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妄言

作者: まだこ

はじめまして、まだこです。初投稿になります。初投稿というか初めて小説を書いてみました。よろしくお願いします。

 3浪の末に入学した大学は特段偏差値の高い大学というわけでもなく、普通の大学だった。浪人生活は周りから見れば頑張っているように見えたかもしれないが、私の中では途中で勉学の熱も冷め、大学生になれたらそれでいいじゃないかなどという思考になっていた。私は別に引きこもりでもないし、コミュニケーションがとれない人間ではない。むしろ、その逆かもしれない。クラスのカースト上位的存在とまではないが、どのようなタイプの人間ともコミュニケーションはとれた。私よりも年齢が上の人間には好かれるような存在だったかもしれない。とにかく、周りからは良い人だね、真面目だねと評価してもらうことが多かった。皆さんの周りにもそういう存在がいるのではないでしょうか。人生でつまずいた?のは大学受験だけかもしれない。親しい友人もいれば、長年お付き合いさせていただいている彼女もいる。比較的裕福な家庭で育ち、何不自由なくこれまで生きていた方だ。

 今は大学3年生。高校の友達は就職し、私がこうしている間にも社会に貢献にしつつ、プライベートも充実させながら、日々生活しているのだろう。本当に尊敬している。どうか、彼らは幸せになってほしい。一方、私は人生の岐路に立っている。就職活動するか、大学院に進学するかの二択を迫られている。別に興味がある業界があるわけでもないし、熱心に学びたい分野の学問があるわけではない。本当にどうしよう。毎日悩んでいる。これからどうするべきなのかを。ああ、起きたらお金持ちになっていないかな。起きたら、なろう系みたいに誰もが羨むようなスペックの人間になっていないかな。そうしたら、悩みなんてすっ飛ぶのに。家族も彼女も一生幸せにしてあげられるのに。本当にそういうこと起きないかな。またいつもの妄言だ。やめよう。でも、どこで間違えたのだろう。いやいや、そういうネガティブな考えはよそう。前向きに、自分に向き合わなければ。今日は一段と自分に向き合ってみよう。文明の利器が目に留まらない場所で自分で向き合いたい気分だ。どこがいいだろうか。あれこれ考え抜いた結果、家の電気を全て消して暗くて狭い風呂の浴槽で自分に向き合うことにした。

 1時間タイマーをセットしたスマホをリビングに置き、風呂の浴槽へと向かった。何も見えない。真っ暗で狭い空間。案外悪くない。こういう空間に入ると五感が研ぎ澄まされる感じがする。心地いいな。しっかり自分と向き合えそうだ。じゃあ、まず今後自分が何をしたいのか今までの人生経験を振り返りながら考えてみよう。


 あれから何分経ったのだろう。何も浮かばない。自分がどういうことをやりたいのか、わからない。というより、諦めてしまう。生まれ育った土地に社会貢献し柄、その土地で暮らそう。それならば、公務員を目指してみようかなと考えると、自分が思い描く生活はできるのか、本当に今の彼女や両親を幸せにできるのか、そもそも公務員試験に合格できるかというネガティブな考えが邪魔になり、思考を諦めてしまう。では、自分が興味のある学問を見出して大学院に進み、それを活かせる職に就こうか。いやでも、この不景気で卒業時歳の27歳新卒を雇ってくれる企業や団体はあるのか。多分無いだろうな。いっそのこと努力して博士号をとって大学教員目指そうか。いやでも、食っていける時にはいくつになるのか。結婚が遅いと彼女に逃げられてしまう。このような思考とその思考の放棄を繰り返し、今に至る。結局、何も向き合えなかったな。いつも通り、いやでもと考えて諦めてしまったな。考えてみたのだが、私は彼女に縛られすぎているのかもしれない。自分がどういう風になりたいとかじゃなく、この人を幸せにするにはどうすればいいのかと考える様になってしまっている。いっそ彼女がいなかったらいいのに、そうすれば、もっと自由に生きることができたのかもしれない。そうやって自分の思考の放棄を人のせいにするなんて、最低な人間だな。今日も自分と向き合うことが出来なかったか。もし、私に何かしらの才能が有れば、こういう悩みも生まれなかったはずなのに。何者かになりたいな。そもそも、なぜ人間って存在するのだろうか。神様が娯楽で世界を宇宙を生み出したのだろうか。それとも、ネットでよく見る宇宙人や他の生物が人間を地球を壮大なRPGの舞台として私たちを操作しているのか。それなら、私を操作している誰かさんもうちょっとうまくロールプレイングしてくれよとか考えてしまう。まあ、人間が存在する理由に神様や宇宙人が関連付けられるのは、そう考えてないと生きていけない人たちのための妄言なんだろうな。いつの間にか自分と向き合うのをやめて、かっこつけて壮大なテーマについて思考していた。自分が情けないし、恥ずかしい。なんだか考えるのが面倒くさくなってきた。頑張るって難しいな。こんなに自分に向き合うことすらできないような人間をだれか殺してください。

 風呂の浴槽から出て、電気をつけた。スマホのタイマーはたったの10分しか経過していなかった。ため息をつきながらベッドに寝転がった。私は今日も現実逃避しながら妄想の奴隷となり、明日を迎えるのだろう。


皆さんもこういう風に思うときがあるのではないでしょうか?

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