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第5話 優しくしてね

「2人ともよく聞いて」


 ユリアの並々ならぬ表情に、ロージーとリリーはゴクリとツバを飲み込んだ。


 そこは屋敷の1階の奥から3番目の部屋。中途半端な位置にあるため、掃除以外では基本的に誰も立ち入らない部屋である。

 そんな中、灯りもつけずに夕陽の光だけで3人の女たちが額を寄せ合っていた。


「2人がリュオのお嫁さんになることに私は反対しないし、むしろ歓迎したいくらいなの」

「……」


「だけど1番は私。この意味が分かるかしら?」

「えっと、正妻がユリア様、ということでは……?」


「それもあるけど、大事なのはえっちの順番のことよ」

「えっち?」

「子作りって言えばいいかしら?」


 途端にロージーもリリーも真っ赤になってうつむく。こういう反応に男は弱いのよね、とユリアは心の中で納得していた。


「知っての通りリュオはあれで結構真面目なところがあるの」

「はい」

「だから、彼は最低でも私が15歳になるまではえっちしないなんて思ってるみたいなのよ」


「成人するまでってことですよね。何か問題があるんですか?」

「考えてもみなさい。私は今8歳、15になるまではあと7年かかるわ」


 ユリアは2人を交互に眺める。


「ロージーは確か22歳だったわよね。リリーは?」

「24歳……です」


「彼の考え通りに待っていたら、私はいいけど2人は30歳前後までお預けってことになるのよ」

「……!!」

「言いたいことが伝わったかしら?」


「つまり、旦那様にはすぐにでもユリア様とえっ……していただかないと……」

「でも、ユリア様はまだご年齢的に子供が出来ないのではありませんか?」


「そのことなら心配ないわよ。こう見えて女としての機能は全て整ってるから」

「そ、そうですか」

「そういうこと。でね……」


 ロージーとリリーは顔を見合わせたが、それ以上ユリアにツッコもうとはしなかった。そしてこの後に続いたユリアの話に、2人は頬を赤らめながらも何度も大きく肯く。


「では!」

「決行は今夜!」

「おおっ!」


 そして3人は夜に向けて、それぞれの体を丹念に磨くのだった。


◆◇◆◇


「ユリアのヤツ、今日は何回風呂に入るんだ?」

「お待たせ」


 そこへ湯上がりのユリアが戻ってきた。彼女はいつも通りベッドの上で、俺の隣に座ってもたれかかってくる。甘い香りと少し高めの体温が感じられて心地いい。初めは抵抗しかなかったこの幼女の温もりも、今ではなくてはならないものになってしまっている。

 ただいつもと違っていたのは、彼女が薄手の白いミニワンピを身につけていたことだ。


「ゆ、ユリア、何して……!?」


 驚いた。ぼんやりと考えていた俺の膝の上に、いつの間にかユリアが(また)がっていたのである。そのせいで俺の一部分が彼女の太股に当たり、急激に膨張を始めていた。


「リュオ、抱きしめて」

「いや、あのさ……」


「魔法を使わせないで。リュオの意思でそうしてほしいの」


 次の瞬間、ユリアの吐息は俺の唇で塞がれた。彼女が俺の首に両腕を回し、そのまま唇を重ねたからである。


 何という甘ったるい口づけ。俺はすぐに我を忘れて、彼女に言われた通りにその細い体を抱きしめていた。


「リュオの、硬くて熱い……」


「ゆ、ユリア、すまん。トイレに行かせてくれ」

「ダメよ。今日はお手洗いには行かせてあげない」

「ちょ、待てって。さすがにお前の目の前でするのは恥ずかしいから」


「うふふ。何を言っているのかしら。私は自分でさせないって言ったつもりなのだけど」

「ユリア!?」


 そう言うと、彼女はいきなりワンピースを脱げ捨てた。見ると下には何も、そう、下着を着けていなかったのである。

 まだほとんど膨らんでいない胸と、きめ細やかな肌のままの女の部分が、俺の目に飛び込んできたというわけだ。


「ゆ、ユリア!」

「リュオも脱いで。私ばっかり裸じゃズルい」

「いや、だってお前が勝手に……」


「男はつべこべ言わないの! 女にここまでさせて知らん顔するつもり?」


 おそらく魔法を使えば、俺の意思とは関係なく彼女は自分の想いを遂げることが出来るだろう。でもそれをせず、あくまで俺の判断に任せようとしてくれている。


 何だか考えてることが男女逆のような気もするが、確かにここまでさせておいて綺麗事で切り抜ければ、俺たちの関係は修復不能なほどにまでこじれるかも知れない。覚悟を決めるしかないか。


 相手は見た目は幼女でも、中身は20歳(オトナ)なんだから。


「分かったよ。脱ぐからどいてくれ」

「逃げない?」

「大丈夫だ。その代わり」

「なに?」


「1度したら次からもうトイレでしないぞ」

「いいわよ。したくなったらちゃんとさせてあげるから」


 彼女は言うと俺の上から体をずらした。そして全てを脱ぎ捨てると、再び柔らかくて細い体を抱き寄せる。地肌で彼女の全身を感じた瞬間、さらに俺の男が破裂しそうになるほどの血液が送り込まれた。


「ユリア!」

「リュオ……優しく、してね」


 とうとうその日、俺は幼女としてしまった。いや、見た目が幼女なだけで、中身は20歳(オトナ)なんだってば。

 あと、めちゃくちゃ気持ちよかった。子供としているという感じはしなかったな。彼女はちょっと痛そうだったが、想像していたよりはずっと楽だったと言っていた。


 何にしても、まさかこんなに早くユリアとこうなるとは思ってもみなかった。


 だが、本当の意味で俺が驚愕させられるのは、この後だったのである。

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