エピローグ
施設の敷地では、子供たちが元気に走り回っている。あれから1年、ユリアのお腹にはつい先日、新しい命が宿ったことが分かった。そして――
「シエナ、予定では来月だっけ?」
「はい」
大きなお腹を抱えた彼女は、間もなく臨月を迎える。もちろん、ドロムの子だ。
彼は森の入り口警備の延長を志願し、王国から特別待遇で許可を得たのである。そこには、シエナの妊娠も関わっていた。
辺境の地で新たな命を芽生えさせたことは、賞賛に値するとのことらしい。もっともこの取って付けたような理由は、国王をギルマスが脅したからだそうだ。
人が増えなければギルドの経営が立ち行かなくなる。ナハルはそう言って王国を動かしたのだが、それと共にマジナールへの移住希望者が増えたのも事実だった。
この辺境の町が、以前とは比べものにならないほど活気づいている。
「リュオナールさんはお仕事ですか?」
「うん。今回は日帰りの荷物運搬だから楽なもんさ」
「手ぶらに見えるんですけど」
「種化してるからね」
そんなわけでユリアは留守番させている。
ところであの小さな体でお腹が大きくなったらどうなるのかと心配だったが、そこに思いもよらないオマケがついていた。
なんと、彼女が本来の20歳の姿になる条件が妊娠だったと言うのだ。約10カ月の妊娠期間中で、1カ月におよそ1歳分の成長を遂げるらしい。
そのことを俺に黙っていたのは、成長が目的で子作り行為をされるのが嫌だったそうだ。
ユリアらしい理由だと思ったよ。
「ただいま」
「おかえりなさい、リュオ」
「おかえりなさいませ、旦那様」
「あ、リュオ様! おかえりなさい」
俺が外出から帰宅するとユリア、ロージー、リリーの順にキスをする。
「ユリア、体の調子は?」
「バカね、まだ妊娠したばかりで変わるわけないじゃない」
つわりも始まっていないのに妊娠が判明したのは、彼女の魔法によってだった。
ただ大事を取って今夜から、俺のメインの相手はロージーになる。これはユリアからの申し出によるものだ。もちろん彼女を1人にするわけではなく、今後俺と過ごさない夜はロージーとリリーが交代で添い寝するのである。
「リュオの悪口で盛り上がるんだから」
「おいおい……」
そうそう、大切なことを忘れていたよ。なんとルーナがクラントンと婚約したのだ。かつて彼女は言った。
「年下の男性を恋愛の対象に見ることが出来ないのです」
しかし、だからって親子ほど年の離れた彼と婚約するとは思わなかったよ。ま、クラントンは包容力もありそうだし、2人ならきっと幸せになってくれるだろう。
とにかく、ユリアに出会ってからの毎日は充実している。そしてこれからもこんな生活が続くことを、俺は心から願うのだった。
長らくのご愛読、ありがとうございました(^o^)




