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瞳を見るとBURST HEAT! VS世紀末格闘少女リズと不思議の格ゲー魔法世界  作者: 綾町うずら
星誕祭:リズとアスラの学園武闘編
54/147

第54話 開戦

 「ざわざわ・・」

会場のスタジアムから覗く晴天だった空から

急に辺りが暗くなり

会場がザワリとしたあとすぐシン・・と静かになる


(うわ・・暗くなったあ)

私の月並な感想 だけどそこから一気にキラキラと星のような光の束が

暗くなった空を駆け抜ける

そのときリズの右手がうずいて上位級の魔法を使っているんだなあと察する


すると

「さあリズちゃんも星に祈るのよ」

「え・・!」


リサ先輩が何かの祈り事をするような仕草をしている

というより会場の周りの人たちも同じように何かを祈っていて

それで静かになったようだった


たしかになんとなく空に星が流れてたら

祈り事はするような気はするけど


(・・!)

訳も分からず

その場でリサ先輩の真似をして合わせてなんとなしの祈りのポーズをする



「パアアアア・・」

すると瞬く間に空を駆ける光の束たちが増えていって

暗かった空の明るさが逆転してくる


そのままどんどん空は明るくなっていって


「パアン・・・!」

と光は弾ける


すると空は元通りの青空に戻った けど会場は様子が違っていた


「「ドオオオン・・!」」

会場のあちこちの石造りの足場に荘厳な戦士?のような巨大な石像が現れて

スタジアムにいる選手たちを見守っているように構えている


(うわ・・いきなりこんなに・・!)

そこに祈りを解いて隣で整列していたリサ先輩が


「リズちゃんは初めてだったわね

この星誕祭の引継ぎの演出は星たちの始まりと

大昔にあった「楽園」っていう

過去の偉大な英雄たちの魂がいた場所を再現して


一時的にそういう英雄たちを楽園の世界から

私たちの世界の近い場所にまで降りてきてもらって

私たちを見守ってもらうっていう見立てで大会の縁起を担いでいるのよ」


「へえ・・そうだったんですね」

(ふーん・・あれが生まれた星の光と過去の英雄たち・・

お祭りの前の儀式ってやつかあ  楽園、かあ )


「キャッキャ」

いきなり景色が変わって

最初から全然星には祈ってなかった様子のアスラも

元からまん丸な目をまん丸にしてはしゃいでいる


「!」

(ドオオオン)

そしていつの間に

始まる前にはなかった応援席の上の場所に

大きな展望観覧台のような祭壇が出現しており


「見ろ!あれは「聖ソウル法典の目」と言われる

大神殿のメサイヤ司祭長様だ・・!」


「おお あの司祭長様の目前では悪事は全て見透かされるという・・」

「首都の大神殿からはるばる来てくださったんだ・・!」


現れた豪勢な祭壇には

法衣を身に纏った司祭長を始めとする聖ソウル法典の上位関係者、

この学園の権威とよばれる先生方や

着飾った貴族の様な重要な来賓のきらびやかな人達も数多くいて

大会が始まり出す様子を見物するのを揃って楽しんでいるようだった



(スッ・・)


そしてその中央に最後に霧のようにスッと立って姿が現れたのは

この聖セントラル中央魔法学園の学長である、

白髭もじゃもじゃの超位魔法師ゼキスバード魔法学長であった


・・・

歓声に湧く観衆の前に

年季の入った魔法の杖を高く振り上げてから


「静粛に・・」


掲げた魔法に宿る強い発光による演出で

少しうるさく湧いていた会場がまた静かになる



「(おほん) よき星たちは今宵この地に巡りきて

これより 星誕祭は引き継がれ

我らのセントラルド武闘大会を執り行うものとする」


しゃがれている声が会場全体に響く 

その声は魔法の力で拡声されていた


・・

(はえー ゼキスバード学長先生までくるんだなあ

この大会は中断してたお祭りのメイン行事だったんだもんね

こんなに来賓の人も来てやっぱ大掛かりね・・)


ゼキスバード学長先生はそれだけ宣言すると

少し自慢の白いひげをいじりながら にっこりとしたかと思うと


「選ばれし若き戦士たちに勇志と祝福を・・!

聖セントラル中央魔法学園に栄光あれ・・!」


突如ゼキスバード学長先生の足元から光の大きな鳥のようなものが現れて

学長先生はそれに乗って光になって上空に飛び立って


「(バシュウ・・!)」

と空気が震えるような音を立てて 

光の粒子だけを残してその場から消えてしまった


((ワァァ・・))

一斉に拍手が湧き上がる会場

一度中断した星誕祭の最後を締めくくる武闘大会を心待ちにしていた多くの人が

スタンディングオベーションまでしている


(えええ・・)

どうやら学長先生は星誕祭の始まりの挨拶の宣言をしに来ただけ?みたい

いやわかんないけど


ゼキスバード学長先生が挨拶だけして消えることは

大会のスケジュール進行に織り込み済みだったようで


「諸事情により 

本来の星誕祭での開催より大幅にスケジュールは変更になりましたが・・」


すぐに進行がマイクを持った司会の人に代わって

大会日程やルールの確認やマナーなどの話になって

つつがなく開会式は終わったのであった


・・

・・・・

大会はすぐに第一試合から準備が始まるので

試合の近い生徒は会場に残って 

私はまだ試合は先なので闘技場から一旦ネロたちのいる席の場所まで戻る


無事に星誕祭の引継ぎとメインの武闘大会の開会式を終えて

観客席まで戻ってきた私とアスラ



「やあリズちゃん お邪魔してるよ」


ネロたちはそのまま座っていたんだけど

その隣にアーノルド先輩とフウロというフクロウみたいな使い魔も一緒だった

(クルル・・)

アスラがじっと見ていたけど

今日はフウロはふっくら威嚇はしていなくて 

気まぐれにどこかを見ている


軽く挨拶をして先輩に尋ねる

「どうしたんですか? 

サークルを見るので今日は忙しいってリサ先輩いってましたけど」


「さすがに今日まるまる全部ってわけじゃないからね 

もう会場で一通り部員には説明や案内もしてきたし 僕も観戦ってところかな


それにリズちゃんが試合に出ていたら この子達はしっかりしてるけど

子供たちだけに見えてしまうかもしれないからね


偶然この場所でネロ君たちに会って せっかくだから一緒にみようって」


「そうだったんですね」


まあ先輩気配りまでできるんですね

でも実際助かるし ありがたい


「いやあー 

大会に出る子たちもみんな楽しそうにしててよかったよ、

少し羨ましいなあ」


そうアーノルド先輩は爽やかにいう

でもその口調は少し名残惜しいような


(・・・)

「あの・・アーノルド先輩って

どうしてこの大会には出なかったんですか?


先輩が呼び込みをしてた時はすごくやる気を感じたし

先輩じゃなくて新入りの私なんかにサークルの参加枠なんて使っちゃって・・


本当は先輩も参加したかったんじゃないかなあ・・って」



(・・・)

「うーん・・、

これはリサにしか話してはなかったんだけどね


なんだかんだ

実は僕も最初は選考用の書類は出すつもりではあったんだよね


ふふふ でもこいつがさ」


先輩はそういって

傍にいた自分の使い魔のフウロの頭を撫でている


「ああ、すみません

この子は戦闘向きじゃなかったんでしたっけ」


確か前に先輩が私たちに理由をいっていた時はそう言っていたはずだ



「いや それはそうなんだけどね


それを応募するより前の時にさ、

フウロがなぜか書き終わった僕の書類だけかじって

持って行っちゃったんだよね


しかもなかなか返してくれなくさ」


「え・・」


「それでさ・・

もしかしたら 僕は今回は出ない方がいいんじゃないか、って

なぜかその時思ったんだよね


普段は絶対そんなことはしないんだよ フウロは」



(クルル・・)

先輩にはこの子は賢い子だと前に云われていた梟の使い魔のフウロ

今の様子は普段通りのように見えた


「まあそういうこともあるってことさ」


「は、はい」

(そうだったんだ・・)


すると

(・・・)

「リズちゃん、気にしていたんだね

でも大丈夫、君は君の実力で今ここに立っているんだよ 

しっかり自信をもって」



「ほらリズちゃんにも試合までこの会場のこととか

いろいろ教えてあげるから」


ついでにアーノルド先輩から

私にもその場で軽い会場の説明とか案内なんかをしてもらえることになった


・・

「さっき会場に出てきたあの大きな戦士たちの像はね

大昔の大英雄たちの姿を(かたど)ったものなんだよ


まあでもだいぶ誇張がされてるけどね


開会式はかつて世界が闇に包まれた時に

星の光と共に民を救いにやってきた大英雄たちを表現していたんだよ」


(過去の大英雄の姿・・

それで一回空が暗くなったのはそういうことだったのね)


「下に行った時にちょっとだけリサ先輩にも聞きました

あれは楽園の世界から降りてきて見守っている過去の英雄たちの姿だって

そうだったんですね」


「聞いていたんだね そういうことさ」


確かにそこらじゅうに立っている大英雄たちの像にはすごく個性があって 

いろんな姿をしていて大きな翼が生えてたり

すんごい髭が生えて地面にひこずってるような像もあった


「ちょうど僕たちの席の真後ろの方にあるのは

冥王の星、刻冥王ウラピコの女神像だね

その隣があの特徴は水星霊のカルノウス・・」


・・

物知りなアーノルド先輩が

続けていろいろ戦士像にまつわる解説をしてくれる



「昔の大英雄はそれぞれの星をもった特別な英雄で

みんな今にはない唯一無二の強力な力を持つ魔法が使えたんだ」


(スッ・・)

そして先輩は席の正面の目立つ像のところに指をさす


「あの正面の片翼の女神の戦士像は

この国、いや世界中が崇め称えている太陽の大英雄「メリクアドラ」だよ」

「(へえ・・)」


(あれがこの国の建国伝の大魔法使い メリクアドラ・・

大英雄って聞いて男なのかと思ってたけど女の人の大英雄も割といるのね)


「  」

その大きな魔法の像の姿はスラリとした女性の体つきをしていて

その翼は片方は欠損していて

大きな白い片翼に 真っすぐ伸びた宝杖を天に掲げていた


・・・


「ほら もう第一試合が始まるよ」


武闘大会はこの星誕祭における最後のメインイベント


予選の時とは違って

かなり大きくなった「ドラ」と呼ばれる、

シンバルより分厚い金属の鐘の鳴り物を縦に吊るしたような 

いわゆるゴングの音というやつが

「ゴウーーン!」

と勢いのある試合開始の音で聞こえてきた


(ほんとだ・・始まった)


さっき教えてもらった大英雄メリクアドラの戦士像から

視線をまっすぐ下に向けると

出現した巨大な魔法の戦士たちの石像に囲まれて

一気に闘技場ぽくなったステージの上、


「ザッ・・!」

そこには「勇者ミトラ」が戦う構えをしていた


「・・・!」

(初戦でいきなり勇者なんだ・・やっぱり場が引き締まるからかな)


「パアア・・!」

その勇者ミトラの額にはいつもの金色の細いティアラだけど

普段見ていた黒髪から白い色に変化していて

勇者の体の周りからは常に白い光が渦を巻いており

さらに周囲には光のバリアーも展開していて

勇者の戦闘態勢になっているようであった


「ファイヤー・ブリッツ!」

「ドガガガガガ!」

対する相手の男子学生の魔法使いは有力貴族家の出身で

戦闘態勢の勇者ミトラを前にしても堂々としていて

魔法の腕に自信がありそうだった


今大会注目の勇者に対して善戦、

あわよくば勝って一族の名声を高めようと気合を入れていて

さっき発動した魔法の質もけっこういいようなんだけど

「ブシュウウウ・・」

「な・・!」

炎の連弾攻撃は全てその勇者ミトラの光のバリアーに弾かれてしまっている


その間にさらに魔法の詠唱まで済ませている勇者ミトラ


「ライト・ソーラーレイ!!」


(キュワーーーーン!!)

相当に出力のある光魔法を放ち

相手の攻撃魔法をその場で蒸発させて一気に場を制圧していく

「! うぐぐ・・!!」

対戦相手はとっさに防御魔法でしばらく耐えていたけど


しかし一向に止まる気配のない勇者ミトラの大出力光魔法

むしろ威力が上がる


(ひええ・・これが勇者の光魔法なのね・・)


そのまま対戦相手の防御魔法が耐えられなくなって 魔法をぶち破り

さらに支援防護魔法まで一瞬で剥ぎ取られて


「うわああああ!!」

盛大に吹き飛んで場外となった



「勝者 ミトラ・ネスライト!」


「「うおおおおお!!」」「ワアア!!」

武闘大会は開幕から勇者ミトラの活躍で会場も大盛り上がりだ


将来この世界を背負って立つかもしれない勇者ミトラの試合を

わざわざ見に来たひともたくさんいるのだろう


(魔法が派手なのも 観衆の受けがいいのかもしれないわ)


だけど次の試合に備えて

控えて試合を見ていた選手たちはというと

やっぱ勇者はやべえなあ、やべえよ みたいなハラハラした顔つきであった

次の試合の人は勝ったら勇者ミトラと当たるため 他人ごとではなかった様子だ



「うん彼女はこの大会の目玉なだけはあるね

すごい魔力の量だ」


席で一緒に観戦をしていたアーノルド先輩もそうつぶやく


「やっぱりそう思いますか・・」


「そうだね この大会も半分は・・彼女のための大会のようなものだからね」

「え・・?」



「リズちゃんは・・この武闘大会には()()()()()()()があるのを

知っているかい」


「え それが星誕祭、なんじゃないんですか・・?」


「そう だけどちょっと違う

学園が主催でやるようになってからはセントラルド武闘大会って

呼ばれるようになったけど 


元々は「勇志(ゆうし)()」っていう 

世界が強い力を持っていた魔王に追い詰められて

人々が救いの勇者を必死で求めていた時


地方の同年代の成人前の子供を集めてセントラルの地で戦い合わせて

そこから勇者の力の資質を持つ子供を選び出したのが始まりだったんだ」


(「勇志の儀」・・?

なんだか前にダンジョンの善良な竜が言ってた試練の内容に似てるなあ・・)


話は続く


「その時に

最初の子供たちの中から選び出されたのが後の大英雄メリクアドラで

観衆たちは自分たちの地から星を宿す大英雄が現れたと

とても喜んだんだ


それからもその儀式は存在はしていたんだけど

勇者の力の適性を比較的簡単に割り出す手法がその後に確立されてからは

その儀式の必要性が絶対ではなくなって

代わりにそれを祭り事の伝統として残して

戦い合って地方の若者同士の顔合わせのお祭りの機会にしたんだよ



それがこの国の「星誕祭」の起こりなのさ


でもそれは地方では

だんだんただのお祭り行事や貴族同士のお見合いみたいになって

そのお祭りで純粋に戦い合う部分が廃れちゃってたから


聖ソウル法典がこの地方や学園側に主導させて

その伝統を近代に復活させて今の大会みたいになったんだよ」



「へえ・・、そうだったんですね 知らなかったです

それじゃ祭りっていうか

それは元はやっぱり武闘大会の方がメインの・・」

(はえー そうなんだあ  あっ・・)気が付く


「ああ、、だから勇者のための大会っていうことなんですね」



「そういうこと お祭りの伝統だから同年代の学生の子は

みんな参加できるようになってるけど

どうしてもその中から勇者が出てくることにみんな期待してしまうんだろうね


まあでもこの大会だけは

そんな勇者の彼女も楽に勝ち進めるかは分からないよ」


「え・・?」


「なぜなら今回はリズちゃんとアスラちゃんが参加しているからね」


最後に話のオチを持ってきて

少しイタズラな風のアーノルド先輩



「ちょっとプレッシャーはやめてくださいよー 先輩」

ちょっと冗談風のリズ (キャッキャ)アスラが無邪気に喜んでいる


「ははは」



(はあ・・勇者ミトラの魔法をみて 

私もいろいろ魔法の対策考えないとなあ・・)


それから少し考え込んだ私の様子を見て


「リズちゃん だいじょうぶ、行っておいでよ」

席のネロたちはアーノルド先輩が見てくれるというので


私はアスラを連れて出場選手の最終調整室というか

いろいろ体を動かせる控え室のようなところがあって

そこに試合前の調整をするため移動することにする



・・・・

調整用選手控室


モニターもついているので 

自分の試合の順番が近づいてもすぐわかるようになっている


(・・・)

「まずはしっかりとアスラと意思疎通・・」


テイマーの交信術の確認

アスラと手のひらを合わせて 

手のひらの中のまじりあった魔力の球の形成に集中する


途中だけどアスラはもう感覚を掴んでいて


(ズズズ・・)

「(これを三角にするにはどうしたらいいの?リズ)」

とか 交信でちょっかいを出してくる


(グルルン・・)

魔力の球がところどころ勝手に角張り始める 

アスラは三角形を目指しているのだろうか

「(丸でいいのよ 丸で!)」

「(ふーん)」

でも三角ぽくても波長が掴めていれば 普通に交信もできるね

まさかこの魔術もけっこう適当なんじゃあ・・


と思っていたら集中が弱くなって疎通が途切れ始める

「やっぱり 繊細な魔法なのね・・」


・・

こちらも確認に力を一応 右腕に入れてみる

「・・・」

(やっぱ今は使えないか)


開会式で祝福魔法が出た時は イヴの腕の力ももしやいけるかと思ったけど

今は魔法は解除されているみたい


この調整室を使ってる学生選手は私の他にも結構いる

剣を振ったりして ちょっと周りに近づいたら危ない学生もいる

他にも魔法を撃ったり 

なにか使い魔とのフォーメーションの練習をしている子もいた

必死に精神統一してる学生とか・・



(ふーん みんな真剣だなあ 武闘大会ってかんじねえ・・)


リズは学生たちのその真剣な勝負前の空気に少し触れる

(ピリピリ・・)

なかなか悪くない空気を感じる


・・・

ちょうどモニターが次の試合の勝負が決まったところで

「ワアアアア・・」と歓声が聞こえる

ここは会場にも近いので現場の直接の歓声も聞こえてくる


現場の音がすぐ魔法のモニターの音で重ねて聞こえてくると不思議な感じがする


・・

そのとき 私のほうに人がやってくる


「やあ リズさんも調整なんだね」


(あ・・)

この彼は確か・・ハリス・マーカス君

私の()()の対戦相手の同学年の男子学生


何で向こうが私のことを知ってるかというと 前に同じクラスだったからだ

あんまり関わりはなかったけど・・


専攻を変えたり成績を上げて 別のクラスに移る生徒はたくさんいる

成績が下がれば逆もまたしかりだ

彼は上の方のクラスにいったらしい


確か今までの彼は魔法一本って感じだった気がするけど・・

今その彼の肩の上には 浮遊している使い魔?らしき存在があった


「ハリス君ってたしか 魔法専攻だったわよね テイマーになったの?」


「今も魔法専攻で勉強はしてるよ こいつは眼魔(ガンマ・)ジニーアス

僕の魔力の補助をしてくれるんだ 使い魔が主体のテイマーとは違う」


(そういえば魔法使いは 

魔力を助ける使い魔を持っている場合があるって聞いていたわね)


眼魔ジニーアスと呼ばれた使い魔は 

丸いピンクのボディに蝙蝠のような翼が生えていて

大きな目が3つもあって浮遊していた 


浮いていたんだけど その翼だけで浮いているようには見えなくて

魔力を使って浮遊しているようだった


「しかし驚いたよ リズさんがこの大会に本選で出てるなんて

その使い魔がそうとう強いんだってね」


(・・・)

「・・どこできいたの?」


「いやちょっとうちの組の教室で噂をね・・」

そういった彼の表情に少しうすら暗いものがのぞく

(・・まあ確かにアスラはできる子ね)


「体調は・・どうやら今日はいいみたいだね」

「そうなの 休まず学園には行けるようになったわ」

「それはよかったね」


ハリス君は調整はもう済んでいたようで

初戦からだけどお互い健闘しようとか

少し社交儀礼的な話をしてから部屋から出ていった


(使い魔付きの魔法使いかあ・・どんな風な戦いになるのかしらね)


・・

その時のモニターでは 次の試合が始まるところだった


(あれは・・リサ先輩と勇者の側近の賢者リードだわ)


「ガゥン・・ダア!」

使い魔ガンサクの勇ましい声がモニターから聞こえてくる

アスラとの動き方の確認したりして けっこう調整で時間がたっていたらしい


「(あ・・!)いけない 私たちももう試合が近いわ 

ここは出て会場の近くにいきましょ」

「うん」


リサ先輩の試合を見ておきたいので急いで会場に向かう

「選手の方ですね」

「はい」

試合に入る前のゲートで選手手続きを済ませる


・・

試合が行われている本番の広い試合会場に出てくるリズ

(わあ・・・)

一度開会式のときには入ったけど 

本格的に歓声とスポットライトが近くで当たる会場にいると

それはそれで違う迫力がある


(そんな感心ごとしてる場合でもなかった)


急いでリサ先輩の試合の方を・・


・・・

・・

「!」

(これは・・!)


「アクア・ランス・ブレイバアアアア!!」


「きゃああああああ!!」


賢者リードが雨あられのように強力なアクアランスの魔法を

主のテイマーをかばってガード状態になっているガンサクと

諸共リサ先輩に術をけしかけているところだった


見た目は何倍もの体格差のある巨大な使い魔のゴーレムと相対して

杖を構えた向かいの人間側には間合いも少なく とても小さく見える

「  」

だがこの世界の魔法の力はそれらの差をいとも容易く覆す


(  )ピシ・・

劣勢で使い手を守るゴーレムのガンサクは

ところどころすでに魔法のアイスニードルに貫かれており

あまり身動きができずに痛々しい状態だ


「くはははははは・・!こんなテイマーなんぞに僕が負けるはずが

ないんですよおおお!!」


(様子がおかしいと思っていたけど こんなになっているなんて・・!)


「ほら・・!もっといきますよ!!」

賢者リードの周りから 次々と新たな水流が発生してぶつかっていく


「ズゾオオオオオ!!」

「(ガ・・ガガムムム・・!)」


(様子がおかしいのはともかく 賢者リードの魔術の規模が前回とは段違いだわ

前回が本調子ではなかったということ・・?

それともリミッターが外れちゃっているのかしら)


「耐えても無駄なんだよおオオオオオ!!


スターライト・テンペストおおお!」


賢者リードはそこからまた大量に別の雷魔法を発動して追加する


「そんな!」

「バリバリバッギャアアアア!!」


「くっああ・・!」

使い魔のガンサクは術をまともにくらい

リサ先輩にもまだアクアランスの水気が残る足の踏み場で

誘発された強力な雷の術が直撃してしまう


「パリ・・ン」

(あっ・・リサ先輩の支援魔法防護が・・!)


「あっはは・・!まだまだです・・!

ここからとどめですよおおお!」


(まだ撃つつもりなの・・?!

リサ先輩が自己防護の魔力を練っているけど

少ないし展開が間に合わない・・!)


「トップ・アイスニードル!!」

「ビュオオオ!」

即放たれる賢者リードの魔法


それに構えるリサ先輩

「(くっ速い!だけど・・1本だけなら防ぐわ・・!)」



「・・の5本仕立てですよおおお!!!」


「(なあ・・!そんな防げな・・)」



「ズドドドドド・・・!!」

術が直撃し衝撃と冷気で辺りに煙が舞いあがる


(そんな・・リサ先輩・・)


やがて煙が晴れてそこには・・



「ガキュイイ・・ン・・」

虹色の保護魔法でリサ先輩の体は覆われていて

アイスニードルの攻撃からは防がれていて無事なようだった


「ちっ・・」

その様子を見て賢者リードは不満げだった


ひとまずホッとする

(あれってクロージュさんが見せてくれた結界と似てる・・)


試合前の説明で聞いたところによると 

支援保護魔法が壊れた地点で

自力でかけなおしができそうになく また甚大なダメージを被ると判断された場合

自動でステージに施された特別な結界の保護がかかるのだという


ただそうなってしまうと・・


「勝者 リード・オスマル!」

「くははははあ!」


自力で身を守ることができなかったと判断されて

勝負は負けとなってしまうのだ


「あっ・・」

試合後 リズは声をかけようとしたけど

ダメージが残っていたのかリサ先輩はすぐに担架に乗せられて

救護班に運ばれていったので

声をかけられずじまいであった


試合後に荒れた闘技ステージは謎の力で

(ズズズ・・)と元のように戻っていっていた


「次の選手の人は準備をしてください」

準備員の人から声をかけられる


(そうね・・今は私たちのことに集中しないと・・)

リズは気を入れなおす



・・・・・


「リズ・クリスフォード 対 ハリス・マーカスの試合を行います」


勇者ミトラのときの歓声よりはだいぶ少ないけど それでも歓声があがる


「よろしくねリズさん」

「こちらこそ」


・・

リズと最初の挨拶をして別れた後

顔には出していないがハリスは思っていた


(リズさんが魔法の腕が大したことがないのは知っているよ・・

体調は良くなったようだけど 前は休みばかりだったしね

魔法じゃなくて使い魔に頼るなんて

クリスフォード家でそんなに顔を立てたいのかな? 大変だねえリズさんも


でも・・残念だけどここでは話は別さ)


「いくぞ! ジニーアス!」

「ジョオオオオ!」

ハリスは使い魔「眼魔ジニーアス」を展開して試合準備に入る

宙に浮かんだ丸い体に翼の生えた使い魔の3つの目がこちらを見ている


(あれがさっき部屋で見た ハリス君の補助使い魔ね・・)

「いくわよ アスラ!」

「うん!」


「(ゴオオン!)」

試合開始のゴングが鳴る


アスラは速攻相手に向かって走り出す


「サンライト・スパーク!」

ハリスは開幕すぐに魔法を発動させる

「ビビビビビ(ピッカアア!!)」


音と共にステージの辺りの物が見えなくなるほどの明るさで 

一瞬で辺りを光で覆われて気をとられる

(なにこれ眩しい・・!目くらまし?)


「アスラ とにかく術を相殺するか避けて」

「(リズ!)」


「え・・!」


「残念だったねリズさん」


光が収まるとそこには

「アスラ!」


「コオオオ・・!」 「あ~~!」

氷の檻のようなものが展開されていて 

そこでアスラが術に縛られて動けなくなっていた


「ふ・・」

( 開幕と同時に閃光と音で注意を引いているうちに

はじめから速度に特化させて狙いをつけさせていたジニーアスから

バインドの拘束の術を あの使い魔にかけて動けなくしてから


ジニーアスと僕の力を融合して 強力な氷の檻の魔法

「ロックダウン・アイスプレス」をかける

・・うまくいったな )


「無駄だよ これでリズさんの使い魔は一旦封じた 

この間に手持ち無沙汰の君を仕留める」


「くぬぬ・・!」

拘束を解こうとアスラはもがいているが

バインドの拘束に重ねられたアイスロックに阻まれてうまくいっていない様子だ


「さあリズさん! 使い魔だけじゃなくて魔法の方の成果も見せてよ!

ファイヤー・レイズ!!」

(まあ 上のクラスに上がった僕と違って

魔法なんてろくに使えないだろうけどね!

使い魔にばかり頼っていた今までのツケだよ!)


ハリスは直接リズに向かって攻撃魔法でたたみかける

「ボボボボボボ!!」

炎の連弾がリズの目の前に迫る


「(リズ!)」

拘束されているアスラが振り返る


(ふう・・)

(ありがとうハリス君 私もちょっと、魔法、使いたいなって思ってたの・・!)


本選にしてようやく魔法を使う機会がやってきたリズ



「ウォーター・シールド!!」

(ズズズズズウウウ・・!!)


リズの手から禍々しい闇の魔力が構成されて

基礎魔法だけどさらに構築を精練させて大きく強くしてある魔法

ちなみに明らかに見た目はウォーターシールドではない


「バシュシュウウウ・・」

「な!」

(闇魔法!?)

リズの出した謎ウォーターシールドに弾かれる炎弾


「だが一度防がれただけだ! まだまだ」

ハリスは魔法を撃つ手を止めない



「いくわよ ウォーターボール!」

(ズギギギ・・・!)

防御を展開しながら

リズの手のひらから 明らかにウォーターボールではない邪悪な塊が形成されていく


「ウォーターボールよ!ウォーターボール!ウォーターボール!」

リズは基礎構築しかできていないので連弾に対して1個づつ連呼して

投げつけるようにして対応する


「ズシュアアア!」

リズの基礎魔法はやたらと魔術の密度が高く 

一発で向かってきた何発もの炎弾を相殺していく


(な、なんだこれは 明らかにウォーターボールじゃないだろうが!

どんどん相殺されていく・・!

魔法を使えないんじゃなかったのか!?

前は魔法を前に飛ばした姿も見たことがなかったのに)


(くっ・・!だが・・魔法自体は基礎?のような形状に見える

使えるといっても所詮はそのレベルなのか?

ならば・・!)


「ズアアア!」

炎弾を相殺しきったリズの魔法がハリスの元に迫ろうかという時


「ジニーアス!魔力を補助してくれ

一緒にいくぞ! グレイト・ファイヤー!!」

「ジョオオオオ!」


「!!」

(これはアスラが使っていた一直線にやってくる炎の術・・!)


「バオオ!!」

ハリスに迫っていたリズの魔法は掻き消されて

逆に一直線にリズに炎が到達する


「ウォーター・シールドを大強化よ!」

リズは一気に魔力を追加で練りこんで 形を大きくして防御の密度も高める


その直後に術がぶつかる


「ズオオオオオ!」

「バジュウウウ・・!」

大きな術が同士がぶつかって相殺しつつあるが

グレイト・ファイヤーはエネルギーを継続した炎魔法だ

使い魔が補助しているだけあって 強力なまま推進した術を維持してくる


「ゴゴゴゴゴ・・!」


「くっ・・熱い・・!でも結構守れるわね・・!」

やってくる炎の範囲が大きいので 

守り切れない分はリズの横を通り過ぎていくので

空気がすごく熱くなってくるが

その分は支援保護魔法で防げている


(意外と守れるから 同時にウォーターボールを片手で圧縮しておくわ・・)


守るもう片方の腕で作った邪悪な魔力の塊を圧縮していく

「ズズズズ・・!」

放たれるグレイトファイヤーの弾かれた炎が リズの視界にちらついている


「!なにい・・このレベルの魔術を基礎魔法程度で防げるはずは・・!

水と炎の属性相性か・・?だがあれはウォーターシールドでは・・


だがテイマー本人を直接攻撃できる状況は僕の有利だ!

このまま押し切る・・!」


ハリスは術の出力を上げてリズを押切りにかかる


その時

「「グレイト・ファイヤー!」」


「(アスラ?)」

氷の中のアスラが相手のグレイト・ファイヤーを見て触発されたのか

対抗して氷の中の自分ごとグレイト・ファイヤーを放出する


氷の拘束術の中で炎が埋め尽くされて 密度が高くなっていき

氷の檻自体が圧迫した炎で光りはじめる

(ゴゴゴゴゴ・・!)

そして


「バガアアン!!」

「ファイヤー!」


氷の檻の術が崩壊して 

そのままアスラがその術を破ったグレイト・ファイヤーで

ハリスの方に向けて放出する

「ズガガガガ!」


「なにい もう拘束が!」

あわてて術の向きを攻撃していたリズの元から

アスラが放ったグレイト・ファイヤーのほうに向けて迎え撃つ


「バジュウウウ!」「バキバキ・・!」

ぎりぎり軌道修正が間に合って 術同士がぶつかり音を立てる


が、少し経つとアスラ側の術が消えたので

ハリスも術の放出をとめる

(氷の檻を解くのに力を使ったのか? 仕切り直しだ!)


「ジニーアス! すぐに集中してまた使い魔にバインドの拘束を・・」


ハリス側のグレイト・ファイヤーの炎の残り火が消えたその時

「え・・?」


炎に紛れて接近していたアスラが

ハリスの目の前の間合いにいた



「ファイヤー・・フン!!」


(パリン・!)

アスラの腕に圧縮された炎が ハリスの腹部にあった支援保護魔法を破壊する

「な・・!」

(メキメキ・・!)

「ドゴオォッ!!」


「ウボおおあええ!!」

ハリスの腹にそのままの勢いで アスラの振りかぶったパンチが直撃した

ハリスの目は見開かれて血走って止まっている


(・・・)

「・・勝負あったわね」

(ズズ・・・)

リズは静かに圧縮しておいたウォーターボールの魔法を取りやめた



・・・

「勝者 リズ・クリスフォード!」


ハリスは腹を抱えて正面から倒れて座りこんで

そのままピクリとも動かなくなったので

審判員が近づいて確認して しばらくしてからリズに勝利判定がでた


ハリスの使い魔のジニーアスが心配そうにハリスを

つっついたりしていた


「「ワアア・・」」

歓声に湧く会場


「助かったわアスラ」

「うん!」


(まあ私も魔法が思ったよりも試せたからよかったわ)

「それよりも・・」


会場の魔導式電光掲示板の方を振り向く


「ピリン」

この試合の勝敗がついたことで

リズの次の試合の対戦相手名が点滅し表示されている


(リサ先輩たちを破ったあの賢者リード・・次の私の対戦相手なのよね

どうなるかしらね)


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