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第8話 俺と勝負しろ!

「2人とも、高級宿に泊まりたいのは分かるけど、うちは辺境の弱小ギルドなのよ」

「そんなお金はない、と言いたいのね」


 ユリアが何やら考え込んでいる。まさかもう少し待遇のいいギルドに鞍替えしようと思ってるんじゃないだろうな。


「ええ。でもその代わり……」


 ところがナハルの案は絶妙だった。実は先日この地を治めるムエノ伯爵が屋敷を新築し、それまで住んでいた屋敷をギルドに寄贈したと言うのだ。少々古びた建物だが、さすがに旧伯爵邸だけあって広さと豪華さは申し分ないらしい。


「執事と料理長、それにメイドを2人常駐させるわ。これでどうかしら」

「悪くはないわね」

「ただし、当然だけど依頼の難易度は高くなるわよ」

「いいわ。あと荷物持ちはこのリュオナールを指名ね。ここは譲れないんだから」


 Aランク冒険者の俺が荷物持ち扱いかよ。まあ、そうしてパーティーにならないと一緒には住めないからな。屋敷はあくまで隠れSランクの彼女に与えられるものなので、パーティーでも組まない限り俺が住むことは出来ないのである。そして上位冒険者に指名された俺に拒否権はない。


「ええ、構わないわ。でも表向きはリュオナールさんがユリアちゃんを指名したということにしておいてね。それとユリアちゃんはこのアメインと専属契約を結んでちょうだい」

「どういうこと?」

「貴女は対外的にはBランクだから、他ギルドのAランク以上の冒険者からの指名を受けられないようにするにはこれしかないの」

「なるほど。そういうことなら仕方ないけど、リュオナールは大丈夫なの?」


「もちろん、彼にも専属契約をお願いするわ」


 専属契約は結んだその日から最低1年間は移籍が出来なくなる縛りがある。ただしその分、報酬は通常の倍に跳ね上がるのだ。とは言っても元々の比率がギルド8に対して冒険者は2しかないんだけどね。ま、俺が他ギルドの格上冒険者、例えばオーギュドから指名を受けるなんてことは間違ってもないだろうけど。


 それから俺とユリアは諸々の手続きを済ませて、真実の氷が置かれていた部屋を出る。するとパシルが幼女に簡単に投げ飛ばされたという話を聞きつけた冒険者たちが、俺と彼女の周りに群がってきた。


「おいリュオナール、その子のランクは?」

「ああ、Bだったよ」

「Bっ!? その小ささでBかよ!」


「しかしAランクのパシルを()しちまったんだろ? ならAランクなんじゃねえのか?」

「俺もそう思ったんだが、真実の氷を使った結果だからな。それにこの子はまだ8歳だし、Aランクの依頼を受けさせるわけにもいかないだろう?」

「確かに一理あるな。ならよお嬢さん、俺っちとパーティー組まねえか?」


 赤ら顔で鼻息を荒くして誘いをかけてきたのはランパオス、無類の幼女好き(ロリコン)である。だが彼はそれを恥じることもなく、大っぴらに公言しているからタチが悪い。ちなみにこのアメインでの冒険者ランクはBだ。


「可愛がってやるぜ。少なくともリュオナールといるよりいい服も着せてやるし、美味いもんも食わせてやる」

「結構よ、変態オヤジには興味ないから」

「変態オヤジ……そのツンケンしたところもたまらねえぜ!」

「バカは放っておいて行きましょ。もうお腹ペコペコなんだから」


 言うとユリアは俺の手を引いて、さっさと歩き出していた。報酬として受け取った火噴き豚(ファイヤーボア)を、早く食べてみたいらしい。ギルマス(いわ)く、屋敷の料理長に言えばいい感じに調理してもらえるそうだ。いつもは俺も公園なんかでパクつくだけなので、ちゃんとした料理になるというなら楽しみである。


 だが、そんな俺たちの気持ちをよそに、邪険にされたランパオスが本格的に通せんぼしてきた。


「リュオナール、俺と勝負しろ!」

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