【第一章】第三十九部分
(赤空ゆめ、なんと分不相応な態度をお兄様に見せてるんですの。腹が立ちまくりますわ!)
これを逆ギレという。しかし、ゆめを罠にはめている実態は変わらず、緋景は阿修羅のように、笑ったり怒ったりを繰り返して、顔面筋肉痛になりかかっていた。
そんな緋景の顔色変化がピタッと停止して、急に頬が紅潮した。同時にゆめにかけられた魔法も解除された。
「お兄様!」
「会長!」
つかさはゆめの様子を見て、理由はわからないが、いやな気分になった。
入ってきた鳴志司も不機嫌だった。またも女子から告白を受けたのである。当然のように拒絶した直後であった。
「これで13日連続か。ボクが美し過ぎるのがいけないのだけれど、あまりにも面倒だ。ごめんなさいすると一様に泣いて帰る。捨て台詞に、次の選挙では売電トランプ候補に投票してやるんだから!と言われるんだけど。売電トランプって誰?そもそもボクは3年生なんだから、次はないし。」
鳴志司はチラリとゆめを見た。
『ドキン!』
緋景も鳴志司の視界に入ってるはずだが、手を上げただけで、視線を送ることはなかった。
鳴志司は以前から多数の女子からのアプローチは拒否。しかし、拒否があまりにめんどくさくなっていた。
ゆめは魔法が解けたことで、普段よりも感情がハイかつ大胆になっていた。
「会長、お話ししたいことがあります。」
「なんだい、藪から棒に。」
鳴志司は軽い受け言葉とは裏腹に、真剣な表情に見えた。
「会長、あたしと付き合ってください!」
「うん、いいよ。交際しよう。」
「はい。よろしくお願いします。」
緋景とつかさの時間が止まった。ビッグバンから現在までの138億年の時を待つ、そんな空気感が生徒会室を支配した。
「「「・・・・・・。」」」
「「「えええええっ~!?」」」
驚愕の感嘆詞には、冷静さに復帰したゆめも含まれていた。
こうして鳴志司とゆめは、超絶唐突に付き合うことにした。




