【第一章】第四十四部分
「いやあ~!ボコボコ!」
ゆめは、いざ迫られると、殴り愛を選択して、鳴志司を殴りにかかった。しかし、魔法がかかっている鳴志司は強く、ゆめの力では抵抗できない。
「これは魔法の力なの?いや魔法に違いないわ!あなたが誰かわからないけど、魔法使いなら容赦しないわ。ミラーボールにかけた魔法を解くか、あなたを倒すかね。
ならば、選ぶのはこっちよ!」
ゆめは、火の魔法で、楼里を包み込んだ。
「うわああ!」
火の魔法で楼里はからだを焼かれている。炎のコートで楼里の姿は見えなくなった。
「あら、意外にあっさりと終わったわね。」
「幕はまだ上がったばかりなのだ。」
楼里の炎の色が薄れている。よく見ると湯気が上がって、その白さで、赤い炎がオレンジ色に変わっている。
「こ、これは水魔法なの?でもどこか違うわ。」
『ゴグゴクゴグ。』
楼里はホースで水を口に入れていたかに見えた。いや、そうではなく、蛇口に噛みついて、ホースを操って、自分にシャワーのように、水をかけていたのである。
「これは水魔法、しかし何か違うわ。」
アナログ魔法は空気の水分を操る。しかし、楼里は水道の蛇口に魔力を送っている。ゆめは楼里の様子を見て、デジタル魔法を使っていると直感した。
あきらかに楼里は押されている。しかし楼里の表情には余裕が感じられる。
「あたしは魔力を相当に使ってるけど、それはそちらも同じはずだわ。どうして消耗してないのよ。」
ゆめはそう言いながらも、原因はすでにわかっていた。デジタル魔法は、人工エネルギーを魔力変換しているのに対して、アナログ魔法は自然の力に自分の体内にある生命力を融合させて発出するのだから、自然と自分の消耗に繋がるのは自明の理である。
戦いが続く中で、ゆめの火力が低下してきた、。ゆめを見るとはあはあと息切れしている。
「く、苦しいわ。」
「ワハハハ。あれ?うりはどうしてこんなことしてるんのだ。そうだ、こうするんだったのだ。」
楼里は魔法を解き、ゆめはその場に倒れた。そこに鳴志司が飛び込んできた。
「テントの中で、悲鳴が聞こえたと思ったら、こんなことになってるなんて。」
鳴志司はぐったりしているゆめを抱きえかかて、遊園地内の救護施設に連れていった。幸い、ゆめには怪我はなかった。
「『会長があたしのことを思ってくれて、助けてくれたんだわ。』という展開になるはずなのだ。これでうりの目的は果たされたのだ。」
意気揚々と帰路についた楼里。
しかし実際はこうであった。
ゆめは、『会長に迷惑かけて、申し訳なかったわ。これがつかさなら、ありがとうと言ってそれで終わりなのに。』と思った。
鳴志司も、『赤空さんには悪いことをした。これが緋景なら、こんなところに来なかっただろうし。怪我なんかはあり得なかっただろうな。』と寂しげに思うのだった。




