【第一章】第八部分
紫のセーラー服。セーラーには水晶デザイン。胸元には白いリボン。スカートは膝上20センチで魔法を使っても下着が見えない長さに設定されている。
ゆめはセーラー服の裾を軽くひらめきさせながら、登校していた。
「高校に入ったら、妄想生活にピリオドを打って、現実に彼氏を生産するのよ。」
ゆめの脳内では、彼氏製造工場があり、様々な彼氏がロボットによって、生産されていった。
高い身長のイケメン、マジメそうなメガネの男子、ノウキンそうなマッチョ、完全体のオカマ、ショタ系美少年、加えてハチマキしたオヤジもバグとして産み出されていた。
ゆめは脳内にて、生産物を検査、ならぬ品定めしていた。
「あれもダメ、これもイマイチ、オヤジは不良品。いいのが見つからないわねえ。これならつかさの方がまだマシだわ。」
生産物比較の基準はつかさだった。
「いや、つかさはもう関係ないんだから!やっぱりイメージ戦略ではダメだわ。男子はナマでないと。こういうやり方が定番商品よ。」
事実は妄想より奇なり。ゆめは校門の前で、わざと転んだ。助けに来てくれた生徒が親切な人である可能性は高い。親切は優しさに繋がる。
「あ~れ~、地球が自ら滑ったので、あたしは今から転ぶわ~。」
自分の転倒原因を地球に押し付けるという、詐欺的な手法を用いたゆめ。う~む。顔が痛いわ。
ゆめは、ワザワザ、地面にファーストキスを提供するという奉仕活動を選択した。幸い、きれいな顔に傷はつかなった。実際は、オトメの本能で怪我しないような転倒形態を取ったのである。
「君、大丈夫?怪我はないかい?」
「キタ~!なんて暖かい手なの。これはみまごうことない、王子様だわ。」
手を握られたゆめは、ひとしきり感激して、涙ぐんできた。涙はゆめの手を通じて、掴んでいる方の手にも伝搬した。