【第一章】第三十四部分
「これって、ホントに異空間なの?生徒会室に透明なキューブができただけに見えるけど、ごきげんよう。」
「あら、そうだったかしら。たしかに、生徒会室のヨンリオグッズがよく見えましてですわ。」
実は結界を張るだけで外から見える。異空間を作るには、緋景に魔法力が足りなかった。ちなみに、デジタル魔法では、数学上のエヌジ空間に、バーチャルフィールドを作れる。
「こんな魔法レベルじゃ、あたしの敵ではないわ、ごきげんよう。」
上から目線のゆめであったが、そもそもゆめには空間魔法の能力はなかった。
「ワタクシをなめたら、ここから生きて帰れませんわ。操作魔法の真髄を教えて差し上げますわ!」
緋景はヨンリオウサギを手にしていた。両目をバツ印で塞がれ、耳は食いちぎられて、額からナタで斬られたような大きなキズのある、瀕死のウサギである。
緋景は野球のピッチャーのように、振りかぶって、瀕死ウサギをゆめに投げつけた。
「いきなり攻撃してくる、ごきげんよう?」
ゆめは全身に魔力を送って、魔法シールドを築いた。
「あれ?痛くないわ。あたしのシールドって、当たると痛いのよね、ごきげんよう。」
魔法シールドの意味を本質的に問いただす必要が出てきた。
「ヨンリオウサギにキズをつけるなんて、できませんわ。」
緋景は頭を抱えて、膝まづいた。
「あれ?何もしてないのに、あたしが勝っちゃった?・・。うん、これぞ、あたしのエア魔法なのよね、ごきげんよう。」
つまり魔法は使っていないという意味である。
「負けましたわ。ヨンリオグッズを武器に使うとかは死んでもできません。悔しいですわ!ビュン!」
緋景は腹いせにヨンリオウサギを投げ飛ばして、中からハラワタが飛び出した。
口惜しがる緋景の様子を見て、ゆめは声高らかに発言した。




