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いつか、君の隣へ  作者: U
第三章 欺瞞、憎しみの行方

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第二十五話 始めよう

「武闘演」→「天武演」へ名称を変更しました。(2023/12/4)

『赦さない、絶対に赦さないんだから!!』

 その言葉に偽り無く、憎しみの炎を燃やし続けた。

 更生所に送られた広輝が帰ってきた時、いつでもその首を斬れるように。

 剣術も天術も体術も身を削るように鍛錬を続けた。その取り組みは、周りが止めるほどに鬼気迫っていた。

 梅雨に入り、降り続く雨を見ていると、いっそのこと姉を殺した方法と同じやり方で殺してやろうと思い至る。広輝は『胸を刺した』と言っていたが具体的にどんな状況だったかは知らなかった。

 詳細を聞いているだろう円や天守に詳しい状況を聞きに行ったが、『暴走』の一点張りで話にならない。他の事情を知っていそうな人も同じで、一向に状況が見えてこなかった。

 一人で思考し続け、疑念が湧いてくる。広輝の『暴走程度』であの人たちが負けるのか、と。

 全国に名を轟かせる[剣帝]の慧輔に、若手ナンバー2の要。二刀流の皆伝者である錦と全国の天宿を渡り歩いてきた朱色の美琴に、宝星流槍術の練達者の徳裕。そして二人目の神童[火剣]の美宙。

 この錚々(そうそう)たるメンバーが本当に広輝だけに敗れ去ったのか。到底、信じられなくなった。

 岳隠の誰も教えてくれないのなら、知を分け隔てなく教え回っている部外者に訊けばいい。

 夏休みの巡回の日、陰陽師・葦北(あしきた)常道(つねみち)を呼び出し、真実を尋ねた。

 常道は困ったような顔をして何かを差し出して言った。

『時が来れば教えましょう。それまではこのミサンガをしていてください。心が落ち着きますよ』

 ミサンガだった。いつも配っている物と同じ。

 千花は常道も他の大人たちと同じだったと失望し、彼の前から去っていた。憎しみを重ねるようにそのミサンガを手首に巻いて。

 その夏の後から疑念は小さくなっていった。いや、どうでもよくなっていった。

 ただただ憎しみを積み重ねるように、力をひたすら研いでいく。

 そして翌年の夏。広輝が岳隠に帰還した。

 暖かく迎えはしないものの天宿の敷居を跨がせる天守たちを理解できなかった。

 その怒りも乗せて、広輝を襲撃した。奇襲だった。飛び出した時は"殺った"と思った。

 しかし、かつて持っていた刀よりも一回り長い刀に阻まれた。剣戟を繰り返しても広輝を討てる気配が全くしない。

 ショックだった。剣術の腕なら広輝よりも若干上で、必死に鍛錬して急成長したつもりの自分が、追いつかれるどころか追い抜かれている。才能の欠片も見せず、剣帝の錆とも揶揄されていた広輝が、千花よりも強くなっていることに。

 広輝が鳴上に異動するまで何度も挑んだが、姉の仇を打つことは叶わなかった。天術も、戦術もあらゆることを駆使したのに。千花に呼応されるように、広輝を討とうとするメンバーも増えたにも関わらず、だ。

 広輝はその年末、二十歳以下の天子が競い合う天武演を制覇し、世代最強であることを証明した。ここで千花は悔しさと劣等感を飲み込み、広輝が間違いなく自分よりも上なのだと認識し直す。

 それで一年近く、今まで以上に天術を磨き続けた。

 その果てに氷の牢獄にだって閉じ込めた。

 それでも、届かなかった。

 全てを受け止められ、耐えられ、跳ね返された。

 桑次郎経由で受け取った常道の宝石によるブーストも叶わず、今は手首を掴まれている。

「切るぞ」

 手首に巻いていたあの夏に受け取ったミサンガを広輝に切られた。

「これが何だって、言うの……よ」

 心のバランスが崩れていく。感情と理性の天秤が激しく揺れ動く。憎しみと今までの行い、恨みと大事な人の影、大好きだった姉と同じくらい好きだった兄貴分。

 さまざまな感情と情報が次々と押し寄せ、切り替わっていく。

 憎い、苦しい、悲しい、寂しい、嫌い、愛しい。

 暴言を放った、そこまでじゃないのに。殺そうとした、大好きだったのに。閉じ込めた、償ってほしいからーー何を?

 奥底に眠っていた疑念が感情の流れに乗って浮かび上がってくる。


   『なんで?』


      『なにがあったの?』


 『本当のことを教えてよ!』



 千花は奥歯を噛み締めて耐える。

 今更(・・)、聞ける筈もない。

 やってきたことを思えば、どうして教えてほしいなんてお願いできる。 

「ーーっ、だからなによ! 何も、何も変わらない!」

 自分が嫌になった。

 ここまで愚かしくなってしまった。

 気付いたではないか、暴走なんて嘘だって。

 何か、あると。

 何より、慧輔を尊敬し、美宙に恋していた広輝が殺す筈がない。暴走していたとしても、二人を前に剣を振り下ろす筈が無い。

 今なら確信持って言える。

 家族を失う気持ちをこの身に刻んでいる。喪失の(かな)しみを知っている。同じ疵を広輝が持っていることも知っている。その疵をもうひとりの姉、幸穂にも負わせようとした。

 罪の意識に心が締め付けられた。罰してほしかった。

 『どうして』と訊けないことが、真実を永遠に知ることが出来ないことが罰なのなら、甘んじて受ける。そんな気持ちだった。

 納刀の音が聞こえた。

 終わりだ。きっと広輝は愛紗を助けに行く。

 せめての贖罪に、彼女の居場所を言おうとした時、広輝は言った。

「話がある」

 と。



 千花はその懺悔のような告白を俯いたまま聞いていた。

 その真実は、真っ白な雪を血の色で朱く染めたり、絶望に覆われるように(くら)く染めた。

 聞き終えそうな時には自然に膝から力が抜け、両手が固く冷たい雪を握り締め赤くなっていた。

 零れ落ちる涙が氷のような雪を解かした。

「オレはあの時の千花をそのままにできなかった。憎しみでも怒りでもいいから、生きていて欲しい、そう思ってしまった」

 千花自身も憶えていた。

 美宙が死んだと伝えられ、頭が真っ白になった。信じられずに大人たちを疑ったが、彼らのその悲壮な顔に事実なのだと思い知らされた。

 そして、その事実を受け止めきれなかった。

 喪った(かな)しみも、理不尽への怒りも覚えずに、思考を止めた。

 考えられることを考えず、見えるものを見ず、聞こえるものを聞かないことで、その事実が現実であることの認識を拒絶した。

 思考の時計の針を止めることで、美宙()が生きている時間軸に居続けたのだ。

「だからあんな風にしか伝えられなかった」

 その針を広輝が無理やり進めた。加害者として、元凶として、真実を隠匿して。

「そんなの、そんなのって……」

 方法は間違っていた。もっと上手なやり方もきっとあった。

 けれど、それが誰を思ってやったことだったのかは明白だった。

「すまなかった」

「――っ。違う、違うよ」

 自ら悪に堕ち、悪名を負い、大好きな皆から嫌われる茨の道を、いったい他の誰が歩んでくれるだろうか。

 広輝の思惑通りだとしても、そこまで想ってくれる人に対して暴言を吐き、刃を突き立てた。

 後悔でどうにかなりそうだった。

「……わたしは、わたしは……!」

 止まらない涙が雪をじんわりと解かし、声にならない嗚咽が森に溶けていく。

 少しばかりの沈黙の後、持ち得る真実を吐露し終えた広輝が千花に告げる。

「オレは愛紗を助けに行く」

「……」

「お前の答えはその後に聞く」

 広輝は千花の横を通り過ぎ、雪を踏み締めて森の奥へと歩を進める。

 千花がどういう答えを出したとしても、またここから始めればいい。

 あの時のことは、全て吐き出した。

 ここからだ。

「丸太小屋の地下室に居るはず……床下収納の枠を外したら階段があるから」

 遠ざかる広輝の背中に千花から愛紗の居場所を伝えられた。

「ありがとう」

 短く礼を言うと、広輝は森の奥へと向かった。

 一人取り残された千花の感情が荒波のように激しく波打つ。

 握り締めていた拳を血が出そうなくらいに更に強く握りしめ、思いっきり地面を叩きつけた。


 右手で


「うっ」


 左手で


「ぐっ」


 両手で


「うあ!」


 何度も何度も


「ああ、ああ!!」


 そして頭を地面に擦り付けるように背中を丸めると、ぶつける宛のない感情のままに哭いた。

「うぅ……ぁ、わああああああああ!」

 ずっと四人で遊んでいた。学年が違っても天宿に居る時は、いつも一緒だった。姉と幸穂と広輝と。

 広輝が段々と感情の色を見せていくことが嬉しかった。屈託ない笑顔を咲かせ、快活な広輝は人を惹きつけた。

 そんな広輝が慧輔に剣術を習っている時は幸穂と遊んで待ったり、近くで一緒に竹刀を振った。

 千花の剣術の上達速度は、神童と謳われた美宙ほどではなかったが、筋が良いと褒められた。美宙と広輝に追いつきたくて、練習は一生懸命やった。

 いつしか二つ年上の広輝に実力が並び、競い合うようになった。

 そうした日々を過ごしていく内に、最初に広輝が美宙に恋をした。最初は小学生だと相手にしていなかった美宙。

 その哀れな広輝の姿を見て千花は「私なら……」と思って、初めての恋を自覚した。広輝が美宙に玉砕してくれたら……なんてことを虎視眈々と狙っていたのだが、広輝が中学生に上がったことで"小学生の壁"が無くなり、美宙も広輝の好意を無下にしなくなっていった。美宙が広輝の為にマフラーを編み出すと、勝ち目がないと姉に隠れて泣いた。

 何度枕を濡らしても、その想いを捨てきれず、二人の前で素直になれなくなっていた。

 あの日は広輝の十三才の誕生日プレゼントを、任務前に渡せず、どうやって姉に隠して渡そうか悶々と悩んでいると、清天寮に嫌な空気が流れ込んできた。

 胸騒ぎがした。

 円に訊いてもはとぼけられた。それが胸騒ぎが不安になり、少しずつ積もっていった。

 そして不安は的中する。誕生日会は中止。大人は慌ただしく、子供たちを早々に床に就かせる。

 眠れぬ夜を過ごし、翌朝、天守が重々しく口を開き、美宙の死を聞いた。

 いくばくの空白の後、好きな人から、彼が大好きな姉を殺したのだと残酷な事実を告げられた。

 疑問と憎悪だった。

 あんなに好きだったじゃないか。もうすぐ両想いになっていたじゃないか。唯一の肉親をなんであなたが奪うの。失う(かな)しみを知っているはずなのに。

 絶対に赦せなかった。用意していた誕生日プレゼントを壊し、憎しみに暮れた。

 その憎しみも、ある意味広輝からの贈り物だった。

 止まった時の中ではなく、今を生きてほしいという願い。

 千花の心の中は滅茶苦茶だった。

 長い慟哭で吐き出すだけ吐き出すと雪の上にへたり込んだ。

 何も考えられない。

 泣き腫らした赤い目で、ぼーっと空を眺めていると、誰かが千花に近づいてきた。

「お前も敗れたか」

 円だった。

 広輝の真実を知っていた者の内の一人。

 少し回り始めた頭で千花はそれを確認する。

「まど姉は知ってたの? 本当のこと」

「……ああ。あのお前の姿は見ていられなかった。だから間違っていると分かっていてもコウに従った」

 そこまで言って、円は否定する。

「……いや、違うな」

 そんなの建前だと自分で気づいていた。

 常道の術式に乗せられ、広輝に敵対したのだから。

「憎む相手を心のどこかで欲しがっていたんだ。そうすることで大切な人を失った(かな)しみから目を背けて、乗り越えなくていいと思ってしまったんだ。それがコウに修羅の道を歩ませ、コウの心を傷つけて続けることを知らずに」

 広輝はその為に人格まで改変した。

 感情を閉じ込め、自分を機械のように扱った。

 どれだけ自分を追い込めば、そこまでできるのか想像もつかない。

「本当に馬鹿野郎だよ。コウが体験した地獄の光景を想像できたっていうのに」

「……私は憎み続けた。本当のことを知ろうともしないで……ずっと、今まで……こんなに、こんなに強くなっちゃったよ、まど姉」

 千花は、憎悪というブーストによって成長速度を加速させ、その戦闘技術は同年代においてトップレベルの実力になっていた。

 本来の千花であれば、そろそろ中伝の試験を受けるか受けないかという頃合い。今の千花は既に中伝に至り、あの地獄の特訓メニューの二つをクリアしている。

 憎しみによって得た力は、守る為に磨くはずだった力は傷付ける方向に突出している。大切な人を守りたくて防御寄りの型である弐ノ型[残月]を先に磨き始めたのに。

 強くならねばと思っていた。広輝を殺すために。

 千花の心には虚しさが広がっていた。

「そうだな。それもコウが望んだことではあるが……」

「それ、どういう意味?」

 聞き捨てならなかった。

 自分を殺しに来る者が強くなることを望む?

 円は広輝から聞いたことを千花に伝えた。

「『弱いから鬼に乗っ取られた。弱いから守れずに失った。千花には同じ思いをして欲しくないから、千花が蒼くらいに強くなるまで負けられない』。そう言っていたな」

 天武演を制覇するほどの強さを手に入れた理由には、"もう二度と失いたくないから"、"慧輔たちが滅するはずだった魔を代わりに討つ"という広輝自身に定めた理由も勿論あった。

 それらに加えてもう一つが、円の言った通り、負の理由だとしても仇討ちの為に強くなっていくだろう千花が一定の強さを手に入れるまで壁で在り続ける為。

 自ら点火した憎しみをすべて受け止める為。

(あーもう、どこまでも!)

 何から何までーー。

 [堕天子]を負った事があの場の勢いだったとしても、いくらなんでも不器用過ぎると、千花は心底思った。

 それはセンチメンタルになっていたのがバカみたいに思えてくるほどで、笑ってしまいそうだ。

 千花の頬が引き攣るように上がったのを、円は自暴自棄になり始めたのだと勘違いし、心に語りかける

「人のこと言えた義理ではないが、全部を棚に上げて、家族ではなく同門のよしみ、姉弟子として言ってやる」

「?」

「力はただ力。善も悪もない。力は使い方次第で善にも悪にもなれる。殺す力にも守る力にも」

 岳隠の教えの一つ。

 初伝に達し、中伝を目指し始めた天子たちに口を酸っぱくして何度も説く。

 決して使い方を見失うな、と。

「千花、お前はどう使いたい?」

 千花は口をぽかんと開けて唖然とした。

 術式のせいだが、円も怒りと復讐に取り憑かれた。千花のことを言える立場ではないのだから。

「……本当に、本っ当に棚に上げたね」

 けれど、円の言いたいことは分かる。

 千花は足に力を入れて、しっかりと立ち上がる。

 刀を抜くと、左手でポニーテールの付け根近くを持ち、刀をその髪に添える。

 そして一息にその長い髪を切り落とした。

 ヘアゴムが外れ、短くなった髪がそよ風に揺れる。

 千花は切った髪を惜しむこと無く、手を下ろす前に手放した。

 穏やかな風に揺られ、さらさらと宙に舞い、一本一本解けて白い森へ溶けていく。

「千花……」

「わたしなりのけじめ。今までとの決別」

 姉を忘れないように、また鏡の中の姉を模した自分を見ることで自分の気持ちを再認識する為に伸ばし、同じ髪型にしていた。

 それももう終わり。

 過去に囚われて今を生きるのではなく、明日を見て今日を生きる為に。

 千花は円と共に森の奥へと向かった。

 この茶番劇を終わらせる為に。

 岳隠に蔓延している欺瞞を晴らす為に。



  ***


 

 千花の情報通り、愛紗は丸太小屋の地下室で眠らされていた。

 常道との戦闘も覚悟して突入したが、常道はおらず、中央のテーブルの上に置かれた電池式のランタンが一人寂しく部屋を照らしていた。

 まず愛紗の無事を確認してから、部屋の中を見渡す。

 空っぽの部屋だった。

 テーブルと愛紗を寝かせられているベッド、その側に小さな作業台以外何も無かった。

 廃工場にあったゲーベルの地下室のように魔法陣があるわけでも、廃病院の地下室のようにギレーヌが用意したような器具があるわけでもなかった。

 何をしていたか検討もつかない。

 反対側の木の扉を音を立てながら開けるも、見える範囲には何も無かった。

 広輝は調査を一旦切り上げ、愛紗の安全確保を最優先に行動する。愛紗を抱えると気が遠くなるくらい長い螺旋階段を上っていく。

 ようやく上りきり、小屋に顔を出すと、気配を殺して刀を構えている香桜がいた。

 背筋が凍ったが、香桜も広輝の顔を見て大きく安堵の息を吐いた。

「なんだ、コウか」

 香桜は刀を納める。

 広輝は香桜が誰に備えていたか想像がついたので、特に何も言わなかった。

「アイちゃん、無事なの?」

「はい。外傷は見当たりませんでした。見える範囲でですが」

「わかったわ」

 香桜は広輝の意図を察し、広輝から愛紗を受け取った。

 広輝も眠っているだけに見える女の子の服の下まで確認はしない。そこは女性に任せた。

 その際、部屋の片隅で顔を伏せて体育座りをしている茉桜をチラリと見た。

 香桜は愛紗を落とさないようにしながら、唇に人差し指を「しー」っと当てる。

 寝ているのか、刺激するなという意味かは分からない。

 どちらでも構わないので、広輝は地下室の状況を伝えた。

「下はもぬけの殻でした。ざっと見た感じですが、手掛かりになりそうな物もありませんでしたね」

「そ。ご苦労さま」

 その時、カタカタと物が小さな音を立てた。

 注意していないと分からないくらいの小さな振動だった。

「……」

「地震?」

 そう言いつつも、何か嫌な予感がした。

 広輝も同じらしい。

「ちょっと外の様子見てきますね」

「よろしく、っ!?」

 今度は天子協会の専用端末がアラームを鳴らす。

 喧しいそのサイレンは、緊急事態を報せる警報。しかも天子自身が自分の危機を周辺の天子に報せる位置情報付の緊急応援要請。

 三つのその音はほぼ同時に止まる。

 端末の画面には、簡単な地図と発信者の名前。

 そこに映し出されていた名前は、"月永優里菜"。

「ーー」

 広輝は香桜に背を向け、出口へ向かう。

「愛紗をお願いします」

「任されたわ」

 広輝が出ていくと、また静かな小屋へと戻る。

 香桜はジャンパーを脱いで茉桜との間に人一人くらい入れるスペースを開けて敷くと、その上に愛紗をゆっくりと寝かした。

 そして茉桜の隣に座ると、優しく茉桜の頭を撫でる。

「時間はあるわよ」

「っ……」

 専用端末を握る力が少し強くなった。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新ありがとうございます!今回も面白かったです。 [一言] ミサンガやばぁ
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