続きだ


「クロージュさんも 本名は風魔(ふうま)・クロージュなんですか?」


ぶつぶつ言っていたクロージュさんはそれを聞いて

「ぶっ!」

って噴き出した様子で


「ちょっとあなたね だから私をあの人たちと一緒くたにしないでって

前からいってるでしょ!」


クロージュさんは大変憤慨した様子

それから


「・・私はね 「クロージュ・ウィンフィ」っていうのよ そういう名前


私たちは翼を持つ風の魔法使いの一族

それは同じだけど風魔はね


一族を守り束ねる血統に継がれてきた古い名前なの

風魔の文字はね

今は古い魔法に使われるくらいで

ほとんど無くなってしまったけど古代の魔導文字に由来があるのよ


私の家のウィンフィ家っていうのも結構古い家格の名前なんだけどね


だから別に風魔の里にいる人たちがみんなして風魔っていうわけじゃないのよ」


「へえ・・そうだったんですね」


クロージュさんの本名を知れたついでに

ちょっとしたこの世界の昔の時代の知識も知れたのだった



・・・

そういえば

キスラの電流であまり話が耳に入っていなさそうなアスラにも一応伝えておく


「アスラ 次の試合ゲンゴだって」

「え ほんとう」

「そうよ」


「・・・」

すると黙って真面目にナースのキスラの電流を受けるようになったため

少し気合が入ったんだと思う


・・・・

・・・

それから少したって

「あっ」


「あ」


「ゲンゴだ」


なんとリペアルームにやってきたゲンゴと

試合の勝負前に鉢合わせしてしまったのだった


(そうよね 会場の選手って 

たいがいここも利用してるんだった)


予期せぬ鉢合わせに少しからかうようなクロージュさん


「あらゲンゴじゃない どうしたの 私の治療は受けないんじゃなかったの

今日1回も来てなかったじゃない」


「そんなことは言ってないだろ 今まで必要なかったから来なかっただけだ」


(必要なかったんだ・・)

だけど特にケガをした様子でもないゲンゴ

ゲンゴはクロージュさんがここにいることは知っていたぽい

・・


「まあ・・次があれだからな 万全にはしておきたかったんだ」

ゲンゴはちらりと私の方を見ながらいう


「そう でも今は私はリズを診ているから ゲンゴはもう少し待機ね

そこで話でもしていなさい」

(ええ・・)


ゲンゴは近くの適当な空いているベッドを選んで腰かける


・・・

私は気になったのでゲンゴに話しかける


「ねえ、なんでゲンゴって 

オジキはフウマなのに風魔ゲンゴでカザマ読みなの?」


クロージュさんからの回答で納得したような気がしていたが

ちょうど本人がきたため聞いてみる


「ん?なんだそりゃ 知らねえよ適当に決まってるだろ 前からそうだったんだ

伝われば同じだろ そんなもんは」

即答される


(適当だった・・!)

(っていうかテキトーなクロージュさんと似たようなことをいう

やっぱ風魔の一族の人たちって そうなのかなあ・・)


「あなた なにか失礼なことを考えてない?」

「いえそんなことは」

クロージュさんが なぜかにらみを利かせてくる  感がいいなあ・・


「っていうかよ・・俺はお前らとは

試合の闘技場で会うと思ってせっかくいろいろ気合いれてたのに


ここで こうやって会うんじゃ締まらねえよなあ・・」


少し上の方を見上げてゲンゴはいう


「私だって ここで会うとは思ってなかったわよ・・」


「・・・・」

なんともいえない空気がただよう


・・

「(ポン)」

私の肩がクロージュさんに軽くたたかれる

「終わったわよ 違和感のあるとこは残ってる?」


「いえ いい感じです ありがとうございます」

私の治療が終わる


(おお~ いい感じ 肩から腕がぐるぐる回るわ)

軽く立ち上がって腕をぐるぐる調子よく回す


「交代だ」

(わわっ)

ゲンゴがすぐにやってきていて 私が退いた直後にドカッと座る

「  」

ゲンゴの肩の翼の黒い羽がちょっと私の右腕に当たる


「ちょっと押さないでよゲンゴ」

「患者が優先だぞ」


(ゲンゴのどこが患者なんだよ)

(初めて会った時に思ってたけど その羽きれいだよね

・・仕返しに1本ピッて抜いちゃおっかなあ 怒られちゃうか)


「そんなこと言ってると治療しないわよ」

「さっさとしてくれ」


でもなんだかんだいいながら治療は開始される

半目な面白くない表情で治療をするクロージュさん

「(ビビビビビ・・)」

「・・・・」


(・・・)

その様子をリズはアスラと一緒にじっと見ていたけど

別にゲンゴは

「ああ~~・・!」とかは言わずに黙ってじっとしていた


「・・なんだよ」

私たちの視線が気になった様子のゲンゴ


「いや・・なんでもないわ」

「ゲンゴつまんない」

遠慮のないアスラ


「なんだと」

アスラと少しめている


ゲンゴはまたアスラの頭をクルクルにしようと

魔法で指からちょいちょいとアスラのところに小っちゃい風を送っているが

アスラがシュッシュと避け続けている


それを横目にリズは

(はあー ぶっとい腕だなあ・・今はクロージュさんみたいに人間寄りだし

私より少し低いくらいの身長でがっちりしてて細身だけど

ゲンゴも将来はあのオジキみたいになっちゃうのかねー いやまさかねえ)


とかなんでもないことを考えている


私は実は予選で戦ってる時からずっと学園の制服なんだけど

(この学園の制服は作りが細かくて 

下手すると

その辺の冒険者用の服装よりも 動きやすくて高性能なんだなこれが)


ゲンゴは今日は試合が始まりだすと

制服じゃなくて風魔一族の戦闘着っていうか

和装の服を着ていて肩が出る衣装なので 鍛えてあるゲンゴの肩と腕が見える


(といってもそのまま肩を出しているわけではなくて

頑丈な包帯のような戦闘用の布を巻いている)


・・・

「ゲンゴなんか やっつけちゃうんだからね」

「リズが」

まだちょっとめていたアスラがまくし立てる

(ちょっとなんでそこで私をだす・・)


「・・・・」

指からアスラに送っていた風を止めて

少し押し黙るゲンゴ

(ちょっとお なんで黙っちゃうわけ)


ぎろりと目を私に向けてくるゲンゴ

「に、にらんでこないでよ アスラが言ったんでしょ」


「同じことだ」

「同じじゃないわよ・・」


そんな私を無視するようにして ゲンゴはアスラに向き直って一言

「勝ちをやるつもりはない」


「だが勝ちたいなら全力で向かってこい アスラ」


「ただな・・戦いというのは お前が思っているようなものではないかもしれない

覚悟はしておけ」

「・・うん」


「お前もだ リズ」


(・・・)

「・・・ふうん?」

(そう言われると少し熱くなっちゃうわね 私の悪い癖ね)


「それだけだ」

「俺は前の連中のようにはいかない」

そういうとゲンゴは静かに闘志を剥き出しにしているようだった


(まあ そうなんだろうけど・・)


・・・

「そういうのは他所よそでやりなさいよ

はい、あなたも治療終わりね 

私がいない間もしっかり鍛えていたようね 全然治すところがなかったわ」


そういうとクロージュさんはゲンゴの肩を勢いよくターン!と叩く

「そうか」


・・

治療が終わるとゲンゴはさっさとリペアルームを出ていった


「ほら あなたたちも行きなさい」

「はあい」


リズとアスラも促されてリペアルームを出ていく


(ててて・・)

「あう」

ナース服のキスラはリズたちのその後をテチテチついていったけど

不思議なバリアでまたしても部屋からは出れなかった



・・・・・

(・・・)

「(さて、いよいよあの子たちがぶつかるか・・何事もなければいいけどね)」


((  別に誰に反対されたって変わりはしねえよ

俺は俺の意思で新しい場所に立ちたいんだ  ))


(・・・・)


「え、いいんですか」

「ええ いってらっしゃい」


「了解しました すぐに準備いたします」

他の医療スタッフたちを一旦休憩に出させるクロージュ



「キスラこっちに来なさい」

「うわああ」

こっちに来なさいと言いながら 

謎の念動力でスンスンしているキスラがやってくる


「少し私の目を見て」

「ぴぃ・・」

そう言われると素直に目を見てしまうキスラ

そして青い光の目になったクロージュは呪文を唱える


(・・・ボウン!)


すると少し妖しい光と煙が出て それがおさまると

キスラの姿が白衣を着たクロージュと瓜二つの全く同じ姿に変わった


「ええなにこれ」

声質まで同じになっているクロージュの姿になったキスラ


「心配しなくていいわ しばらくしたら元に戻るから

数回余裕で治療できるくらいは特殊な魔力を渡してあるから


私の仕事も少し見てたでしょう?

患者さんが来たら適当に「ビビビビ」って言いながら

しがみついてあげて それで大丈夫よ」


「ええ わたしは大丈夫じゃない・・」


「私もね ずっとここで缶詰だから少し動いてくるの

少しだけお願いできるわね 棚にある物は全部食べていいわよ」


「え・・!なら少しだけ・・しがみつけばいいの?」

「そうよ(手で)軽くでいいわ お願いね」



「さて・・」

(・・ボウン!)

クロージュは白衣の姿から一気に黒ずくめの妖しい魔女スタイルに変身する


(私も少し観戦ね)


「シュイン・・」

足元に紫色の魔法陣が現れて光り

クロージュの姿はその場からいなくなった


・・・・

会場の高く上空

会場を見守る巨大な英雄の戦士像のひとつの上から

見下ろすようにたたずむ大天狗

玄天斎風魔大楽の影


その岩のように険しい顔つきの老人の戦士像のモチーフは

かつて絶大な守りの術の力をたずさえて、民を守り導いたという

太古の大英雄 風の大導守ガルフウィンフィを(かたど)ったものだった



「いいのか、法典の目の御前だ それにゼキスも不在だ」


背後からその場所に向けられたようにもう一人の人物の声

それは普段通りならば

魔法学園のゼキスバード学長の側に仕えるように立っていた特別魔法教授 

グフタフ・アーマードのものであったが

だがその姿は氷の幻に包まれて一切見えることはない


(・・・)

「何も起こらぬならばただの杞憂

だがもし仮にここでその時が来るというのならば それまでのことだ」



「そうか」


短かなやり取り

一見そこにも何も見えないが その天狗の周囲は迷彩されており

風と光の当たり方で一瞬だけその姿が現れる



「・・風が少しよどんでおる」


その目はじっと大会会場の方に向けられていた




*おまけ話挿入


・・

会場の廊下で肩を支えられている、魔力が欠乏して疲労困憊の男子学生選手


「ちくしょ~ せっかくここまで勝ち進んだのによお・・」


「まあしょうがねえよ お前の相手はあの勇者ミトラだろ 

歩いて帰れるだけでよくやったもんだ」

「そうだけどよお・・」


大会で勝ち進む選手がいれば当然敗退する選手もいる


それでも選ばれたそれぞれの選手は各自で力を尽くして戦っていて

その試合に対するひた向きさはこの武闘大会の華であった


そんな中で一際注目される選手の姿があった


・・・


「ふう・・わたしもようやく決勝まで進めたわー

やっぱり私って勇者の才能があるかもしれないわね」


そうつぶやきながら歩いているのは 勇者ミトラ・ネスライトであった


(まあ あれは勇者ミトラよ きれいな子だわ)

(おお あの勇者か さっきはすごい光の術だったなあ)

すれ違う観客の人々から勇者に向ける声が聞こえてくる


「(私も大会にでて 徐々に勇者として名が売れてきたわね!)」

「(けど頑張って光魔法を連発して ちょっと疲れちゃったわ)」


そんな時見かける


「あっ」

「ちょうどいいわ リペアルームの前まで来てたなんて

少し治療をしてもらいましょ」


・・・・

リペアルーム


(はあ・・しかしリードもジャスパーも早々に敗退してるなんて

予想外だったわ しかもそのどちらもあのリズが下してるなんて)


(どうやら強いみたいねリズ

もしかしたら決勝で私たち一緒に戦えるかも・・なんてね、 うふふ)


「すみませーん」

(あれおかしいわね だれもいないのかしら)


と思っていたら 

部屋の奥の方に美人の白衣姿の女先生がいた

最近高等部に非常勤で来た優秀なすごい先生らしい 

たしかクロージュ先生っていう


(なんだいるのね)

「すみません 私に治療をお願いします先生」

先生の前に歩いていって声をかける


(え・・?)

「!もぐもぐ・・」

なにかを ほおばって食べていた様子の先生

慌てて包みの紙袋とかをしまっている


(ああそれで答えられなかったのかしら 休憩中だったのかしら

悪いことをしたわね)



「え・・あ、あの・・ はい わかりました・・」

「え・・」

(あれ・・美人だけど気が強そうな見た目の割に 

なんかやたら腰が低いような  こういう先生なんだろうか)


・・

「じゃあ・・そこのベッドに座ってください」

「はい先生」

言われた通りにベッドに腰掛ける勇者ミトラ


「じゃあ・・治療がしにくいから じっとしていてくださいね」

「は、はい・・」

(正面・・? なんか近いような・・)


(スッ・・)

身を乗り出すクロージュ?先生

「じっと・・して」


「(え・・ええ~~~?)」


治療に来たと思ったら クロージュ先生にいきなり

体の後ろまで腕を回されて 正面から抱きつかれてしまったミトラ

(あ・・いい匂いかも・・先生・・)


「ビビビビビ・・」

「え・・?先生?」

先生、私の耳元で口でビビビビビって言って


その時

「!!?」

「え・・!あっ あう・・」

ミトラに心地よい電流のようなものが

先生が抱き着いた上半身全体から ミトラの全身に広がってきて

さらに特殊な魔力のようなものが その流れにのって一気に体全体に広がってきた


「え・・え・・あっ 先生・・これ治療・・!あっ」

「ビビビビビビ」

おかまいなしのクロージュ?先生


(ち、治療なのよね これは治療 これは治療・・!)

顔が赤くなるミトラ


「あっ あっ ちょ、ちょっと もうだめ、です 先生離してくだ、さ・・」


「ダメ・・じっとして・・」


暴れられて治療がしにくくなることを恐れてクロージュ?先生は

さらにきつくミトラを抱きしめる

(ぎゅっ・・)

「っ~~~!!」

「ビビビビビビ・・」



「(ああああ~~!!・・・)」

・・・・・

・・・



「あ、ありがとうござい、ました・・」

「よかったね」

クロージュ?先生の治療は大変良く効いたようで

あとで勇者ミトラはうつむいた赤い顔で感謝していたという



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