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瞳を見るとBURST HEAT! VS世紀末格闘少女リズと不思議の格ゲー魔法世界  作者: 綾町うずら
巡りつつ日々:還らずの地の主 編
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第25話 授業と自己紹介と

 そしていよいよリズの中等部での魔法学園生活は始まる


ていうか私のん気に学園とか行ってるけど いいのかな?

こんな準備に気合まで入れちゃって

まあそこはお父様にも言われたし

私がこの世界の貴族の家で生きる上での義務のようなものなので・・


一応情報収集などはこつこつ続けているよ だいたい新聞だけど・・

おかげで世間知らずなところから

少しはこの世界の情勢とかも頭に入るようになってきた


でも全然やっぱり

私が元いた世界との接点みたいなものって特にないんだよなあ

魔法もそうだし文化から暮らしからして

もうこことは全然別というか


特によく分からなかった、ということがわかったという

ちょっと哲学的な


このまま凶悪な事件とかを調べて追っていったり

オリジンに関する何かがわかったとしてそれを追っていくと

私は巻き込まれてしまうんだろうか


いやでもね 何かに巻き込まれるにしろ

最終的に学歴くらいはあった方がいいんじゃないかなって

学園で習う基礎的な知識や経験はこの先の私を助けてくれるよきっと



・・ということでリズが履修してるのは ほぼほぼ一般の魔法学

聖セントラル中央魔法学園に通う生徒の基本といったところ


「・・・・」

クラス分けも特にいうことはない 2-D組だって

私が振り分けられたクラスだし

たぶん落ちこぼれ・・いや下の方のクラスなんだろうなあ 


学園ではクラスは基本的に魔法の成績順で分けられるからね

頭のいい子や優秀な学生はみんなA組にいくんだ


教室に足音をカツカツと先生が入ってくる


「私がこのクラスを受け持つ ルージュ・ライアルド・如月(きさらぎ)だ」


落ち着いているんだけど

背が高くスラリとした長い足に

流した髪に目元はキリリとして眼鏡をかけている

この少し男勝りな雰囲気の女の先生がこのクラスの担任の先生のようだ


先生の軽い自己紹介から始まって拍手がまき起こり


「近年は魔力を持つ者が少なくなり全体の魔法使いの数は減っているが

二極化が進んでここでは逆に

だんだんと学生の魔力の総量の平均値が伸びていっている

みなも魔法を学んで能力をここでしっかり伸ばしていってほしい」


(へえー そうなのね・・)


それから新しいクラスメイトたちも

みんな一人ずつ順番に教壇(きょうだん)の前に立って自己紹介を普通にこなす


でもなんだか癖のある人が多い印象

教室で私の席近くにも謎の仮面をかぶって静かに本を読んでる?子とか

見た目がけっこうみんな個性的


順番がやってきて教壇に立つ私

「リズ・クリスフォードです よろしくおねがいします」

私ももちろん普通にこなす

だけど・・


((じっ・・))

あれ・・?視線?を感じる・・


(ん?なんか 私にらまれてる・・? え?

あれは・・勇者・・? そんな、ここにいるはずないわ 

気のせいね 知らないわ 知らない人よ)


一瞬白っぽいなにかが見えた気がしたけど 

それはこの教室にいるはずのない人影

いるはずがないのでなんとなく見えてないことにしたのだった


・・・・

さて 気を取り直して私の学業なんだけど

魔法は私にとって専門以前の問題だからね


魔法構築や理論を知識で最低限知っていても

実技が全然発動できなくてイマイチな以上 卒業できるかはわからない

正直自信ない というのも


2ーD組の教室での紹介から魔法の選択科目で移動教室になったんだけど

そこにはさっきの担任だったルージュ・ライアルド・如月先生がいて


「引き続き さきほどD組で紹介した生徒は知っているだろうが

私はお前たちの基礎的な魔法を指導する ルージュ・ライアルド・如月(きさらぎ)

雷の魔法が専門だ」


このルージュ・ライアルド如月先生も

中位魔法師だけど祝福の魔法も行使できる優秀な先生だということだ


自己紹介もそこそこにいいところに

個人の力を見るために

魔法の女先生による簡単な指導と 軽い実演をふまえた授業がはじまったのだが


・・・

順番に学生たちを見にやってきて

私のところにも足音をカツカツとやって来たルージュ・ライアルド・如月先生


「君は魔力・・はあるな 適性がないのかもしれないな」


私には寄生饅頭マンから供給されている、お兄様直伝の新しい魔力があるから

私自身もすごく期待していたんだけど


これまで仮にもこの学園には通っていたから

一応魔法の起動式や発動方法の基礎は私は知識として

使う時に思い出していた 


それは一度昔読んだ本の文の人物のセリフを言えと言われたら

咄嗟には出てこなくて思い出せないけど

実際にその本の文を見た途端に「ああ、確かにこんなセリフだった」って

納得できるようなそんな感覚に似ている


だけど


(うーん・・思い出した前の記憶と同じ、発動一歩前の状態にしかならない・・

出力の感じも別にあまりあがっていない・・)


・・・

起動式っていうか魔法を発動させるための魔術回路っていうのは

頭の中にイメージであって魔力をその回路や体に流していくんだけど

その時の魔力の流し方と回路との組み合わせによって発動する魔法の形質が決まる


基礎魔法のように回路が単純なものであれば

コツを掴めば手からの単純な魔力の流しでも回路が満たされて適応されて

その魔法の力を放つことができる


ただ実際に魔力を流してみようと思えば分かるんだけど

魔法使いの魔法っていうのは

合わせて道具や体の一部や脳を使ったりとかで出力加減も難しく


それは水のように

ただただたれ流せばいいっていう訳じゃなくて

イメージよりももっと繊細なものだ


普通の人は魔力を持っていたとしてもそもそも思うように出力もできない



その魔法の回路に合わせた魔力の流し方を強く意識したり

正確にスムーズにするために必要なのが言葉の力を利用した「詠唱」で

魔法自体が複雑になってくると合わせて流す方も複雑になることが多いので

詠唱して意識を高めた方が魔法の成功率が高くなる


魔法が未熟なうちは相当才能がない限りはちゃんと詠唱に頼らないと

適切な魔力の流れる形になってくれない


でも脳内でしっかり魔法の回路を構築できていて

そこにとっさにすぐ正確に満たせるほどの魔力の流し方も両方マスターしてたら

無詠唱でも魔法は撃てる 

威力は人によってそれでかなり下がったりもするけど・・


とどのつまり単純には

「構築回路」とそれに合った「魔力の流し方」

この二つの要素がしっかり満たされた時の反応を

「手のひら」の先で起こすように調整したものが普通の形式の魔法である


(それって単純なんだろうか)

自身の描く脳内の回路だけでは創造が不十分であったり

魔法の構築が複雑すぎるものは「魔法陣」といって

自分の魔力で回路を外に描いたり書いてあるものを召喚したりして

外付けで回路を補助して魔法を放つ方法も魔法使いの主流だ


ただこれは外部で形成した回路の完成度や

手元から離れた魔法陣にはより正確な扱いが求められるので

かなり難しい応用技術だ


今やってるのは基礎なので

そういう本格的な魔法陣とかは必要ない


・・・

リズは突き出した手から

雷基礎魔法 「エレキ・・!」と詠唱してみる


基礎の簡単な魔法式構築はできていて

詠唱で意識も強くしたので力は流れていく感じはする  しかし


「パリ・・・パリ・・ピり・・」

静電気の強い感じのレベルのものが走って

で、それがときどきエレキの塊を形成しようと


パリって少し大きな電気のような流れがでるんだけど

魔法となって腕の先から前には進むことはなく 

また静電気のような感じにもどるといったところだ


「うーん・・」


・・

「バシュ! バシュウ!」(バリバリ~!)


術が全然形成できず前に飛ばないリズの横では指定の的に向かって

雷の基礎魔法を撃っていく他の受講生の生徒たち


大半の魔法が使える生徒たちにとっては

こういった基礎魔法はおさらいのようなもので


次々に小規模な魔法のいなずまが走り、

狙った的に当たっては的を少しずつ焦がしていく

「バリイ・・!」

けっこうすごい 

ここが魔法がある世界なんだって実感できる


だけどあんまり撃てないひともいる 


魔力には適性があるからだ

適性がなかったり低い人は発動しても形にならずに魔法を前に撃てないんだ


いろいろ説明はしたけども「構築回路」「魔力の流し方」以前に

そもそも本人が持つ魔力と相性のいい魔法属性の適性がなければ

詠唱をしたとしてもちゃんとした形に魔力をつぎ込むことが困難なので

結局その魔法はうまく扱いこなせない


その属性は大まかには

火・地・風・水の四大属性といわれているものから

今の授業でも教えている雷属性や光や闇属性、分類がされていない属性なんかもある


その中から何か自分に合った主流になる属性がないと

正しい扱いの魔法のコツを修練できないし

それを持ってないっていうことはもう魔法使い自体の才能がないっていうこと


私も少し指導してもらって少し力が膨らんだ気がするけど

その程度のものだ 適性がないからね 


「パリパリ・・」

それでも魔法一歩手前でも

実際自分の手に多少でも電気のようなものが走っているのをみると

それなりに満足するものだ 


リズの機嫌はまあまあよかった


だけど単位をとれるかは わからなかった・・


・・

・・・・

授業後の元の教室


「ねえ あなた」

声が聞こえた


私が自分の席に戻ろうと ある机の前を横切ろうとした時だった

(そういえば なんでこの子ここにいるのかしら・・)


あのボロ寮舎に進んで自らを研鑽けんさんするために

身を投げうった感心な勇者である


名前は忘れた


普通に椅子にすわっていて半身を前にうずくまっており 

前の方に軽く腕は組んで そこに乗せた頭は起こしているそんな姿勢

その姿は少し憂鬱な美少女ってかんじ


近くで見るとあの勇者のおでこについてた金色の輪っかは

細いけどきめ細かい飾りのティアラ?みたいな感じになっているようだった



「あなたって あの寮舎の前にいた子よね リズって呼ばれてた・・

わたしを見て笑ってきた・・


あなたがリズだったのね クリスフォード家のリズ・クリスフォードさん」


(あっ・・まずいぞこれ 

あの日から あの寮舎の前すごく通りにくいから

せっかく見つからないようにあの時は私服だったけど

今日は目立たない学校指定の制服にしたっていうのに


まあクラス同じになぜか知らないけど なってしまっているから

すぐばれちゃうなとは思っていたけど・・


まあ あいさつでもしよう)


「・・・・・」

(あっ・・さらにまずい 

おまけにさっきこの子ハツラツと前で自己紹介してたのに

流してて名前全然覚えてないぞお やばいなあこれ)


(ていうか私が笑ったことにされているよ

そんな・・編入早々あんなボロ寮舎をつかまされたあなたを

私が笑うなんてそんなことは)


(よし機転を回そう

いっておいで てきとうに選んだセミの抜け殻)


「ポン」

リズはさにげなく勇者の机の上に手をかざし 

セミの鳴り虫君を密かに魔法で召喚する

(「カサカサ・・」)

ターゲットまでの距離が近いからか

放たれたセミはすぐに勇者の組まれた腕からカサカサと登っていき

うつぶせの名前を忘れた勇者の女の子の肩に止まる


(ぴと・・)

寄生は成功し ゲットした名前の情報がリズの元にやってくる


(「ミトラ・ネスライト」か 

あー 確かそんな名前だった いましっくりきた

そういうことってあるよね)


悩み深き少女って感じの姿だけど

今まさにかわいいセミの抜け殻がくっつけられたことには

まったく気が付いていない勇者ミトラ


でもこうしてみるとなんだかセミが自己紹介してるみたいだなあ 

嫌な自己紹介だね


ていうか今はじめて この寄生魔法の名前分かる機能を生かせた気がするよ



「私も知ってる・・ミトラ・ネスライトさんね

 さっきの自己紹介で覚えていたわ」


(これはけして嘘じゃない さっきセミが自己紹介してくれたからね)


(・・・。)

すると勇者ミトラはうつ伏せた状態から

すっくと姿勢を正す


「光栄ね やっぱりあなた いいところの家の生徒だったのね

ねえ まだわたしのこと笑ってる?


あのあと搬入した荷物を部屋にあげようって思って

あの寮舎に3人で入ったらとんでもなかったのよ


それはとんでもなかったわ

まるで異世界に転生したかと思ったわ」


(ぐふっ・・やっぱすごいなあ勇者って

まるで私のことをあばこうとしてきているみたいだ


これが自然体なのだから恐ろしい・・

これがこの世界の悪を倒すために人類から選ばれし存在ってやつか・・)


「笑ってなんかないわ・・あなたの魔法は、そう、すごいわ」


(寮舎関連は私がボロがでそうだから魔法関連にそらそう)


だけど私がせっかく褒めたのに

勇者ミトラは顔を(いぶか)しげにしたのだった


「・・あなたやっぱり笑ってるでしょ


さっきの魔法の授業は

私の雷属性が全然適性なくて前にも飛ばなかったのよ」


(なにい~・・ここで地雷を踏まされるなんて勇者め・・なんという

あ でもちょっと仲間意識・・

いや魔法くらいちゃんとしてよ 勇者なんでしょ)


「ごめんなさい そこじゃないわ 別の魔法の事よ

それに私も雷属性はなくて魔法は全然発動しなかったわ」


「あなた、わたしの魔法のこと知ってたっけ? まあいいわ

私も勇者だからどこかで魔法の事を知られててもおかしくないものね・・


わたしは雷属性はないけど聖属性・・光の魔法が得意なの 

他にも3属性は一応使えるわ、そっちはあまり得意ではないんだけど・・

剣技も得意じゃないから魔法の方で大成しようと思って・・


それで この学園にきたの」


・・

(ふーん 知らなかったなあ だって名前も知らないんだもんね


あれ、なんかこの勇者、勇者のくせに苦手なことが多くない・・?


まあでも光は得意なのね・・それは勇者ってかんじだなあ 

どんなんなんだろうね光の魔法って

ネロが見せてくれたライトも光魔法なのかな)


「ミトラさんは・・どうしてこのクラスなの?

わたしは全然魔法なんて使えないわ それで振り分けられたと思ってた


でもミトラさんは勇者で光魔法も持ってるのに私と同じだなんて」


「また笑ってる・・?のかしら 


ここが落ちこぼれクラスだって言いたいの?

そうじゃないわ 秘密裏にされているから知ってる人は少ないけど


2-D組は一芸あるというか特殊なクラス分けも入っているのよ

ほんとうに成績が低くて全然だめだったりもするらしいけど・・


だから勇者であるこの私も・・

振り分けられてても別に不思議じゃないわ


けっしてまだ世間に認知度が低くて

ランクも低くて剣技が苦手な勇者だからとかじゃないわ


あなたもなにか一芸あるんじゃないの?

魔法じゃなくても剣技とか 探知能力とか・・」


(え・・わたしが一芸? ていうかD組ってそうだったの?

道理でみんな癖のある・・

でも私まじめに何も持ってないわよ 学園では正真正銘の落ちこぼれ


寄生魔法が特殊かもしれないけど 学園には申告してないもの

もしあるとしたら・・・

イヴの力・・いやでも・・そんなのわかるわけ・・)


(・・オジキ・・? 顧問だっていってたしなあ・・

学長に顔がきくみたいだし・・)


(わからないなあ・・)


ちょっと考えさせられることが多かったけど

勇者に答えを黙っているわけにもいかない


「ありがとう 教えてくれて 

でも本当に私は今まで魔法の成績が悪くておちこぼれだったのよ」


「ふーん・・? まあいいわ これからよろしくね」


「こちらこそよろしくね」


そうしてつつがなくお互いの挨拶を終えて 

(ふう・・)

やっと自分の席にリズは戻っていく

ちょっと後ろにまだ(いぶか)し気な視線をかんじたけど 


それはたぶん気のせいだった


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