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【第一章】第十九部分

とある日、ヨンリオショップでつかさは十分な議論をしたあとの、事後感に浸っていた。しかし、緋景はモジモジしてて、なんだか様子がおかしい。

「滝登さん、どうかしたの。急な用事でも思い出したのかな?」

「い、いやそうではありませんわ。ワタクシたちは、世間話的にお互いを知るという第一段階を終えました。そろそろ、次のステージに移行しよう、いやしなければなりません。ついては、こ、今度の日曜日、遊園地でデート行為に走るべきですわ!」

「デート?あっ、ヨンリオ知識を最新の状態にアップデートするっていうことだね。わかったよ。」

つかさの回答は変化球だったが、緋景はニュアンスの違いが理解できないほど、恋に盲目的になっていた。

ジト目の店員は、露骨に耳に手を当てて、ふたりの会話を盗み聞きしていた。

(ぬぬぬ。滝登緋景、次のステージ移行とは。許すまじ!)

店員の瞳はジト目から烈火の炎に変化していた。当の日曜日。遊園地の前で待っていたつかさに、日傘をさした山吹色の和服姿が駆け寄ってきた。

「わあ。すごくキレイだね!」

「まあ、そんな直球で褒められるのは、少々恥ずかしいですわ。ポッ。」

つかさは顔が180度回転し首の折れた後ろ頭ウサギのデザインに注目したのであるが、緋景はそう思わなかった。

「つかさ様のTシャツも素晴らしいですわ。」

つかさのTシャツも、ご多分に漏れず、頭の四分の一がギザギザに欠けて流血している青いウサギイラストが、ほぼ表の全面積を支配している。

ふたりはオキマリのメリーゴーランドやコーヒーカップに乗ったあと、観覧車乗り場に列を組んだ。

日傘を差して、つかさと並んでいる緋景は、以前に増して、こよりのように、腰を捩っている。

「つ、ついに、セカンドステージのフィナーレを飾る関門、接吻パートタイマーの到来ですわ!」

たしかに、キスは何時間も継続するものではなく、正社員とは言えない。


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