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【第一章】第四十三部分

「これは全然殴り愛じゃないぞ。」

鳴志司はもっと冷静沈着で、動かなかった。結局ふたりとも膠着。

『ザザザッ!』

テントの中に汗だくだくのナース服にサングラスという不釣り合いな格好の楼里が飛び込んできた。

「やっぱりこうなっていたのだ。工事は計画通りに進まないものなのだ。」

「あなた、いったいどこの誰?あたしたちの、愛のクモの巣に不法侵入するなんて、許さないわよ!」

囚われの鳴志司はクモの巣にひっかかっているらしい。

「ただの通りすがりのナースなのだ。名前はまだないのだ。」

「全然正体がわからないわ!」

「他人に名前を明かすナースがどこにいるのだ~?」

看護師は名札やIDカードを付けているのがフツーである。

「名前も言えないナースなら、魔法で攻撃されても文句なしよ!」

「宣戦布告される前に攻撃するのがセオリーなのだ。」

「うわあ~!」

ミラーボールが乱反射して、鳴志司の白いタキシードが七色に変化した。

「ううう。」

鳴志司の瞳が色を失って、グレーになっていた。

「欲しい、欲しい。赤空くんが欲しい。」

「ええっ?そ、そんな。嬉しくないことはないけど、なんか違う。これも想定外だわ。こんなのイヤ!」

「よいではないか、よいではないか。」

「それは会長のお約束のセリフでしょ。それを人助けをするナースが言うの!?」

「セリフは誰のでもいいのだ!客観的な事実が大事なのだ。ほれほれ、既成事実が目前なのだ。」

「欲しい、欲しい~。」

鳴志司はゾンビのように、ゆめに近づいていき、ついにゆめの肩に手をかけた。


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