第41話 マギハちゃん
「ッシュ しゅ!」
アスラの首から下がった巾着袋がよく揺れている
アスラを連れて聖セントラル中央魔法学園の広い中庭を歩いていく
アスラはさっきゲンゴから習った格闘技の動きの復習なのか
熱心にシャドーボクシングをしながらフラフラしていた
「みて~ こんなに早いよ!リズみたいに!」
(シュッ!シュっ!)
小さい炎は足の生えたオタマジャクシのようにせわしなくチョロチョロと動いて
その後ろの方を歩くリズの視界の端を気の向くまま
あっちへ行ったりこっちへ行ったりしている
「はいはい」
道行く周りの学生たちの視線が少し振り返って向けられている
(なんかちょっと恥ずかしい・・)
でもアスラの機嫌がよさそうなので特に止めたりはしない
特に何ということもないけれど
元気に動き回る生き物を眺めるのはなんとなく小気味がいい
(これからどうしようかしら アスラも喜んではりきって汗をかいて
動きっぱなしだから売店に寄ってジュースでも買っていこうかしら・・)
「 」
リズの視線は自然と中庭の涼しそうな噴水の方を向く
この学園都市には大なり小なり噴水口のようなものがたくさんあって
それらは元々は自然に湧き出して
この辺りの土地に霧などを作っていた小規模な水場であり
放置しておくと周り一帯が水気でぬかるんでいくので
白い石などで囲って人の手で水の通り道を作って整備したものらしい
(そのおかげで台地の上にある土地なのに水が豊富で
それらを源泉にした湖や滝なんかもあったりする セントラル地区って広いよね)
常に一定の量が立ちのぼってしぶきをあげる噴水から
霧のようになった水滴たちが涼しげな音を奏でていた
(あっ)
その時例によって
そっちの方に向かっても気ままなアスラはまだウロチョロとしていて
特訓中にうろ覚えたフットワークの足元もまだ未熟だったので
動きの拍子に大きいアスラの頭からバランスを崩してしまい、
幸いそこまでの勢いはついていなかったけど
噴水近くの地べたに一回転前回りをするようにアスラの体はゴロンとなる
「うや~~、、」
そのままコロリンと柔らかくお尻をついた後に
空が見えるように真上を向いてペッタリと転んで
まん丸の目をパチパチしていたのだった
ようやく陽気な物体の動きが止まって
ちょうどよくなったのでこの辺りで回収をしようと思って
リズが歩いて近づいていこうとしていた時
「(リィン・・)」
(え・・)
水面に立つような音ではないはずなんだけど
妙に涼しくてさっぱりと凛としたような音が
近くにあった噴水の方から聞こえた気がした
( )
そこで寝転んでいた小さい炎を見下ろしたように
じっととらえていた小さい星の光のような瞳
その子の姿はアスラの目から見ると
お空に映ったお日様の隣に立っているように見えた
・・
「ねえ あなた なにをしているの?」
(あれ こんな子いたっけか・・)
ぼうっとしていたので気が付かなかったのかもしれない
いつの間に、というか
驚くほど近くに その子は噴水の影のほとりにちょこんと立っていて
その立ち姿は日陰に咲いた深い藍色の朝顔の一輪のようで
影から明るい日の差す方に一歩だけ出たところで
近くに転んでいたアスラの方をじいっとみて声をかけていた
アスラはその子に突然声をかけられて
はじめはちょっと不思議そうな顔をしていたけど
パアっとすぐにちょっと嬉しそうな顔になって
アスラはその場ですぐにパッと起き上がると
「なにってパンチだよ・・!」シュパパパパ
さっきの転んだ失敗はなかったことにして
当たり前のようにアスラはご機嫌な調子で答える
「ふーん へんなの ふーんふーん」
そういってフフっと笑う少女は
ちょうどアスラと同じくらいの女の子で
とても奇麗でまっすぐな 艶のある黒い髪をしていて
その髪が小さな肩にかかっていて
黒い蝶々のような飾りとフリルの付いた奇麗な黒のドレスを着ていた
黒の面積がとても多いけど その色はその子の雰囲気に合っていて
とっても可愛らしい
(珍しいわね・・このくらいの子がいるなんて)
この中庭のエリアは聖セントラル中央魔法学園の学生の施設の間にあるので
離れの郊外の公園などとは違って
平日に近所の子が入り込むようなことはないのだ
初等部の敷地からも離れているから
ここに休憩にやってくるのは私くらいの学生か学園の仕事関係の大人の人が多い
見慣れない黒髪の女の子は
まだ小躍りのようなパンチの挙動をやめないアスラに
テンションがあがったように喜んでいる
(アスラ・・)
「あなたって すごくいろんな音がするのね! 素敵ね!」
(音・・?も、もしかして この子も変な子なのかしら
アスラと気が合うのかしらあ・・)
なんて失礼なことを考えていると
もうすでにアスラとは打ち解けあっているようで
不思議な女の子はキャッキャと話し始めている
(すごいなあ・・この頃の年齢の子って ほんとに誰に対しても
すぐに仲良くなっちゃうわよね ちょっと見習いたいかも・・)
・・
「あなたはアスラちゃんっていうのね!
私はマギハっていうのよ」
あら もう名前まで交換してる マギハちゃんていうのね
「ふうん マギハちゃんていうんだ
マギハちゃんの髪の毛ってつやつやだね」
アスラはその目に見えたもの 全てが気になるようで
知り合ったばかりのマギハちゃんの
貴族の令嬢並みに奇麗にまっすぐ整えられたつやつやの黒髪に
遠慮なく手で撫でまわしにいっている
(あわわ・・だいじょうぶかしら)
アスラは遠慮しないから怒られていきなり嫌われちゃうかもしれないわ
でもアスラに遠慮なく頭を撫でられていたマギハちゃんは
「わあ アスラちゃんの手ってすごくあったかいんだね」
といってますます喜んでいた
(よく笑う子だなあ・・)
お人形さんみたいだけど 笑顔がとてもかわいい子だ
とりあえずはほっとする
(そうなんだよね アスラの手ってすごくあったかい)
「アスラちゃんは・・、 このお姉さんときてるの?」
「うん リズっていうんだよ」
するとそのマギハちゃんは
「・・あの、 私マギハっていいます アスラちゃんのお姉さん」
「あら丁寧にありがとう マギハちゃんっていうのね」
話がなんとなく私に振られたので私もマギハちゃんと話す
同じ視線のアスラとは違って
私とは背の高さも歳も離れていたので最初の声はギクシャクとしていたけど
はきはきとして 幼さのわりによくできた子だ
「アスラちゃん! 私もおじさんと来たんだよ こっちこっち」
(おじさん?)
マギハちゃんはそこからくるりと振り返ると
タッタッと向こう側の別の噴水のある方にかけていく
・・・
・・
「メロ!」
マギハちゃんはそういってそこに駆けていく
(あれ・・そこに人なんていたかしら)
でもそこにあった少し長めのベンチには
不思議な雰囲気のある細身で長身の男性が座っていた
ベンチはちょうど木の陰になっていて
そこで座っている男性は暑いのにコート姿に手に白の手袋をはめていて
噴水の方をじっと見ているようだった
ベンチの周りには黒いカラスが一羽、
その周囲に餌でも落ちていたのだろうか
なにかをついばむようにその男性の影の足元でうろいていた
「マギハ 外ではいけないよ」
「あっ・・ごめんね」
その男性の声は低くて でも透き通るようで響く不思議な声をしていた
ベンチに座っているけどそのたたずまいはたぶん長身で
つばの長い帽子に灰色がかった長い髪
不健康そうな青白い肌の色をしていたけど 肌自体はきれいで
マギハちゃんと同じように黒を基調とした雰囲気と
高級そうで生地の良さそうなコートを着ていて
そのコートはよく見ると普通のコートではなく、ところどころに高性能そうな
魔法具のような極め細かな装飾の貴金属がキラリと見え隠れしている
それが全体の服装と調和してバランスよく見えていた
男性はそこで休憩をしていたらしく
なにかの飲み物のカップをベンチの横脇に置いていて
(( ))ピチョン・・
そのカップに張った水にひとつの小さい輪のような波が立つ
マギハちゃんが声をかけた拍子に
その男性がマギハちゃんのほうを振り向いて
その時に
「バササ!」
ベンチの影にうろついていた黒のカラスが飛び立って
そのとき鳥の羽がかすめて
ベンチにあった飲み物のカップが倒れて 中身が地面にこぼれてしまった
(あっ・・!)
「・・・」
こぼれた音がしたと思ったけど
男性はしばらくは何も気が付かなかったように
そのまま女の子のマギハちゃんの方を向いたままで
「お水こぼれちゃったよ!」
それをマギハちゃんが指摘してから
「・・おや いけないな」
「 ああ 壊れてしまった・・」
カップの中に入っていたのは無色透明のただの水だったようで
すごすごと少し間をおいて零れた水のカップを拾ったりしていた
長い指が中身が零れて空になった地面のカップを拾う
(・・こぼれて、じゃないの・・?)
すると
その先にいた私たちの方にも気が付いたようだ
「おや そこの子たちは」
男性の整った深い目元の彫りに
遠くから見ると灰色だけかと思ったけど
近くで見ると灰色に白銀が混じった長い髪がかかっていて
赤みがかった宝石のようで
鋭いけど穏やかにも見える不思議な目がこちらの方をむいていた
(うわ・・俳優の人みたいだなあ)
おじさんと呼ばれていた割には まったく若いというわけではないけど
年齢はぜんぜん感じさせない顔つき
「アスラちゃんと そのお姉さんのリズさんだよ
あのねシュバルツ アスラちゃんってすごく楽しいの」
「よかったな マギハ」
「・・君は、・・」
「・・君がアスラちゃんと 君がリズ君かな ありがとう
マギハは最近になってここに来たばかりなんだ
こっちではお友達がまだいなくてね
マギハと仲良くしてやってくれると とてもうれしい
私はこの学園の結界の補修支援と魔法学科の補強要員を兼ねて
首都から派遣されてきたんだ
私はシュバルツ・ブラスト この学園の高等部の精密魔法の講師だ
この子はマギハ・ブラスト
この子は親族の最後の末の子でね 私が身を預かっている
家庭の事情で私についてこの学園都市にやってきて
いまは教職員用の家をあてがわれて一緒に暮らしている・・」
(へえ この子・・マギハちゃんって最近学園都市に来たんだね
この人も雰囲気的にもしかしたら魔法使いの人なのかなあとは思ったけど
やっぱり魔法講師の人だったんだ それもこの学園の
この人も結界の補修をしに・・
それでわざわざ首都から派遣って実は偉い先生とかなのかなあ)
(あれでも マギハちゃんさっき「メロ」って・・愛称とかかしら)
・・・・
・・
私も一応は生徒なので
軽くシュバルツ先生に自己紹介をして、
中等部でもたまに全学年の対象講義では会うかもしれないとか
私が名前を言った時にクリスフォード家の出身であることを知ると
少し驚いた様子で
君のお母さんには以前に
首都で一緒にいたことがあるから知っているよ、と言われて
「え・・」
あまり自分の母親のことについては知らない私は興味を持って
ベンチに先生と一緒に座って
今日出会ったシュバルツ先生に少し その時の話をしてもらったりしていた
一方でそういう話にはあんまり興味がなかったのか
それとももっとしていたいことがあったのか
アスラとマギハちゃんは
ベンチのところからは少し離れて さっそく二人で遊んでいて
(じゃーん!)
アスラがさっきの特訓の終わりにゲットした首から下げた巾着袋の紐をほどいて
その中から小さい木のコマを高く掲げて
マギハちゃんに披露したりして
「ふん!」
でも完全な平らでない地面だとあんまりコマが回らなくて苦戦していて
それがどこか面白いらしく
マギハちゃんとキャッキャとしているのがここから見えている
・・
(・・・)
「彼女は有名だからね
魔法界に一世を風靡した、
かの五芒星法術理論の提唱者であり第一人者でもある、
超位魔法師カルミナ・アンキラー
・・いや 今はカルミナ・クリスフォード君だったね
彼女は首都にもあまり留まってはいなかった」
(そうなのよね お母様はそういう高度な魔法の第一人者で
しかもゼキスバード学長先生とかと同じ超位魔法師なのよね・・
それで世界中で招かれて魔術とかの指導に引っ張りだこなんだ
アンキラーっていうのはお母様がクリスフォード家に嫁いでくる前の名前で
アンキラー家っていう魔法貴族の名家だった家の出身っていう
お母様の以前の名前を知ってるっていうことは
結構昔からの知り合いだったのかなあ)
・・・
「・・彼女はとても強い魔法使いだったが
君のお母さんのカルミナ君は娘の君のことを
ひと昔前にその口からふともらしていたことがあった
体が弱く よく倒れて寝たきりでいて心配だと
まじないや魔除けの装具もまるで効き目がないと嘆いていた
魔法師たちへの指導の合間にも
過去の風土の病の文献を集めてその性質や治療法などを模索していた
ただ・・私から見ると今の君にそういった印象は受けないのだがね
他にも体の弱い兄弟がいるのかね」
(お母様・・)
「いえ兄弟はいますが娘は私一人です 私のことだと思います・・
でも最近体調は良くなったんです」
「そうかね それは良かった」
・・・
少し昔のことだったという首都にいた頃の私の母の話がひと段落して
相変わらずの小さな2人の子供が
噴水の前で自由に遊んでいる様子を静かに眺めていたシュバルツ先生
「・・・」
「君がお姉さんだと言っていたが
・・君があの子に名を付けたのかな?」
「!」
(たぶん この先生
あの子が本当はスライムの子で変わってるって分かって言ってるよねこれ・・)
「はい そうです」
「そうかね・・
あの子はとても珍しい波長を持っているね マギハは極度の人見知りなのだが
あの子がそうさせているのかな」
「ほう 魔法まで・・」
(・・・・)
ゆったりと赤い瞳を細めてアスラのほうを観察するように眺めて見ている
「(ポウ・・)」
今はアスラが手のひらからマッチのような小さい炎の魔法を出して
マギハちゃんにみせてあげているところだった
それは不思議な炎
それを見たマギハちゃんは目を輝かせている
(・・・)
「あの子は・・
なんていうかちょっと不思議な子なんです」
「そうだね・・」
(・・・)
「そうだ アスラちゃんがマギハによくしてくれるから
私からも君たちに何かを返しておこう
そうだね
ちょうどさっきカップの中身をこぼしてしまったところだ
たしかこの近くにそういった場所が・・」
シュバルツ先生はお礼のお返しに
私たちに何か飲み物を買ってくれるのだという
さっき飛び立ったカラスにこぼされてしまって
空になっていたカップを少し残念そうにリズにみせる
「え!いいんですか」
(おお 暑かったし ちょうどよかったかも)
・・・
その後
(ああやっぱ 先生結構大きいわあ)
アスラとマギハちゃんを呼び戻してから
のっそりとベンチから立ち上がったシュバルツ先生に連れられて
近くにあった売店に入ってお子様一行が飲み物の他にも
先生に遠慮なく好きなお菓子をついでに買ってもらっている様子だった
私も段々になって積み上がった商品棚のコーナーの
適当に冷えた飲み物を選んでいる最中だ
(わあ・・!
けっこう種類があるなあ
向こうの世界では見たことがないものも結構ある どれどれ・・)
(自分でも買えるけど 他の人から買ってもらえるってやっぱお得で特別よね)
どれでも買ってもらえるというので
珍しい飲み物の候補選びにちょっと夢中になる
・・・・
・・
そんな楽し気なリズの様子を
少し離れから見ていたシュバルツ先生
「(クリスフォード、か・・)」
「(・・ あの子が本来動けなかったはずの彼女の娘・・そして・・、
彼らが、彼女たちの血筋がこの地に集うのは偶然か
はたまたそれは宿命、か・・)」
・・
「おじさん!これも食べるう!」
「ふむ いいとも 」
「ふふふ!」
選んだお菓子を嬉しそうに両手にしっかり握って
アスラはほんとに遠慮がなかった
ていうか飲み物って話だったのに
でも先生は全然気にしていない
(アスラったら・・)
私の飲み物も決める
カレーチョコ味とか魔法の摩訶不思議ゲルベジェム(謎)味とか
変わり物のへんな風味の飲み物がやたら目立ってて気になったけど
結局無難に普通に冷えたお茶にしたのだった
・・・
無事ジュースなどを先生に買ってもらって、
また日の差す中庭の表通りに出てくる
「どこで飲みましょうか」
「ああ なら 前と同じ場所に戻ってもいいかな
私は太陽が少し苦手でね 少し日陰になっているところがいいんだ」
シュバルツ先生は前に座っていた噴水の近くの木陰のベンチに
白い手袋をした指を向ける
「私もあそこがいい」
マギハちゃんもそこがいいみたい
(あれは日差しよけの手袋だったのかしら
まあ特に決まってるわけじゃないからいいよね)
「いいですよ」
とくに気にせずにいう
「すまないね 私もマギハもあそこが好きでね
あそこから聞こえる音たちが気に入ったんだ」
あそこが日陰で涼しいからかなと思っていたけど
たしかに耳を集中するとそこの噴水からは
水の流れてはじけるような音がしてすごく心地いい
(そんなこと気にしたことなかったなあ・・
そういえば マギハちゃんも最初アスラの音?がどうとかって
面白がってたなあ・・
この先生も?なのかなあ)
・・・・
・・
私たちは揃ってベンチに座ってさっき買ってもらった、
キンキンに冷えたジュースなどを開けて
「ジュースの缶はこうやって開けるのよアスラ」
「うわあ~」
「カシュ!」シュワワ~
アスラは手を伸ばして受け取ったそれを景気よく
気まぐれなモンスターのように一口でガバっと常識外の一気飲みをして
「っ・・・!」
隣でマギハちゃんがそれを目の当たりにして
アスラに負けないくらいパッチリ目を丸くして驚いていた
ジュースを買ってもらったとは言ったけど
マギハちゃんの方は前にジュースは飲んでいたようなので
コーンに丸いアイスを乗せたような形の
冷たいアイスを買ってもらっていたんだけど
マギハちゃんは自分でちょっとアイスを食べた後に
飲み物もお菓子もすぐなくなったアスラが、じっ・・と見ていたので
「アスラちゃん一口食べていいよ」っていって
マギハちゃんは少しコーンを持って差し出すと
「ありがとうマギハちゃん」
っていってすまし顔のアスラに
(はむう)
上にのった丸アイスを大きな一口で全部しゃくしゃく食べられてしまい
「あ~~!!」って言ってまた目を丸くして何故かめちゃくちゃ喜んでいた
(・・・)
手元にコーンだけ残されたマギハちゃんを見て
あとでちょっとやり過ぎたと思ったのか
「じゃあ代わりにこれあげるね」
アスラは買ってもらったのとは別の風車の家から持ってきて
ポケットに入れていたけど
落さないように巾着袋に移しておいた小さい飴玉をマギハちゃんに1個差し出す
「わあ アスラちゃんの袋ってなんでも出てくるのね・・!
ありがとうアスラちゃん」
その後マギハちゃんはほころんだ顔で
アスラにもらった飴を大事に小さな膝の上に取っておいて
ちびちび小さな口で残ったコーンだけ食べていたのだった
・・・・
・・
マギハちゃんはアスラとずっと一緒におしゃべりもしていて
シュバルツ先生は楽な姿勢でベンチで座っていて
(・・・)
「 人が作った音というのは不思議なものだ・・」
出会った時と同じように噴水のほうをじっとただ静かに眺めて
ゆったりくつろいでいて
(・・?)
その時は先生の言っていたことはあまり意味はよく分からなかったけれど
私は音といわれたからその辺を意識して涼やかな噴水のいろんな音を
ベンチでのんびり聞きながら静かにお茶を飲んでいた
耳をすませる
(確かに ここはいろんな音がする・・)
マギハちゃんは隣のアスラとその賑やかな音たちに囲まれて
ずっと幸せそうに笑っていた




