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瞳を見るとBURST HEAT! VS世紀末格闘少女リズと不思議の格ゲー魔法世界  作者: 綾町うずら
星誕祭:リズとアスラの学園武闘編
55/147

第55話 賢者再び

 「リズ! 勝ったね~」

初戦を終えて覚えていた観覧席の場所に戻るとネロからそんな声がかかる

そのネロはなぜか手でお腹の辺りを抑えていたけど


(どうしたんだろう 

やっぱ会場に来る前にスライムたちと一緒に食べさせすぎたからだろうか)


たらふく食べさせたおかげ?効果なのだろうか

会場でお菓子をもらえる箱は貰っていたけれど

今日はまだミスラたちは前回の予選の席での宴会騒ぎほどにはなっていなかった


(・・・)

「あれ アーノルド先輩は?」

試合前にはネロたちを見てくれていたアーノルド先輩

今は席からいなくなっていて

先輩の代わりなのか使い魔のフクロウだけ席に残っていて

隣にいるマギハちゃんに頭の羽毛をくりくり触られていた


「リサ先輩を見てくるんだって 大丈夫かなあ」

「ああ・・」

(そうだった リサ先輩担架で運ばれたんだったなあ

それを見に行ったってことか 大丈夫そうだったけど大事になってないといいなあ)


席に置いているネロの大きなリュックがまるで

大人の保護者のようにどっしりとした存在感をだしているが

席には他にもスペースに空きがある

「キスラもいないわね どこ行ったの?」


「お菓子で一か所貰ってないところがあるっていって

さっき走っていっちゃったんだ、

場所は覚えてるからすぐ戻ってくるっていうから・・

おやつなら僕のリュックにもたくさんあるのになあ ぶつぶつ・・」

「・・・」

(まあなんて自由なんだろか

あの子足速いんだよなあ・・

いつの間におやつ巡りの完全コンプリートを目指している・・)


普段はおっとりおとなしめというか

ジッと何も動かず止まっていることが多いもの静かな子なのだが

なぜか今日みたいな日に限っておとなしくしてくれない

どことなくお祭りの空気感にあてられてしまった影響なのだろうか


(\ぱああ・・/)

自分の箱に分け前のお菓子が増えていて喜んでいるアスラ


(・・・、

結局行く前にご飯食べさせてもこの子たちには全然関係はなかったか)


・・・

少し一人で休憩

リズは戻った観客席からポールの手すりの付いた側道を少し歩いて

大会の闘技場ステージを見下ろす


(私もさっきあそこで立って戦ってたんだなあ・・)

そう思うと少ししみじみとした気分になるリズであった


今も選手たちはステージで本選を戦っている最中だ

(上から観戦するのも結構面白いね)


・・

「くらえ!グランド・レイブ!」

「なにを!こっちだってグランド・レイブだ!」

「ズゴゴゴゴ・・!」「うわあああ!」

非常に仲の悪い有名貴族同士のカードでぶつかってしまって

どちらも絶対に負けられなくて

どちらも足元がプルプルしてボロボロになってもプライドだけで倒れずに必死で

やたら盛り上がっている試合とかもある


「負けるなアア!」「ヴオオオ!!」「POW!POW!」

なんかお互いの一門の応援団同士もドンドンパフパフお祭りのごとく騒いでいる 

どちらも自分の一族側が勝つと信じて微塵も疑っていない 楽しそう

まあどっちか負けちゃうんだけどね 


・・

(すごいなあ ここではみんなが入り混じってる・・)


このお祭り行事では平民というか一般市民というか

普段はそういう人たちとは分け隔てて

全く関わりを持たないような貴族階級の人たちも

みんな何も気にせずに集まって一般の観戦席に混じって

一緒にごったになって武闘大会を楽しんでいる


でもそれって普通に考えたら

たとえ今日が特別なお祭りの日っていうのであっても

それは全然普通じゃないっていうか


上級国民っていうのは

私の元の知識だとまず下級の民とは姿すら会うことはないというのが一般的で

住む場所も何から全て区別されていたような気がする


(そんな世界もあったんだなあ・・)


まあでもいつも普段からこの学園の中にいて学生であるうちは

身分差とかは全然関係はなかったんだけども


ただこれだけの集まりと盛り上がりを見ると

そういう人と人との交流があってストレス発散もできるような機会は

こういうことでもないと

外での日常の暮らしではなかなか得られなかったのだろうか


この国の人たちが年に一度のお祭りの日にみんなして惹かれてしまうわけ

・・



「うおおおお!」

大会に参加している選手の学生はなんだかんだ貴族の子が多いけど

たまにハングリー精神の強い平民出身の子が出てくると

観客たちがすごく盛り上がっている


そんな熱気の闘技場を上から見ていると全体の選手の動きもよくわかる

魔法の光と本格的な闘争が目の前にあって

リズのいかれたゲーマー心もくすぐられる


「あっ・・」

観客席からリズがステージを見ていると 

飛行能力のある使い魔をステージの上空高くに待機させておいて

空中支援というか

そこから使い魔と情報をやり取りしながら巧みに連携して戦っている選手がいる


(へえ・・みんないろんなこと考えるんだなあ おもしろいね)

と のんびり観戦していると


「ん?あれは・・」


「バオオオン!」と地上で大きな魔法が炸裂したと思ったら

その上空高くにとどまっていた使い魔の背後にスッと影がやってくる


その影があっという間に 

その使い魔を捕まえて上空で締め上げると


「・・脳天(のうてん)やぐら()とし!!」


(げ、げええ~・・!)


(あれって「スクリュー・パイルドライバー」だよね・・)


使い魔の魔物の頭を下にして地面に叩きつける

超絶危険なプロレス技である「パイルドライバー」

それをすさまじい回転をさせながら地上に向かって一緒に急落下する


落下するときに使い魔の主である相手の魔法使いに直撃させるコースという

手の込みようだ


「うわああああ!」「ギエエエ!」

「ズドオオオオオン!!」

衝撃ですごい音がする

(生きてるのか あれ・・)



「勝者 風魔かざま 玄護ゲンゴ!」


「ウオオオ・・!」ワアア・・

技が派手だったからか会場の観衆が盛り上がっている


「(ゲンゴ・・)」

そう その影の正体はあのゲンゴであった


風魔かざま玄護なんだ・・

オジキは玄天斎風魔大楽げんてんさいふうまたいらくって言ってたのに正式にはそうなんだね)

まあそこはいいんだけど


(えげつない投げだなあ・・)

ゲームじゃなくて実物をみると かなりえげつなかった 

あれはもし当たったら気を付けないとなあ

食らったらただではすまないだろう


「オリジン」の知識でその技の怖さをよく知っているリズ

ていうか知っている・・って

特有の波動までは出てないけどオリジンと同じ系統の技が 

この世界にもやっぱり存在してるよね・・?


オジキもそうだったけどオリジンの技名とは違っていたけど

動きのモーションはほぼ同じだったりしていた

偶然・・?いやプロレス技くらいはこっちにあっても不思議じゃないと思うけど


前にクロージュさんは

その起源は昔の悪魔と一族の子供が遊んだときの投げの技だったって・・

でもそんなに昔の時代に

比較的新しいゲームなはずのオリジンなんてどう考えてもあるわけないし・・


(ふーむ・・)

このまま勝ち進むと当たるかもしれないゲンゴに少し思いをよせる


・・

その後もリズは他の試合を観戦したりして休憩をしていた

(なかなか参考になったわ・・)


・・・

途中でアーノルド先輩がリサ先輩を連れて観客席に戻ってきていた

リサ先輩の方は大事ではなかったらしいけど

試合中リサ先輩をかばっていた使い魔のガンサクの方の手当てに

時間がかかっていたらしい


リサ先輩は私に

「リズちゃん気をつけてね 彼はなにか普通じゃなかったわ」って


そう彼なんだよね 賢者リード 


前にかなりえげつないことになってしまったから

リベンジに燃えているのだろうか

試合までの時間は徐々に迫っていた


(でも私たちは 私たちにできることをするだけよ)

すり寄ってきた あったかいアスラの頭を撫でる

(うん)

まだかけなおしていない前の交信術の波動で少しつながっていて

アスラの小さい音の返事が聞こえてきた



・・・・

・・・


「本選 リズ・クリスフォード 対 リード・オスマルの試合を行います」


試合前に審判の人の近くで 選手同士がお互いに見合う


「くけけけけけ・・!楽しみでしたよお!リズさあん!

あれから僕はリズさんのせいで大変だったんですよお・・

ああ・・けちょんけちょんに・・あなたをけちょんけちょん・・」


(うわあ・・)

「(おかしいなあ あれは確かアスラがやったんだけどなあ)」

「(リズ・・?!)」アスラがこっちを振り向いている気がする


「し、私語は控えて・・」

主審のひとも少し引いている


すると賢者リードはフッと急に冷静になったように


「ああ、リズさんとの試合前にいい予行演習もできましたよ

リズさんと似たような女テイマーでしてね いい発散になりました

弱かったので名前は忘れました・・


やはり女テイマーなど魔法使いの僕の敵ではありませんね

今回は魔力の出し惜しみはしませんよ」


(リサ先輩・・おかしいように見えて冷静さもあるか・・

これは油断ならないわね)



支援防護魔法を受けて試合の所定の位置につく

・・・

・・


「いくわよ アスラ」

「うん!」


「くははははあ!」


試合開始のゴングが鳴らされる

「ゴオォン!!」


「ダッシュ!」

アスラは またゴングと同時に開幕賢者リードに向かって走り出す


試合が始まって駆けて向かってくるアスラを無視して 

杖を取り出して急に真顔になる賢者リード


「 メテオ・アイスストーム 」


「!!」

(いきなり私!?)


「ひゃっはあああ!」

賢者リードが奇声をあげると リズの上空に氷の大規模な魔法が現れて 

リズに襲い掛かる


「(リズ!)」

それを見てアスラが走りを止める

そこにすかさず

「ウォーター・ランス!ブレイバアアア!」


「ザシュウウウウ!!」

「うわああ」

賢者リードはアスラに連弾の水の術を直撃させて押し流す


「ズドオオオン!」

「くっ・・!」

私の方はとっさに避けて 真上にきたアイスストームの軌道から外れて

残りを圧縮して広くしたウォーターシールド(?)で防いで なんとかやり過ごす


だけどなりふり構わなかったせいで

回避するときに お尻を地面についてしまって

だいぶ無様な様になっていた



「ククク・・いいですよお これからも無様に転げまわってください」


開幕を優位に進めた賢者リードが満足げに笑っている


(やなやつ・・)


「(アスラ 気にしないで 私は自分で身を守れるわ

あなたの自由に動いて!)」

「(わかった!)」


「!!」

しかしアスラの動きが止まる


「おっとお? 動けないでしょうねえ

ウォーター・ランス・ブレイバーで まき散らした足元の水を

即無詠唱アイスロックで固めましたからねえ

さらに追加でかけておきましょう 「アイスロック!」」


賢者リードは拳を前につきだして 

握るような動作をしてアイスロックを念入りに固める


「くっ・・アスラ」


「リズさんは心配してる場合じゃあありませんよお! ほらあ!」


「トップ・アイスニードル」

リズの足元から賢者リードからの素早い詠唱からの魔法が飛び出る

(うわ!)


「ジャキン!!」

とっさに避けたけど 鋭く速い氷の術はリズの体をかすめていき

「バジジ・・!」

と支援防御魔法の一部が消えて音をたてる


「ちっ・・ さっきの開幕も思いましたが 

なかなか勘がいいですね・・これではどうですかね?」


さらに賢者リードの手の方からも連続して魔法が飛んでくる

「トップ・アイスニードル」「トップ・アイスニードル」


「バシュウ!」「バシュウ!」

足元から出てくるところを最初に見せられたので

迂闊にその場で止まって魔法防御ができない


矢継ぎ早に術のスピードが速いのでリズは無様に転げまわりながら

術をなんとか見切って避けるので精一杯だった


「どうしたんですリズさん?! 

汚れてますよお いいんですかあ、貴族の令嬢なのに・・

まだまだ転がれえ!!」


(口が悪い・・!だけど前回よりだいぶ勝手が違うようね

これが本来に近い実力なのかしら 

口は悪いけど 術の威力もあって使い方も手慣れている

なにより手数が多いわ)


リズは転がって口や顔に泥がつきながら キッと賢者リードの方を見る


「くはははあ!その目!いいですよお!」

「では次は5発連続斉射で・・」


その時

「 グレイト・ファイヤー!」


「ズゴオオオオ!!」

アスラの足元は氷の拘束が重なっているので 

その場で賢者リードに向かってグレイト・ファイヤーを放つ


「やれやれ・・せっかくいいところなのに邪魔をしないでくださいよ」


「グレイトウォーター・トルネード!!」

賢者リードは対抗して杖を突き出す


「バジュウウウアアア!!」

術がぶつかって大きな音と衝撃が来る

だがアスラの方が押し負けている


でもアスラはかまわず術を撃ち続ける

「ファイヤー!」


「ほう・・この相性で まだ術が消えずに対抗していますか・・」


「くくく・・抵抗など生意気なんですよ・・僕はね考えていたんですよ

リズさんにどうやって負けてもらえばいいか・・


それは僕の本当の実力を知ってもらって 圧倒的に無様に敗北してもらえばいい

・・そう思いませんか?」


賢者リードは術を撃つ手を休めずに リズにそう語りかける


(圧倒的・・?ちょっと私も思うところはあるけど

なにを企んでいるのかしら)



「まだ扱いきれないので伏せていたんですけどね・・特別に見せてあげましょう!

オスマル家の天才エリートといわれた僕が到達した境地を!」


「「祝福(ブレス・)モード発動!!」」


(ビイ・・ン)

その瞬間 周囲にピンと張りつめた波動が広がっていく

(これは・・!)


「おお!あれは・・!」「さすがはオスマル家の者だ」「到達していたか・・!」

「彼の力はすでにもう中位魔法師の領域にある・・!」(ざわざわ・・!)


まだ若干中等部での祝福魔法発動の予兆に会場がざわめき盛り上がる


祝福の魔法は数ある魔法の中でも

この世界の魔法の全盛だったという大英雄の時代から伝わる魔法であり

より優れた貴族だけが扱える魔法として特別視されていて

この国の強い魔法と英雄への信仰も相まって

その魔法を使いこなす魔法師には人々から惜しみない喝采が送られる

・・


祝福魔法(ブレス・マジック)発動! グレイトウォーター・トルネード!!」

(キュピピ・・)


遠目に見ても明らかに魔力のこもり方が今までと異なっているように見える

(いけない・・!)


「アスラ!自分の魔力のオーラで保護しなさい

そこから一旦離れて!」


「もう遅いんだよお!! 消し飛べえ!」

キィン・・

「ザボオオオオオオア!!」


「!!」

対抗していたアスラの「グレイト・ファイヤー」が一気に術に飲み込まれる

(同じ魔法で威力が段違いだわ 

これがこの世界の恩恵を付与された祝福の魔法・・!)


「ズシャアアアア!!」

そのまま貫通してステージの端で施設のセーフティバリアのエリアに

ぶつかるまで術は炸裂していた


「アスラ・・!」


だが賢者リードは不満げな様子

「ちっ・・直近のグレイト・ファイヤーの火力で氷の拘束は解けて

直撃は免れていましたか・・まあ当たったようですが」


「うう・・」

アスラは術をくらったようで 

少しよろめいていて支援魔法防護は剥がされてしまって

自分の魔力オーラで体を保護していた


「ふはあ・・でも次で終わりですよお

祝福魔法(ブレス・マジック) グレイト・・ 」

(ズキン)

そこで賢者リードはグッと反動に腕を抑える


「くっ・・さすがにまだ 連続ではグレイト級の祝福(ブレス)の付与は扱えないか・・

(ククク・・、いいでしょう、

だがゆくゆくはオスマル家に伝わる全ての術をこの手で・・ )」



「!(これはチャンスだわ!)」

「ウォーターボール!」

勝負に余計な思考を察知して

すかさず賢者リードに向かっていく リズの闇の圧縮ウォーターボール


「はあ・・これだから不勉強だといけないですよねえ・・! 

術後とはいえこんな反動ほどで

エリートの僕の隙になるわけがないでしょうにねえ


くふふふ・・決まりました 僕の圧倒的勝利エンドプラン

僕はねえ! 遠距離魔法だけじゃないんですよおお!!」


祝福魔法(ブレス・マジック)発動!インファイト・スピード!!」

ピピ・・ン・・

「グイイイイン!!」


(また祝福魔法(ブレスマジック)!?

なに・・これは 賢者リード自身がオーラに包まれていくわ)


「はああ!」

賢者リードはその場からダッシュする

「(はやい!)」

(ズバシャアア!!)

リズが放った圧縮ウォーターボールは 

賢者リードがいなくなったその場に当たり外れる


「グレイト級でさえなければ祝福の連続行使も可能なんだよお・・!

僕は速く!強くなりましたああ!」


増幅されたダッシュの力で賢者リードは 

もうアスラの目の前に勢いよくやってきていた


「(アスラ!守って!)」

「ファイヤーシルド!」


「だ・か・ら! 無駄なんですよおお!!

この前はよくもやってくれましたねえ このチビガキはあ

吹き飛べええ!!」


「アイス・スマッシュ!!」

「バッガアアアアアン!」


「うわあああ!」

ガードごと相性の悪い強力な魔法の一撃に吹き飛ばされるアスラ

「ふうあ・・!ナイスショットだああ」


「アスラ!」


「だからねえ・・!あなたも学習しないですねえ!

心配をしてる場合じゃないでしょおおがあああ!」


「ギュイーン!」

「!!」


賢者リードはさらにスピードをあげて

邪魔な使い魔がいなくなった今度は

リズの間合いの方に一気に飛んで 術の発動に入る


「きひひあ・・!」

賢者リードの歓喜に歪んだ顔面がリズの前にやってくる


(ああ・・!ようやくやってきましたよ・・!

よくもこの僕に恥をかかせてくれましたね 


偶然僕に勝てて調子に乗っているあなたをギタンギタンにしてあげます

ただそれには前に勝ったあの女テイマーのようにでは駄目なんですよねえ・・


遠距離の魔法 あれでは臨時の保護バリアが間に合ってしまって

せっかくの勝利の気分が半減してしまいました


リズさんと戦う前に知れて本当によかったですよ

リズさんには・・直接この魔法をぶつけられる・・!)


(選択するのは

さっきの使い魔に適したアイススマッシュではなく


祝福を付与してさらに強力にした特製の「サンダー・スマッシュ」です

僕の強力な近接魔法でリズさんの防護を破り

電流を直接、リズさんに流し込みます・・!)



「 祝福魔法(ブレス・マジック)発動! サンダー・スマッシュううう!!!」

ピピ・・ン・・


(さあ・・!リズさんのその美しい顔を苦悶にゆがませてくださいよおおお!)



・・・・

ある風車の家の回想


「リズどうしても使っちゃダメ?」


「約束したでしょうアスラ?みだりには使っちゃだめよ」

「うん」


「またなんか怖そうな話をしているなあ・・」


トレーニングをした後 一旦庭の縁側で休憩をしており

今日はマギハちゃんが普段のお礼にと持ってきたスイカを切って分けて

みんなで食べている


・・・

マギハちゃんには

1個分丸まるスイカを持ってくるのは重かったかなと思っていたけど

家で事前にシュバルツ先生に魔法でスイカを加工してもらったらしく


「マギハ これで持っていきなさい」


「えへー」として笑顔のマギハちゃんが持ってきたスイカは

宙に浮かんだ状態で紐がついていてマギハちゃんが

ペットのスイカを散歩させにやってきたような不思議な光景だった


マギハちゃんが持ってきてくれたので スイカを切り分けようと思って

預かったスイカを台所に持っていって

まな板の上にのせてスイカの質を確かめようと思って

トンっとスイカの一番上をリズが指ではじくと


「パカン」

(うわあ!)


その指の当たったところから奇麗に上からスイカは12等分されて

花が開くように広がってすごくびっくりした


(まさか加工も仕込み済みだったとは・・先生・・)


過程はとんでしまったけどスイカの質はとても上質だった

おまけにスイカはよく冷えてもいたのだった



・・・・

そんなカットされたスイカをみんなで縁側で食べながらマギハちゃんは

思いを打ち明ける


「ええ・・でもその・・前に、私 ()()()を聞いて

感激してしまって また聞きたいなあって・・」


(ああ それでマギハちゃんがアスラに少し相談してしまったのね

鼻血をふいて倒れるほどだったものね)


「マギハちゃん あれはね そう面白半分で聞いていい音ではないのよ」


「ご、ごめんなさいリズさん・・」

「いい子ね 分かればいいのよ」


「じゃあリズもその技はめったには使わないんだよね?」


ネロはなぜか不安げに安心を求めるように聞いてくる

いったい何が不安なんだろうなあ こんな美味しいスイカを食べているのに

安心させてあげないとね


「うふふ・・ネロったらおかしい

使うわけないじゃない 使わないわ 

そもそもあれはすぐに下から顎だけ打ち抜く仕様に変更されたから

私は使うことはないのよ

だいたい使う前に勝負はつくわ」


(し、仕様・・?)

「そ、そうだよね」

「ちゃー」(アスラ)



「やあね 使わないわよ 安心して」


(回想終わり)



・・・・

その少し前

「ズズ・・・」

賢者リードが祝福(ブレス)モードを起動したときから

リズはその衝動を感じていた


相手が敵であると認識してさらに祝福(ブレス)モードの波動が近くにあると

より密度の高い血流の流れを リズはその腕に感じていた

(今ならイヴの力が使えるわ・・)


「!!」

アスラが危ない

あの賢者リード 近接での魔法も心得があったのね

ただあれは近距離で力任せに魔法を発動しているだけなのかもしれないけど


アスラはガードしていたけど 

賢者リードの強力な氷の一撃で弾きだされてしまう

「アスラ!」


そう思ったら もう賢者リードは距離を詰めて私のほうに飛んできていた

(やっぱり速い・・!)

(だけど・・)


( ()調()だわ・・1フレームはフェイクを入れないと

その手の突撃はオリジンプレイヤー上位勢には通用しないわ)


ピピ・・ン

祝福魔法(ブレス・マジック)発動! サンダー・スマッシュううう!」

飛びかかってくる賢者リード


そのサンダースマッシュは特別製で

まるでリズを直接殴打する巨大なスレッジハンマーのように杖から形成されて

振りぬくようにリズに襲い掛かる


(もう発動に入ってる! あの光の形状、おそらく範囲が大きい!

時間がないわね 食い込むわよ!)


「(初手だけカウンターモーションで潜って 最小限の被害で抑える・・!)」


「バリバリドゴオオオ・・・!!」

リズはひと思いに一瞬で見抜いたポイントに

一気に体を賢者リードの元に潜りこませる

しかし


「くっ・・!(強い!)」

「パリ・・ン」

振り抜かれた一撃をしのいだものの 思っていたよりも強力な電流がリズを襲う

周りは雷の吹き荒れる嵐となり

リズの支援魔法防御が一気に体から剥がれて リズは無防備になる


「フヒっ・・!

ラッキーで防げるものじゃありませんよお!

防護が剥げちゃってますよおおお! リズさあん!くはあ!

張り直しなんてできるんですかあ? まあもう間に合いませんけどねええ!!」


(僕の勝利だあああ!!)

「速攻!!サンダー・スマッ・・・」


(ん・・? あれはなんだ・・

リズさんが腕を既に振りかぶってる? あのリズさんが近接格闘?

え・・その位置・・、まさか・・)



「真下からカウンター強パンチ↑ アッパーエンド!!!!」



(え゛・・?)

「パリン・・!」

(メキメキ・・ゴリ・・)


「グワアアアアン!!!」


賢者リードの股間に到達して そのままえげつない速度で突き上げるリズの右腕

賢者リードの魔法は 起動していた祝福(ブレス)モードごと一瞬で飛散して

痙攣した手から杖がポロリと地面に落ちる


(あ、あぺえ・・僕、は・・あが が)

「おオ、オオオオワァアアきゃjscbさきききききききけけけけ

ェェェェェ・・!

あはぁ・・・あふあえ・・・くんず ほ、ほぐれつ・・コケ・・」


「ひ、光が・・光が見えるよぉ・・」(ガクッ)


・・

会場にこの世のものとは叫び声を響かせた後、 

謎の光の言葉を残して

賢者リードは何かから解き放たれたような表情で口をカッパリと開いたまま 

まるで石化の魔法を食らったようになって

「ドサ・・」

リズの攻撃をくらった姿勢のまま 地面にうつ伏せに落ちて固まった


うつ伏せなので今の表情はよくわからないが

前回と違って今回はピクリともしていなかった

(ジワア・・)

石になった賢者リードの周りからは またなにかの汁が垂れ始めていた


「(うわあ・・)」


・・・


「勝者 リズ・クリスフォード!」


「ウオオオオ!!」

祝福の魔法の披露で大注目を浴びた、

上位貴族オスマル家の賢者リード・オスマルが敗れたので

会場が湧きかえっている


(・・・)

まあ賢者の石リードは救護の人がなんとかしてくれるだろう

リズはさっさと闘技ステージを後にする


テクテクと歩く

(ああ・・あそこからさらに速攻されるとは思ってなかったから

手元の距離感がずれて顎を打ち抜くつもりが

つまらぬものを拳でぶち抜いてしまった・・

けしてそんなつもりは)


私の腕は一瞬ほんの少し不可抗力でイヴの腕になってしまったけれど

腕についていたテイマー用の腕輪がデザインが似ていたし


賢者リードの祝福モードはアッパーを撃ち終わった後に飛散してしまって

すぐにリズの腕も元に戻ったので誰にも見えることはなかっただろう


(まあ元々他の人には力は見えないんだから

そこまで気にすることでもないわね)


「アスラ 大丈夫だった?」

「うん・・でもちょっと痛い・・」

アスラはガードしていたから大丈夫だったようだけど

その前に術が直撃していたので心配だったのだ


「あっちにいって回復してもらおうね」

「うん」

選手が試合をスムーズに続けていけるように

選手に専用に用意された部屋の補助員の人にお願いをすれば 

高度な回復魔法がかけてもらえる

もちろん選手の使い魔もかけてもらえる


出入り口のところで「ウォッシュ」や「クリーン」の魔法も重ねてかけてもらって

リズは試合の汚れをおとす


「ふう・・」ファサア・・

リズは試合後の淡い色の髪を両の手で

耳の後ろからかき分けてふわりと流す


「  」

賢者リードによってリズはこの試合でだいぶボロボロに転がされてしまったけど

高品質な洗浄魔法でリズの姿は前よりも奇麗になっていた


・・

こうして無事リズとアスラは

様子がおかしくなっていた賢者リードとの再戦をこなしたのであった



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