【第一章】第十八部分
「おや、耳はヨンリオマニアの入り口だよ。ほら、ここに穴があいてるだろう。これは無限ホールと呼ばれているんだよ。」
「喜多見つかささんが、初めての穴をあけたんですの?それも回数、無限大!?い、イヤラシイですわ!」
「人聞きが悪いなあ。初めからあいてるんだよ。一見、音を通すための穴に見えるよね。」
「それならワタクシも知ってますわよ。しかしそれだけではなく、その穴から呼吸しているのですわ。この黒ウサギには見栄え上、鼻が作られてません。ゆえにそこから空気を取り入れているという設定ですわね。」
「もちろんそれもあるけど、実はその穴は異次元につながるトンネルだという設定があるんだよ。」
「えっ?そんな話、聞いたことがありませんわ。」
「それはそうだよ。その穴が何なのかは謎。というより、人形を持った人が自分で想像、創造する。だから、無限の穴と呼ばれてるんだよ。」
「そういうことですの。無限の絶倫かと期待しましたわ。」
「ぜつりん?」
「いや、なんでもありませんわ。オーホホホッ。はあ。」
そんなこんなで、噛み合うような、そうでないようなデート、議論は回数を重ねていった。
十分には噛み合わない交際であっても、回数と時間経過による、自然な刷り込みというのは根強く育てられるもので、ふたりには徐々に情が湧いてきて、特につかさには幼友染みゆめとの間にはない新鮮味があった。