【第一章】第四十部分
一方、つかさは言葉を失った。しかし、冷静に自分の立場を考え直した。
「でも今オレが付き合ってるのは滝登さんだし、関係ないよな。」
つかさは自分に言い聞かせるように呟いたが、持っていたシャープペンシルの先を噛み砕いていた。
その日放課後、つかさは緋景とヨンリオショップに行くことはなかった。どちらからも声かけがなかったのである。
その後、つかさは生徒会室で緋景と顔を合わせるものの、なんとなくよそよそしい感じになってきた。
ゆめは自分で交際を申し出たことを後から考えるとすごく恥ずかしい!と思い、次の手を打つことができず、鳴志司から何かアクションがあるのか、ひたすら待っていた。しかし、鳴志司からはノーリアクションだった。
鳴志司は屋敷の部屋で頬杖をついていた。自信家の鳴志司にはあまり見られない光景である。
緋景もはしたなく、自分の机に突っ伏して、考え事をしていた。
恋愛のあるべき姿、つまり本来は相思相愛が大前提。自分が本当に好きなのは血を分けた者。今のままでは、どうしようもない。乗り越えられない壁を作っているのは、慣習なのか、それとも法律か。法律改正ならば国会議員になるしかないとか思う兄と妹であった。
崩せない壁は自分の心だということに気づかないのは、やはり兄妹だった。
ついに、ゆめは何の進展もないことにしびれを切らした。
「清水の舞台から飛び降りて焼身自殺して大惨事を起こしてやるわ!」
放火魔就任志望満々のゆめである。
因みに、火災保険において、他人の放火では保険金支払される。さらに自分の家が火事になり、隣の家を燃やしても損害賠償をする責任はないことが、失火法に定められている。火事に対しては自分の家火災保険をかけてないと泣き寝入りになってしまうので、要注意である。
ゆめは生徒会室で、鳴志司に大上段に構えて、大ナタを降り下ろした。
「あたしたちには、一大イベントが必要です。」
「ずいぶん急だね。イベントって何だい?」
「イベント内容はデ、デ、デ」
「デデデの鬼太郎?」
「そうです、って、全然違います!若いヤングな者のイベントとは逢い引きじゃないですか!」




