【第一章】第六十一部分
昼休みになった。
「お弁当を作り過ぎたの。一緒にお昼を食べましょう。」
「ムムム。」
絵に描いたような笑顔のゆめと、口をへのじに湾曲させた楼里が机を向かい合わせにして、お約束のあ~ん運動を開始している。無論、ゆめの攻め、楼里の受けである。
「あっ、うりちゃん、ごはん粒がついてるわ。」
うりのクチビルの回りはハート型にごはん粒が並んでいる。
一粒ずつ、ゆめが丁寧に並べていった結果である。美術的には満点である。
ゆめは一粒ずつ、ワレモノに触れるように、ゆっくりゆったりねちっこく、舐めて
込め粒を自分の舌に乗せていった。
「あ~ん。」
裕璃音のクチビルが真っ白になっていた。コメ粒がカンペキにトレースされていた。
「もったいないですから、一粒一粒、丁寧に片付けていきますわ。」
緋景は手を伸ばして、コメ粒をつまんだ。かに見えたが、腕はそのまま裕璃音の首に回って、ぐいと自分の方に引き寄せた。
「ペロッ。まず一粒ですわ。」
「ぞわわわ、butかいか~ん。」
裕璃音の顔はひきつりながら、ひまわりのようにもなっていた。
緋景はぺろぺろしながら、コメ粒コンプを達成した
「ハアハアハア、ハア~。」
裕璃音は枯れ葉のように疲弊していた。
体育の時間になった。
ふたり一組での柔軟体操。ゆめは楼里のパートナーとなっていた。
違う時間帯で、緋景は学年が違うというのに、裕璃音の相手をしていた。時刻は異なるが、そのふたつの時間帯で、見られた現象はほぼ同一であった。
「ハアハアハア。」
息も絶え絶えになっているのは、楼里と裕璃音である。柔軟体操は、胸部に特別に重点を置いたもので、ゆめと緋景はひたすら顔を擦り付けて、その部分をより柔らかにこねていた。楼里と裕璃音はマッサージ攻撃を回避すべく、散々抵抗した結果、ひどく疲労したという結末であった。
ゆめと緋景の行為は異常である。しかしそれは単体の行動としての評価である。周囲でも同様の所業が多数、それも半端ない件数で見られたとしたら、異常は日常という見方に変化する。
「きゃあ、ゆめさんが来たわよ!」「こっちは緋景様が食事に来られたわ!」
ゆめと緋景は片っ端から女子を襲っていった。襲われたと言っても、合意の上というか、ゆめと緋景に、キスされるのを待つ女子たちの行列ができて、整理券が配られていた。
ゆめ緋景待ち行列はさらに発展し、遂に予約制にまでなっていた。




